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2025年 第7戦富士大会 太田格之進が坪井の富士連覇を阻止する今季3勝目!!

2025.07.20

第7戦 決勝1位 太田格之進(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)

 
午前中のノックアウト予選から4時間余りのインターバルを経て、当初の予定では午後3時15分にフォーメーションラップがスタートするはずだった全日本スーパーフォーミュラ選手権第7戦。しかし、レコノサンスラップ中、計時に思わぬトラブルが発生したことで、予定は42分遅れることとなり、フォーメーションラップがスタートしたのは午後3時57分となった。そこから行われた41周のレースでは、随所でバトルが勃発。中盤にはセーフティーカーも導入されるハプニングもあり、終盤も激しいポジション争いが繰り広げられた。その結果、予選2番手から逆転して今季3勝目をマークしたのは、太田格之進(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)。序盤にタイヤ交換を行い、セーフティーカー導入と同時にトップに立ったものの、最後は太田の逆転を許した岩佐歩夢(TEAM MUGEN)が2位。PPスタートの坪井翔(VANTELIN TEAM TOM’S)は第6戦ほどのレースペースがなく、3位表彰台という結果となった。ランキングでは坪井が87までポイントを伸ばしてトップを守っているが、第7戦の結果を受けて84ポイントとなった太田が2位に浮上。坪井に肉薄する形となっている。
 
スタンドを多くの観客が埋め尽くす中、午後2時28分から、第7戦に向けてのスタート進行が始まった静岡県・富士スピードウェイ。ドライバーたちは10分間のレコノサンスラップに入り、ピットロード出口がクローズされる午後2時38分までにはコースに出てダミーグリッドに向かう予定となっていた。しかし、この時点で多くのドライバーたちのマシンに積んでいる計測装置、トランスポンダーのバッテリー低下。コントロールタワーで計時ができないという状況となる。そのため、タワーからの指示で、全車がピットガレージに戻された。その問題を解決すると、午後3時10分から改めて10分間のレコノサンスラップが開始。これを受けて、フォーメーションラップスタートも午後3時57分となっている。この時点で、富士の空にはかなり雲が広がり、風にも涼しさが感じられるようになってきていたが、フォーメーションスタート時には、まだ気温が31℃、路面温度が50℃まで上がっていた。
 

 
そんな中、22台のマシンは1周の隊列走行へ。それを終えると、正規のグリッドに着いた。全車が正規グリッドに着くと、後方でグリーンフラッグが振られ、シグナルオールレッドからブラックアウト。41周先のゴールに向けて、全員が一気に加速した。ここでホールショットを奪ったのは、2番手スタートの太田。坪井は出足が鈍った。しかし、坪井は、その後の加速で挽回。1コーナーでは太田のアウトに並びかける。ここではトップの太田がポジションを守ったが、坪井はその後も太田を猛追。ダンロップコーナーのブレーキングでは太田がたまらず少しオーバーランする形となり、その先の13コーナーでは坪井がトップのポジションを取り戻した。これに続いたのは、やはり好スタートを切ってコカ・コーラコーナーで佐藤蓮(PONOS NAKAJIMA RACING)を攻略した大湯都史樹(SANKI VERTEX PARTNERS CERUMO・INGING)。オープニングラップを終えてのオーダーは、坪井、太田、大湯、佐藤、岩佐、イゴール・オオムラ・フラガ(PONOS NAKAJIMA RACING)、牧野任祐(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)、小林可夢偉(Kids com Team KCMG)、サッシャ・フェネストラズ(VANTELIN TEAM TOM’S)、阪口晴南(SANKI VERTEX PARTNERS CERUMO・INGING)となっていた。その後方ではバトルの中で高星明誠(ITOCHU ENEX WECARS TEAM IMPUL)とJuju(HAZAMA ANDO Triple Tree Racing)が接触する場面も発生している。
 
さて、このレースも、タイヤ交換の義務付けはあったが、第6戦とは違い、交換のウィンドウは設けられていない。そこで、オープニングラップを終えると、まずは福住仁嶺(Kids com Team KCMG)が真っ先にピットイン。Jujuとの接触でタイヤにダメージを負った高星、フロントウィングにダメージを負ったJujuもピットロードに滑り込む。さらに、2周を終えたところでは、フラガがピットイン。しかし、フラガは福住の後ろでコースに戻ることとなった。さらに、4周を終えたところでは、小出峻(San-Ei Gen with B-Max)もピットに入っている。
 
トップ争いは膠着。3周を終えたところでは、坪井が太田に対してコンマ927と1秒近くまで差を広げていたが、ここから太田は坪井に食らいつき、2台の差はコンマ7〜8秒で推移した。この2台に対して、3番手に浮上した大湯は次第に引き離される形となり、5周を終えたところで太田と大湯には2秒以上まで開いている。その大湯に佐藤が追いついてきた。そんな中、上位集団でも動きが。5番手につけていた岩佐が7周を終えたところでピットインし、タイヤ交換を行う。また、大湯に追いついた佐藤は8周目の最終コーナーからスリップに入り、9周目の1コーナーではオーバーテイクに成功する。これで佐藤が3番手に浮上。ポジションを落とした大湯は、この周を終えると、タイヤ交換のためにピットロードに滑り込んだ。しかし、コースに戻った時には、岩佐が先行。大湯は1コーナーで福住、100Rではフラガにもかわされることとなり、さらにポジションを落とした。ここから大湯とフラガは数周に渡って、丁々発止のバトルを展開。16周目にはようやく大湯が前に出ることに成功するが、バトルを演じたことで2台は大きくタイムを失う結果となっている。一方、この2台のバトルが激しくなる中、不運に見舞われたのは福住。12周目の300Rで、左フロントタイヤが突然脱落。早目のタイヤ交換によって巻き返しを狙った福住だったが、ここでレースを終えることとなった。
 
このあたりから、次第に差が詰まってきたのは2番手争い。大湯をかわした佐藤は、トップの坪井、2番手の太田を上回るペースで、少しずつ追いついていく。10周を終えたところで、太田と佐藤の差は3秒706だったが、15周を終えたところでその差は2秒415まで縮まってきた。この15周終了時には、佐藤の後ろにいた可夢偉がピットイン。タイヤ交換を行なっている。また、佐藤と同様、トップ2台との見えない差を削ってきていたのがタイヤ交換した中で一番前にいた岩佐。岩佐は交換直後に44秒832あった坪井との差を15周終了時点で40秒344まで縮めてきている。
 

 
そして、思わぬアクシデントが起こったのは18周目。野中誠太(KDDI TGMGP TGR-DC)がダンロップコーナーでオーバーシュートした後、ゆっくりコースに戻ろうとしたところ、13コーナーで福住と同じく左フロントタイヤが脱落。これにより、コース上にはセーフティーカーが導入された。そのため、18周を終えたところで、坪井、太田、佐藤、牧野、フェネストラズ、阪口ら、まだタイヤ交換を行なっていなかったドライバーたちが全員ピットロードに雪崩れ込んだ。ここでトップの入れ替わりが起こることになる。坪井がピット作業を終えてピットロード出口に向かうが、第2セーフティーカーラインでは、すでにタイヤ交換を終えていた岩佐が前。これで岩佐がトップに立つことになる。坪井は2番手、太田は3番手。これに佐藤、セーフティーカー導入前にタイヤ交換を行なっていた可夢偉と大湯、フラガが続く。牧野は太田と同時ピットインだったため、8番手にドロップ。フェネストラズも坪井との同時ピットで9番手。さらに、山下健太(KONDO RACING)、大嶋和也(docomo business ROOKIE)と続いた。
 

 
野中のマシンだけでなく、コース上に落ちていたデブリの回収もあったため、セーフティーカーランは5周あまりにわたって続き、レースがリスタートしたのは24周終了時。後ろにいる坪井や太田よりも11周多くタイヤを使っているトップの岩佐はコントロールライン手前からようやく加速を開始し、追撃を凌ぐ。その後ろでは、太田が坪井に襲いかかり、1コーナーではアウトから並びかけたが、坪井がポジションを守り切る。4番手争いでも、可夢偉が1コーナーで佐藤に迫っていった。さらに、その後方では、7番手争いのフェネストラズと牧野の争いが白熱。牧野は26周目の1コーナーからフェネストラズに並びかけると、コカ・コーラコーナーでひとつポジションを上げた。だが、その翌周には、フェネストラズが再逆転。27周目の1コーナーで牧野に並びかけ、やはりコカ・コーラコーナーで前に出ることに成功した。これと同じ頃、レース結果に5秒加算というペナルティーを科せられることになったのは、4番手を走行中の佐藤。佐藤はセーフティーカーラン中にタイヤ交換したが、コースに出た直後の1コーナーでコースオフ。これによってペナルティを受けることとなった。
 
トップ争いに関しては、3台がそれぞれコンマ5秒ほどの差で争っていたが、残り10周余りとなったところからは、争いが激化。まずは2番手を走行中の坪井が、30周目にオーバーテイクシステム(OTS)を使いながら、岩佐の攻略に動く。残っていたOTSを使い切る勢いで、坪井は1コーナーからコカ・コーラコーナー、ADVANコーナーと岩佐に揺さぶりをかけ、ダンロップコーナーではアウトから並びかける。しかし、岩佐はポジションを明け渡さなかった。このバトルを見て、30周目の最終コーナーからOTSを作動させ、坪井の攻略に動いたのが太田。太田は1コーナーでアウトから坪井に並びかけると、コカ・コーラコーナーではオーバーテイクを実らせ、2番手に浮上してくる。さらに、太田は33周目の1コーナーで岩佐を一気に抜き去りトップに浮上。そのまま残り9周を走り切って、今季3勝目を挙げた。太田にとっては、富士での初優勝となる。2位には早めのタイヤ交換から坪井の追撃を凌いだ岩佐。PPスタートの坪井は3位にポジションを落としてレースを終えることとなった。これに続いたのは、33周目に佐藤を攻略した可夢偉。佐藤は5位でチェッカーを受けたが5秒加算されたため、リザルト上はフェネストラズが5位。佐藤は6位。以下、大湯、山下、後半ポジションを落とした牧野、阪口とのバトルを制した大嶋までがポイントを獲得している。
 
この2連戦の結果、ランキングでは87ポイントの坪井がトップ。84ポイントの太田が2位。73ポイントで牧野、67ポイントで岩佐、57ポイントで野尻と続いている。次戦は、8月9日(土)〜10日(日)の第8戦。舞台は杜の都・仙台郊外のスポーツランドSUGOに移るが、例年多くのハプニングが起こる菅生で、今年は誰が勝利の美酒を味わうのか。非常に楽しみだ。
 
第7戦 決勝1位 太田格之進(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)

 
第7戦 決勝2位 岩佐歩夢(TEAM MUGEN)

 
第7戦 決勝3位 坪井翔(VANTELIN TEAM TOM’S)

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