2025年第4戦 太田格之進が第4戦を制しDANDELION RACINGが両日ワン・ツーでフィニッシュ!
2025.04.20
山下健太(KONDO RACING)の劇的なPP獲得から5時間。終日、曇り空となった栃木県モビリティリゾートもてぎでは、午後2時55分から、全日本スーパーフォーミュラ選手権 第4戦の決勝レースが行われた。序盤にセーフティーカーが導入され、1周でのタイヤ交換を行なったドライバーと、そのままステイアウトしてタイヤ交換を引っ張った選手に分かれる中、37周を力強く走り切ってトップチェッカーを受けたのは、1周でタイヤ交換した太田格之進(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)。2位にはタイヤ交換を引っ張る作戦に出た牧野任祐(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)が入った。第3戦に続き、DOCOMO TEAM DANDELION RACINGは2戦連続の1-2フィニッシュを達成している。3位に入ったのは、第3戦をトラブルのために落とした岩佐歩夢(TEAM MUGEN)だった。
朝の予選が終わった後、他のカテゴリーのレースやピットウォークなどが行われたもてぎ。午後2時からはいよいよスーパーフォーミュラの決勝に向けて、スタート進行に入る。各チーム、各ドライバーは、15分間のレコノサンスラップでレースに向けてのマシンセットアップを確認。スタート練習なども行なった。その中で、ブレーキトラブルに見舞われたのは福住仁嶺(Kids com Team KCMG)。チームはマシンの修復作業に入ったが、福住はピット出口が閉鎖する前にグリッドに着くことがかなわなかった。その他の21台はそれぞれダミーグリッドに整列。最後の微調整などを行う。ガレージに戻されていた福住のマシンは、フォーメーションラップスタート前には修復が完了。福住はピットスタートすることになった。
そして、午後2時55分にフォーメーションラップがスタート。福住を除く21台が1周の隊列走行に向けて動き始める。しかし、この時、三宅淳詞(ThreeBond Racing)がエンジンストール。スタッフがエンジンを再始動すると、そこからようやく走り始めた。このフォーメーションラップを終えて、各車が正規グリッドに着くと、後方でグリーンフラッグが振られ、シグナルオールレッドからブラックアウト。37周先のゴールに向けて、スタートが切られた。ここでいい動き出しを見せたのはPPの山下。予選2番手の太田も動き出した後の加速が良く、2台は1〜2コーナーで真横に並びかけそうになった。しかし、ここは山下がラインをキープ。トップの座を明け渡さなかった。このスタート直後、後方ではアクシデントが発生。1コーナーにオーバースピードで進入した平良響(KDDI TGMGP TGR-DC)が止まり切れず、高星明誠(ITOCHU ENEX WECARS TEAM IMPUL)にサイドから激突。高星がその衝撃で左に動いたところ、三宅も高星と接触した。平良のマシンは空を舞う形となって1コーナーアウト側のグラベルにストップ。コース上にはすぐさまセーフティーカーが導入された。
そのため、ピットは一気に動きが慌ただしくなる。オープニングラップを終えようかというところでは、トップの山下を始め、太田、阪口晴南(SANKI VERTEX PARTNERS CERUMO・INGING)、サッシャ・フェネストラズ(VANTELIN TEAM TOM’S)、イゴール・オオムラ・フラガ(PONOS NAKAJIMA RACING)、野尻智紀(TEAM MUGEN)、大湯都史樹(SANKI VERTEX PARTNERS CERUMO・INGING)、大嶋和也(docomo business ROOKIE)、ザック・オサリバン(KONDO RACING)が一斉にピットイン。素早い作業を見せた太田が、ここで山下の前に出ることに成功した。コースに戻った山下にはさらに悪夢が発生。右リヤタイヤが正常に装着されておらず、山下は一気にスローダウン。もう1周して再びピットに入らなければならなかった。その後方では、フェネストラズがタイヤ交換で阪口の前に出ることに成功。山下が遅れたため、タイヤ交換組の2番手に浮上した。
一方で、牧野、岩佐、佐藤蓮(PONOS NAKAJIMA RACING)、坪井翔(VANTELIN TEAM TOM’S)、小出峻(San-Ei Gen with B-Max)、小林利徠斗(ITOCHU ENEX WECARS TEAM IMPUL)、小高一斗(KDDI TGMGP TGR-DC)、福住仁嶺(Kids com Team KCMG)はステイアウトを選択。ここからタイヤ交換を行うまでにマージンを稼ぐレースを展開することになる。
さて、平良のマシン回収が終わり、レースがリスタートしたのは5周終了時点。セーフティーカーがピットロードに滑り込むと、見た目上のトップに立っている牧野は、1分34秒台中盤から35秒台中盤のタイムを連発し、タイヤ交換組のトップにいる太田との差を広げてていく。これに岩佐、リスタート直後にS字で佐藤をかわした坪井と続く。牧野と太田の差は7周を終えた時点では8秒008だったが、10周終了時には11秒487、15周終了時には14秒903とじわじわ開いていった。ちょうどこの頃、異変に見舞われたのは見た目上の3番手を走っていた坪井。5速からシフトダウンできなくなった坪井はスローダウンし、ピットロードに滑り込んだ。症状は第3戦・決勝の岩佐と同じ。原因も同じくコンプレッサーだった。チームは最終的に坪井のマシンを修復してコースに送り出したが、坪井はノーポイントでレースを終えることとなっている。
スタートから20周を過ぎる頃になると、トップを走る牧野のタイムは1分36秒台中盤となってくる。牧野の後ろにいる岩佐は逆に、この頃1分36秒前半をマーク。また、太田も1分36秒台前半にタイムアップ。いずれも牧野との差を詰め始めた。これを見て、チームは23周を終えようかというところで牧野をピットに呼び戻した。チームは素早い作業を見せ、牧野はフェネストラズの後ろでコースに戻るが、タイヤがまだ冷えているアウトラップには阪口と大嶋が一旦牧野をオーバーテイクしていった。しかし、タイヤに熱が入ると、牧野は逆襲。25周目の3コーナーでは大嶋、同じ周のヘアピンでは阪口を捉えてフェネストラズの後ろまでポジションを戻す。さらに、牧野は27周目のS字でフェネストラズをオーバーテイクし、タイヤ交換を終えた中で2番手にポジションを上げてくる。
この時点でまだタイヤ交換を行なっていなかったのは、岩佐、佐藤、小出、小高。この中で佐藤と小高は26周を終えようかというところでピットイン。佐藤のクルーは左リヤタイヤの交換に手間取り、佐藤は大きくタイムロスしてしまう。その翌周には小出、さらにその翌周にはいよいよ岩佐がピットロードに滑り込んだ。岩佐は牧野がピットに入った後ペースアップしており、コースに戻った時には牧野の前。しかし、すでにタイヤが温まっていた牧野は2コーナーで難なく岩佐の前に出ることに成功した。これでトップに太田、2番手には牧野、3番手に岩佐というオーダーになる。そこから牧野は次第に太田との差を削り取っていく。29周を終えたところで2台の差は11秒174あったが、30周を終えたところでは9秒976、31周を終えたところでは8秒670とじわじわ縮まっていった。だが、牧野の後方からは岩佐も猛プッシュ。2台の差は一時3秒余りまで広がっていたが、岩佐は次第に牧野に迫り、2台の差は35周を終えたところで0秒962まで縮まってきた。そのため、残り2周は牧野と岩佐のドッグファイトに。岩佐は36周目のダウンヒルストレートからオーバーテイクシステムを使用して牧野に迫る。牧野はファイナルラップのメインストレートから同じくオーバーテイクシステムを作動させ逃げを打った。
太田はこの争いをよそにファイナルラップでは単独でオーバーテイクシステムを作動させ、レース中の自己ベストラップを記録する走り。最終的には牧野の追撃を寄せ付けず、トップチェッカーを受けている。太田にとっては開幕戦以来の今季2勝目。61点までポイントを伸ばし、ランキングでもトップに立っている。また、牧野も最後まで岩佐に付け入る隙を与えず、2位でチェッカー。ランキングでは太田と1ポイント差の2位担っている。そして、岩佐は牧野の真後ろで3位のチェッカー。ランキング3位につけている。以下、フェネストラズ、阪口、大嶋、大湯、野中、フラガ、野尻までが入賞。ポイントを獲得している。
次回、5月17日(土)〜18日(日)に行われるシリーズ第5戦は、大分県オートポリスが舞台。昨年、牧野が涙の初優勝を果たしたサーキットとなるが、引き続きDOCOMO TEAM DANDELION RACINGが速さ・強さを見せるのか。あるいは岩佐や坪井が粘るのか。非常に楽しみな1戦となりそうだ。