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コラム【武士が斬る!】vol.10 2024年シーズンの主役は!??

2024.03.08

モータースポーツファンの皆さん、こんにちは!
今年からSUPER FORMULAオフィシャルアドバイザーに肩書が変更になりました土屋武士です!

 

 

昨年までアンバサダーでしたが、結局いろいろ口出すしなんでも首突っ込むので、それならアドバイザーの方がしっくりくるでしょうと、半ば強引に変更させて頂きました(笑) 日本語でいうと「公式ご意見番」となりますが、以後お見知りおきくださいm(__)m

 

昨年終盤から明らかにサーキットに来てくださるファンの方が増えてきて、本当に関係者皆さんも意気に感じています。何よりドライバーのみんなが、多くの観客の前で走れることに喜びを感じています。1/1000秒を300km/h超えの世界で、己のプライドをかけて走るドライバーたちのSUPER FORMULAにかける想いの強さ、そして覚悟は、素晴らしいレースを展開してくれる一番の要素です。ファンの皆さんの後押しによって、そのレースが更に面白く、激しくなってきています。スポーツは、人の想いの強さに比例して、時には奇跡のようなプレー(走り)が飛び出します。今年のSUPER FORMULAも間違いなくいいレースが繰り広げられると思いますので、是非ご覧くださいね!!

 

 

 

それを確信する根拠になったのが、先だって鈴鹿サーキットで開催されたSUPER FORMULA公式テストです。シーズン開幕前の唯一のテストが2日間の日程で行われました。この2日間が各陣営にとって重要なことは言うまでもありません。誰もがここで今年のこのシリーズを戦う上で優位に立つべく、可能な限りのデータを積み重ね、そしていいタイムを刻みたいと思っています。
そこでまず“先手”をとったのがダンディライアンの牧野任祐選手です。2日間4セッションのうち3セッションでトップタイムを奪いました。2019年にデビュー戦ポールポジションを獲得した牧野選手も今年で6年目のシーズンになります。昨年、チームメイトの太田格之進選手が最終戦で優勝を果たし、先輩としては先を超された形になりました。それが刺激になっているとは思いますが、それ以上に昨年中盤から後半にかけての牧野選手のスピードと安定感は目を見張るものがありました。「いつでも勝てる準備ができている」と、昨年の様子と今年の公式テストの走りと結果で、そう感じることができます。何より、走りからその気迫を感じます。今年の牧野選手はやってくれるでしょう。その想いが結果に結びつくところを見守りたいと思います。

 

 

こう話すと牧野選手が今年の主役になるのか?——、と思われるかもしれませんが、今のSUPER FORMULAはそんなに簡単ではありません。正直に言って、主役級がとんでもなくたくさんいるので一人のドライバーがずっと優位に立つとは思えません。ですので、複数人の選手が今年のシリーズの軸になっていくと予想します。
その中心に必ずいると思うのが、チーム無限の野尻智紀選手です。昨年は体調不良による欠場などがありシリーズ3位となりましたが、最終戦までしっかりとチャンピオン争いを展開。今回のテストでもやるべきことを粛々とこなしているように見えました。勝ち方を知っている、チャンピオンの獲り方を知っているというのが野尻選手の強みです。どこがどうであろうと、必ず“くる”でしょう。

 

 

そして今年大きく飛躍すると思われるのがチームトムスの坪井翔選手です。長年在籍したセルモインギングからトムスに移籍したのですが、昨年チャンピオンの宮田莉朋選手のシートにおさまった形で、体制的には何も問題ありません。そしてトムスは坪井選手にとってスーパーGTでもF3でもチャンピオンを獲得している馴染みのチーム。昨年も勝ってもおかしくないレースが数度あり、速さ、実力は充分に備わっていることを考えれば、今年の軸になることに疑いはないでしょう。このパッケージが一番“イヤ”だと思う陣営も多くあると思います。

 

 

私的には軸の中心は牧野・野尻・坪井の3選手かなとみています。ただ、この周りにはいつでもその場を奪える実力のある選手たちがたくさんいます。勢いに乗っている太田選手。ルーキーとはいえ、FIA F2のチャンピオンであるテオ・プルシェール選手、同じくFIA F2から岩佐歩夢選手。2年目とルーキーの3選手が、その勢いと共に実力を発揮できれば、必ず優勝争い、そしてチャンピオン争いに加わってくると想像します。

 

そしてテストでトップ3のタイムを刻み好調だった山下健太福住仁嶺佐藤漣の3選手も、今年にかける想いの強さを感じました。たかがテスト、されどテストです。このSUPER FORMULAのステージに“フロック”はありません。その実力のそのままがタイムに現れます。それが楽しくもあり、残酷でもあるのですが、レーサーとしてのプライドを示せるダイレクトな部分が“タイムと順位”なので、テストと言えど、このトップ3は無視することはできないでしょう。牧野選手も、セッション1はウェットの中でしたが、最後の最後でひねり出してきたトップタイムでした。テストの最初のセッションなのにそこまで?、と思うかもしれませんが、牧野選手の強い想いがシンプルに表現された瞬間と受けとめました。そして、そのプライドのぶつかり合いこそがSUPER FORMULAの一番の魅力であり、ファンが引き込まれる要素の一つなのです。

 

 

他にも勝てる実力を持った選手がたくさんいます。Juju選手の参戦も大きな話題の一つとなっています。そして各レースイベントにおいて、運営を司る日本レースプロモーションと各サーキットは、ファンの皆さんと一緒にSUPER FORMULAを盛り上げようと、色んな施策を考えて投入していくようです。レースも、会場内のイベントも、益々盛況になっていくことと思います。
私もレースの解説とイベントステージなどで「ファン代表」として、盛り上げられるように尽力していきたいと思っていますのでよろしくお願いします!みんなで一緒にレースを楽しみましょう!!そして選手、チームを応援しましょう!!!

 

written by 土屋 武士
日本のトップカテゴリーで活躍したレーシイングドライバーとして活躍。プライベートチーム「つちやエンジニアリング」のチームオーナーでもある。現役を引退した現在は、ドライバー・エンジニア・メカニックの育成に務め、モータースポーツ界に大いに貢献し多方面で活躍している。

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