コラム【MIURA’s EYE】vol.4 経験だけじゃ足りないんです
2023.06.12
こんにちは!“SUPER FORMULAアンバサダー” の肩書がようやく耳慣れてきた三浦愛です(笑)
第4戦 九州大会(オートポリス)は、「#1野尻智紀選手が欠場」というニュースに耳を疑ったところからレースウィークが始まりました。本当に残念で本人が一番悔しい想いをしているはずなのに、ファンの皆さんや関係者への気遣いを忘れない野尻選手の人柄が見えた一件でもありましたね。
そして、代役に抜擢されたのが過去にもSFで優勝経験のある大津弘樹選手でしたが、フリー走行からスピードのある走りでリザーブドライバーとしてしっかり力を奮ってくれたと同時に、改めてTEAM MUGENの強さを実感することとなりました。
TEAM MUGENとともに、やっぱり強かった!九州大会の主役となったのは、衝撃の2勝目を飾ったリアム・ローソン選手。経験のある日本人選手とは違って、オートポリスでレースをするのは彼にとっては初めてでしたが、彼にはそんなの関係ないですね!(笑)SUPER FORMULAに新しい風を吹かせ、台風の目となってくれているリアム選手の巧みな技に今後も目が離せません。
冒頭からTEAM MUGENの話題に偏ってしまいましたが、もちろん気になるチームや選手は他にもたくさんいるのです!本音では、「全チーム・全ドライバーが気になります!」と言いたいほどのトップオブトップが揃っているのもSUPER FORMULAの魅力ですよね。
その中で、私が「そろそろ彼の時代が戻ってくるのでは?」と思う選手が、九州大会で予選5位、決勝8位と1台体制ながら大健闘した#12 ThreeBondRacingの福住仁嶺選手です。少しネガティブ発言が多めの彼ですが(笑)オートポリスでは珍しく(!?) 自信に満ちた顔つきをしていた上にレース結果も申し分なかった。今季から塚越広大選手がチームに加わったことや福住選手の実力と才能から考えても、この調子で歯車が嚙み合い出せば今年中に表彰台が見えてくるのでは!?と、期待したいところです。
そして、私の大本命!#20 ITOCHU ENEX TEAM IMPUL 平川亮選手ですが、厳しい戦いを強いられているように見えるのが正直なところ…。彼の技術とチームの経験値で何とかコンスタントにポイントを稼いでいる印象です。流石だなと思う反面、これだけの名門チームと優れたドライバーでさえも苦戦するという…レースの奥深さがまた面白い。
そしてそして!オートポリスでも圧倒的な強さを感じさせてくれたのが#38, #39 P.MU/CERUMO・INGINGの坪井翔選手と阪口晴南選手ですね。個ではなく、まさにチームで戦っている。マシンの仕上がりは上々、次戦も上位に食い込むことは間違いなしです!
次戦の舞台となるスポーツランドSUGOはSUPER FORMULA開催サーキットの中で全長が最も短い3.586km。SFのスピードを考えると、ストレート区間はほぼ無いに等しい… と、いうことは、コーナリング重視のマシンセットアップになるのはもちろん、攻め甲斐のあるリスキーなコーナーが続くSUGOでは、カートのようにクイックに曲がり 速いテンポで リズミカルに走れるような車づくりが求められます。各チーム、今季導入された新パッケージのSF23とカーボンニュートラル対応レーシングタイヤへの理解度にはまだ差がある中で、気温路温の上昇に伴い想定以上の事態が起きるのも否めない。更に、パッシングが難しいSUGOでは、予選順位(スターティンググリッド)が重要であることは百も承知の上で、フリー走行から予選・決勝ともに赤旗やセーフティカーの可能性を見越して、各チーム一体どんな戦略を組み立てるのか…運も味方につけながら、SUGOの “魔物さん” と仲良くなることもレースの勝敗を大きく分ける要素になるのではないでしょうか。
リスクと隣り合わせのハラハラ感も含め、とにかく走っていて楽しいスポーツランドSUGO。シーズン折り返しを迎え、より綿密に練られてきた各チームの車づくりと戦い方にご注目ください!
written by 三浦 愛
全日本F3選手権で女性史上初のクラス優勝を果たすなど、女性レーシングドライバーとして活躍。一方、2023年に自身のチーム「Team M」を設立し若手育成も視野に入れるなど、モータースポーツ界に貢献する。SUPER FORMULAでは2022年までピットレポーターを務めるなど、色々な視野(EYE)を持つまさに「アンバサダー」。