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瑶子女王杯 2025年 第11戦決勝 野尻智紀が今季初優勝!

2025.11.22

第11戦 決勝1位 野尻智紀(TEAM MUGEN)

 
穏やかな小春日和となった11月22日(土)、三重県鈴鹿サーキットでは、「瑶⼦⼥王杯 2025 年 全⽇本スーパーフォーミュラ選⼿権 第 10・11・12 戦 第 24 回JAF 鈴⿅グランプリ」最初のレースとなる、第11戦の決勝レースが行われた。フォーメーションラップでトラブルに見舞われたマシンがあったため、スタートは一旦ディレイ。当初の予定より1周減算され、26周となったこのレースは、午後2時45分にフォーメーションラップが再スタート。オープニングラップからアクシデントが発生しただけでなく、ちょうどタイヤ交換のウィンドウが開く直前にも大きなアクシデントがあり、セーフティーカーが2度に渡って導入された。その結果、コース上の全車が同時ピットインを行う波乱の展開となっている。その結果、スタートでトップに立った後、ポジションを守り切った野尻智紀(TEAM MUGEN)が今季初優勝。好スタートを決めたイゴール・オオムラ・フラガ(PONOS NAKAJIMA RACING)が2位、同じくスタートでポジションを上げた牧野任祐(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)が3位表彰台を獲得した。さらに、ポイントリーダーの坪井翔(VANTELIN TEAM TOM’S)が予選9番手から4位までポジションを上げてフィニッシュ。スタートで大きくポジションを落としたものの、そこから数々のオーバーテイクを成功させた太田格之進(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)が5位でチェッカーを受けた。一方、序盤のアクシデントで姿を消したのが、PPスタートの岩佐歩夢(TEAM MUGEN)。そのため、ポイントランキングでは、岩佐と太田が同ポイントとなっている。
 

 
午前中の予選が終わってから3時間半余り。気温が20℃、路面温度が26℃というコンディションの下、午後2時30分にフォーメーションタートする。この頃になると、メインストレートには追い風が吹くコンディションとなっていた。22台のマシンは、無事にダミーグリッドを離れて走り始めたが、バックストレートでは異変が発生。10番グリッドの小高一斗(KDDI TGMGP TGR-DC)がマシンをストップさせる。これは小高のスロットルが突然全開状態となったため。小高は危険回避のために、エンジンを切りマシンを止めた。そのため、スタートはディレイすることが決定する。小高のマシン回収が終わると、仕切り直しのフォーメーションラップは、午後2時45分にスタート。今度は小高を除く21台のマシンが1周の隊列走行へと向かった。
 
そして、全車が正規グリッドに着くと、後方でグリーンフラッグが振られ、シグナルオールレッドからブラックアウト。ここで抜群の動き出しを見せたのは、2番グリッドの野尻だった。一方、PPの岩佐は以前からシステム的に問題を抱えることがあったスタートで、出足が一瞬鈍った。そのため、1コーナーでは野尻がトップに立ち、岩佐は2番手。さらに、3番グリッドから好スタートを決めたフラガが岩佐に迫る。そして、逆バンクでは、フラガの左フロントと岩佐の右リヤタイヤが接触。岩佐はそのままコースアウトし、クラッシュしてしまう。これにより、コース上にはセーフティーカーが導入された。オープニングラップを終えてのオーダーは、野尻、フラガ、佐藤蓮(PONOS NAKAJIMA RACING)、牧野、福住仁嶺(Kids com Team KCMG)、好スタートを決めた坪井、大嶋和也(docomo business ROOKIE)、山下健太(KONDO RACING)、スタートでポジションを落としたサッシャ・フェネストラズ(VANTELIN TEAM TOM’S)、大湯都史樹(SANKI VERTEX PARTNERS CERUMO・INGING)、小林可夢偉(Kids com Team KCMG)。スタートでアンチストールが入ってしまったという太田は12番手までドロップしてしまった。
 

 
岩佐のマシン回収が終わり、レースがリスタートしたのは5周終了時。トップに立った野尻は、ここからオーバーテイクシステムを作動させながら逃げを打ち、フラガの追撃を振り切った。そこからは上位3台はこう着状態に入ったが、その後方では坪井が前を行く福住に迫る。坪井は7周目のシケイン入り口で福住をオーバーテイクし、5番手に浮上した。また、その翌周には大嶋も福住を攻略。6番手に浮上してくる。その後方では、9周目の1コーナーで太田が可夢偉を豪快にオーバーテイク。1つポジションを上げてきた。しかし、その直後、同じ1コーナーでアクシデントが発生。これはオリバー・ラスムッセン(ITOCHU ENEX WECARS TEAM IMPUL)をかわそうとしたザック・オサリバン(KONDO RACING )がオーバースピードで1コーナーに入って行ったため。オサリバンはスピンしながらコースオフし、リヤからタイヤバリアにクラッシュした。コース上には即座に2回目のセーフティーカーが導入される。これが9周目に入った時点だったため、10周を消化したところでは、コース上にいる全車がタイヤ交換のため、ピットロードになだれ込んだ。このタイヤ交換を終え、真っ先にコースに戻ったのは野尻。これにフラガ、牧野、坪井、大嶋、福住、山下、大湯、ラスムッセン、フェネストラズ、太田と続く。3番手を走行していた佐藤は、Wピットのため、フラガの作業を待たねばならず、大きくポジションを落とすこととなった。
 
第11戦 決勝2位 イゴール・オオムラ・フラガ(PONOS NAKAJIMA RACING)

 
そして、オサリバンのマシン回収が終わり、レースがリスタートしたのは、11周終了時点。フラガはここでオーバーテイクシステムを作動させ、野尻に迫ったが、野尻もヘアピンあたりから同じくオーバーテイクシステムを使って応戦。この接近戦が数周に渡って続いたが、野尻はポジションを守り切った。また、リスタートではタイヤ交換でひとつポジションを上げた坪井も牧野に迫るが、こちらも牧野がガッチリとポジションを守っている。その後方では、リスタートから1周の間に太田がフェネストラズ、ラスムッセン、大湯の3台をかわしてポジションを上げてくる。太田はその後も「予選の時ぐらいアクセルを踏んでいった」というキレた走りで次々にオーバーテイクを見せる。14周目の130R進入では山下、16周目の1〜2コーナーにかけてはアウトから福住をかわしていった。太田の勢いはその後も止まらず、18周目のシケイン進入では、イン側から大嶋をオーバーテイク。太田はいよいよ坪井に迫るところまで浮上してきた。
 
第11戦 決勝3位 牧野任祐(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)

残り10周を切ってから、トップ争いは野尻がジリジリと差を広げていく展開。フラガのタイムが1分40秒台前半まで落ちていった一方、野尻は1分39秒台のタイムをコンスタントに並べ、20周を終えたところでその差は2秒833まで開いた。また、3番手の牧野も「タイヤ交換をしてから前を追うだけのペースがなかった」ということで、フラガとの差は2秒733まで開く。さらに坪井もトップ3台に迫るだけの速さはなく、我慢のレース。その坪井の背後には、自己ベストを更新しながら周回する太田がジワジワと迫り、2台の差は23周を終えたところで0.948秒、24周を終えたところで0.732まで縮まってくる。しかし、タイヤとオーバーテイクシステムをセーブしていたという坪井は、最後に猛プッシュ。太田の追撃を振り切った。一方、スタートでトップに立った野尻は、堂々のレースを展開して、今季初のトップチェッカー。昨年の第3戦・SUGO以来、久々の優勝を果たした。2位には、これがここまでの自己ベストリザルトとなったフラガ。フラガは今日のレースの結果、ルーキー・オブ・ザ・イヤーを決定した。そして3位には7番手からスタートした牧野。以下、坪井、太田、大嶋、福住、フェネストラズ、佐藤、三宅までがポイントを獲得している。
 

 
このレースの結果、坪井は112.5ポイントとなりランキングトップの位置をキープ。これに96ポイントの岩佐、同ポイントの太田、92ポイントの牧野、87.5ポイントの野尻と続き、タイトル争いの熾烈さは増している。明日、23日(日)は、午前中に第10戦、午後には第12戦の決勝レースが行われるが、最後に笑うのは誰なのか。何が起こるか全く分からない展開となりそうだ。
 

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