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コラム【THE 二刀流ドライバー、イゴール】vol.1 新型車両SF23と相性が良いのは「あの」選手?

2023.04.06

SUPER FORMULA e-Motorsports アンバサダーのイゴール・フラガです!
2020年まではヨーロッパでフォーミュラカテ ゴリーに参戦していたのですが、コロナの影響で過去2年はバーチャルのレースのみ参戦していました。日本に移住できて、今年から全日本スーパーフォーミュラ・ライツ選手権に参戦予定です。SUPER FORMULAのシート獲得を目指して全力で頑張ります!

いよいよ今週末からスーパーフォーミュラ2023年度初レースになりますね! 去年と比べてレギュレーションが変わった部分、鈴鹿で行われた合同テストの模様、そして開幕戦の見所を説明していきたいと思います。
まずはエアロパッケージ(車両の羽の部分)が大きく変わりました。ざっくり言うとウィングは風が強ければ強いほど機能します。なので他の車両の後ろについてしまうと直線では対抗する風が減ってスピードが伸びるようになるんですが、コーナーに入った時にもその風が少ないままなのでウィングの効きが減ってしまい、グリップも下がってしまいます。その事をダーティエアと呼んでいるんですが、今年から投入されるエアロパッケージはそのダーティエアの影響をかなり少なくするように設計して作られたものです。今後のポジション争いが盛り上がること間違いなしです!

もう一つ去年から変わったのがタイヤのコンパウンド。なんとタイヤの構造には植物性の材料など再生可能な素材が約30%使用されています。タイヤの構造などが変わると、予選アタックラップへのタイヤの温め方やタイヤの摩耗 (落ち幅)が変わってしまい、各チームも限られた時間の中タイヤの使い方を見つける必要があります。今年からこんなに大きく車に影響する2点が変わったんですが、シーズンが始まる前には合同テストが2日間しか開催されません でした。チームのプライベートテストはコスト低減の為、ルール上硬く禁じられています。

 

今シーズン行われた合同テストは鈴鹿で開催され、2日間で合計8時間の走行時間が設けられました。エアロパッ ケージの違いは車を追っている間だけでなく、単独走行中でもエアロバランスが変わり、多数のドライバーが序盤の走り出しでオーバーステア(リアが安定しない)と戦っているのが見られました。SF23のウィングの調整感度も高いらしく、 中々良いマシンバランスを見つけるのに苦労していたように見えました。ドライバーたちが普段よりも更に短い時間の中で車の限界を探ろうとしていつものテスト走行よりコースアウトやクラッシュシーンも多発していました。
鈴鹿では山本尚貴選手が非常に良いタイムを叩き出し、最後のセッションではロングランのシミュレーションも行い、他の選手のロングランよりもかなり良いペースで走行していたので開幕戦ではかなり期待できると思います。ドライバーによって車の動き方の好みもあるので、もしかしてこのオーバーステアバランスにふれているマシンが山本選手と良いマッチングになったのかもしれないですね。

さて、開幕戦の富士では鈴鹿に比べて、ダウンフォース(ウィングによって生み出せられるグリップ力)に頼らなくても 速い車作りをしないといけません。特に最終セクターでは低速、中速コーナーの連続になり、レース中ではタイヤの パフォーマンスが落ちてきたタイミングでセットアップが決まっているマシンと、そうでないマシンの差が出やすくなり ます。タイヤの落ち幅など鈴鹿では少し把握できたはずですが、富士では全チームぶっつけ本番になってしまうので、作戦に関してもピットの入るタイミング等で大きく勝敗を分ける鍵になるでしょう。

ここでちょっとした開幕戦のトップ3を予測してみます

3位 野尻智紀選手
2年連続チャンピオン。鈴鹿ではスピードをみせたものの、パフォーマンスに少しまだばらつきがあったようにも見え ました。上手いレース運びで表彰台に食い込んでくるのではないでしょうか。

2位 宮田莉朋選手
SFでは3位が自己ベストの宮田選手。去年のシーズンでは常にトップ5フィニッシュを果たし、今年にさらなるパ フォーマンスアップをみせてくれると思います。

1位 山本尚貴選手
鈴鹿のテストで速く、凄く安定した走りをみせていたので富士でもしかしてトップに立つ確率が高いんではないかと思います。

予測というよりかは「勘」になりますけどね。(笑)

 

どの選手がトップに立つかおかしくないスーパーフォーミュラ、更に変更が加えられたSF23では誰が制するのか白熱したバトルに注目です!

 

Written by イゴール・フラガ
日本生まれの日系ブラジル人レーシングドライバー。幼い頃からカートのタイトルを獲得し、その後多数の国でF3に参戦し好成績を残す。同時に「FIAグランツーリスモチャンピオンシップ」のワールドチャンピオンを獲得し、e-Motorsports界でも有名なリアル&バーチャルの『二刀流』ドライバーとして活躍している。

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