2025年シーズン開幕!!金曜専有走行は佐藤蓮がトップ発進
2025.03.07
専有走行総合トップ 佐藤蓮(PONOS NAKAJIMA RACING)
2月中旬に行われた公式合同テストから2週間余り。全日本スーパーフォーミュラ選手権開幕大会は、3月7日(金)〜9日(日)に、三重県鈴鹿サーキットを舞台に行われる。その初日には、午前11時から60分間のセッション1、午後3時30分からの60分間のセッション2と、計120分のフリー走行が行われた。このフリー走行で、リザルト上1分35秒875という総合トップタイムをマークしたのは、大湯都史樹(SANKI VERTEX PARTNERS CERUMO・INGING)。しかし、大湯はベストタイムを出した周にシケインをショートカットしたため、これは参考タイムと言っていい。実質的なトップタイムをマークしたのは、佐藤蓮(PONOS NAKAJIMA RACING)。チームメイトのイゴール・オオムラ・フラガ(PONOS NAKAJIMA RACING)が実質2番手につけている。さらに、実質3番手につけたのは、昨年鈴鹿で行われた最終大会で2連勝を飾っている太田格之進(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)。これに福住仁嶺(Kids com Team KCMG)、岩佐歩夢(TEAM MUGEN)と続いている。初日の結果が、明日からの予選・決勝にどう繋がるか、興味深い結果となった。
週の半ばまではぐずついた空模様となった鈴鹿。しかし、走行前日からは天候が回復。7日(金)は、朝から陽射しが降り注いだ。しかし、寒気の影響で季節は冬に逆戻り。終日、メインストレートには強く冷たい追い風が吹くコンディションとなっている。そんなか、セッション1は午前11時にスタート。開始時点での気温は10℃、路面温度は17℃となり、そこからさらに上昇した。セッションが始まると、牧野任祐(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)、太田、野尻智紀(TEAM MUGEN)、岩佐、坪井翔(VANTELIN TEAM TOM’S)、サッシャ・フェネストラズ(VANTELIN TEAM TOM’S)、小林可夢偉(Kids com Team KCMG)、福住といった順で、全車がまもなくコースイン。まずはマシンの状態を確認する。また、ドライバーたちは、公式合同テスト後に再改修された東コースの路面の確認も行った。前回のテストでは、S字のひとつ目やNIPPOコーナーで多くのドライバーがボトミングを訴えており、その路面がスムースになるよう今週半ばまでに改修が行われたためだ。
専有走行2番手 イゴール・オオムラ・フラガ(PONOS NAKAJIMA RACING)
さて、多くのドライバーはアウトラップを終えると一旦ピットイン。その一方、太田や岩佐、佐藤らは最初から計測に入る。ここで太田は1分38秒176、岩佐は1分38秒203、佐藤は1分38秒956、さらに三宅淳詞(ThreeBond Racing)が1分38秒956と序盤から38秒台のタイムをマークしてくる。セッション開始から12分という所では、ディフェンディング・チャンピオンの坪井も1分38秒999と38秒台に入ってきた。しかし、その直後、真っ先に1分37秒254と37秒台に入ってきたのは野尻だった。その後、セッション開始から約20分という所では、岩佐が1分37秒765、太田が1分37秒601、フラガが1分37秒789と37秒台に突入。昨年の開幕戦でPPを獲得している阪口晴南(SANKI VERTEX PARTNERS CERUMO・INGING)も1分37秒918と37秒台に入ってきた。
そして、セッション開始から22分という所で、一気に1分36秒台に突入したのがフラガ。フラガは1分36秒707までタイムアップして一時トップに立ったが、その7分後、このタイムを上回ったのは岩佐。岩佐は1分36秒412と、フラガのタイムを約コンマ3秒上回ってきた。一方、今季の注目ルーキーであるザック・オサリバン(KONDO RACING)は、ここでニュータイヤを使用して1分37秒426をマーク。この時点での4番手に浮上する。さらに、坪井もユーズドタイヤでタイムアップ。1分36秒869とこの時点での3番手に浮上した。
専有走行3番手 太田格之進(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)
その後、セッションの残り時間が20分ほどとなった所でトップタイムを書き換えたのは、野尻。野尻は1分36秒333と岩佐のタイムをわずかに上回ってくる。結局、このタイムを破るドライバーは最後まで現れなかったが、セッション終盤には多くのドライバーが自己ベストを更新。セッション残り時間が13分という所では太田が1分36秒859、残り5分となった所では牧野が1分36秒806といったタイムをマークした。そして、多くのドライバーがニュータイヤでのアタックに入ろうかという残り1分半のタイミングで、セッションは赤旗によって中断される。これはニュータイヤでアタックに入ったオリバー・ラスムッセン(ITOCHU ENEX WECARS TEAM IMPUL)がデグナーコーナーひとつ目にオーバースピード気味で侵入し、イン側の縁石に乗り上げてバランスを崩し、コースオフしたため。ラスムッセンのマシンは、スピードを落とし切れないままタイヤバリアに正面から激突し、フロントウィングなど大きく破損した。午前中のセッションはこの赤旗を持って終了。野尻がトップで締めくくった。これに続いたのは、岩佐、フラガ、牧野、太田、坪井。ここまでが1分36秒台のタイムをマークしているが、トップ5はホンダエンジン勢が独占する形となった。さらに、福住、大湯、佐藤、オサリバン、小出峻(San-Ei Gen with B-Max)と続いている。
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デグナーでのコースアウト、クラッシュがあったラスムッセンは、メディカルセンターでのチェックを終えると、精密検査を行うため鈴鹿市内の病院に移動。今大会は大事をとって欠場することが決定した。その代役に急遽、抜擢されたのは野中誠太となっている。
3時間半のインターバルを経て、セッション2が始まったのは、午後3時30分。午前中と同様、メインストレートには時折強い追い風が吹き、気温11℃、路面温度19℃というコンディションのもとで走行が開始された。このセッションでも、ピットロード出口がオープンすると、まもなくほとんどのドライバーがコースイン。しかし、野中がドライブする予定だったITOCHU ENEX WECARS TEAM IMPULの19号車は、マシン修復に時間がかかり、このセッションで走行することは叶わなかった。
明日からの予選・決勝に向けて最後の走行機会となるこのセッションでは、各チーム、各ドライバーがそれぞれ違うメニューに取り組んだ。セッション序盤からタイムを追って、セットアップを煮詰めていくチームも多かったが、これとは対照的に可夢偉、福住、岩佐、野尻、フラガらはロングランに入る。しかし、セッション開始から約13分という所で、赤旗が提示された。これはロングランを行なっていた野尻がピットロード入り口付近でマシンをストップさせたため。野尻のマシンは左フロントのホイールナットが飛び、130Rでアウト側にコースオフ、シケインでもショートカットする形となったが、野尻はうまくスピードを落として、ピットロードにマシンを止めた。
このマシン回収が終わると、セッションは午後3時53分に再開。その後、トップタイムは次々と書き換えられる。まず太田が1分37秒070をマーク。その4分後には、佐藤が1分36秒912と36秒台に入ってくる。その直後には、フラガが1分36秒620とさらにタイムを縮めてきた。しかし、残り時間が20分となった所で、佐藤がユーズドタイヤで自己ベストを大きく更新。ここで1分36秒150を叩き出す。佐藤はその7分後、セッションの残り時間が13分となった所では、またまた同じユーズドタイヤで自己ベストを更新。1分36秒109までタイムアップを果たした。同じ頃には、三宅も1分36秒758と自己ベストをマークし、この時点での3番手まで浮上している。セッションの残り時間が10分を切ると、阪口も大きくタイムアップ。1分36秒591をマークして、この時点での2番手に浮上した。
そして、そこからは多くのドライバーがニュータイヤを投入。まずは坪井が1分36秒714をマークして、この時点での4番手に浮上する。これに続いて岩佐が1分36秒474をマークして、阪口のタイムを上回ってきた。しかし、チェッカーと同時にニュータイヤでダメ押しのトップタイムをマークしたのは、佐藤。佐藤はここでいよいよ1分35秒972と今日初めて1分35秒台に飛び込んでくる。また、その直後にはフラガが1分36秒081をマークして、2番手に浮上。続いて太田が1分36秒173をマークして3番手に浮上してきた。その後、大湯が1分35秒875と佐藤のタイムを上回るが、大湯はこの周、シケインをショートカットしてしまっていた。タイムシートでは大湯がトップのまま。しかし、実質的には、佐藤がトップ。フラガが2番手と、PONOS NAKAJIMA RACINGが1-2で1日を締めくくっている。これに太田、福住、岩佐、阪口、小出、可夢偉、フェネストラズ、坪井と続いた。
明日はいよいよ午前9時50分から開幕戦の予選、午後2時40分からは決勝が行われるが、今季初PP、今季初優勝を飾るのは誰なのか。冬のような天候は続くとみられているが、風向きは変わるという情報もあり、朝の走り初めから見逃せないシーンの連続となるはずだ。