第9戦 富士大会予選 VANTELIN TEAM TOM’Sが3年振りのフロントロウ独占 第9戦予選
2025.10.11
3年振りのフロントロー独占 VANTELIN TEAM TOM’Sサッシャ・フェネストラズと坪井翔
午前・午後ともにドライコンディションで行われたフリー走行から一夜明けた10月11日(土)の静岡県富士スピードウェイ。あいにく前夜遅くから天気が崩れ、この日は朝から雨が降り続いた。路面も完全なウェットコンディション。そんな中、午前10時10分からは全日本スーパーフォーミュラ選手権 第9戦のノックアウト予選が行われた。Q1は順当に進んだが、Q2では、終盤に岩佐歩夢(TEAM MUGEN)が100Rでハイドロを起こしてコースオフ、クラッシュしたため、赤旗が提示される波乱の展開。結局、セッションはこのまま終了となった。岩佐はトップタイムをマークした直後のクラッシュだったが、赤旗の原因を作ったということで全タイム抹消。その結果、PPを獲得したのはサッシャ・フェネストラズ(VANTELIN TEAM TOM’S)だった。これに続いたのは、坪井翔(VANTELIN TEAM TOM’S)。VANTELIN TEAM TOM’Sがフロントロウを独占している。3番手につけたのは、野尻智紀(TEAM MUGEN)。以下、牧野任祐(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)、佐藤蓮(PONOS NAKAJIMA RACING)、大湯都史樹(SANKI VERTEX PARTNERS CERUMO・INGING)、太田格之進(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)と続いている。岩佐は12番手からのス&タートとなった。
第9戦予選1位 サッシャ・フェネストラズ(VANTELIN TEAM TOM’S)
前夜遅くから雨が降り始めた御殿場周辺。富士スピードウェイも、11日(土)は路面がしっとりと濡れた状態で朝を迎えた。この雨は、時折霧雨のようになったり、本格的に降ったりと、強弱を繰り返す。全日本スーパーフォーミュラのノックアウト予選が開始される時間が近づいてくると、一旦はほとんど雨が止むという状況となったが、午前10時丁度にはWET宣言が出されている。そして、午前10時10分。気温17℃、路面温度20℃というコンディションの中で、10分間で争われるAグループのQ1が始まった。今回、ポイントランキングを元にして、Aグループに振り分けられたのは、ザック・オサリバン(KONDO RACING)、牧野、福住仁嶺(Kids com Team KCMG)、三宅淳詞(ThreeBond Racing)、大嶋和也(docomo business ROOKIE)、岩佐、オリバー・ラスムッセン(ITOCHU ENEX WECARS TEAM IMPUL)、小高一斗(KDDI TGMGP TGR-DC)、フェネストラズ、阪口晴南(SANKI VERTEX PARTNERS CERUMO・INGING)、佐藤の11台。ピットロード出口がオープンされると、牧野を先頭に岩佐、フェネストラズ、福住、佐藤といった順でまもなくほとんどのドライバーがレインタイヤを装着してコースイン。少しピットで待機し、開始から1分というところで、最後に大嶋もレインタイヤを装着してコースに入った。ここから、各車はピットに戻ることなく、走り続ける。その中で、まず最初に1分33秒422というタイムを刻んでトップに立ったのは、視界がクリアな中で走った牧野。これに岩佐が1分33秒543で続く。この翌周、タイヤに熱が入ってくると、牧野はさらにタイムアップし、1分32秒909をマークするが、岩佐はこれを上回り、1分32秒497までタイム伸ばした。これに続いて、牧野のタイムを上回ったのは、フェネストラズ。フェネストラズは、ここで1分32秒723というタイムをマークしてくる。さらに、その翌周もフェネストラズはプッシュを続行。1分32秒330をマークして、残り時間約1分半というところでトップに立つ。しかし、その後も順位は目まぐるしく変わり、残り時間が約1分となったところでは、阪口が1分32秒182をマークしてトップに浮上。残り時間が5秒となったところでは、岩佐が1分31秒884を叩き出して、トップに浮上した。この岩佐のタイムをその後上回ったドライバーはおらず、岩佐はトップでQ1を突破。阪口、フェネストラズ、牧野、オサリバン、佐藤までがQ1を通過することとなった。一方、わずかに及ばず、Q2進出を逃したのは、福住、大嶋、小高、ラスムッセン、三宅の5人だった。
第9戦予選2位 坪井翔(VANTELIN TEAM TOM’S)
5分間のインターバルを経て、同じく10分間で争われるBグループのQ1が始まったのは、午前10時25分。今回、Bグループに振り分けられたのは、坪井、山下健太(KONDO RACING)、太田、小林可夢偉(Kids com Team KCMG)、Juju(HAZAMA ANDO Triple Tree Racing)、野尻、高星明誠(ITOCHU ENEX WECARS TEAM IMPUL)、野中誠太(KDDI TGMGP TGR-DC)、大湯、小出峻(San-Ei Gen with B-Max)、イゴール・オオムラ・フラガ(PONOS NAKAJIMA RACING)の11人だった。セッションが開始される頃になると、一旦止みかけていた雨が本格的に降り始め、路面の水の量も増え始める。そんな中、ピットロード出口がオープンされると、太田を先頭に野尻、坪井、フラガ、山下といった順でほとんどのドライバーがレインタイヤを装着してコースに入っていく。一方、可夢偉と高星は、開始から1分半ほど待ってから、やはりレインタイヤを装着して、コースに入って行った。Aグループと同様、ここからは誰もピットに戻ることなく、周回を重ねていく。この中で、まずトップに立ったのは、1分35秒248というタイムを刻んだ可夢偉。これに太田が続く。しかし、坪井が1分34秒478というタイムをマークして、セッション半ば、残り時間が5分となったところでトップに立った。さらに残り時間が4分となったところでは、山下が坪井を上回る1分34秒476をマークしてくるが、各車この翌周にはさらにタイムアップ。可夢偉が1分33秒996と、33秒台に入ったのを皮切りに、太田が1分33秒833、野尻が1分33秒636、坪井が1分33秒486、山下が1分33秒326と、目まぐるしくトップが入れ替わっていく。さらに、その翌周、残り時間が1分半ほどとなったところでは、野尻が1分32秒993と、いよいよ32秒台に突入。これに続いて、山下が1分32秒907をマークして、この時点でのトップに立った。そして、いよいよチェッカー周。野尻はここで1分32秒905と、山下のタイムを1000分の2秒上回ってくる。さらに、最後のアタックで大きくタイムを伸ばしたのが坪井。坪井は、チェッカーを受けると同時に、1分32秒725というタイムを叩き出した。その後、坪井のタイムを上回ったドライバーはおらず、坪井はトップでQ1を突破。野尻、山下、最後のアタックでタイムを上げた太田、フラガ、大湯までがQ1を突破している。一方、残念ながらQ2に駒を進めることができなかったのは、小出、可夢偉、高星、野中、Jujuとなっている。
第9戦予選3位 野尻智紀(TEAM MUGEN)
10分間のインターバルを経て、いよいよPPを決定づける7分間のQ2が始まったのは、午前10時45分。相変わらず本格的に雨が降る中、ピットロード出口がオープンされると、牧野を先頭に、太田、野尻、岩佐、フェネストラズ、佐藤、フラガ、山下、オサリバンといった順で全車が続々コースイン。セッション開始から約1分半というところで、最後にコースに入って行ったのは、セット変更に時間を要したという坪井だった。アウトラップからタイヤを温めるためにプッシュしていたドライバーたちは、計測ラップに入ると、滑りやすい路面に時折足を取られながら、コースを攻める。その中で、セッションの残り時間が約1分半となったところで、岩佐が1分33秒196をマークし、その時点でのトップに立つ。これに続いてアタックしていたフェネストラズも1分33秒967と、33秒台に入ってきた。さらに、坪井も1分34秒123で、フェネストラズに続く。ここから各車チェッカーに向けて、さらにタイムアップしていくものと見られた。ところが、ここで赤旗が提示され、セッションは中断される。これは岩佐がコカ・コーラコーナーの立ち上がりでハイドロのためにスピンし、100R外側のタイヤバリアにクラッシュしたため。岩佐のマシン回収、またタイヤバリア回りの補修のため、他のドライバーたちはピットに待機することとなった。しかし、雨脚がますます強くなったこともあり、競技団は赤旗によってQ2を終了することを決定。岩佐は赤旗の原因をつくつたということで、全タイム抹消となった。その結果、赤旗前に2番手のタイムをマークしていたフェネストラズがPPを獲得。2番手に坪井、3番手に野尻がつけることとなった。ここまでポイントランキングトップの坪井がフロントロウからスタートするのに対し、ランキング2位の岩佐は12番手からのスタート。さらに、ランキング3位の太田は8番手、ランキング4位の牧野は4番手、ランキング5位の野尻が3番手から午後のレースをスタートする。決勝レースも雨と予想されているが、坪井がライバルたちとのポイント差をさらに広げるのか? あるいは坪井を追う立場のドライバーたちが、雨中の逆転劇を見せるのか。予選と同様、決勝も予測できない展開となりそうだ。