2025年 合同テスト・ルーキーテストが始まる 初日はイゴール・オオムラ・フラガが総合トップタイム
2025.12.11

岩佐歩夢(TEAM MUGEN)がチャンピオンタイトルを獲得した最終戦から、2週間余り。12月10日(水)〜12日(金)にかけて、三重県・鈴鹿サーキットでは、全日本スーパーフォーミュラ選手権の1年を締めくくる合同テスト・ルーキーテストが行われた。このテストには、新規の2チームを加えた15チーム・23台のマシンが参加。ルーキーも含めて、総勢36名のドライバーがステアリングを握ることとなっている。10日の午前中は、岩佐を除く22台が走行。午後のセッション途中からは岩佐が帰国して走り始めた。今回のテストでは、来季から使用される低炭素ガソリン(E10)を使用。このE10は、福島県⼤熊町を拠点にセルロースエタノール燃料の製造技術を研究する raBit が⽣産した国産セルロースエタノールを ENEOS が品質設計。2026年から全日本スーパーフォーミュラ選手権に供給を⾏うものだ。また、燃料リストリクターも従来の90kg/hから88kg/hに絞った状態となっているため、全体的にタイムは最終戦よりも遅めとなった。その中で総合トップタイムをマークしたのは、イゴール・オオムラ・フラガ(PONOS NAKAJIMA RACING)。佐藤蓮(PONOS NAKAJIMA RACING)が2番手、山下健太(Kids com Team KCMG)が3番手となっている。
初日総合トップタイム イゴール・オオムラ・フラガ(PONOS NAKAJIMA RACING)

初日となった10日のセッション1が始まったのは、午前9時。朝から陽射しはあったものの、さすがに12月ということで、この時点での気温は11℃、路面温度も11℃。日陰では肌寒いコンディションとなる。またメインストレートには、弱い追い風が吹いていた。今季レギュラーで走ったドライバーの中で、同じチーム、同じマシンで走ったのは、坪井翔(VANTELIN TEAM TOM’S )、サッシャ・フェネストラズ(VANTELIN TEAM TOM’S)、牧野任祐(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)、太田格之進(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)、Juju(HAZAMA ANDO Triple Tree Racing)、野尻智紀(TEAM MUGEN)、阪口晴南(SANKI VERTEX PARTNERS CERUMO・INGING)、大湯都史樹(SANKI VERTEX PARTNERS CERUMO・INGING)、佐藤、フラガの10名。その他のマシンには、これまでとは違うドライバーが乗り込んでいる。中でも注目されたのは、WRCチャンピオン経験者のカッレ・ロバンペラ(Kids com Team KCMG)やF1経験者のジャック・ドゥーハン(KONDO RACING)らだ。
セッションが始まると、ほとんどのマシンがすぐにコースインし、まずはマシンの状態を確認。一旦ピットに戻ってから、本格的な走行に入る。しかし、午前9時11分には、野村勇斗(San-Ei Gen with B-Max)が2コーナーでストップ。センサーの問題からアクセルが反応しなくなり、マシンを止めた。そのため、セッションは赤旗によって中断される。このマシンの回収が終わると、セッションは9時17分に再開された。この赤旗の時点で計時モニターの一番上にいたのは、1分39秒668をマークしていたザック・オサリバン(ITOCHU ENEX WECARS TEAM IMPUL)。これにフラガが1分39秒946で続き、2台のみが1分39秒台に入っていた。その後、セッション開始から45分を過ぎたあたりで、オサリバンがタイムアップ。1分39秒336をマークしてくる。その15分後には、フラガが1分38秒777と38秒台に入ってくる。さらに10分後には福住仁嶺(docomo business ROOKIE)が1分39秒252とオサリバンのタイムを上回ってきた。その後も、各チームは、用意してきたセットアップメニューをこなしていったが、開始から1時間半ほどが経過したところで、ニュータイヤを投入するドライバーもちらほら。ちなみに、今回のテストでは初日と2日目を合わせてニュータイヤが6セット、3日目のルーキーテスト用に各車に3セットが供給されている。終盤には、多くのドライバーがニュータイヤを使用してタイムアップ。最終的にはフラガが1分37秒429をマークし、トップでセッションを締めくくった。これに続いた牧野は1分37秒437、太田は1分37秒765、佐藤は1分37秒849をマーク。さらに福住が1分37秒950、山下が1分38秒043で続き、5番手、6番手となっている。
初日総合2番手 佐藤 蓮(PONOS NAKAJIMA RACING)

セッション1が11時15分に終わってから、2時間半のインターバルを経て、セッション2が始まったのは午後1時45分。終了時間は当初の予定よりも10分延長することが決定。3時50分から4時までの10分間、4時から4時10分までの10分間は、全車を2つのグループに分け、それぞれアタックシミュレーションができる時間帯を設けることとなった。天候は朝からずっと晴れが続き、セッション開始時点では気温が14℃、路面温度が20℃まで上昇。メインストレートに吹く追い風は、セッション1よりも強くなった。このセッションでは、KONDO RACINGがドライバーとトランスポンダーを入れ替えている。またロバンペラは、セッション1を走行した後、体調不良に陥ったということで、セッション2での走行はキャンセル。新チームとして参加したTEAM GOHの53号車には、セッション1では笹原右京が乗り込んだが、午後からはチャーリー・ヴルツが乗り込んだ。ピットロード出口がオープンすると、各車は続々とコースイン。序盤から福住が1分38秒354というタイムをマークしてくる。牧野も1分38秒377とそれと同等のタイムを序盤から出してきた。そこから各車はセットアップメニューを進めて行くが、この頃ライパルに遅れを取るまいと、成田空港からヘリコプターで鈴鹿サーキットに向かっていたのは、岩佐。岩佐は午後2時半頃に鈴鹿に到着すると、午後2時45分からは走行を開始した。
初日総合3番手 山下健太(Kids com Team KCMG)

各チームはここからセットアップを進めたり、ロングランを行っていたが、午後3時20分頃には佐藤が1分38秒266とトップタイムを更新。その5分後には、山下が1分38秒140と佐藤を上回ってくる。この頃からはニュータイヤを投入するドライバーもおり、ルーキーの野村が1分38秒177という好タイムをマーク。さらに、福住が1分37秒566といよいよ37秒台に入ってきた。さらに、午後3時45分頃には、フラガが1分37秒158と福住のタイムを大きく上回ってくる。また坪井がここで1分37秒600、オサリバンが1分37秒959と37秒台に入ってきた。その後、午後3時50分から午後4時までは2グループに分けたうち、1グループのアタックシミュレーションが行われる。ここで各車はプッシュを見せたが、福住は自己ベスト更新ならず。続く山下が1分37秒142と、この時点で2番手となるタイムをマークしてくる。さらに、佐藤が1分37秒318をマーク。山下を上回ってくるが、フラガには届かなかった。太田も1分37秒705に止まっている。それに続き、午後4時から4時10分には、2グループのアタックシミュレーション。この頃になると路面温度もかなり下がっており、なかなかタイムを伸ばせないドライバーも多かった。また、すでにアタックを終えてここではニュータイヤを使用しなかったドライバーもいる。その中で、自己ベストを更新してきたのは、小林可夢偉(KDDI TGMGP TGR-DC)や阪口、坪井、牧野。しかし、誰もフラガのタイムには届かず。フラガが初日の総合トップとなった。これに佐藤、山下、牧野、坪井、福住、太田、阪口、オサリバン、大湯と続いている。
新規参戦のDELiGHTWORKS RACING 松下信治

2022年以来の参戦となるTEAM GOH チャーリー・ブルツ
