SuperFormula

INFORMATION

2025年 シリーズ第6戦・第7戦 富士大会 レースプレビュー

2025.07.15

昨年のスタートシーン
 
5月中旬に行われた大分県オートポリスでのシリーズ第5戦。坪井翔(VANTELIN TEAM TOM’S)が今季初優勝を果たしたこのレースから約2ヶ月のインターバルを経て、全日本スーパーフォーミュラ選手権第6戦・第7戦は、7月18日(金)〜20(日)、静岡県富士スピードウェイを舞台に行われる。多くの学校が夏休みに入り、親子連れでの観戦者も大勢訪れると見られるこの大会は、「スーパーフォーミュラ夏祭り2025」と題されており、レースだけでなく会場でのイベントも盛り沢山。昨年以上にパワーアップした内容となっている。
 
この大会を前に、去る6月6日(金)〜7日(土)には、同じく富士スピードウェイで今季第2回となる公式合同テストが行われた。このテストは、これまでよりも走行時間が長く、2日間で計10時間の長丁場。幸い両日ともに完全なドライコンディションの中で行われ、各チーム、各ドライバーは、精力的に周回を重ねた。普段なかなか試すことができないセットアップを試したり、多くのドライバーは決勝を見据えたロングランも実施。シリーズ後半戦に向けての準備を整えていった。そのテストでは、初日に現在ランキングトップの牧野任祐(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)が総合トップタイムをマーク。佐藤蓮(PONOS NAKAJIMA RACING)、野尻智紀(TEAM MUGEN)がこれに続いた。2日目に総合トップタイムを奪ったのは、岩佐歩夢(TEAM MUGEN)。これに坪井、イゴール・オオムラ・フラガ(PONOS NAKAJIMA RACING)と続いている。ランキング上位に付けているドライバーたちは、このテストでも軒並み好調な仕上がりを見せていたが、それが第6戦&第7戦の結果にも直結するのか。その点は見どころだ。
 
ポイントランキング・トップ 65Pts. 牧野任祐(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)
 
今回の舞台となる富士は、1.4kmを越えるメインストレートが最大の特徴となるコース。そこからTGRコーナー(第1コーナー)に入った後は、高速区間のセクター2、さらには低速の複合コーナーが連続するテクニカル区間のセクター3へと続く。ドライバーたちにとっては、コース前半と後半でドライビングのリズムが大きく変わるという難しいコースだ。マシンセットアップに関してもストレートとコーナー区間のバランスをどう取るかが重要で、エンジニアたちも頭を悩ませるコースと言える。その富士があるのは東海地方ということで、7月4日には早くも梅雨明けしたというニュースが流れた。実際、梅雨明け後しばらく、富士周辺では晴れて暑い日が続いていた。その後、一旦暑さが和らいだ後には、台風5号の影響を受けて今週前半は雨の予報が出されている。しかし、台風が過ぎ去ったあと、金曜日からは再び夏空が戻る予報。今大会に関しては、3日間ともに気温は30℃を超え、晴れて暑くなりそうだ。公式テスト開催時には、気温が25℃前後だったため、それよりもかなり高い。そのコンディションにどうマシンとドライビングを合わせ込んでいくか。そのためにも18日(金)に行われるフリー走行は、各陣営にとって大切になる。このフリー走行は、午前11時から12時、午後2時50分から3時50分の計2時間。その中で誰が速さを見せるのかに、まずは注目だ。
 
ポイントランキング・2位 61Pts. 太田格之進(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)
 
翌19日(土)は、第6戦の予選・決勝。予選はノックアウト方式で午前9時10分から開始される。Q1はポイントランキングをもとに2グループに分けて行われ、各グループの上位6台がQ2へと駒を進める。PPを決するQ2は午前9時45分からの7分間となるが、富士はとにかく各者のタイム差が小さいサーキット。夏場ということもあり、多くがアウトラップを終えてすぐにタイムアタックに入るのではないかと思われるが、ドライバーにとってはタイヤの温め方も含めて、かなり緊張を強いられるタイムアタックになるだろう。その中で完璧なラップを刻むのは誰なのか。まずは予選の流れを見守って欲しい。テストで好調だったドライバーたちの誰かがPPを獲るのか。それとも昨年富士で速さを見せた福住仁嶺(Kids com Team KCMG)が再びポールシッターとなるのか。
 
昨年のスタート時1コーナーの様子
 
午後3時15分から行われる第6戦の決勝は、36周(最大75分)で争われる。その最初の見所はスタートからTGRコーナー(第1コーナー)にかけての攻防と、そこからオープニングラップの随所で繰り広げられるであろうバトルだ。富士はスタートの出足もさることながら、グリッドからTGRコーナー(第1コーナー)までの距離が長い分、ポジションの入れ替わりが起こりやすい。また、まだ完全にはタイヤが温まり切っていないオープニングラップは、各自が計200秒間使用できるオーバーテイク・システム(OTS)を上手く使いながらポジションを上げるチャンスが大きい。もちろんOTSを使うタイミングを他のドライバーとずらすことによって、その後もストレートでスリップストリームを使い、前に出ることもできるだろう。また、レースがドライコンディションの場合は、タイヤ交換義務もある。第6戦に関しては交換のウィンドウが決められており、先頭車両が10周を終えたところからファイナルラップに入るまで。今年の新スペックタイヤが真夏に使用されるのは今回が初めてとなるが、ミニマムでピットに入るドライバーや中盤で入るドライバー、はたまた終盤まで引っ張ってから入るドライバーと、陣営によって予選順位やスタート後のポジション、展開を見ながらストラテジーは変わってくるはずだ。スタート時刻が午後3時15分ということで、富士ではスタート後に気温も大きく下がっていくはず。コンディション変化も加味しながら、誰がどのような作戦を採るのか。その辺りは興味深いポイントだ。結果として、勝利の美酒を味わうのは誰なのか。今季4人目のウィナーが現れるのかという点も含めて注目だ。
 
ポイントランキング・3位 51Pts. 坪井翔(VANTELIN TEAM TOM’S)
 
翌20日(日)は、午前10時10分から第7戦のノックアウト予選が開始。Q1は、第6戦の結果を受けてのポイントランキングによって2グループに分けて行われる。そして各グループに上位6名、計12名によって行われるQ2でPPが決定する。この日の予選は、初日よりも開始時刻が1時間遅い。その分かなり気温が上昇するはずで、初日とはまた違うコンディションの中での予選となる。もちろん、それに合わせてセットアップの変更も必要。また初日に納得の結果を出せなかったチームにとっては、巻き返しを図るセッションでもある。その中で誰が速さを見せるのか。2日目はまた違うドライバーがポールシッターとなる可能性も高い。そのあたりも見所だ。
 
そして、初日と同じく第7戦の決勝レースは午後3時15分にスタート。ただし、レース距離は第6戦よりも長く、41周(最大75分)となる。もちろんこの第7戦でも、スタートからオープニングラップにかけての攻防は最初の見どころだ。この第7戦でもドライの場合にはタイヤ交換の義務付けがあるが、第6戦とは違い、交換のウィンドウは設けられていない。今季、すでに鈴鹿サーキットでの第2戦、モビリティリゾートもてぎでの第4戦では、同じように交換のウィンドウがないレースが行われている。その際には、オープニングラップを終えてすぐにタイヤ交換を行ったドライバーが複数現れた。その点、今回の富士でも同じように1周で入るドライバーが出てくるのか。あるいは夏場であるということや、もともとタイヤに厳しいコースということもあり、富士では様相が変わってくるのか。このレースでも各陣営のストラテジーには注目だ。もちろん、結果として誰が勝利の美酒を味わうのかも気になるポイント。ひょっとすると自身初優勝をもぎ取るドライバーが出てくる可能性もある。
 
ポイントランキング・4位 41Pts. 岩佐歩夢(TEAM MUGEN)
 
昨年は、この富士大会から坪井が大きく飛躍。タイトル獲得への流れを作ったが、今季もその坪井が富士で輝きを見せるのか。あるいは今季とにかくどのサーキットでも安定した強さを見せている牧野が、富士での自身初優勝をもぎ取ってシリーズ後半戦に勢いを繋ぐのか。はたまた若さと自信に溢れる太田格之進(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)が、富士でも観客を魅了するのか。虎視眈々とリベンジを狙っている野尻の今シーズン初勝利や、ここまで勝てそうで勝てていない岩佐の初優勝にも期待がかかる今回のレース。他にも、真夏の太陽にようにギラギラと心をたぎらせているドライバーが多数いるだけに、最初から最後まで目が離せない展開となりそうだ。
 

pagetop