SuperFormula

INFORMATION

野尻智紀が富士を席巻! 開幕大会は2位&優勝で早くもチャンピオンシップをリード

2023.04.09


 
午前中に行われた白熱のノックアウト予選から4時間余り。午後から静岡県富士スピードウェイでは、全日本スーパーフォーミュラ選手権 第2戦の決勝レースが行われた。序盤にセーフティーカーが導入され、ほぼ全車が同時ピットインする展開となったこのレースでは、ドライバーたちが各所で好バトルを演じ、多くのオーバーテイクシーンが見られた。そのレースを制したのは、PPからスタートした野尻智紀(TEAM MUGEN)。2位には坪井翔(P.MU/CERUMO・INGING)、3位には山下健太(KONDO RACING)。開幕戦は序盤でアクシデントに巻き込まれてリタイヤした2人が、今日は巻き返して表彰台に上がって見せた。
 
気温13℃、路面温度32℃というコンディションのもと、フォーメーションラップがスタートしたのは、午後2時30分。それに先立つスタート進行の中では、8分間のウォームアップ走行が行われているが、ここでトラブルに見舞われたのが、平川亮(ITOCHU ENEX TEAM IMPUL)と国本雄資(Kids com Team KCMG)。平川はの車載のコンピュータに問題が発生。また、国本はクラッチにトラブルを抱える。平川はコンピュータを交換して、ダミーグリッドに着き、そこでマシンが正常に作動するかを確認。しかし、これがのちにペナルティー対象となってしまう。一方、国本はトラブルを抱えた状態で一旦ダミーグリッドに着いたものの、症状に改善は見られず、ピットに戻されることに。残念ながら、国本はピットスタートを選択することとなった。また、昨日の開幕戦終盤のアクシデントに対するペナルティーとしてジュリアーノ・アレジ(VANTELIN TEAM TOM’S)は4グリッド降格。今日の予選後にエンジンの換装を行ったということで、関口雄飛(ITOCHU ENEX TEAM IMPUL)は10グリッド降格となり、最後尾からの追い上げを図ることとなった。
 

 
そして、いよいよ午後2時30分になると、野尻を先頭に21台のマシンが隊列走行に入る。1周の隊列走行を終えると、ドライバーたちは正規グリッドにロックオン。後方でグリーンフラッグが振られると、シグナルオールレッドからブラックアウト。41周先のゴールに向けて、各車が一斉にスタートした。ここでホールショットを決め、一気にトップを奪ったのは、3番グリッドからスタートした大湯都史樹(TGM Grand Prix)。まずまずの動き出しを見せた野尻は、2番グリッドの宮田莉朋(VANTELIN TEAM TOM’S)を牽制すべく、一旦イン側にラインを振ったが、2コーナーで少しバランスを崩す形となり、その間に大湯がアウトから野尻の前に出ることに成功した。これに野尻、宮田、坪井、山下と続く。4番グリッドからスタートした開幕戦の勝者、リアム・ローソン(TEAM MUGEN)は、今日のスタートでは少し出足が鈍り、6番手にドロップしている。
オープニングラップを終えると、この上位集団の中でバトルが勃発。オーバーテイクシステムを使いながら、4番手の坪井が、3番手の宮田を攻略し、ひとつポジションを上げてくる。後方ではアレジと小高一斗(KONDO RACING)がダンロップコーナーで軽く接触しながらのバトルを演じるなど、随所で争いが見られた。
その後、4周目の1コーナーでは、山下が宮田を捉え、4番手に浮上。その翌周には、宮田が逆襲に転じ、1コーナーからコカ・コーラコーナーにかけて山下に迫り、一旦は前に出ることに成功。しかし、山下も負けじと再びポジションを取り返した。
ちょうどこの頃、5周目に入ったところで、グリッド上で行った作業が「一般的合意事項違反」と判定され、平川に10秒ストップのペナルティーが提示された。平川はこれに従い、7周を消化したところでピットロードに滑り込む。
 
その間にも、コース上ではバトルが続き、7周目の1コーナーではローソンが宮田をオーバーテイク。8周目の1コーナーでは、アレジと太田格之進(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)がバトルを演じる。しかし、イン側から太田の攻略を狙ったアレジは、太田と軽く接触してスピン、ストップ。これによって、コース上にはセーフティーカーが導入された。
 

 
このセーフティーカーラン中に、タイヤ交換のウィンドウが開き、10周を終えると、平川以外は全車がピットロードになだれ込む。このタイヤ交換作業で、順位にも変動が起こり、野尻が大湯の前に出ることに成功。大湯は、右フロントタイヤの交換に若干時間がかかっただけでなく、後方からファストレーンを走ってきたマシンの通過を待たなければならず、トップを守ることができなかった。また、宮田もここでローソンの前でコースに戻ることに成功。ローソンは野尻との同時ピットインで待たなければならない時間があり、ポジションを落としている。また、牧野任祐(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)や松下信治(B-Max Racing Team)もタイヤ交換でポジションアップに成功した。
 
全車がコースに戻り、隊列が整った時点でのオーダーは、唯一タイヤ交換していない平川を先頭に、野尻、大湯、坪井、山下、宮田、ローソン、牧野、松下、福住仁嶺(ThreeBond Racing)、小林可夢偉(Kids com Team KCMG)、阪口晴南(P.MU/CERUMO・INGING)となった。
その後、アレジのマシン回収が終わり、レースがリスタートしたのは、12周終了時。このリスタートで実質2番手に落ちた大湯がオーバーテイクシステムを使いながら、野尻に迫り、アウト側から前に出ようと狙った。しかし、大湯はここで激しくブレーキロック。前に出ることは叶わなかった。その後方では、ローソンが宮田の前に出ることに成功している。
 
決勝2位 坪井翔(P.MU/CERUMO・INGING)
 
その翌周、14周目の1コーナーでは、今度は坪井がオーバーテイクシステムを稼働。前を行く大湯を捉えた。また、15周目の1コーナーでは、可夢偉が福住を捉え、ポイント圏内に入ってくる。可夢偉は、18周目の1コーナーで、松下もオーバーテイク。次第にポジションを上げてきた。
見た目上のトップを走る平川は、何とかピット作業分のマージンを稼ぐべく、1分24秒台のタイムを連発。しかし、野尻も16周目には1分24秒159のファステストラップをマークするなど、ハイペース。なかなか引き離すことができないでいた。その間にも、上位集団ではバトルが続き、20周目の1コーナーでは山下が大湯に迫る。ここは大湯がポジションを守ったが、山下は諦めず、21周目の1コーナーでもアウトから大湯攻略を狙った。しかし、ここでは山下が立ち上がりでバランスを崩し、今度はその後ろにローソンが迫る形に。それでもコカ・コーラコーナーで、山下は何とかポジションを守った。だが、22周目の1コーナーでは、ローソンが山下の前に出ることに成功。ローソンはさらに、24周目の1コーナーで大湯も攻略し、実質3番手に浮上してくる。その翌周、25周目の1コーナーでは、山下も大湯をオーバーテイク。同じ周のダンロップコーナーでは、宮田も大湯に並びかける。セーフティーカーリスタートの時にブレーキロックさせた大湯は、フロントタイヤにダメージを抱えており、全くペースを上げることができなくなっていた。ついに右フロントのトレッド面が剥離し始めた大湯は、27周を終えたところでたまらずピットイン。序盤はトップ争いを演じたが、ここで大きくドロップすることとなった。
 
決勝3位 山下健太(KONDO RACING)
 
その後、トップ集団は膠着。まだピットに入っていない平川は、中盤以降じわじわと野尻との差を広げたが、それに続く坪井、ローソン、山下、宮田の間はそれぞれ2〜3秒のギャップとなっていた。そんな中、32周を終えたところで、「セーフティーカー中手順違反」のため、ローソンと阪口に決勝後5秒加算というペナルティーが提示される。これは、ピットロードに入ってくる際、前車との差を5車身以内に保たなかったことが理由だった。
それもあってか、ここからペースを上げたのがローソン。ローソンは、前を行く坪井とのタイムをジワジワと詰め始め、36周目の1コーナーでは背後に迫る。さらに、39周目の1コーナーでは坪井にアウトから並びかけたが、ここは坪井も意地を見せ、コカ・コーラコーナーまでにポジションを死守。ローソンの先行を許さなかった。その後ろでは、山下と宮田も猛プッシュ。ローソンとの差を5秒以内に収めるべく、最後まで力走を続けた。
そして、39周を終えたところで、ようやく平川がピットロードに滑り込み、タイヤ交換。これで野尻はトップに浮上。坪井、ローソン、山下、宮田、可夢偉、福住、坂口、牧野、佐藤蓮(TCS NAKAJIMA RACING)がこれに続いた。一方、タイヤ交換を終えた平川は、コースに戻った途端にスローダウン。右リヤタイヤのナットが飛んでおり、そのままマシンを止めることになってしまう。もう1回セーフティーカーが入ることを期待して、タイヤ交換を引っ張った平川だったが、今日のレースでは思った通りの展開にはならなかった。
 
決勝1位 野尻智紀(TEAM MUGEN)
 
その後は大きな順位変動はなく、41周を終えてトップチェッカーを受け、自身9回目の優勝を果たしたのは、野尻。坪井が昨年の第6戦以来となる2位表彰台を獲得。ローソンは3番手でチェッカーを受けたが、5秒加算で5位となる。代わって、山下が3位となり、2020年の開幕戦以来、3年ぶりの表彰台を獲得。このオフ、アクシデントによる怪我に苦しんだ山下は、珍しく表彰台で涙を見せた。また宮田も繰り上がって4位。以下、ローソンに続いて、可夢偉、福住、牧野、佐藤、阪口までがポイントを獲得している。
 
この2戦の結果、野尻は41ポイントを荒稼ぎ。ランキングでもトップを独走している。2週間後の第3戦鈴鹿では、誰が野尻を止めるのか。非常に気になるところだ。
 

pagetop