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2025年第3戦 激しいチーム内バトルを制して牧野任祐が今季2勝目

2025.04.19

第3戦 優勝 牧野任祐(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)

 
朝からぐんぐんと気温が上がり、結果的には真夏日となった4月19日(土)の栃木県モビリティリゾートもてぎ。多くの親子連れがスタンドで見守る中、午後2時50分からは全日本スーパーフォーミュラ選手権・第3戦の決勝レースが行われた。このレースでPPからスタートし、チームメイトバトルを制して今季2勝目をマークしたのは、牧野任祐(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)。牧野はこの結果、ポイントリーダーとなっている。2位にはスタートで3番手までドロップしたものの、早目のタイヤ交換とそこからのペースの良さを見せた太田格之進(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)が入賞。予選のフロントロウ独占から、DOCOMO TEAM DANDELION RACINGが決勝でも約13年ぶりの1-2フィニッシュを飾った。3位には好スタートを決めて前半2位を走行する場面を見せたイゴール・オオムラ・フラガ(PONOS NAKAJIMA RACING)。フラガはルーキーながら、3戦目にして初の表彰台を獲得した。以下、予選12位から大きく挽回した坪井翔(VANTELIN TEAM TOM’S)、福住仁嶺(Kids com Team KCMG)、阪口晴南(SANKI VERTEX PARTNERS CERUMO・INGING)と続いている。
 

 
午前中の予選終了から5時間近いインターバルを経て、決勝のフォーメーションラップがスタートしたのは、午後2時50分。この時点で気温は30℃、路面温度は41℃まで上昇した。しかし、午前中よりは風が出て、メインストレートには爽やかな追い風が吹くコンディションとなっている。そんな中、全車が1周の隊列走行を終えると、正規グリッドに整列。後方でグリーンフラッグが振られるとシグナルオールレッドからブラックアウトし、33周先のゴールに向けて、一斉にスタートが切られた。ここで抜群の動き出しを見せたのは、PPの牧野。予選3番手のフラガも牧野と同等かそれ以上の好スタートを見せ、1コーナーではアウトから牧野に並びかける。しかし、ここは牧野がラインをがっちりキープし、ポジションを明け渡すことはなかった。一方、予選2番手の太田は、グリッドに着く前、ギヤが弾かれるような症状が出ていたこともあり、不安を抱えながらのスタート。それもありクラッチミートが思うように行かず、3番手にドロップした。この3人に続いたのは、予選6番手からスタートした岩佐歩夢(TEAM MUGEN)。さらに、予選4番手の山下健太(KONDO RACING)、予選7番手からスタートの福住仁嶺(Kids com Team KCMG)。予選5番手だったサッシャ・フェネストラズ(VANTELIN TEAM TOM’S)はシステムに不具合が発生した影響でストールしかけ、ポジションを落とすこととなった。その後方では、1コーナー手前でアクシデントが発生。集団の中で、大湯都史樹(SANKI VERTEX PARTNERS CERUMO・INGING)の左フロントと佐藤蓮(PONOS NAKAJIMA RACING)の右リヤが接触した。佐藤はそのまま1コーナーでコースアウトしグラベルストップ。大湯は4コーナーまで走行を続けたが、足回りにダメージを負っており、コース外の芝生にマシンを止めた。これによって、コース上にはすぐさまセーフティーカーが導入された。この時点でのオーダーは、牧野、フラガ、太田、岩佐、山下、福住、野尻智紀(TEAM MUGEN)、阪口、ザック・オサリバン(KONDO RACING)、フェネストラズ、大嶋和也(docomo business ROOKIE)、小高一斗(KDDI TGMGP TGR-DC)、平良響(KDDI TGMGP TGR-DC)、坪井となっていた。
 
佐藤と大湯のマシン回収が終わり、レースがリスタートしたのは、3周を終了した時点。ここからトップの牧野は1分34秒台のタイムを連発して、フラガを引き離しにかかる。2台の差は5周を終えたところで1秒676だったが、9周を終える頃には2秒040まで広がっていた。そして、2番手のフラガにじわじわと迫っていったのが太田。フラガと太田の差は少しずつ縮まり、9周を終えたところでは1秒022となってきた。
 
そして、10周を終えようかというところで、早くもピットが慌ただしく動き始める。まず真っ先にピットロードに飛び込んだのは、フレッシュエアを欲していた太田。山下、野尻、大嶋、小高、小出峻(San-Ei Gen with B-Max)、Juju(HAZAMA ANDO Triple Tree Racing)も同じ周にピットに入り、タイヤ交換を行なった。その翌周には福住、阪口、オサリバン、フェネストラズ、三宅淳詞(ThreeBond Racing)、高星明誠(ITOCHU ENEX WECARS TEAM IMPUL)もピットイン。タイヤ交換を行なった。
 
第3戦 決勝3位 イゴール・オオムラ・フラガ(PONOS NAKAJIMA RACING0

 
牧野とコースに戻った太田の差は12周を終えた時点で28秒492。タイヤがフレッシュになった太田はペースを上げ、ここから牧野との見えないタイム差を削り取っていく。その差は27秒931、27秒258、26秒691、25秒842と縮まっていった。この頃、牧野のペースは1分36秒台となっており、14周を終えたあたりでは2番手のフラガも牧野との差を縮め始める。一時2秒以上あった2台の差は、15周を終えたところで1秒930、16周を終えたところでは1秒611。そこで、PONOS NAKAJIMA RACINGはアンダーカットを狙って、17周を終えようかというところでフラガをピットに呼び戻した。タイヤ交換を終えたフラガがコースに戻ったのは、太田の後ろ。ここで太田はフラガの前に出ることに成功している。この動きに反応し、翌周にピットに滑り込んだのは、トップを快走していた牧野。チームは素早い作業を見せたが、牧野はギリギリのところで太田の先行を許すこととなった。だが、牧野はタイヤの状態がいいうちに逆転を狙い、アウトラップを終えると猛プッシュを開始。21周目に入ると、牧野がオーバーテイクシステムを作動させながら、太田に迫る。そして、22周の1コーナーから2コーナーにかけて、2台はサイド・バイ・サイドに。太田は2コーナー立ち上がりで縁石の外側まではみ出し、イン側の牧野がここでトップを奪い返した。牧野はここから太田を引き離して、独走状態に入っている。
 
太田格之進と牧野のトップ争い
 
この攻防とほぼ同じ頃、最後までタイヤ交換を引っ張って、20周を終えようかというところでピットロードに滑り込んだのは、坪井。坪井はタイヤ交換を終えると、8番手でコースに戻ったが、ここからタイヤの状況の良さを生かしてポジションをあげ始める。23周目には山下をかわして7番手に浮上。25周目のダウンヒルストレートエンドでは阪口をかわして6番手まで上がってきた。その前方では、2番手争いも次第に緊迫。真っ先にタイヤ交換を行なって終盤ペースが落ち始めた太田の後ろには、フラガだけでなく、岩佐も近づき三つ巴状態に入る。ところが、そこから思わぬトラブルで脱落したのは岩佐。岩佐は28周目の5コーナーで突然シフトダウンができなくなり、スローダウン。S字のコース外にマシンを止めた。岩佐のリタイヤで坪井は5番手に浮上。さらに坪井は29周目の3コーナーでは福住をオーバーテイクして4番手に浮上してきた。
 
第3戦 決勝4位 坪井翔(VANTELIN TEAM TOM’S)
トップに立った牧野は、その後一時は太田との差を4秒近くにまで広げ、そのまま33周を走り切ってのゴール。自身も納得の今季2勝目をマークして、ポイントランキングでもトップに浮上した。太田もフラガの追撃をしのぎ、そのまま2番手でゴール。DOCOMO TEAM DANDELION RACINGは、2012年の第6戦・SUGO以来の1-2フィニッシュを達成した。さらに、フラガがそのまま3位でフィニッシュ。ルーキーながらわずか3レース目にして、見事表彰台を獲得している。さらに、決勝ペースの良さとタイヤ交換を引っ張る作戦がハマった坪井が4位。以下、福住、阪口、山下、フェネストラズ、野尻、大嶋までがポイントを獲得。これにルーキーの野中誠太(Kids com Team KCMG)、平良、小出、高星、小林利徠斗(ITOCHU ENEX WECARS TEAM IMPUL)と続いた。
 
明日、20日(日)は、午前9時10分から第4戦のノックアウト予選が行われ、午後2時55分からは第4戦の決勝レースが行われる。開幕大会から絶好調のDOCOMO TEAM DANDELION RACINGが明日も強さを見せるのか。それとも他のチーム、他のドライバーたちが一矢報いるのか。見所満載となりそうだ。
 

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