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STOP THE 野尻! STOP THE MUGEN ! 第3戦鈴鹿プレビュー

2023.04.18

Rd.1優勝のリアム・ローソン(TEAM MUGEN)(右)とRd.2優勝の野尻智紀(TEAM MUGEN)(左)
 
金曜日に予定されていた専有走行が荒天のためにキャンセルとなり、ぶっつけ本番での予選・決勝となる中、リアム・ローソン(TEAM MUGEN)がデビュー戦で初優勝。翌日に行われた第2戦ではディフェンディング・チャンピオンの野尻智紀(TEAM MUGEN)が今季初優勝と、とにかくTEAM MUGENの強さが光った静岡県富士スピードウェイでの開幕大会。それからわずか2週間のインターバルを経て、全日本スーパーフォーミュラ選手権は、今週末、4月22日(土)〜23日(日)に早くも第3戦の時を迎える。今回の舞台となるのは、三重県鈴鹿サーキット。世界屈指のドライバーズ・サーキットで、速さ、強さを見せるのは、誰になるのだろうか。

エアロパッケージがガラリと変わり、シャシー名もSF23と改められた今年のスーパーフォーミュラだが、そのSF23で各チーム&ドライバーがテストをする機会は限られていた。今年開幕前に行われたテストはわずかに1回。その舞台となったのが、鈴鹿だ。鈴鹿では3月上旬、恒例のファン感謝デーから走行チャンスがあっただけでなく、イベント後には2日間の合同テストが行われ、1日4時間、計8時間のセッションが実施されている。両日とも春らしい陽気に恵まれ、完全ドライコンディション。願っても無い条件のもとで、各チーム、ドライバーは走り込みを行なった。このテストで、総合トップタイムをマークしたのは野尻。野尻は、2日目の午後にはロングランもこなし、傍目に見るとシーズンに向けて準備万端という仕上がりを見せている。ただし、このテストの際、野尻自身は「ダウンフォースが自分から離れた所で発生している感触。SF19とSF23との空力特性の違いに対して、もしかしたら自分たちが一番頭を悩ませているかも知れません」とコメント。今年は混戦になるかも知れないという雰囲気を漂わせていた。ところが、いざ蓋を開けてみれば、野尻が開幕大会で2連続PPを獲得。決勝でも、開幕戦こそローソンの先行を許して2位となったが、第2戦ではきっちり借りを返して今季初優勝。序盤の2戦でいきなり41ポイントを荒稼ぎし、3連覇に向け最高のスタートを切っている。これを追う形となっているのが、チームメイトのローソン。さらに、宮田莉朋(VANTELIN TEAM TOM’S)、坪井翔(P.MU/CERUMO・INGING)、山下健太(KONDO RACING)、平川亮(ITOCHU ENEX TEAM IMPUL)とトヨタエンジンユーザー勢が続く。彼らが、鈴鹿をホームコースとするホンダエンジンユーザー勢に対して、どこまで肉薄してくるか。そこが今回ひとつのポイントとなる。合同テストでは、野尻に加え、かつて”鈴鹿マイスター”の名を欲しいままにしていた山本尚貴(TCS NAKAJIMA RACING)も順調な仕上がり。山本の若きチームメイト、佐藤蓮(TCS NAKAJIMA RACING)や、今季チームを移籍した大湯都史樹(TGM Grand Prix)も速さを見せていた。対するトヨタ勢も、小林可夢偉(Kids com Team KCMG)や大嶋和也(docomo business ROOKIE)と言ったベテラン勢がスピードを発揮。宮田、坪井、平川も上位に顔を出してきていた。では、いざ予選となった際に、一体誰がPP争いに絡んでくるのか。これは見逃せない戦いなりそうだ。
 
Rank.3 宮田莉朋(VANTELIN TEAM TOM’S)Rank.4 坪井翔(P.MU/CERUMO・INGING)
 
その注目の予選は、今回もノックアウト方式で行われる。Q1はランキング順に2つのグループに分けられ、各グループ11台が10分間のセッションを走行。そこから各グループのトップ6がQ2へと駒を進めるが、これはかなりの激戦。開幕大会の第2戦で、今季となるノックアウト方式での予選が行われたが(開幕戦は専有走行キャンセルの影響から予選は計時方式に変更)、気温が低かったことも影響して、上手くスペースを確保しつつ、自分のペースでタイヤをウォームアップするのが至難の技だった。アタックするまでに何周タイヤを温めるかという部分でも、ドライバーによって違いがあり、中には充分にタイヤを温め切れていない状態でアタックラップに入った選手も。この状況はQ2でも変わらず。特に、Q2は7分間とセッションの時間が3分短くなるだけに、残り時間との兼ね合いやコースインしてからの位置取り、アタックのタイミングなどが難しくなる。これは今回の鈴鹿に関しても同じ。特にコーナーが連続する東コースでは、トラフィックが発生しやすくなるはずだ。そこをどう上手くマネージメントし、最高のアタックを見せるか。ドライバーたちにとっては、腕の見せ所だと言っていいだろう。その中で、今回もPP争いの本命はやはり野尻。野尻は、昨年の第3戦、自身初めて鈴鹿でのPPを獲得しているが、シーズンを締めくくる最終大会でも2戦連続PPと、昨年の鈴鹿では3戦全てでPPを奪っている。開幕前の合同テスト結果も踏まえると、今年もその速さは揺るぎなさそうだ。とは言うものの、ライバルたちも黙って指を指をくわえているわけにはいかない。ここで、鈴鹿をどう攻略し、野尻の前に出るのか。現場に入る前のシミュレーションから始まり、フリー走行でも試行錯誤が続くだろう。

決勝レースに関しては、まずスタートがひとつの見どころ。富士でも、好スタートによって順位を上げたドライバー、逆に集団に飲み込まれたドライバーと、ここでまず明暗が分かれる。下り坂の先にある1コーナーに向けて、誰が好加速を見せるのか。また、鈴鹿は決してコース幅が広いコースではないため、1コーナーに向けてのポジション取りも重要ポイント。これに関しては、奇数グリッドか偶数グリッドかということも大きく影響してくるだろう。そこからの序盤は、タイヤがまだ温まり切っていない所での激しい攻防も見られるはず。ここでもドライバーの腕が問われるだろう。もちろん、その後のレース中、各ドライバーは合計200秒間、オーバーテイクシステムを使用することができる。今年は、使用中かどうかライバルにすぐ分からないよう、クルマに取り付けられたフラッシュライトは点灯しない。その中で、誰がどのようにシステムを使うのか。よりオーバーテイクしやすいようにと開発されたSF23によって、より面白いレースが演出されるかどうかも含めて、迫力あるシーンが展開されるだろう。また、今回もドライのレースであれば、タイヤ交換が義務付けられる。交換のタイミングは、先頭車両が10周目(9周終了後10周回目に入った周回を指す)の第1セーフティーカーラインを超えてから、最終周回に入る前まで。今回のレースは、周回数が31周となっており、約3分の1を走ったところからウィンドウが開くことになる。ここで早めのタイヤ交換を選択するのは誰なのか。逆にタイヤ交換を引っ張るのは誰なのか。そこも見どころのひとつだ。各ドライバーのタイヤ交換前、タイヤ交換後のラップタイムなどを見れば、より深くレースを楽しめるはず。その結果、今回、最後に笑うのは誰なのか。新たなウィナーが登場するのかどうかも含めて、最初から最後までご覧いただきたい。
 
昨年の第3戦鈴鹿 スタートの様子

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