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コラム【THE 二刀流ドライバー、イゴール】vol.4予想的中!注目選手はトップ勢だけじゃない!

2023.06.14

みなさん、オートポリス戦はいかがでしたか?
オートポリス戦ではタイトル争いをかけた熱いバトルを期待していたんですが、レース週末直前に野尻選手が体調不良との事で欠場となってしまいました。この週末ではレースが一つしか行われないので、2レース分のダメージを逃れたのは不幸中の幸いかもしれないです。野尻選手はこの間行われたスーパーGTでは復帰してレースに参戦したので、次戦の菅生ではスーパーフォーミュラでもチャンピオンの走りが見れたら最高ですね。
今回僕は併催されていたスーパーフォーミュラ・ライツに参戦していました。しかし木曜日と金曜日に合計6時間ものフリー走行が設けられているのですが、全部雨になってしまいました。そして土曜日から快晴になったのですが、かなりぶっつけ本番の予選になってしまいました。予選はそこそこ上手くいって2位と4位につく事ができました。でも正直今年はまだほとんどドライで走れていなかったので、スーパーフォーミュラの土曜日のフリー走行を羨ましく見ていました。笑さて、本題に戻ります!このレースで大体シリーズの半分が経過してチャンピオンシップ争いをするであろう選手が明確になってきましたね。今はトップ4がたったの15ポイント差で、条件としては最低予選のトップ3を2回獲得、そして決勝でも今年2回か3回表彰台に登っている選手になります。去年は割とシリーズの序盤から2位以降はトップに比べてポイント差も大きかったのが特徴です。外国の選手も再び加わり、レギュレーション変更で多数のチームが優勝を争えるようなシーズンとなっているので、今後どうなるか要注目です。誰が勝つか全くわからない展開になっています。
今回も上位争いをしていたのは、リアム選手、宮田選手、そして坪井選手でした。リアム選手は早めにピットインを行い、レース序盤にペースを上げる作戦にでた所、結局まだピットインしていない後方に走っていたマシンに追いついてしまいました。ここでタイムロスになってしまい、坪井選手が後半ピットに入る時にオーバーテイクできなくなるんじゃないかと思ったんですが、一台ずつほぼタイムロスせず抜いて行ったのにびっくりしました。結局坪井選手がピットから出たタイミングでは2位に後退していて、ただタイヤが新しいのでここから追い上げるのかなと思った瞬間にセーフティーカーが導入されました。ここではさすがにリアム選手がきついはずなのに、なぜかリスタートしたらリアム選手が後方を寄せ付けないパフォーマンスを見せてそのままチェッカーをトップで受けました。タイヤのマイレージも高くて、しかも他の車とバトルしたのに最後にまだそのペースが残っているのが良い意味で不思議でした。
宮田選手は坪井選手と同じような作戦をとり、阪口選手とリアム選手が早めのピット作業を行った為、早い段階で前に車がいない状況で自分のペースを守りながら走る事ができて、ちょっとずつ坪井選手に対して距離を縮めていました。セーフティーあけにはペースが上がらなかった坪井選手をオーバーテイクシステムを1周ずっと使い続け、残量わずかな所で抜いたのが見ていて凄かったです。オートポリスは高速コーナーがたくさんあって、後ろに走っている車に対してはダウンフォースがかなり抜けてしまいます。近づくのも難しいのにコース幅もかなり狭く、仕掛けられるポイントも少ないのでオーバーテイクの難易度がかなり上がります。
坪井選手は予選がとても速かったんですが、レースペースがちょっと足りず苦戦していたように見えました。スタート直後のペースは良かったんですが、ピットに入った後から思った以上に伸びが足りず、リアム選手について行くどころか最後は宮田選手にも抜かれてしまいました。時期や時間帯にもよりますが、レースの終盤にかけて気温と路面の温度が思った以上低くなる可能性もあって、それに合わせてピットで交換するタイヤの内圧も合わせないといけないので、もしかしたらそこで上手く合わせこむ事ができなかったのかもしれません。そういった細かい所でもトップレベルのレースは勝敗が別れてしまいます
そして今回調子が良かったのは阪口選手と福住選手。坂口選手は第2戦から徐々に速さを見せていて、今回はトップ3にくるかもと、僕の決勝のトップ3に入れていました。(アンバサダーたちによる順位予想は毎戦公式YouTubeチャンネルで公開してます!)決勝では残念ながら接触でリタイヤしてまったんですが、予選では見事に3位を獲得して、決勝はスタートも上手く決め、2位で走行していたのでかなりポジティブな部分もあったと思います。そして福住選手は去年ポイント入賞1回のみでしたが、チームは1台体制で中々厳しい状況の中にもかかわらず今年は3回連続入賞しています。しかも今回の予選では最高位の5位のタイムをマークしました。もしかして車のセットアップや、車に対してのドライビングの方向性がわかってきたのかもしれないですね。上位争いしている選手だけでなく、誰がパフォーマンスアップしてきているのかを見てみるのもこのカテゴリーの面白さの一つだと思います
次のレースは今週末のスポーツランドSUGOになります。コース幅はまた狭いサーキットなので、追い抜きの難易度がかなり高いです。ただオートポリスと違うのは曲がりこむコーナーが少なく、90度に近いコーナーが多いので、ハンドルの切り初めでフロントの応答性が高い車が速いと思います。そうするとリアム選手と宮田選手のドライビングスタイルに合うと予想しています。大湯選手もまた何か見せてくれる予感もします。そして野尻選手が復帰後にどんなパフォーマンスを見せてくれるか非常に楽しみです!

 

 

Written by イゴール・フラガ
日本生まれの日系ブラジル人レーシングドライバー。幼い頃からカートのタイトルを獲得し、その後多数の国でF3に参戦し好成績を残す。同時に「FIAグランツーリスモチャンピオンシップ」のワールドチャンピオンを獲得し、23年はSUPER FORMULA Lights、SUPER GTに参戦。
e-Motorsports界でも有名なリアル&バーチャルの『二刀流』ドライバーとして活躍している。

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