20年ぶりのもてぎ4月開催 シリーズ第3戦・第4戦 モビリティリゾートもてぎ大会レースプレビュー
2025.04.16
新緑が眩しい季節となった今週末、4月18日(金)〜20日(日)には、栃木県モビリティリゾートもてぎで全日本スーパーフォーミュラ選手権の第2回大会が行われる。1997年8月のオープン以来、同サーキットでは年に1回あるいは2回、国内トップフォーミュラのレースが開催されてきたが、シリーズ名称がスーパーフォーミュラとなった2013年以降は、例年8月にカレンダーが組まれてきた。だが、今年はそれよりも約4ヶ月早い4月中旬の開催。ほぼ同時期の開催は、2000年以来、実に25年ぶりのこととなる(2005年にも4月開催の大会があったが、こちらは4月初頭)。晩夏と春本番、季節の違いによって、今回どのようなレースが展開されるのか。その辺りは全くの未知数だ。
さて、今大会は、開幕大会の鈴鹿に続き、2レース行われる。そのため、18日(金)には、午前・午後ともに60分間のフリー走行を設定。もてぎの場合には、オフのテストがないため、各チーム、各ドライバーはこの120分間という時間の中で、予選や決勝を見据えて、マシンのセットアップを煮詰めていくことになる。その分、現場に持ち込んだ段階でのセットアップが最重要となるが、この2セッションで誰がどのようなタイムをマークするのか。本番を占う上で大切な鍵となるだろう。続く19日(土)と20日(日)は、いずれも朝からノックアウト予選。土曜日は9時20分から、日曜日は午前9時10分からQ1が開始される。Q1はランキングをもとにした2グループに分けて行われ、各グループの上位6台がQ2に進出。Q2ではQ1を勝ち抜いた12台によってPPが争われる。予選上位3台にはポイントが与えられるため、選手権を考えると非常に重要なセッションだ。その後、午後からは決勝レースというスケジュール。レース距離は、土曜日のシリーズ第3戦が33周(最大75分)、日曜日のシリーズ第4戦が37周(最大75分)。いずれもドライコンディションであればレース中に4本のタイヤ交換義務があり、土曜日は昨年までと同様、スタートから10周以降に交換のウィンドウが開く。一方、日曜日のレースはウィンドウの設定がなく、作戦の自由度は高い。鈴鹿での開幕大会でも、日曜日のレースではオープニングラップを終えてすぐにタイヤ交換を行なったドライバーが複数人いたが、今大会でもそれは可能。あるいは逆に、最終周にタイヤ交換を行うことも考えられる。特に、もてぎはタイヤに優しいサーキットとも言われているだけに、各陣営のストラテジーに注目だ。
舞台となるもてぎは、全長4.801kmと比較的全長が短いサーキット。路面は平坦で、全体的にストップ&ゴーのレイアウトとなっているが、中盤には130Rなど高速区間も持つ。オーバーテイクポイントとしては、1〜2コーナーから3コーナーにかけて、4コーナーから5コーナーにかけて、またダウンヒルストレート先の90度コーナーなど。ただし、コース幅がそれほど広くない分、オーバーテイク自体の難易度は高いと言われている。スーパーフォーミュラでは、今回もレース中、各自計200秒間オーバーテイクシステムが使用できるが、そのシステムを利用しながら、どのようなバトルを見せるのかがポイントのひとつとなってくるだろう。また、優勝や表彰台、上位入賞を果たすために、最も大切になってくるのはやはり予選。もちろんスタートでのポジション入れ替わりも結果に直結してくるはずだ。
開幕大会では、土曜日に太田格之進(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)、日曜日に牧野任祐(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)がそれぞれ今季初優勝。DOCOMO TEAM DANDELION RACINGがチームとして最高の滑り出しを見せた。牧野、太田の2選手は昨年、晩夏のもてぎでも優勝争いを演じており、今大会でも注目の存在となる。この2人を中心に、開幕大会を終えてランキングトップに立っている岩佐歩夢(TEAM MUGEN)、もてぎを得意としている野尻智紀(TEAM MUGEN)や山下健太(KONDO RACING)らはどんな戦いを見せるのか。現在ランキング2番手につけるディフェンディング・チャンピオンの坪井翔(VANTELIN TEAM TOM’S)は、どのようなレースを見せるのか。それ以外にも、中堅からベテランになろうかとしている実力派ドライバーは多数。福住仁嶺(Kids com Team KCMG)や阪口晴南(SANKI VERTEX PARTNERS CERUMO・INGING)、大湯都史樹(SANKI VERTEX PARTNERS CERUMO・INGING)、佐藤蓮(PONOS NAKAJIMA RACING)らの走りにも期待だ。一方、ルーキードライバーでは、開幕大会で早くもポイントを獲得したイゴール・オオムラ・フラガ(PONOS NAKAJIMA RACING)や小出峻(San-Ei Gen with B-Max)、ザック・オサリバン(KONDO RACING)らも気になる存在と言える。また、今回はドライバーを変更して臨むチームも。Kids com Team KCMGはWECとの日程が重複した小林可夢偉に代わって、野中誠太を起用。ITOCHU ENEX WECARS TEAM IMPULは、開幕大会での負傷から今回復帰が叶わないオリバー・ラスムッセンに代わり、小林利徠斗の起用を発表した。野中は開幕大会で急遽ラスムッセンの代役としてデビューしたが、小林は今回がデビュー戦。いずれのドライバーにとっても、スーパーフォーミュラでもてぎを走行するのは初めてとなるが、彼らの若いエネルギーにも注目したい。今大会は2輪との併催ということもあり、2日間を通して、迫力シーンが満載。ゴールデンウィーク前の春の週末を心行くまで満喫していただきたい。