第2回合同テスト セッション初日は牧野任祐が総合トップタイム
2024.07.07
初日総合トップタイム
牧野任祐(DOCOMO TEAM DANDELIION RACING)
まだ梅雨明け前ながら、酷暑となった7月最初の週末。七夕の7月7日(日)、続く8日(月)には、静岡県富士スピードウェイで、全日本スーパーフォーミュラ選手権の第2回合同テストが行われた。2月に鈴鹿で第1回合同テストが行われた後、すぐにシーズンインしているため、今回のテストはどのチーム、どのドライバーにとっても、貴重な走行機会。このテストでは、前戦のタイヤから3セットを持ち越せただけでなく、スリックの新品タイヤが各車に6セット供給(このうちの3セットは新品・ユーズドに関わらず、次戦に持ち越し可能)されるということもあり、いずれも多くのテストメニューを今回の富士に向けて用意してきている。その中で、初日となった7日(日)は、牧野任祐(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)が総合トップタイムをマーク。これに山下健太(KONDO RACING)、太田格之進(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)と続いている。
先週後半から、酷暑となった東海地方。テスト開始前日、6日(土)には夕立も降った富士スピードウェイだが、7日(日)には早朝からギラギラとした真夏のような太陽が照りつけた。2週間前に宮城県スポーツランドSUGOで行われた第3戦では、クラッシュした車両が複数台あったが、いずれのチームも今回のテストに向けて修復を完了。全21台が無事に顔を揃えている。一方、今回のテストでは、TGM Grand Prixがドライバーを変更。初日は大津弘樹、2日目は大草りきがステアリングを握ることとなった。
この日、最初のセッションは午前9時半から11時半の2時間。セッションの開始時点で、すでに気温は31℃、路面温度は40℃まで上昇し、ストレートには軽く追い風が吹いていた。そのコンディションのもと、コースがオープンされると、3分の2ほどのドライバーがまもなくピットを後にした。その中で、序盤から1分24秒667と、1分24秒台のタイムをマークしてきたのは、坪井翔(VANTELIN TEAM TOM’S)。大湯都史樹(VERTEX PARTNERS CERUMO・INGING)も1分24秒881と、24秒台に入ってくる。一旦タイムを出したドライバーたちは、ピットに入ってマシンのセットアップを微調整。再びコースに戻り、着々とデータ採りを行なっていった。
大津弘樹(TGM Grand Prix)
そこからセッションが進み、開始から15分過ぎには、阪口晴南(VERTEX PARTNERS CERUMO・INGING)が1分24秒573と、トップタイムを更新。福住仁嶺(Kids com Team KCMG)もほぼ同じタイミングで1分24秒912と、1分24秒台に入った。その10分後には、笹原右京(VANTELIN TEAM TOM’S)も24秒台に突入。同じ頃、大湯が阪口を上回る1分24秒344までタイムアップして、トップに浮上。セッション開始から30分ほどという所では、大嶋和也(docomo business ROOKIE)も1分24秒544をマークして4番手につけ、上位にはトヨタエンジンユーザー勢が並んだ。しかし、そこで一気にタイムアップしたのは、ホンダエンジンユーザーの野尻智紀(TEAM MUGEN)。野尻は、計測9周目に1分24秒353と、大湯に対して1000分の9秒まで迫るタイムをマークし、この時点での2番手に浮上してきた。野尻はその後も精力的にメニューを消化していたが、セッションが折り返して10分ほど経った所で、1分23秒261と自己ベストを更新。この時点でのトップに浮上している。また、これに続いて佐藤蓮(PONOS NAKAJIMA RACING)が自己ベストを大幅に更新。1分24秒335までタイムを上げて、2番手に浮上してくる。さらに、セッションの残り時間が30分を切った所で、牧野がスクラブしただけの程度のいいタイヤを装着して1分23秒703とトップタイムを大幅に書き換えてくる。これに続いて佐藤も自己ベストを更新。1分24秒174までタイムアップし、野尻を上回る2番手につけた。
初日総合2番手
山下健太(KONDO RACING)
その後、セッションの終盤、残り時間が10分となったあたりでは、山下が1分24秒528、小高一斗(KONDO RACING)が1分24秒811と、それぞれユーズドタイヤで自己ベストを更新。この頃、ほとんどのドライバーはピットに戻り、最後のタイムアタックシミュレーションに備えていた。そして、残り時間が6分を切ったあたりからは、多くのドライバーがコースイン。この中で、まず大きく自己ベストを更新してきたのは程度のいいユーズドタイヤでコースに出た坪井。坪井はここで1分24秒076までタイムアップし、2番手に浮上してきた。これとほぼ同じタイミングでは、ニュータイヤを装着した阪口もフライングラップに入っており、セクター2までは最速タイムをマーク。しかし、セクター3でタイムを伸ばすことができなかった。さらに、前回のSUGOに続いての参加となった平良響(ITOCHU ENEX TEAM IMPUL)がニュータイヤで1分24秒638と自己ベストを更新。また同じくニュータイヤを装着した福住が1分24秒161までタイムアップし、3番手に浮上した。さらに、チェッカーと同時に、山本尚貴(PONOS NAKAJIMA RACING)がニュータイヤで1分24秒622までタイムアップ。その他のドライバーの中でも、牧野、太田、大嶋、大湯、大津、佐藤らがニュータイヤを投入し、多くはセクター2まで自己ベストを出していたものの、なかなかセクター3でのタイムを伸ばせず、1周をまとめ切ることができていない。結果、午前中のセッションでトップを奪ったのは、スクラブタイヤでタイムを出した牧野。これに坪井、福住、佐藤、野尻、大湯、阪口、太田格之進(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)、山下、大嶋と続いている。
セッション後には、セーフティーカー中に隊列の中に挟まれる形となった周回遅れの車両を送り出す訓練が行われ、その後は、グリッド上でのスタート練習を実施。半分ほどのドライバーがスタート練習を行なった。また、スタート練習を行わず、ピットロードに滑り込んでタイヤ交換練習をするドライバーも半数ほどに上った。
初日総合3番手
太田格之進(DOCOMO TEAM DANDELIION RACING)
2時間30分のインターバルを経て、2回目のセッションが始まったのは、午後2時。この頃には空に雲が広がり始め、メインストレートに吹く追い風が若干強まる。それでも気温が33℃、路面温度が52℃と汗ばむコンディションの中、セッションが始まると、ほとんどのドライバーがまもなくコースへと入って行った。ITOCHU ENEX TEAM IMPULは、午後にはドライバーを入れ替え。国本雄資(ITOCHU ENEX TEAM IMPUL)が19号車、平良が20号車に乗り込んで、テストを行なっている。このセッションでは、最初の30分だけオーバーテイクシステムを使えるということもあり、序盤から好タイムが続出。開始から5分余りという所では、ユーズドタイヤで坪井が1分23秒912と、いきなり23秒台に突入。さらに、野尻もユーズドタイヤで1分23秒894と、23秒台に入ってくる。これに続いて23秒台に入ってきたのは、岩佐歩夢(TEAM MUGEN)。岩佐は、ここでニュータイヤを投入し、1分23秒646と、この時点でのトップに浮上した。さらに、セッション開始から約15分ほどとなった所では、福住がユーズドで1分23秒933、これに続いて牧野がやはりユーズドで1分23秒829、その後しばらくして山下がユーズドタイヤで1分23秒776と、やはり23秒台に入ってきた。
オーバーテイクシステム使用可能時間が終わると、そこからは各ドライバーとも午前中に引き続き、テストメニューを精力的にこなしていく。数周走ってプッシュするとピットインしてマシンを微調整したり、セット変更。再びコースに戻って走行し、データを蓄積して行った。そんな中、セッションが折り返しに差し掛かろうという所では、佐藤が1分24秒074までタイムアップ。その約20分後には、大津弘樹(TGM Grand Prix)が1分24秒181、木村偉織(San-Ei Gen with B-Max)が1分25秒252までタイムを伸ばしてきた。また、残り時間が約30分となった所では、国本も1分24秒740と自己ベストをマーク。牧野もユーズドタイヤで1分23秒702をマークして、2番手に浮上した。さらに、残り時間が30分を切った所で、野尻がニュータイヤで一気にタイムアップ。1分23秒606をマークして、トップに立っている。この頃になると、気温、路面温度は若干下がってきていた。
初日総合4番手
岩佐歩夢(TEAM MUGEN)
そして、セッションが終盤に入ると、雲が広がりコースのほぼ全体が日陰に。その中で、いよいよ各ドライバーがテスト初日のまとめに入る。ある程度セットアップが煮詰まると、残り10分というところでは、全車がピットイン。残り時間が7分を切ったあたりで小林可夢偉(Kids com Team KCMG)が真っ先にコースに戻っていく。これに続いて、残り6分を切ったあたり平良、大津、岩佐、木村といった順で、続々ニュータイヤを装着してコースに入って行った。この最後のタイムアタックシミュレーション前、ウォームアップ中には、各所でトラフィックが発生。急減速を余儀なくされて、タイヤを温め切れないドライバーも多かった。最終コーナーまでにはドライバーたちが自分のスペースを確保。大きな混乱なくアタックには入って行ったが思うようにタイムを出せずに終わったというドライバーも複数いる。そんな中、まず野尻のタイムを上回ってきたのは、阪口。阪口は1分23秒561をマークし、この時点でのトップに浮上する。その直後、チェッカーフラッグが提示。続いてアタックしていた小高は1分23秒645、福住が1分23秒767と、いずれも自己ベストをマークしたものの、阪口には届かなかった。しかし、これに続いてアタックしていた牧野が魅せる。牧野はユーズドタイヤの時点でも速さを見せていたが、ここで1分23秒144を叩き出し、一気にトップに躍り出た。さらに、山下がこれに続く1分23秒202をマークして2番手に浮上。続いて太田が1分23秒515をマークして3番手に浮上した。
結果、初日は午前・午後ともに牧野がトップタイムをマーク。総合でも牧野が首位となった。これに山下、太田、岩佐、阪口、坪井、野尻、小高、大湯、福住と続いている。
2日目となる8日(月)は、午前9時半から11半、午後1時半から3時半と初日と同様、計4時間のセッションが予定されているが、引き続き牧野が好調を維持して締めくくるのか? あるいはTEAM MUGENの2人のうち、いずれかがトップで締めくくるのか? 2週間後に行われるシリーズ第4戦を占う上でも、明日は大切なセッションとなる。
初日総合5番手
阪口晴南(VERTEX PARTNERS CERUMO・INGING)