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注目の2024年シーズンいよいよ開幕! 今週末は鈴鹿サーキットへ!

2024.03.04

(昨年の第8戦のスタートシーン)
 
昨年の最終戦から4ヶ月余り。2024年の全日本スーパーフォーミュラ選手権は、来週末、3月9日(土)〜10日(日)にいよいよ開幕の時を迎える。国内トップフォーミュラのシリーズ戦が、3月初旬の鈴鹿で開催されるのは、1992年の全日本F3000選手権以来、実に32年ぶり。その後は、例年、公式合同テストが行われる時期となっていたため、今年は滑り出しから意外な展開となるかも知れない。

そんな今年のスーパーフォーミュラは、話題が盛り沢山。中でも、まずドライバーの顔ぶれが大きく変わるというのが、最大の注目点だ。昨年チャンピオンを獲得した宮田莉朋、またここ数年常にタイトル争いを演じてきた平川亮の2名が、今年はシリーズから離れ、ヨーロッパに活動拠点を移した。これに伴い、坪井翔(VANTELIN TEAM TOM’S)、国本雄資(ITOCHU ENEX TEAM IMPUL)がチームを移籍している。また、昨年、最終戦まで宮田と争ったリアム・ローソンも今季はシリーズから離脱。その後任として、昨年までFIA F2で活躍していた岩佐歩夢(TEAM MUGEN)が加入している。また、岩佐と同様、FIA F2から戦いの場を日本に移したのが、昨年の同シリーズのチャンピオンであるテオ・プルシェール(ITOCHU ENEX TEAM IMPUL)。FIA F2を経てスーパーフォーミュラにデビューする2名は、実力派として注目される。
 
岩佐歩夢(TEAM MUGEN)

テオ・プルシェール(ITOCHU ENEX TEAM IMPUL)

 
また、同じくルーキーとしてデビューするのが、昨年スーパーフォーミュラ・ライツでチャンピオンを獲得した木村偉織(San-Ei Gen with B-Max)。さらに、開幕戦の段階では、まだ女子高生というJuju(TGM Grand Prix)も史上最年少デビューということで、大いに話題を呼んでいる。一方、中堅ドライバーたちの中でも大きな動きとなったのは、福住仁嶺(Kids com Team KCMG)と大湯都史樹(VERTEX PARTNERS CERUMO・INGING)のトヨタ陣営入り。また、ホンダ陣営のチームでは、三宅淳詞(ThreeBond Racing)がシリーズに復帰。1年のブランクはあるが、一昨年のデビューイヤーには表彰台獲得経験もあるだけに、どんな走りを見せるか注目だ。
一方、技術面での話題は、今季からダンパーが共通化されたこと。それを見据え、昨年12月の合同テスト・ルーキーテストから、各チームはこの共通ダンパーを使用して、マシンのセットアップを進め、データ収集に努めてきた。この変更が、シリーズの勢力図にどのような影響を与えるのかということも興味深い。
 
木村偉織(San-Ei Gen with B-Max)

Juju(TGM Grand Prix)

 
新たな顔ぶれ、新たな技術規則のもとで、2月21日(水)〜22日(木)には、すでに第1回公式合同テストが行われている。このテストは、初日がウェット、2日目の午前がセミウェットからドライ、午後がドライというコンディションの中で行われた。その中で、最も好調な仕上がりを見せたのは、牧野任祐(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)。牧野は、初日の両セッションでトップタイムを記録。2日目の午前中もトップでセッションを締めくくっている。また、ドライとなった2日目午後も、オーバーテイクシステム(OTS)を使用せずに4番手。牧野よりも上位にいたドライバーたち3名がOTSを使ってタイムを出したことを考えれば、牧野のパフォーマンスは圧倒的だったと言っていいだろう。そろそろ優勝、そしてタイトルを物にしたい牧野は、今季の中心となるかも知れない。
 
牧野任祐(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)

また、このテストでは、多くのドライバーたちがロングランをするまでには至らなかったが、2日目の午後には野尻智紀(TEAM MUGEN)ら、何名かがロングランまでのテストを実施。実際のレースウィークを見据えて、準備を整えていた。中でも、野尻は初日のウェットで走り始めから驚速ぶりを見せており、そのパフォーマンスの高さは健在。昨年は残念ながら3連覇を逃したが、今季はタイトル奪還に燃えている。今の天気予報では、ドライコンディションで行われることになりそうな開幕戦の予選で、まずは誰がPPを獲得するのか。気になるポイントだ。
 
その予選は、今季もノックアウト方式。グループ分けで争われ、各グループ6台が突破できるQ1に続き、12台で争われるQ2によって、グリッドが決定する(雨の場合は、計時予選になる場合もある)。予選を前に、午前中には90分間のフリー走行が行われるが、ここで各ドライバーは予選に向けてのセットアップを進め、セッション最後にはアタックシミュレーションも行うのが通例。フリー走行での仕上がりが、予選結果にも影響することは必至だ。そこで気になるのが、タイヤの使い方。第1回公式合同テストでは、各車に6セットずつスリックのニュータイヤが供給されており、その6セットの中から各車ともに3セットを開幕戦に持ち越すことができる。持ち越すタイヤはニュータイヤでもユーズドタイヤでも構わないが、今年の合同テストは前述した通り、2日目のみドライだったことで、多くのドライバーが複数セットのニュータイヤを持ち越してくると思われる。その中から1セットは、フリー走行最後のアタックに使用するはずだ。これに加え、開幕戦では、さらに各自に3セットのニュータイヤが供給される。これも含めて、予選ではどのようなタイヤの使い方をするのか。過去には、Q1でニュータイヤを2セット使用してQ2を狙い、Q2でさらに1セット使うというようなドライバーもいたため、目が離せない。アタックに関しても、4輪ともニュータイヤでアタックするパターン、フロントタイヤだけ先にスクラブし、そこからリヤにニュータイヤを装着してアタックするパターンなど方法は様々。ウォームアップに関しても、まだ寒いシーズンということで、2周温めてからアタックというのが王道だが、それとは違う周回でアタックするドライバーが出てくる可能性も。もちろんクリーンなアタックを決めるためには、コース上でのトラフィックマネージメントも重要なポイントだ。この所、鈴鹿ではホンダエンジン搭載車を駆るドライバーのPP獲得率が高く、昨年は、TGM Grand Prixに在籍していた大湯、野尻、ローソンと3回行われた予選全てでホンダ勢が最速。今年もその傾向は続くのか。あるいはトヨタ勢が一矢報いるのか。その点も見どころの一つとなってくるだろう。
 
決勝レースは、31周での争い。その注目点は、まず何と言ってもスタートだろう。今の所、決勝日の鈴鹿は最高気温が13℃ほどになると見られている。テストの時と比べれば、2〜3℃は高いが、昨年の最終戦と比べれば7℃ほど低い。もちろんそれに伴い、路面温度も大幅に低くなるはずだ。そのため、スタート直後は、まだどのドライバーもタイヤが温まり切っていない可能性が高い。そのコンディションの中、スタートでいい蹴り出しを見せるのは誰になるのか。また、オープニングラップから2周目あたりにかけて、タイヤが温まるまでには、コース上の各所で激しいポジション争いも展開されるはずだ。そこも目が離せないポイントとなる。さらに、バトルの中ではOTSの使い方にも注目。今年も昨年と同様、各ドライバーは計200秒間、OTSを使えるが、それをどこでどのように使うのか。ファンの方々には、SF50アプリなども活用しながらチェックしていただきたい所だ。さらに、決勝レースでは、例年通り、ドライの場合にはタイヤ交換も義務付けられる。交換のウィンドウは、先頭車両が10周目(9周終了後10周回目に入った周回を指す)の第1セーフティーカーラインを超えてから、最終周回に入る前まで。昨年もタイヤ交換を早目に行ってポジションを守るドライバー、終盤まで我慢してから交換して数々のオーバーテイクを成功させるドライバーと、作戦は様々。その時走っている順位や前後の状況、決勝でのマシンセットアップの仕上がり、ライバルの動きなどを見て、各チーム、各ドライバーは柔軟にストラテジーを変えて決勝に臨んでいた。開幕戦では誰がどのような作戦を採るのか。また、ピットへのインラップ、交換作業時間、アウトラップと、全てが勝敗に繋がってくるため、そのあたりも気になるポイントとなる。いずれにしても、各所でドラマが展開されるのは間違いないだろう。その中で、今年最初に勝利の美酒を味わうことになるのは誰なのか。早春の鈴鹿開幕戦は、最初から最後までじっくり味わっていただきたい1戦だ。
 

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