【武士が斬る!】vol.26 2026シーズンもSUPER FORMULAを盛り上げます!
2026.01.07
あけましておめでとうございます!SUPER FORMULAオフィシャルアドバイザーの土屋武士です。
皆さんはどんなお正月でしたでしょうか??私の年末年始はお休みモードに入ることが許されず、今シーズンの自分のチームの体制づくりや残務処理に明け暮れています(^^;) プライベーターは今の時代に生き残るには本当に厳しいですね~ まぁチームオーナーというのは安心して年越しができる方が珍しいくらいなので、通常営業というところでしょうか…
という話は置いておいて、早速2025年シーズンのSUPER FORMULAのお話をしていきましょう!
まずは最終戦、鈴鹿ラウンドのことをお話しようと思います。でも正直に言うと、この週末について言葉は何もいらないなって、そう思っているんです。サーキットに来てくださっていたファンの皆さんには、もちろんその意味を分かって頂いていると思うし、放送でご覧になられた皆さんもお判り頂けていると思います。それだけの感動が、人の想いの強さが、ドラマチックに我々の前で繰り広げられました。
ですので、是非ご覧になられていない方はオンデマンドのアーカイブ放送やSFgoアプリでご視聴いただければと思います!

さて、そうはいってもいつも通り私目線で感じたことを綴っていきますね。とにかくこの最終ラウンドは誰がチャンピオンになるのか予想が全くつかない展開でした。例年ならばどこかで「この選手が流れを掴んだな」という局面があるんですが、この週末はその局面が何度も訪れ、その度にシリーズの行方が混沌としていきました。まるで勝利の女神が誰にしようか迷っているかのようにも感じましたね。それだけ各選手のチャンピオンにかける想いが強かったんだと思っています。
その最初の局面が、土曜日に行われた第11戦、第12戦の予選です。ここでは岩佐歩夢選手がダブルポールを獲得し、一気に流れを引き寄せたように見えました。今季の岩佐&15号車陣営は完走すれば表彰台というような強いレースをしており、このダブルポールで6ポイントを加算して、この時点でポイント1位の坪井翔選手に大きく迫りました。ホンダが得意な冬の鈴鹿サーキットでこの位置からのスタートであれば、誰もが岩佐選手がチャンピオンにグッと近づいたと感じたことでしょう。しかしその数時間後にその予感は土煙の中に消え去ることになります。まさかの1周目の逆バンクコーナーで、イゴール大村フラガ選手と接触しクラッシュ、リタイヤとなってしまいました。

この接触には岩佐選手の心の戸惑いがあったのかな、とみています。そう感じた背景ですが、チームメイトの野尻智紀選手が両方の予選で2番手グリッドを獲得し、更にチームメイトとして岩佐選手のサポートを野尻選手が公言したことでライバルに対して盤石な状況であったことにあります。
その中で始まった第11戦の決勝は、スタート直後の攻防の中、岩佐選手の動きが少し大人しいように見えました。特に3番手グリッドにいたイゴール選手の血気盛んな動きに対しては。
あくまで想像ですが、いつも通りのレースのスタートであればこのような接触は起こらなかったのではないかなと、そう考えています。チャンピオン獲得に対してしっかりとやるべきことをやると、そう岩佐選手は考えていたと思いますが、普段は一人で戦うレースの中にサポート役がいること——、それが逆に岩佐選手に“戦う準備”を奪ったのではないかな、と。
いつもであれば100%戦う準備をして5つのレッドライトが消える瞬間を迎えることができていたはずが、ほんの少しだけ心に隙が生まれていたのではないかなと、そう想像します。加えて、このレースはスタート前にトラブル車両が発生したことで、スタートディレイになり、リズムを作りにくい状況が重なっていました。
予選までは完璧に進めてこれていた岩佐選手だけに、このリタイヤで受けたショックは想像を絶するものだったことでしょう。そのダメージは翌日の第10戦延期レースのスタート前のグリッドでも引きずっているように見受けられたくらい、非常に大きなものだったと思います。
この岩佐選手の決勝ノーポイントにより、他のチャンピオン候補者は翌日まで希望を持ちこせました。と同時に、岩佐選手に傾きかけていた流れがこの後に誰に向かうのかと、更に予想が難しくなった感がありましたね。この時点では誰にもその権利があるように思えました。
そしてこの第11戦のレースでは野尻選手が今季初優勝を遂げましたね。2度のチャンピオンを獲得し、近年SUPER FORMULAを引っ張ってきた野尻選手も36歳となり大ベテランの域に達しています。年齢と共にパフォーマンスは下降線になっていくのはスポーツ選手として抗えません。しかしその現実を経験と努力と精神力でカバーしてトップフィールドに居続ける選手がいます。野尻選手はまさにそのお手本のような選手だと感じます。
この週末も自らのストロングポイントを最大限に活かして通算14回目、鈴鹿では6回目の優勝を刻んだことで、まだまだここでやれる力があることを証明しました。レースを客観的に見れることが野尻選手の強さだと思いますが、ここからどこまで自らのスタイルでトップを走り続けられるかという挑戦でもあると思います。
若い選手たちが台頭してきていますが、ベテラン野尻の“味”のある走りをこれからも見せて欲しいなと思います。

そして史上初、富士スピードウェイの延期レースが鈴鹿開催となった日曜日の第10戦決勝は、新たなヒーローが生まれましたね。スタート直後から“絶対に抜く”と決めていたかのように牧野任祐選手を1コーナーでオーバーテイクしてトップにたったイゴール選手。19周のスプリントフォーマットのレースをしっかりと集中しきってゴールまで駆け抜けました!
デビューイヤーの初優勝は、これまでの苦労と実力がようやく証明された瞬間で、イゴール選手の周りで応援していた人達にとっても嬉しい嬉しい優勝だったに違いありません。
インタビューでもありましたが、メーカー育成ではないドライバーが、チャンスを掴むことすら難しい昨今のモータースポーツシーンにおいて、このチャンスを活かしたことで大きくイゴール選手の未来は開けたと言っていいと思います。諦めずに頑張っていれば必ずチャンスはやってくるということを証明してくれたイゴール選手は、多くのドライバーたちの希望にもなったことでしょう。
一つ一つを丁寧に積み重ねていくイゴール選手のスタイルは、大きく崩れるようなことがないと考えます。そのうえ、スタート直後のスーパーマンのような爆発力を持ち合わせているとなると、来年以降のチャンピオン候補としてライバル陣営には脅威になると思います。
そして、これまでトップ3と言われたチームしか勝てないという中で、ナカジマレーシングが見事に風穴を開け、4番目のチームとして名乗りを上げたレースにもなりました。中嶋悟さんは多くの才能を見出してきた過去があります。近年だけ見ても、山本尚貴・アレックスパロウ・牧野任祐・大湯都史樹・イゴール大村フラガという面々がナカジマレーシングからトップフォーミュラにデビューしています。高木虎之介や松田次生、アンドレロッテラーに小暮卓史などなど、日本レースシーンにかかせないドライバーたちも中嶋悟さんの目にかなってナカジマレーシングで走ってきたドライバーたちです。
そのナカジマレーシングにイゴール選手、そしてスピードセンスは秀逸である佐藤蓮選手のパッケージは本当に面白く興味深いものであると思いますので、来シーズンは台風の目になることは間違いないでしょう。
第10戦の延期レースが鈴鹿で開催されたことで、新たなストーリーの始まりが見れたのかなとも思います。本当に素晴らしい勝利でした!


さて、チャンピオン争いに話を戻しましょう。日曜日午前の第10戦の決勝が終わった時点では、トップは坪井選手のままで、9.5ポイント差で牧野選手、格之進選手が並び、12.5ポイント差で岩佐選手が続く展開でした。このレース後、チャンピオン候補の4人が4人ともに手応えを口にしていません。日曜日午前のレースが終わった後でもまだ誰が流れを掴んでいるのか、チャンピオンに誰が大手をかけているのかが読めませんでしたね。
土曜日の第11戦決勝では格之進選手がスタートでアンチストールが入ってしまって13位まで順位を落とす中、怒涛の追い上げで5位まで挽回しましたが、この抜きにくい鈴鹿でパッシングをしながら、4位に入った坪井選手の真後ろまで迫ったペースは驚異的ですらありました。しかし翌日の午前のレースでは気温や風などのほんの少しの変化によって、6号車に昨日の勢いはありませんでした。この辺りがSUPER FORMULAの奥深さであり難しさなのでしょう。そういった部分もあって、この最終戦のチェッカーが振られるまで、誰に栄冠が輝くのか——、本当に予想がつかない状況でした。
緊張感が高まり、そしてこの週末3レース目という過酷な状況で、ドライバーたちのフィジカルも本当に厳しい中で最終決戦が日曜日の午後に控えます。チャンピオン候補の4人ともに、スタート前のインタビューでは目の前の戦いにいい集中ができているように見て取れました。岩佐選手も午前のレースを走ったことで、ある意味吹っ切れたような表情に見えました。泣いても笑ってもすべてがこのレース後に決まる——、そこに向けて悔いのないように戦いに挑む表情に見えましたね。

ただこの最終レース、4人のチャンピオン候補以外にも素晴らしい集中力で気迫ある走りを見せてくれたのが佐藤蓮選手でした。3番手グリッドから出足鋭く2番手に上がると、セーフティーカー(SC)が入った後、ピットでのタイヤ交換義務を全車が果たした後の順位は3位に落ちましたが、リスタート後早い段階で前を走る格之進選手を両者ギリギリのバトルの末パスし2位に上がり、その後はトップ岩佐選手に迫りプレッシャーをかけ続けました。蓮選手が岩佐選手をパスすれば、7番手にいる坪井選手にチャンピオンという状況で、岩佐選手は絶対に譲れない状況で、ペースのある蓮選手とのマッチレースを制さなければならない状況は非常に緊張感が高まりました。
チャンピオン争いの行方もありますが2人の高次元の神経戦に多くのファンは釘付けだったと思います。果たして、岩佐選手は高い集中力のまま隙を見せずにそのままトップでチェッカーを受けて優勝、そして今シーズンのチャンピオンを獲得しました。

今シーズン全般もそうですが、この最終ラウンド3レースには本当にたくさんのドラマがありましたね。特にチャンピオンを獲得した岩佐選手にはアップダウンが激しすぎて、見ている方も気持ちの整理が大変だったので岩佐本人と15号車チームは本当に疲れた週末だったことでしょう。それ故、チェッカー後の表情にもチャンピオンの実感が湧くまでに時間がかかっていたのだと思います。
ふり返れば初優勝までもたくさんのハードルがありました。第5戦オートポリスでトップ走行中にトラブルによりリタイヤした時、レースの神様はなんて意地悪をするんだろうと思いましたけど、その後の第8戦菅生ラウンドは雨の難しいレースでやり切った中で初優勝を掴みました。それまでも苦しい中でも完走すれば表彰台まで這い上がるレースを展開し、シーズンを進める中で岩佐自身とマシンのセットアップも成長していく様が見て取れました。
しかし好事魔多し、シリーズを獲る流れが傾いたかなと思った初優勝の後の富士第9戦雨の予選で、トップタイムを記録した次の周に雨に足をすくわれてクラッシュを喫した時には、せっかく掴みかけた流れを自ら手放したようにも思いましたが、次の日のドライで行われた第10戦の予選ではマシンをしっかりと修復し予選で4番手を獲得します。ここにチーム無限15号車陣営の本質的な強さを感じました。


ほんの少しのコンディション変化によって調子の良し悪しが大きく左右すると言われるSUPER FORMULA SF23のマシンで、クラッシュから修復後のぶっつけの予選でしっかりと上位に入るマシンを仕上げたメカニックたちの技術力こそが、このアップダウンが激しかったシリーズの中でも安定したスピードを維持し続けた要因だと思うのです。
15号車の小池エンジニアもXで「日本一の八木下メカニックがいなければ、岩佐選手も僕も勝たせてもらえませんでした。ありがとう。おめでとう」とポストしていました。
最近はエンジニアにフューチャーされる場面が多く見受けられますが、ドライバー、エンジニア、そしてメカニックがお互いに信頼をしているからこそ、その技術力が融合し15号車の速さに繋がっているのだと、そう感じます。
それに加えて小池エンジニアの客観的な視点や分析が、岩佐選手の個性をうまく引き出しているようにも見えるので、アップダウンがあった今シーズンであっても、しっかりとチャンスは活かし、やるべきことを粛々とこなして、チャンピオンまで辿り着いたのかなと思います。
坪井選手が最終戦終了後に「岩佐選手は何もなければ必ず表彰台にのる力がどのレースにもあったので、今年の岩佐選手は本当に強かった」と話していました。7回獲得した表彰台率58%は全選手の中でトップのスタッツです。入賞率は67%なので、いかに高得点を重ねたかが分かる数字ですよね。トラブルでリタイヤした茂木とオートポリスも表彰台圏内だし、クラッシュした富士も鈴鹿もトップタイムを記録したレースだったので、常にトップグループをキープしていたのかが分かると思います。
もしかしたら簡単にチャンピオンを獲らさぬように、レースの神様が多くの試練を用意していたとしたら…、なんてことを考えてしてしまうくらい、今年の岩佐選手には色々なことが起きました。何度も現れたハードルを乗り越えて掴んだ栄冠の先には、きっとまた新しい景色が広がってくると思いますので、まだまだ24歳の岩佐選手の未来に期待したいですし、F1のレギュラーまでのぼり詰めて欲しいですね!本当におめでとうございました!!

チェッカー後、放送の時にも言いましたが、数ある最終戦を見てきましたが、ここまで多くの選手の想いが溢れている場面を見たことはありません。レース後、チャンピオン争いに敗れた選手たちの、その想いの強さに私は放送中に言葉がなかなか出てきませんでした。今思えば言葉はいらない時間だったと、そう思います。
選手一人一人の想いがあまりにも強く、画面を通してですら圧倒されました。このシリーズに賭けてきた想いの強さがすごく伝わってきました。
その最終ラウンドを見返してみましたが、その表情を捉えてくれるカメラワークも放送クルーの努力の賜物なんですよね。HUMAN MOTOR SPORTSを銘打ち繰り広げられたドラマをしっかりと画面に映し出すことも、この感動的な時間を演出していたんだなぁ、ということにも気づきました。グラフィックもレースを重ねるごとに進化をしていって、ファンの皆さんに選手やチームの頑張りを伝えようと努力していることも、皆さんに知っていて欲しいなと思います。
そのカメラワークで映ったダンディライアンの2人は、死力を尽くしたにもかかわらず、一番欲しいものは手に入らなかった…、そんな表情を映し出していましたね。
格之進選手は今シーズン主役の一人でした。走りでもコメントでも、非常にエモーショナルな印象をファンに届けてくれるとても魅力的な選手で、関係者にも多くのファンがいますが私もその一人です。3勝を挙げシーズン最多勝だったのですが、セットアップなどの好不調の波が岩佐・坪井両選手よりも多かったことがランキング3位となった要因なのかなと思います。
それでも第11戦でのオーバーテイクショーや、第7戦富士で坪井選手を打ち負かした優勝、そしてチームメイトバトルが激しかった茂木ラウンドなど、本当にファンに気持ちの入った走りを届けてくれたと思います。そしてレース後ヘルメットを被ったまま悔しがっていたあの姿は、たくさんの方の脳裏に焼き付いていますよね。この悔しい思いはパワーに変わって、更に強いドライバーとなって来シーズンに帰ってきてくれることと思います。また来シーズンも格之進らしい、みんながワクワクするレースを見せて欲しいなって思います!

そしてチームメイトの牧野選手。2年連続でチャンピオン争いに敗れ、大きく落胆していることと想像します。今季はシーズンオフにハードなトレーニングで自身を追い込み、昨年の雪辱を晴らそうと強い想いで今シーズンを迎えたと思います。開幕戦からSCのタイミングで後方に沈み追い上げたものの10位が精一杯というスタートでしたが、第2戦第3戦で連勝を飾り、努力が結果で報われたことで今シーズンは“イケる”という雰囲気があったのですが、オートポリスから菅生までの中盤4戦に謎のマシンの不調がありました。原因はあるのでしょうが、ここでつまずいたことが結果的に響いたように思います。
ただ、今年の牧野選手はどんなに劣勢でもしぶとく諦めずに、その時自分ができることのすべてを尽くして走っているように見えていましたが、今シーズン唯一の全戦入賞を遂げています。実は昨年も全戦入賞をしており2年連続で入賞率100%を達成しています。SCで苦汁をなめる場面が昨年から何度も牧野選手にはあったにもかかわらず、です。このレースの結果からもどれだけSUPER FORMULAにかける想いが強いかがわかりますよね。
12月のテストの時にファンの方からの質問で、「岩佐選手以外で、今年のMVPをあげるとしたら誰ですか?」という質問があったのですが、少し考えて、私は牧野任祐選手と答えました。理由は、私の心に一番印象強く残っていて、心を揺さぶられたからです。コメントはいつも言葉少なめですが、どんなに辛くてもその諦めない走りに感動を覚えました。
2年続けて欲しいものが手に入らなかったダメージは想像しがたいですが、牧野選手の熱い想いが実ることをファンは信じ続けていると思います。まずはこのオフで充電してもらって、また来シーズンに格之進選手と共に熱いバトルを見せて欲しいなと思います!

そしてトヨタ勢で唯一チャンピオン争いに残っていた坪井選手。今年は特に寒い時期の鈴鹿がホンダHRC勢に対して苦しそうに見えました。この最終ラウンド鈴鹿3連戦で獲得したポイントの集計を上から順にあげると、イゴール選手44ポイント、岩佐選手と牧野選手32ポイント、野尻選手31ポイント、格之進選手28ポイント、蓮選手23ポイントです。その次に坪井選手が15ポイントで続きますが、トヨタTGR-D勢としてはその次が福住仁嶺選手で11ポイントでした。
また、予選の1~3位で獲得できるポイントと決勝上位6位まで獲得できるポイントの集計で見てみると、トータル207ポイントに対して、ホンダ勢が189ポイントに対しトヨタ勢は18ポイントしか獲得できていません。パーセンテージにすると91.3%と8.7%という圧倒的な差です。ということで、数字で見る限り、はっきりとトヨタTGR-D勢としては劣勢だったように見受けられます。
それでも坪井選手はコメントの中でほとんどその事実については言及していません。あくまで「自分たちの力が不足していた」というコメントに留めています。そして第10戦の延期レースが得意の富士ではなく劣勢である鈴鹿開催になったことについても、坪井選手はコメントを避けているようにも見えました。
もしこの延期レースが開催されていなかったら、もし開催が富士であったら——、場合によってはチャンピオンは坪井選手になっていた可能性も大いにありますが、ここはチャンピオンとしてのプライドなのか、不満は口にしませんでした。
その姿はしっかりとファンには届いていると思います。清々しいほどのスポーツマンシップは、SUPER FORMULAのステージにおいて今や欠かすことのできない代名詞になっていますし、それを引っ張る立場である坪井選手がそのスタイルを貫いてくれることで、真のスポーツとしてSUPER FORMULAは更に素晴らしいシリーズになってファンを魅了していくと思います。

今シーズンはトラブルによるリタイヤが1度以外はすべてのレースで入賞していて、表彰台も5回という成績でしたが、それ以上に評価されることはほぼノーミスだったということ。それもアグレッシブなスタイルはそのままに、すべてが高次元でバランスが取れていて、流石チャンピオンという走りをファンに見せてくれたと思います。
この週末は劣勢だったため、チャレンジングなセットアップも試しながら苦しい走りだったと思いますが、最終的にはトップと4.5ポイント差のランキング2位は充分に誇れるものだと思いますし、スーパーGTでは3連覇という偉業を成し遂げた坪井選手は名実ともに日本のトップドライバーとしてこれからを引っ張っていく存在です。その重責も担いながら更に成長をしてくれると思いますし、「日本には坪井翔がいる」というくらい世界のモータースポーツの世界に名を轟かせてほしいなって個人的には思います。
そしてこのレースでトップフォーミュラのシートを降りる決断をして挑んだ大嶋和也選手。先述したこの最終ラウンドで上位6位のポイントを獲得したトヨタTGR-D勢は、坪井選手、福住選手、大嶋選手の3人だけでした。この最終ラウンドでは非常に好調な状態で走り抜き、上位にも入る実力を示した中で引退はカッコイイなと思いますし、大嶋選手のトップフォーミュラの時間は、苦しい時間の方が長かったと思うので、最後に気持ちよく走れて終えれたのが本当に良かったなって思います。
個人的にも、一緒のチームで監督とドライバーということもありましたし、お互いにレースが大好きっていう共通項で話してきた時間もたくさんありましたし、大嶋選手が15歳の時にトヨタのスクールに受けに来た時からずっと見てきたので、走りが見れないのはちょっと寂しい気もするけど、無事に終われてよかったなっていう方が気持ち的には多いかなっていうのが本音です。
石浦監督も大嶋選手と同期だったので、これからはこの2人がルーキーレーシングで若手を育てていくことになると思いますが、レース大好きな2人が率いるチームなので、2026年のチームのシートに座ることになる福住選手もきっとレース好きの影響を大いに受けることでしょう。またチームオーナーもレースが大好きなので…(笑)、レース愛溢れるルーキーレーシングのこれからにも期待が持てますね!

さて、最終ラウンドが3連戦になったことでたくさんのドラマが繰り広げられましたが、他にも素晴らしいバトルやドラマがあったことも忘れてはなりません。そして何よりこの3連戦を走り切った、やり切ってくれた選手の皆さん、そしてチームスタッフの皆さん全員の頑張りが本当にこの素晴らしい週末をもたらしたと思っています。本当に大きな事故など起きなくって良かったなと、胸をなでおろしている関係者はたくさんいました。
今年のシリーズには瑶子女王杯としてその賜杯がチャンピオンに下賜されることになりましたが、この最終戦のスタートを前に瑶子女王殿下から、「有無を言わさぬ速さはもちろん、プロのアスリートとしてサーキット内外でも礼儀、行動、言動が周りから目指される人でなければなりません」というようなお言葉を賜りました。
いま、SUPER FORMULAのイベントは日本の誇れるスポーツイベントに成長したのではないかな、と個人的に感じています。なぜなら今回の鈴鹿3連戦を成功に導いてくれたのは鈴鹿に集まって下さったファンの皆さんの応援があってこそだと思うからです。たくさんの応援、声援に応えたい、恥ずかしい走りは見せられない、いいレースをお見せしたい、そんな選手たちのスポーツマンシップ溢れる想いが素晴らしいバトルや展開を演出してくれていると思いますし、それはファンの皆さんの願いが届いているからだと思うのです。
私はSUPER FORMULAオフィシャルアドバイザーという肩書ではありますが、選手や関係者とファンの皆さんの間に立っている意識でいます。「レースをしている人たちの想いを、ファンの皆さんに届けたい。ファンの皆さんの想いを、レースをしている人たちに届けたい」、そんな想いでこの仕事に携わっています。
2022年にSF NEX50アンバサダーとして就任して以来、丸4年が経ちましたが、この最終ラウンド鈴鹿のシリーズ表彰式をグランドスタンド側の放送席から見ていた時、何とも言えない清々しい気持ちを覚えました。そして今回のフィナーレのように会場一体となって選手たちの頑張りを称えることができる時間に接することができて、どこか少し達成感のような気持ちも生まれました。

たくさんの新しいチャレンジを施し、トライ&エラーでSUPER FORMULAの改革を進めてきたJRPのスタッフの皆さんの頑張りや情熱を傍で見てきましたが、その努力の成果がしっかりと出てきたと思うと、何かを動かすには人の想いが必要なんだと、改めて感じましたし、そのお手伝いができて本当に幸せだなぁと、レース好き冥利に尽きるなと思っています(^-^)
なので、更にこのレースの素晴らしさを伝えられるように、身を引き締めていきたいと思いますし、ファンの皆さんと一緒にもっともっとSUPER FORMULAを盛り上げていって、みんなが誇れる日本のトップフォーミュラとして多くの人に知ってもらいたいなって思います。
まだまだ「俺の実力はこんなもんじゃない!」とくすぶっているドライバーはたくさんいますし、一つ噛み合えば飛躍できるポテンシャルを持つチームもたくさんあります。まだまだこのカテゴリーには可能性を秘めているところがたくさんありますし、新しく参戦してくるドライバーもチームもいますので、また新シーズンもファンの皆さんと一緒にSUPER FORMULAのステージで頑張る皆さんを応援していきたいと思っています!
それでは2月の公式テストまでもう少しお待ちくださいね。今年もSUPER FORMULAをよろしくお願いいたします!!

written by 土屋 武士
日本のトップカテゴリーで活躍したレーシングドライバーとして活躍。プライベートチーム「つちやエンジニアリング」のチームオーナーでもある。現役を引退した現在は、ドライバー・エンジニア・メカニックの育成に務め、モータースポーツ界に大いに貢献し多方面で活躍している。
