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SF23九州初上陸! シリーズ第4戦 九州大会 in オートポリス プレビュー

2023.05.11

レース終盤に導入されたセーフティーカーをきっかけにタイヤ交換を行い、宮田莉朋(VANTELIN TEAM TOM’S)が涙の初優勝を遂げた第3戦・鈴鹿。そこから約1ヶ月のインターバルを経て、全日本スーパーフォーミュラ選手権第4戦 九州大会inオートポリスは5月20日(土)〜21日(日)、大分県オートポリスに舞台を移して行われる。九州地方では、年1回となるSFのレースだが、今回はどんなドラマが待ち受けているのだろうか?
 
昨年のスタートの様子
 
オートポリスといえば、阿蘇の山懐に抱かれたサーキット。標高が高いこともあり、まずどうしても気になるのは天候だ。昨年は、見事な五月晴れに恵まれ、レースも平川亮(ITOCHU ENEX TEAM IMPUL)の大逆転勝利という劇的な展開となったが、過去には強雨や霧で決勝が中断、あるいは中止されたこともある。雨が止むと霧が出て、視界が確保できなくなるという特徴があるためだ。それを考えると、チーム関係者やドライバーだけでなく、現場に足を運ぶ観客の皆さんたち含め、とにかく明るい陽射しが欲しい所。現在のところ、決勝日は好天との予報なので、そこに期待したい。
 
次に注目していただきたいのは、これがSF23にとって、オートポリスでの初走行となる点だろう。昨年の大会前には、SF19の開発車両を使用して2日間のテストが行われているが、そのデータも元にして作られたSF23が実際にどんな走りを披露するのか。またどんなタイムをマークし、どんなバトルを演出するのか。もともと各チーム&ドライバーにとって、オートポリスは国内で最も走行マイレージが少なく、データ量も潤沢とは言えないサーキット。特に、外国人ルーキーのリアム・ローソン(TEAM MUGEN)やラウル・ハイマン(B-Max Racing Team)、ジェム・ブリュックバシェ(TGM Grand Prix)にとっては、コース自体が全くの初経験ということで、ある程度の慣熟も必要だろう。その中でいち早く最適なセットアップを見つけ出し、好タイムを出してくるのは誰なのか。もちろん、各チームとも、事前のシミュレーションから良いと思われるセットアップを施して現地にマシンを持ち込むことにはなるが、実際の気温や路面温度など、コンディションによっても良し悪しが変わってくる。その分、土曜日の午前中、90分間に渡って行われるフリー走行は貴重な機会となる。このフリー走行でのタイムをチェックしておけば、午後の予選もより興味深く見られるはずだ。その予選は、今回もQ1、Q2で争われるノックアウト方式が予定されている(天候次第で変更される場合もある)。10分間で行われるQ1は、ポイントランキングによって2グループに分けられ、各グループ各11台が走行。そこから各グループの上位6台がQ2へと駒を進めることになるが、これまでの大会を見ても、このQ1が熾烈を極める。わずか100分台、あるいは1000分台のタイム差で、Q2に駒を進められないということも発生するからだ。それをくぐり抜けた12台がQ2ではわずか7分間の間にアタック合戦を行うことになるが、一体誰がPPを獲得するのか。前回の鈴鹿と同様、タイヤの温め方も、ドライバーやチームによって違いが出てくる可能性があり、それも含めて最初から最後まで見逃せない展開となりそうだ。
 
リアム・ローソン(TEAM MUGEN)

ラウル・ハイマン(B-Max Racing Team)

ジェム・ブリュックバシェ(TGM Grand Prix)
 
そして、日曜日の決勝だが、まず最大の注目は何と言ってもスタート。オートポリスの場合、1コーナー手前までに3ワイドになる場合や、1コーナーの進入での争いでポジション変化が起こる場面も過去には多く演じられてきた。今季、トヨタ、ホンダの両エンジンメーカーは、さらにマッピングなどを開発してきており、その微妙な違いがスタートにも反映される。そこで好発進を決めるドライバーもいれば、思わぬストールに見舞われてしまうドライバーも見受けられるが、とにかく誰が1コーナーに先頭で入っていくのか。レースの中でも最も迫力あるポイントとなる。また、まだタイヤが温まり切っていないオープニングラップでの攻防も見どころのひとつとなるだろう。もちろん、各ドライバーともに計200秒間使用できるオーバーテイクシステムを使用しながらの攻防も見所だ。さらに、ドライでのレースの場合には、タイヤ交換が義務付けられる。今回も交換のウィンドウは、先頭車両が10周目(9周終了後10周回目に入った周回を指す)の第1セーフティーカーラインを超えてから、最終周回に入る前まで。今回のレースは周回数が41周となっているが、誰がどのタイミングでピットに滑り込んでくるのだろうか? これを占うのが、日曜日の朝に行われるフリー走行。各ドライバーは、このフリー走行で決勝に向けての満タンでのセットアップを確認することになる。オートポリスでは、まだ誰も、今季横浜ゴムがシリーズに投入したカーボンニュートラル素材を使用したタイヤでのロングラン経験がない。その分、タイヤのパフォーマンスがどのように変化していくかも含め、確認が必要だ。それも踏まえた上で、タイヤ交換のタイミングを決めて行くことになるだろう。もちろん、交換のタイミングは、レース展開次第という部分もある。オートポリスは、バイクの開発コースという側面も持っており、コース外にアスファルト舗装されたエスケープゾーンはほとんどない。そのため、一旦、ストップ車両やアクシデントが発生した場合に、セーフティーカーが導入されるという場面が多くなる。その可能性も考慮しながら、ストラテジーを構築していかなければならない。そうした各チームの戦略も見所となるだろう。またオートポリスの場合、国内の他のサーキットとは、ピットロードの位置が逆となっている。つまり各チームのタイヤ交換作業も、いつもとは反対になるため、この作業自体も勝負の分かれ目。ピットクルーの動きにも注目だ。
 
ピットアウト後左へ回るピットロード
その結果として、前回、思わぬアクシデントでリタイヤとなったディフェンディング・チャンピオンの野尻智紀(TEAM MUGEN)がここで再び巻き返してくるのか。あるいは、今年開幕から好調を維持している坪井翔(P.MU/CERUMO・INGING)や、初優勝の勢いを保っている宮田がオートポリスでも活きの良さを見せるのか。実力者の平川を筆頭に、優勝まであと一歩という所に迫っている山下健太(KONDO RACING)、また前回大いに見せ場を作った大湯都史樹(TGM Grand Prix)らが意地を見せるのか。各ドライバーの熱い走りを楽しみにしていただきたい。
 

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