第9戦 予選 野尻智紀が意地のアタックでポール・ポジションを奪取!
2024.11.10
第9戦 予選1位
野尻智紀(TEAM MUGEN)
太田格之進(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)が初のポール・トゥ・ウィンを果たした第8戦から一夜明けた11月10日(日)の三重県鈴鹿サーキット。この日も朝から多くのファンがスタンドに足を運ぶ中、午前9時15分からは全日本スーパーフォーミュラ選手権第9戦 JAF鈴鹿グランプリのノックアウト予選が行われた。前日よりは曇りがちとなったこの予選で今季2度目のPPを獲得したのは、野尻智紀(TEAM MUGEN)。前日の第8戦では赤旗の影響もあり、まさかのQ1敗退となったが、その悔しさの全てを第9戦の予選にぶつけて他を圧倒する走りを披露した。これに続いたのは、前日のポールシッターである太田。そして、前日の予選では5番手に留まった坪井翔(VANTELIN TEAM TOM’S)が3位に入り、貴重な1ポイントをもぎ取っている。
心配されていた雨の予報が完全に遠のいた10日(日)の鈴鹿。曇りがちとはなったものの、時折陽射しも出る天候となった鈴鹿は、10分間で争われるAグループのノックアウト予選が始まった午前9時15分の段階で、気温が17℃、路面温度が19℃まで上昇していた。第8戦の結果を受けて、この第9戦でAグループに振り分けられたのは、小高一斗(KONDO RACING)、牧野任祐(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)、福住仁嶺(Kids com Team KCMG)、三宅淳詞(ThreeBond Racing)、大嶋和也(docomo business ROOKIE)、岩佐歩夢(TEAM MUGEN)、国本雄資(ITOCHU ENEX TEAM IMPUL)、笹原右京(VANTELIN TEAM TOM’S)、阪口晴南(VERTEX PARTNERS CERUMO・INGING)、Juju(TGM Grand Prix)、山本尚貴(PONOS NAKAJIMA RACING)の11名。セッションが開始されると、まずは岩佐を先頭に、笹原、太田、阪口ら、多くのドライバーがユーズドタイヤでコースに入っていく。一方、最初からニュータイヤを装着してピットで待機したのは、Jujuと大嶋だった。コースに出たドライバーの中で、岩佐、牧野、山本、阪口、国本、福住はアウトラップを終えるとピットイン。これに対して、小高、笹原、三宅はもう1周してからピットに戻ってくる。この間に、Jujuと大嶋は他に先駆けて、ニュータイヤでコースに入って行った。またこれに続いて山本も早目にコースイン。セッション開始から4分というところでは、岩佐、阪口らもコースに入った。タイトル争いをしている牧野は、残り時間が5分半となったところでコースイン。そこから30秒ほど経ったところで、国本、笹原、そして小高が最後にコースへと入っていった。この中で、アウトラップと1周のウォームアップラップを走って、残り1分40秒というあたりから最初にアタックに入ったのは岩佐。岩佐は各セクターで自己ベストをマークしたが、コントロールラインを切った時には1分38秒055と、思うようにタイムを伸ばせなかった。続いてアタックした阪口は、岩佐を上回る1分37秒819、牧野も1分37秒719とこの時点でのトップに立つ。続く福住は牧野と阪口のタイムに届かず1分37秒910。笹原も1分37秒891と、牧野、阪口には届かなかった。しかし、アウトラップに加えて2周のウォームアップを行ってからアタックに入っていた山本が一気に1分37秒574を叩き出してトップに浮上。その後、山本のタイムを上回ったドライバーはおらず、山本は引退レースを前にQ1をトップで通過した。2番手には牧野、3番手には阪口。以下、笹原、福住、岩佐までがQ1を通過している。一方、国本、小高、大嶋、三宅、Jujuは、Q2に駒を進めることができなかった。
第9戦 予選2位
太田格之進(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)
5分間のインターバルを経て、10分間で争われるBグループのQ1が始まったのは、午前9時30分。第8戦の結果を受けて、今日は山下健太(KONDO RACING)、太田、小林可夢偉(Kids com Team KCMG)、野尻、平良響(ITOCHU ENEX TEAM IMPUL)、坪井、大湯都史樹(VERTEX PARTNERS CERUMO・INGING)、木村偉織(San-Ei Gen with B-Max)、大津弘樹(TGM Grand Prix)、佐藤蓮(PONOS NAKAJIMA RACING)の10名がBグループに振り分けられた。この頃になると、空には雲が広がり、陽射しがなくなってきていたが、セッションが始まると野尻を先頭に、坪井、太田、大湯、平良、山下、佐藤、可夢偉、大津、木村といった順で全車がユーズドタイヤでコースイン。アウトラップを終えると太田、平良、可夢偉、木村、大津、佐藤はすぐにピットイン。野尻、坪井、大湯、山下はもう1周走ってからピットに戻った。ここで各ドライバーはニュータイヤに履き替え、残り時間が7分を切ったところでは佐藤が真っ先にコースイン。Aグループの山本と同様、早目の動きを見せる。その後、残り時間が6分となったところで大津と木村、残り時間が5分半となったあたりで、野尻がコースイン。坪井、平良、太田、可夢偉、大湯がそれに続く。そして、残り時間が5分を切ったところで、山下が最後にコースへと入って行った。この中で、残り時間が1分40秒となったあたりから最初にアタックに入ったのは、大津。大津はチェッカー目前にコントロールラインを通過したが、1分38秒351と37秒台に入ることはできなかった。そしてチェッカーが提示されると、セクター1から速さを見せた野尻が1分37秒758をマーク。しかし、各セクターでこの野尻のタイムを上回るスピードを見せたのが、坪井。坪井は1分37秒351を叩き出し、この時点でトップに立った。続くドライバーたちもこのタイムを上回ることはできず、坪井はトップでQ1を通過。昨日のレースを制した太田が1分37秒492をマークして2番手。これに野尻、山下、佐藤、大湯と続き、ここまでがQ1を突破している。一方、大津、木村、可夢偉、平良はQ2に駒を進めることができなかった。
第9戦 予選3位
坪井翔(VANTELIN TEAM TOM’S)
10分間のインターバルを経て、いよいよPPを決定づける7分間のQ2が始まったのは、午前9時50分。セッションが始まると、すぐにニュータイヤでコースに入ったのは、山本と佐藤。PONOS NAKAJIMA RACINGの2台はQ1と同様、アウトラップに加えて2周のウォームアップラップを走ってからアタックに入るプランだった。その後、開始から1分というところで、岩佐、阪口、野尻、福住がコースイン。そこから30秒ほど経ったところで坪井もコースに入る。これに続いて、笹原、大湯がコースイン。開始から2分10秒というところで牧野、太田、そして最後に山下がピットを後にしている。この中で最初にアタックに入ったのは岩佐。アウトラップと1周のウォームアップを終えてアタックに入った岩佐は、チェッカーと同時に1分37秒326と自身のQ1でのタイムをコンマ7秒ほど上回ってきた。しかし、続いてアタックしていた阪口が1分37秒079、福住が1分37秒032と次々に岩佐を上回るタイムをマークした。さらに、4番手でアタックした野尻が圧巻の走り。各セクターで全体ベストを更新した野尻がコーントロールラインに戻って刻んだタイムは1分36秒542。これに続いてアタックしていた坪井は1分36秒844と野尻には届かず。昨日PPを獲っている太田は1分36秒797と坪井を上回ってきたが、野尻にはコンマ2秒余り届かなかった。その結果、野尻は昨日の悔しさを晴らす今季2度目のPPを獲得。太田が2番手、坪井が3番手。坪井は貴重な1ポイントを追加した。これに佐藤、福住、阪口、笹原、山下と続き、これが最後の予選となった山本は9番手。坪井とのタイトル争いを演じている牧野は、まさかの10番手。さらに岩佐、大湯が続いている。
第9戦 予選10位
牧野任祐(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)
この予選の結果、坪井と牧野の差は19.5ポイントまで拡大。坪井は決勝で1ポイントでも獲得すれば、初のタイトルが決定する。対する牧野がタイトルを獲得する条件は厳しい。自身が優勝した上で、坪井がノーポイントでレースを終えるという状況にならなければ逆転は不可能。その状況の中で、午後はどんなレースが展開されるのか。1年の締めくくりということで、誰もが結果を出したい1戦だけに、序盤から随所で激しいバトルが演じられるに違いない。