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2025年 第2回公式テスト 初日総合トップは牧野任祐

2025.06.06


 
大分県オートポリスで行われたシリーズ第5戦から3週間。全日本スーパーフォーミュラ選手権では、6月6日(金)〜7日(土)に静岡県富士スピードウェイで今季第2回目となる公式合同テストが行われる。梅雨入り前の貴重な晴れ間が広がったこのテスト。初日となる6日(金)は、午前9時から11時30分、午後2時30分から午後5時までと、計5時間のセッションが行われた。この初日のセッションで総合トップタイムをマークしたのは、牧野任祐(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)。これに、佐藤蓮(PONOS NAKAJIMA RACING)、野尻智紀(TEAM MUGEN)と続いている。

朝から爽やかな青空が広がった富士スピードウェイ。山頂にまだ雪を残す富士山が最終コーナー方向に雄大な姿を見せる中、午前9時30分から最初のセッションが始まった。セッション開始時の気温は23℃、路面温度は32℃。メインストレートには、軽い追い風が吹いていた。そのコンディションのもと、ピット出口がオープンされると、ほとんどのドライバーがユーズドタイヤでコースイン。今回のテストでは、各車に6セットずつニュータイヤが供給されるが、走り始めは持ち越したタイヤで走行を開始している。

今回のテストに参加したのは、13チーム。ドライバーに関しては、小林可夢偉(Kids com Team KCMG)がル・マン24時間レースとの日程重複のために欠席し、代わりに小林利徠斗と関口雄飛が7号車をドライブしている。また、KDDI TGMGP TGR-DCの29号車は平良響に代わり、今回から野中誠太がステアリングを握ることとなった。そのため、全部で23人が参加している。
 
初日総合トップ 牧野任祐(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)
 
走行が始まると、まずはいきなり利徠斗がダンロップコーナーでスピンする場面も見られたが、その後は大きなトラブルや赤旗もなくセッションが進んでいく。セッションの序盤には、三宅淳詞(ThreeBond Racing)が1分24秒662というタイムをマークして、この時点でのトップに立った。その後、セッション開始から30分を過ぎると佐藤が1分24秒518、福住仁嶺(Kids com Team KCMG)が1分24秒421、ポイントリーダーの牧野が1分24秒378と、トップタイムが書き換えられていく。牧野はセッション開始から45分というところで、さらにタイムアップ。1分23秒961と、真っ先に23秒台に突入した。その間にも、各チーム、各ドライバーは、テストでしかできないような足回りのセットアップや空力に関するデータ取りなどを勢力的に進めて行った。その後、セッション開始から1時間30分というところでは、牧野に続いて野尻が1分23秒996と23秒台のタイムをマーク。さらにその15分後には、佐藤が1分23秒770と、牧野のタイムを上回ってくる。ほぼ同じタイミングで、太田格之進(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)も1分23秒832、福住も1分23秒912をマークし、佐藤に続いた。残り30分という段階で1分23秒台のタイムを出していたのは、佐藤、太田、福住、牧野、野尻の5人だった。しかし、その5分後には、マシンセットアップを繰り返していた坪井翔(VANTELIN TEAM TOM’S)が1分23秒970と23秒台に突入。利徠斗もユーズドタイヤながら1分23秒957、1分23秒844と2周続けて23秒台のタイムをマークし、この時点での4番手に浮上してくる。

そして、残り時間が10分を切ると、3分の2ほどのドライバーがニュータイヤを装着してコースイン。タイムアタックのシミュレーションを行った。その中でセッション1のトップタイムを奪ったのは、太田。太田はニュータイヤで1分23秒465というタイムをマークしている。これに1000分の8秒差の1分23秒473で続いたのは、野尻。さらに、1分23秒648で牧野、1分23秒674でザック・オサリバン(KONDO RACING)、1分23秒692で福住、最後のニュータイヤではタイムアップできなかった佐藤、利徠斗と続いている。坪井はこのセッションではニュータイヤを使用しなかったものの、最後は1分23秒970までタイムアップし、8番手でセッションを締めくくった。一方、この最初のセッションからロングランに取り組んだドライバーも見られた。中でも、岩佐歩夢(TEAM MUGEN)は2時間半のセッションで70周余り、サッシャ・フェネストラズ(VANTELIN TEAM TOM’S)も60周余りを走り、レースに向けての準備を整えていた。

セッション1の終わりには、全車が参加して、セーフティーカーランのトレーニングを実施。その後、スタート練習も行われている。
 

 
3時間のインターバルを経て、セッション2が始まったのは午後2時30分。この頃になると、富士の上空には雲が広がり、風も強くなり始めた。風は回っているような感じで、メインストレートは追い風が強く吹いた時間もあったが、逆に向かい風になる瞬間もあった。それでも、セッション開始時の気温は24℃、路面温度は39℃。特に路面温度は、セッション1の開始時よりも7℃ほど高くなっていた。

ピットロード出口がオープンされると、ほぼ全車が次々にコースイン。このセッションでは、各ドライバーともに、セッション開始から30分の間に、20秒間ずつオーバーテイクシステムを使用できることになっていた。そのため、多くが走り始めから好タイムを刻む。まずは野尻が1分23秒494、坪井が1分23秒687、岩佐が1分23秒833と23秒台のタイムをマーク。佐藤も序盤から1分24秒241を刻んでくる。開始から15分ほどのところでは、三宅も1分24秒310までタイムを伸ばしてきた。同じ頃に、岩佐が1分23秒782、イゴール・オオムラ・フラガ(PONOS NAKAJIMA RACING)が1分24秒540、大嶋和也(docomo business ROOKIE)が1分24秒037と、次々に自己ベストをマーク。野尻も1分23秒103とトップタイムを書き換えてくる。さらに、セッション開始から40分というところでは、牧野が自己ベストを更新し、1分23秒667をマークする。続いて岩佐も1分23秒499と、自己ベストを更新。その間も、各ドライバーは、テストに持ってきたセットアップメニューを消化して行った。
 

 
その後、午後3時29分には、この日最初の赤旗が提示された。これは1コーナーに落下物があったため。その除去が終わると、セッションは午後3時32分に再開された。しかし、再開から8分、野中誠太(KDDI TGMGP TGR-DC)がコカ・コーラ・コーナーでスピンオフ。ほぼ同時にロングランを終えてセット変更し、再びコースに出ていた太田がGRスープラコーナーでスピンアウトし、セッション2回目の赤旗が提示される。野中はエンジンがかかっていたため、自力でピットに戻る。しかし、太田のマシンは完全にストップしていたため、レッカーで回収された。この回収が終わると、セッションは午後3時52分に再開。ここからの残り1時間余りで各チーム、各ドライバーは初日の仕上げに取り掛かった。ここで自己ベストを更新してきたのは、牧野。牧野は1分23秒180と野尻のタイムに迫る。佐藤も1分23秒309、岩佐も1分23秒255と自己ベストを更新する。そして、残り時間が30分となった午後4時に、一気に1分23秒157、1分22秒949と2周連続で自己ベストを出して、トップタイムを書き換えたのは大湯都史樹(SANKI VERTEX PARTNERS CERUMO・INGING)。セッション1でニュータイヤを使わなかった大湯は、ここで初日最初のニュータイヤを投入し、真っ先に22秒台に飛び込んできた。この頃、牧野はユーズドタイヤで自己ベストを更新。1分23秒034までタイムを伸ばしてくる。フラガも1分23秒260、山下健太(KONDO RACING)も1分23秒394とほぼ同じタイミングで自己ベストを刻んできた。

しかし、午後4時34分には、このセッション3回目の赤旗が提示される。これは、関口雄飛(Kids com Team KCMG)が左リヤタイヤに問題を抱え、ダンロップコーナーでスピンアウトしてストップしたため。関口のマシン回収が終わると、セッションは午後4時43分に再開された。この再開後、5分ほどして自己ベストを刻んだのは坪井。坪井は1分23秒172までタイムアップして、この時点での4番手まで浮上してきた。また、その3分後には、ほとんどのドライバーがピットに待機する中、小出峻(San-Ei Gen with B-Max)が早目にニュータイヤを投入。1分23秒196をマークして、この時点での5番手に浮上する。
 
初日総合2番手 佐藤蓮(PONOS NAKAJIMA RACING)

 
そして、残り時間が7分を切ったあたりからは、ピットに待機していたドライバーたちが続々とコースイン。締めくくりのタイムアタックに向かった。この中で、チェッカーまで残り20秒という時点で1分22秒771とトップタイムを書き換えたのは、山下健太(KONDO RACING)。「普段できないようなセットアップを色々と試していました。普段はやらないような車高やエアロで走って、ひたすらデータを集めていたんです。午後は20周ぐ1らいのロングランもしました。1日やって分かったこともありますし、最後は今まで良かったセットと組み合わせてアタックしたら、感触は良かったですし、自分としても上手くまとまったと思います。でも、とにかくホンダ勢が速いですね」とは山下の弁だ。また、山下と同じくチェッカー目前にコントロールラインを通過した坪井も、1分22秒919と一瞬2番手に浮上する。坪井は「セット変更がギリギリになってしまって、他のドライバーよりもウォームアップが1周少なかったので、タイヤが温まり切っていませんでした。午後の最後はだいぶ涼しくなりましたし。でも、5時間という長い中で、今年やってきたこととか去年の流れも含めて、昼間の路温が高い中、ニュースペックのタイヤでしっかりと走れました。理解を深めるために色々トライできましたし、いい所、悪い所や課題もありましたけど、そんなに悲観するほど遅くはなかったと思います」と手応えを得ていた。
 
山下健太(KONDO RACING)

 
その後、チェッカーが提示されると、佐藤が1分22秒434、牧野が1分22秒339と次々トップタイムが書き換えられる。さらに、野尻が1分22秒540をマークし、3番手に滑り込んだ。その結果、牧野が総合トップで初日のセッションを締めくくる。牧野は、「特別なことは何もしていなくて、確認したいことを確認してという普通のテストでした。時間が長かったので、セットのリピートをしたりしていましたね。ここまできたら、細かい所の積み重ねが大事になってくると思うので、リピートする中で細かい詰めはできたと思います。最後のニュータイヤのアタックに関しても、まだ詰め代はあるかなと思いましたけど、いずれにしてもレースの時とは全くコンディションが違うと思うので、余り意味はないかと思います。ただ、コンディションが変わった時に対応できるように、2日目も色々なネタ集めをできたら。ロングランも明日やる予定です」と冷静に初日を振り返った。この牧野続いたのは、佐藤と野尻。ホンダエンジン勢がトップ3を独占している。トヨタ勢のトップは山下の4番手だった。以下、大湯、坪井、阪口晴南(SANKI VERTEX PARTNERS CERUMO・INGING)と続き、岩佐が8番手、フラガがルーキーでは最上位の9番手、太田が10番手となっている。
 
初日総合3番手 野尻智紀(TEAM MUGEN)

 
明日、2日目も好天が期待されている富士。セッション3は午前9時から11時30分、セッション4は午後2時から4時30分と、明日も計5時間の走行が予定されているが、7月の本戦を前に誰が好調ぶりを見せるのか。非常に興味深いセッションとなりそうだ。
 
小林利徠斗(Kids com Team KCMG)

 
野中誠太(KDDI TGMGP TGR-DC)

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