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坪井翔が今季2勝目でランキング2位に浮上 小林可夢偉が5年振りの表彰台に

2024.10.12

 
第6戦 決勝1位 坪井翔(VANTELIN TEAM TOM’S)

 
午前中に行われたノックアウト予選終了から5時間余りのインターバルを経て、10月12日(土)の午後2時50分から全日本スーパーフォーミュラ第6戦の決勝レースが、静岡県の富士スピードウェイで行われた。タイトル争いにとっても大きな意味を持つことになるこの1戦を制したのは、予選7番手からジャンプアップした坪井翔(VANTELIN TEAM TOM’S)。坪井は第4戦富士大会に続いて、これが今季2勝目となった。2位表彰台に上がったのは、岩佐歩夢(TEAM MUGEN)。スタート後、チームメイトの野尻智紀(TEAM MUGEN)を追う形となった岩佐は早目のピットインを選択。一時実質的なトップに立ったが、後半に入って坪井にかわされる形となり初優勝はお預けとなった。そして、3位には予選11番手から大きくポジションを上げた小林可夢偉(Kids com Team KCMG)が入賞。可夢偉にとっては、2019年のシリーズ第5戦もてぎ大会以来、約5年ぶりの表彰台獲得となっている。
 

 
午前中の予選の後、サポートレースや様々なイベントが行われた富士スピードウェイ。その後、午後2時50分からは、いよいよメインイベントであるスーパーフォーミュラの決勝レースが始まる。終日、晴れの天候に恵まれ、フォーメーションラップスタート時点で気温は23℃、路面温度は32℃まで上昇。メインストレートには軽く向かい風が吹くコンディションのもと、21台のマシンは1周の隊列走行に入る。この1周を終えるとPPの福住仁嶺(Kids com Team KCMG)や予選2番手の太田格之進(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)、野尻、岩佐、阪口晴南(VERTEX PARTNERS CERUMO・INGING)、佐藤蓮(PONOS NAKAJIMA RACING)、坪井、山本尚貴(PONOS NAKAJIMA RACING)、牧野任祐(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)と上位から続々と正規グリッドに整列。しかし、予選で10番手のポジションを獲得していた大津弘樹(TGM Grand Prix)は、そのままピットロードに滑り込む。エンジンが吹けない状態となった大津はピットガレージに戻された。そこから、チームはエンジンを再始動し、大津はピットスタートとなっている。大津を除く20台のマシンの整列が完了すると、後方ではグリーンフラッグが振られ、シグナルオールレッドからブラックアウト。41周先のゴールに向けて、各ドライバーが一斉に加速した。ここで抜群の蹴り出しを見せたのは、予選4番手だった岩佐。これに予選3番手だった野尻が続く。さらに、予選6番手だった佐藤、予選7番手だった坪井と続く。フロントロウの2台は動き出し後の加速が鈍って遅れた。また、予選5番手だった阪口は痛恨のエンジンストール。こちらも大きく遅れてしまうこととなった。
 
オープニングラップを終えたところでは岩佐がトップ。しかし、2番手に浮上した野尻が2周目のTGRコーナー(第1コーナー)では岩佐に並びかける。ここは岩佐がポジションを守ったが、コカ・コーラコーナーでは岩佐が堪えきれずにコースオフ。野尻がトップを奪った。さらに、汚れたランオフエリアを走ったことでグリップを失った岩佐に迫ったのは、佐藤と坪井、福住。この争いの中で、坪井が佐藤の前に出ることに成功する。これでオーダーは、野尻、岩佐、坪井、佐藤、福住、太田、山本、牧野、可夢偉、木村偉織(San-Ei Gen with B-Max)となった。この中で、3周目に入ったところでオーバーテイクシステムを使い、岩佐を攻略したのが坪井。2番手に浮上すると、坪井は野尻に対して約1秒差で着いていった。また同じく2周目にはTGRコーナーで太田が福住の前に出ることに成功。スタート直後のコカ・コーラコーナーでこの2台は軽く接触しており、福住はフロントウィングの右翼端板にダメージを追っていた。そのため、なかなかペースをあげられない。4周目に入って、その福住に迫ったのは山本。しかし、TGRコーナーでは福住がポジションを死守。山本は逆に後方から迫った牧野にかわされることとなった。
 
第6戦 決勝2位 岩佐歩夢(TEAM MUGEN)

 
5周を終えると、トップ集団は膠着。野尻、坪井、岩佐、佐藤はそれぞれ1秒ほどの差で周回を重ねていく。そんな中、野尻が10周を終えた所では、早くもピットに動きが出た。真っ先にピットロードに滑り込んだのは岩佐。太田、笹原右京(VANTELIN TEAM TOM’S)、三宅淳詞(ThreeBond Racing)、大嶋和也(docomo business ROOKIE)もこの周ピットに入ってタイヤ交換を行っている。その翌周には、可夢偉、山下健太(KONDO RACING)もピットに入った。
 
岩佐のタイヤが温まった所で、見た目上のトップに立つ野尻と岩佐のタイム差は39秒615。ここから岩佐は、野尻とのタイム差をジワジワと削っていく。岩佐のタイムが1分24秒台〜25秒台前半なのに対して、野尻のペースは1分25秒台後半となっていた。20周を終えた所で、2台の差は34秒580。ここでTEAM MUGENのピットが動き、野尻は21周を終えた所でピットに呼び戻された。だが、6秒6という作業を終えて、野尻が戻った時には岩佐だけでなく太田の先行も許してしまっていた。その野尻の背後に迫ったのは可夢偉。可夢偉はアウトラップの野尻をヘアピンで攻略。しかし、タイヤが温まると、野尻はストレートでポジションを取り戻した。この野尻の動きを見て、22周を終えた所では福住がピットイン。その翌周には坪井と佐藤がピットに滑り込む。VANTELIN TEAM TOM’Sのクルーは6秒1という素早い作業を見せ、坪井は野尻の前でコースに復帰。そこからのアウトラップで野尻の攻撃を退けポジションを死守する。その野尻の後方には早目のタイヤ交換を行った可夢偉が再び迫っていた。そして、可夢偉は25周目のTGRコーナーで野尻をオーバーテイク。まだタイヤ交換を終えていないドライバーを除くと、上位の順位は岩佐、太田、坪井、可夢偉、野尻、牧野、佐藤、福住となっていた。
 
第6戦 決勝3位 小林可夢偉(Kids com Team KCMG)

 
この中で、まずポジションを上げたのが坪井。坪井は26周を終えようかというストレートで太田に並びかけると、27周目のTGRコーナーでは完全に前に出ることに成功。そこから前を行く岩佐を追うことになる。この時2台のタイム差は5秒151。しかし、岩佐よりもタイヤの状態がいい坪井は、見る見るそのタイム差を削り取って行った。そして、31周を終えようかというストレートでは2台が真横に並ぶ形に。その次のTGRコーナーでは岩佐が前を守ったが、続く100Rで坪井は岩佐の前に出ることに成功。ここでトップに立った。また同じ周には可夢偉が太田の前に出ることに成功。牧野も野尻をかわしてひとつポジションを上げてきた。これでオーダーは、坪井、岩佐、可夢偉、太田、牧野、野尻。これに30周目のTGRコーナーで佐藤をかわした福住、そして佐藤が続く。そこからの残り10周、さらにポジションに入れ替わりがあったのは4番手争い。リヤタイヤのグリップダウンに苦しみ、ペースが上がらなかった太田。チームメイトの牧野が、その太田を34周目のTGRコーナーでかわして行く。さらに、37周目には、野尻と福住も、太田をオーバーテイクすることに成功した。太田はその後もペースが上がらず、ジワジワとポジションを下げる結果となっている。また、終盤、福住は野尻を攻略。最後は牧野の真後ろまで迫った。
 
一方、トップに立った坪井は、そのまま岩佐を寄せ付けず、41周を走り切って、今季2勝目をマーク。岩佐が2位で走り切り、第3戦・SUGO以来となる表彰台を獲得した。また、決勝ペースが非常に良かった可夢偉が3位に入り、約5年ぶりに表彰台に上がっている。以下、4位に牧野、5位に福住、6位に野尻、7位に佐藤、8位に山本、9位に太田、10位に山下。ここまでが入賞を果たした。今日の予選とレースの結果、ポイントランキングでは野尻が64ポイントでトップを堅持。しかし2番手以下との差はぐっと縮まり、坪井が63.5ポイントで2位に浮上。牧野が61ポイントでそれに続く。上位3人はほぼ横一線ということで、残る3戦での争いは熾烈を極めそうだ。まずは明日13日(日)の予選・決勝で、誰がこの中から抜け出すのか。緊迫の1日となるのは間違いない。
 

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