「コントロールラインを通過した瞬間に涙が出てきましたね」第9戦決勝記者会見
2023.10.29
決勝1位 太田格之進(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)
「初優勝は嬉しく思います。昨日と同様にスタートは少し不安はあったんですけど、やってみたらうまくいったという感じで前に出ることができました。1周目も結構ペースが良くて、一気に後ろを離していくような展開にはなったんですけど、リアム(ローソン)選手のロングペースが速くて、終始、本当に気の抜けないレースになりました。自分自身のペースも良くて、マシンも良かったので、1年間やってきたことの集大成というか、来年につながるいいレースだったと思います。最後は前をひた走るだけのレースに見えたかもしれないんですけど、どれぐらいリアム選手に余裕があるのかも分からなかったですし、特にラスト10周はメンタル的には本当に苦しいレースでした。最終ラップ入った時には“勝ったな”と思ったんですけど、泣かないだろうなと思っていたら、コントロールラインを通過した瞬間に涙が出てきましたね。苦しい前半戦から、後半右肩上がりできて、最後優勝で締められたのは本当に良かったと思いますし、来年はこの勢いでチャンピオン争いができるように頑張ります」
決勝2位 リアム・ローソン(TEAM MUGEN)
「トリッキーなレースだったね。まず最初のスタートがうまくいかなかったのが悔しい。今週末をとおしてスタート練習をしたんだけどイマイチで、それは残念だった。とにかく前のクルマにプレッシャーをかけて、いろいろなことを考えて、できるだけまた元のポジションを取り戻したいなという気持ちがあった。例えば途中で戦略を変えてアンダーカットを狙ったりとか、いろいろできることをやったけど、太田(格之進)選手は非常に速くて、残念ながら追いかけることができなかった。最後の10ラップはとにかく近づいてプレッシャーをかけていけば、彼がロックしたりミスをするかもしれないし、そうすれば僕にもチャンスがあると思っていたけど、太田選手が最後までスムーズで素晴らしいレースを続けたから(僕には)チャンスがなかったね」
決勝3位 宮田莉朋(VANTELIN TEAM TOM’S)
「スタートが4番手からだったので、スタートで順位を上げないとチャンピオン争いが厳しいというのは分かっていました。ただ、ずっとスタートが決まったことがないので、チームと入念にコミニュケーションを取って臨みました。スタートでは順位を落とさず、前にも追いつくことができ、位置取りもうまくいって1~2コーナーを迎えられたのでオーバーテイクできました。レースペースは決して自信があったわけではなかったんですけど、諦めずにベストを尽くせば前についていけるかなというふうに思っていたので、その点では良かったのかなと思っています。ただ、この週末ずっとホンダ勢がものすごく力強いレースをしていましたし、今日のレースでも、チャンピオン争いをしているという部分でなかなかトリッキーなことはできませんでしたけど、それでもやっぱりホンダ勢が速かったので、これは課題というか、今後さらに自分たちが成長できるようにしていかなければならないなと感じたレースでした」
優勝チーム チーム・プリンシパル 村岡 潔(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)
「太田(格之進)選手は新人ですからね。スタートがうまくいって、そこから全周ハラハラ&ドキドキ、何をするか分からないという展開でした。無線で話をしながらやっていたんですが、“若い子は無限の可能性があっていいな”というのが実感ですね。当然、優勝したのは嬉しいですけど、ウチはここのところホンダの若手ドライバーの育成をやっているので、その責任を果たせたなと。そういう意味では太田選手には感謝と『おめでとう!』を言ってあげたいですね。
シーズン初めのテストから『チャンピオン獲ろうぜ』というくらいの勢いだったんですけど、太田選手がSUPER GTの方でクラッシュしてしまい、それでつまづきました。太田選手もシーズン中盤のテストまでクルマのことがよく理解できていなかったですし、チームとしても新車に対して外してしまった。そのなかで牧野(任祐)選手がチームの立て直しに奮闘して引っ張っていってくれたので、富士(第6戦)での彼のポールポジションにつながり、そこからチームが一気にいい方向に戻りました。それが(きっかけで)テストの時に太田選手がクルマを理解できるようになりましたし、今日の結果にもつながったと思います。それ以降、太田選手と牧野選手がつばぜり合いというか、データでも競えるようになったので、牧野選手の貢献はありがたかったですね」