2025年第6戦富士大会予選 野尻智紀が今季4回目のポール・ポジションを獲得
2025.07.19
予選1位 野尻智紀(TEAM MUGEN)
日本各地の学校が夏休みに入った7月19日(土)。早朝から多くの家族連れが訪れた静岡県・富士スピードウェイでは、午前9時10分から全日本スーパーフォーミュラ選手権第6戦のノックアウト予選が行われた。この予選で今季4回目のPPを獲得したのは、野尻智紀(TEAM MUGEN)。野尻は通算PP回数を23まで伸ばし、自身の持つ最多PP記録を更新した。これに僅差で続いたのは、昨年の富士で圧倒的な強さを見せた坪井翔(VANTELIN TEAM TOM’S)。3番手には昨年も富士で好調ぶりを見せた福住仁嶺(Kids com Team KCMG)と続いた。
雲が出がちな夏にしては珍しく、朝から富士山がクッキリと姿を現した富士スピードウェイ。前日以上に陽射しが強く感じられる中、午前9時10分からは10分間で争われるAグループのQ1が始まった。この時点で気温は28℃、路面温度は38℃。前日に行われたフリー走行よりはかなり路面温度が低かった。また、フリー走行時に強く吹いていた追い風も弱まっており、大きくコンディションが違う中で予選が開始されている。今回、ポイントランキングをもとにAグループに振り分けられたのは、坪井、ザック・オサリバン(KONDO RACING)、太田格之進(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)、福住、Juju(HAZAMA ANDO Triple Tree Racing)、大嶋和也(docomo business ROOKIE)、野尻、オリバー・ラスムッセン(ITOCHU ENEX WECARS TEAM IMPUL)、小高一斗(KDDI TGMGP TGR-DC)、阪口晴南(SANKI VERTEX PARTNERS CERUMO・INGING)、佐藤蓮(PONOS NAKAJIMA RACING)の11台。コースがオープンされると、太田、野尻、坪井、福住といった順でまもなく全車がユーズドタイヤを装着してコースに入る。アウトラップを終えると、太田、福住、佐藤、オサリバン、小高、ラスムッセン、阪口はすぐにピットイン。佐藤は、まもなくもう一度コースに出ると、再度ピットインしタイヤの内圧調整を行なった。野尻、坪井、大嶋、Jujuはもう1周してからピットに戻り、ニュータイヤに履き替える。セッション開始から4分という所では、オサリバンや福住、小高、阪口、太田、ラスムッセンらアウトラップに加えて2周のウォームアップをしてからアタックに入る予定のドライバーたちがニュータイヤでコースイン。残り5分余りとなったところでは、野尻、坪井、佐藤らウォームアップ1周でアタックするドライバーたちがコースに向かった。そして、残り4分という所で最後に大嶋がコースインしている。ここで2周のウォームアップを終えて真っ先にアタックに向かったのは、福住。福住は1分22秒884と、いきなり22秒台に突入してきた。その後、まもなくチェッカーが提示されると、野尻が1分22秒697をマークし、福住を上回ってくる。しかし、これに続いてアタックしていた坪井が、野尻を上回る1分22秒570を叩き出し、トップに浮上。その後、坪井のタイムを上回ったドライバーはおらず、坪井はトップでQ1を締めくくる。2番手には野尻。これに阪口、太田と続き、福住は5番手。佐藤が6番手に滑り込み、ここまでがQ1を突破している。一方、大嶋、ラスムッセン、小高、走路外走行の判定で自己ベストタイム抹消となったJuju、オサリバンは、残念ながらQ2に駒を進めることができなかった。
予選2位 坪井翔(VANTELIN TEAM TOM’S)
5分間のインターバルを経て、10分間で争われるBグループのQ1が始まったのは午前9時25分。今回、Bグループには、山下健太(KONDO RACING)、牧野任祐(DOCOMO TEAM DANDELION RACING) 、小林可夢偉(Kids com Team KCMG)、三宅淳詞(ThreeBond Racing)、岩佐歩夢(TEAM MUGEN)、高星明誠(ITOCHU ENEX WECARS TEAM IMPUL)、野中誠太(KDDI TGMGP TGR-DC)、サッシャ・フェネストラズ(VANTELIN TEAM TOM’S)、大湯都史樹(SANKI VERTEX PARTNERS CERUMO・INGING)、小出峻(San-Ei Gen with B-Max)、イゴール・オオムラ・フラガ(PONOS NAKAJIMA RACING)の11台が振り分けられた。
セッションが始まると、まずは牧野がコースイン。ところが牧野に続いてピットロードを進んだ岩佐が出口でストップし、その後方に、他のドライバーたちが行列を作って止まる事態が発生する。これは牧野の通過後、ピットロード出口のシグナルが突如、赤になったため。計時システムにも問題が発生しており、このセッションは午前9時35分から仕切り直されることとなった。
仕切り直しのセッションが始まると、牧野を先頭に、岩佐、フェネストラズ、フラガ、山下、大湯、高星、野中、三宅といった順でユーズドタイヤを装着してコースイン。セッション開始1分という所で小出、それに続いて可夢偉もコースに入った。アウトラップを終えてピットに入ったのは、山下、高星、野中、三宅、小出、可夢偉。その他のドライバーたちは、もう1周走ってからピットに戻り、ニュータイヤに履き替えている。セッション開始から4分という所では、三宅と小出がニュータイヤで真っ先にコースイン。その30秒後には、高星、野中、山下もコースに向かう。このタイミングでコースに入ったドライバーたちは、アウトラップに加えて、2周ウォームアップを走ってからアタックに入った。これに対して、セッション開始から5分近くなってコースにむかった牧野、フラガ、岩佐、可夢偉らは1周のウォームアップからアタックに向かっている。アウトラップでもポジションの入れ替わりがあり、この中で真っ先にアタックに突入したのは、フラガ。フラガはチェッカー目前にコントロールラインに戻り、1分23秒093というタイムを刻む。続いてアタックしたフェネストラズは1分23秒320と、フラガには届かなかった。ここでチェッカーが提示されると、牧野は1分23秒250と、フラガには届かず。しかし、続いてアタックしていた岩佐は、1分22秒675と、22秒台のタイムを叩き出す。その後、岩佐のタイムを上回ったドライバーはおらず、岩佐はトップでQ1を通過。アタックをもう1周続けたフラガが最後に自己ベストを更新し、1分23秒049で2番手。これに大湯、牧野、小出、可夢偉と続き、ここまでがQ1を突破。一方、僅差ながら、フェネストラズ、山下、三宅、野中、3コーナーでの走路外走行のためベストタイム抹消となった高星はQ2に駒を進めることができなかった。
予選3位 福住仁嶺(Kids com Team KCMG)
10分間のインターバルを経て、いよいよPPを決定づける7分間のQ2が始まったのは、午前9時55分。この時点では、気温が31℃、路面温度が43℃まで上昇している。このセッションでは、どのドライバーも最初からニュータイヤを装着。開始から1分という所で、まずはウォームアップを2周予定していた太田がコースへと向かう。その1分後には、1周のウォームアップでアタックに入る予定だった野尻、福住、大湯、牧野、阪口、可夢偉、佐藤、フラガ、坪井、小出、そして最後に岩佐という順で全車がコースへと入っていった。この中で真っ先にアタックに入ったのは、野尻。野尻はチェッカー目前にコントロールラインを切ると、1分22秒417というタイムを叩き出す。これに続いてアタックした福住は1分22秒773、大湯は1分22秒784。ここでチェッカーが提示されると他のドライバーたちも続々と戻ってくるが、誰も野尻のタイムを上回ることができなかった。セクター2まで野尻を上回っていた坪井も、セクター3でタイムロス。1分22秒438と、野尻には100分の2秒ほど及ばなかった。その結果、野尻は今季4回目となるPPを獲得。富士では2023年の第2戦以来のPP獲得となった。2番手には坪井、3番手には福住。以下、大湯、岩佐と続き、ポイントランキングトップの牧野は6番手。さらに、阪口、フラガ、可夢偉、佐藤、小出と続き、3コーナーでの走路外走行のため自己ベストタイムを抹消されたランキング2位の太田は12番手にとどまった。
午後3時15分からはいよいよ第6戦の決勝レースが行われるが、野尻がこのまま今季初優勝を果たすのか。あるいは富士をホームコースとする坪井が逆転するのか。獲得ポイントによってはランキングにも変動がありそうな1戦だけに、スタートからチェッカーまで目が離せない争いとなりそうだ。
予選1位 野尻智紀(TEAM MUGEN)