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SUPER FORMULA Rd.4 FUJI SPEEDWAY レースプレビュー

2024.07.17

昨年のスタートシーン
 
6月23日の決勝日が梅雨入りと重なったシリーズ第3戦。雨のスポーツランドSUGOで行われたこのレースは、最終的にアクシデントにより赤旗中断、そのまま終了したため、どのドライバーにとっても消化不良の1戦となった。その第3戦から4週間。全日本スーパーフォーミュラ選手権 第4戦は、7月20日(土)〜21日(日)に開催される。今回は「スーパーフォーミュラ夏祭り2024」と銘打ち、様々な企画イベントがサーキットのいたるところで行われ、来場される観客にとっては一日中楽しめる大会となっている。舞台となるのは、静岡県駿東郡小山町にある富士スピードウェイ。首都圏からは最もアクセスのいいサーキットのひとつだ。昨年は、牧野任祐(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)がPPを獲得、決勝ではすでにシリーズを離れたリアム・ローソンが優勝を果たしたが、今年は誰が勝利の美酒を味わうのか?
今年は、「第1回瑶子女王杯 全日本スーパーフォーミュラ選手権 第4戦富士大会(Princess Yohko Cup Japanese SUPER FORMULA Championship Round4 Fuji Speedway)」となり、瑶子女王殿下がご臨席になり、レース後には瑶子女王杯が御下賜される。この1戦で優勝することは、どのドライバーにとっても大きな名誉となるだけに、火花散る激しい1戦となるだろう。
 
第2回合同テストの様子
 
さて、この第4戦を前に、7月7日(日)〜8日(月)には、今回の舞台となる富士スピードウェイで第2回公式合同テストが行われた。梅雨の晴れ間に恵まれ、暑いコンディションとなったこのテストでは、各チーム、各ドライバーが1日4時間、計8時間の走行枠を使って、多くの項目をテスト。今回のレースだけでなく、シーズン後半戦に向けて、様々なトライをしていたが、その中で好調ぶりを見せていたのは、昨年のポールシッターである牧野や山下健太(KONDO RACING)。また、坪井翔(VANTELIN TEAM TOM’S)や岩佐歩夢(TEAM MUGEN)なども好タイムをマークしていた。このテストで好調だったドライバーたちは、今回のレースでも注目の存在となる。
 
テストで好調だった山下健太(KONDO RACING)
 
同じく好調で、昨年はポールポジションを獲得した牧野任祐(DOCOMO TEAM DANDELIION RACING)
ただし、富士といえば天候が気になる所。実際、合同テストの2日ほど後からは梅雨空が戻り、連日曇りや雨が続いている。テスト時は気温も30℃を超えたが、その後は25℃以下という肌寒さだ。しかし、現段階の天気予報では、17日以降、晴れ間が戻ってくるとのこと。ひょっとすると週末を前に、梅雨明け宣言が出されるかも知れないという見立てもなされている。晴れた場合には、最高気温が29℃という予報。テストの時ほどは暑くないかも知れないが、ほぼ似たようなコンディションとなる可能性が高い。まずは、この予報通りの天候となることを期待したい。
 
そして、舞台となる富士だが、このサーキットは国内屈指のハイスピード区間とテクニカル区間を併せ持ったコース。約1.4kmという長いストレートからグリーンファイト100Rまでの前半はドライバーの勇気が試されるコーナーが連続する。しかし、ダンロップコーナーから先は、上りのテクニカル区間。複合の低速コーナーが続き、マシンセットアップだけでなく、ドライビングの違いによっても、タイムに差が出る。実は、1周してくる中で、セクター3に要する時間はラップタイムの半分ほど。それだけセクター3の比重は重い。多くのドライバーにとって、富士は最も走り込んでいるサーキットのひとつだが、それでもキャラクターが違う全ての区間を走り、1周をまとめ切るのは非常に難しいという。一方、コース幅が広く、オーバーテイクポイントが複数あるのも富士の特徴。長いストレートからのTGRコーナー(第1コーナー)はもちろんのこと、そこから2台が並走してのコカ・コーラコーナー進入、あるいはダンロップの飛び込み、ラインが複数あるGR Supraコーナーや最終パナソニックコーナーなどでオーバーテイクのチャンスがあり、数々のバトルが演じられるのも富士の魅力だ。
 

 
そんな富士のスーパーフォーミュラで、まず見所となるのは、土曜日の予選。今回も2グループに分けてのQ1、そして12台によって争われるQ2というノックアウト方式での予選となるが、中でもQ1はかなりエキサイティングなものになるはず。富士は各ドライバーのタイム差が非常に小さいからだ。前戦が行われたSUGOも同様だが、富士もわずか1000分台、あるいは100分台の僅差でQ2進出の可否が決することが往々にしてある。場合によっては、1000分の1まで同タイムだったとしても、タイムを出したのが先か後かというだけで、明暗を分けることが考えられる。それだけ厳しいQ1を経てのQ2も状況は同じ。ほんのわずかな違いがPPとそれ以下の結果を分けるだけに、針の穴を通すような正確なアタックが求められる。その予選では、今回、ドライバーたちがニュータイヤでコースに出てから何周目にアタックするかというのも注目ポイント。アウトラップからすぐアタックに入るドライバーもいれば、アウトラップの後にウォームアップを挟んでアタックに入るドライバーも出てくるはずだ。また、先日の合同テストでは先にフロントタイヤだけをスクラブし、その後、リヤにニュータイヤを装着したドライバーも複数見られた。本番の予選でも、このようにタイヤの使い方に違いが出てくるのか? そのあたりの戦い方も注目すべきポイントだと言っていいだろう。
 
決勝は、41周(最大75分)で争われるが、まず見所は何と言ってもスタート。富士の場合は、グリッドからTGRコーナー(第1コーナー)までの距離が長く、蹴り出しの良し悪しによって、ポジションの入れ替わりが見られる。また、まだタイヤが温まり切っていないオープニングラップには、随所でバトルが展開されるはずだ。もちろん今回も各ドライバーは計200秒、オーバーテイクシステム(OTS)を使用できることになっており、これを誰がどこでどのように使用してポジションを上げてくるかにも注目だ。また、ドライの場合、今回もタイヤ交換が義務付けられる。交換のウィンドウは、先頭車両が10周目(9周終了後10周回目に入った周回を指す)の第1セーフティーカーラインを超えてから、最終周回に入る前まで。昨年は、ウィンドウが空いてすぐにピットインしたドライバー、引っ張ってからピットに入ったドライバーと、それぞれが走っているポジションや回りとのタイム差などによって作戦が分かれたが、今年も同様に、チームによって、あるいはドライバーによって、作戦は違ってくるはずだ。チームのタイヤ交換作業時間、ドライバーのインラップ&アウトラップによっても、その後のコース上ではポジションの入れ替わりが見られるだけに、タイヤ交換前後の各ドライバーのラップタイムや走りにも注目してもらいたい。その結果、最後に笑うのは誰か? テストで速さを見せていた牧野の2勝目はあるのか。あるいは、山下や坪井が今季初優勝を果たすのか。はたまた決勝想定のロングランまでテストで行なっている岩佐が、自身初優勝をもぎ取るのか。非常に暑い真夏の1戦となるはずだ。
 
昨年のスタートシーン

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