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シリーズ折返し、第5戦 東北大会 in スポーツランドSUGO レースプレビュー

2023.06.07

爽やかな五月晴れの中、大分県オートポリスで行われた第4戦から約1ヶ月。そろそろ東北地方も梅雨入りするのではないかという6月17日(土)〜18日(日)、全日本スーパーフォーミュラ第5戦が宮城県スポーツランドSUGOで開催される。今年、エアロパッケージが変わったSF23が、菅生に登場するのはもちろん初めてのこと。”魔物が棲む”とも言われる菅生で、SF23はどのようなドラマを見せてくれるのか。

昨年のSUGOm大会スタートの様子

さて、この菅生戦で、まず注目すべきなのは、復帰戦となる野尻智紀(TEAM MUGEN)。野尻は、オートポリス戦の直前、肺気胸のため突如欠場を余儀なくされたが、その2週間後にはレース復帰を果たした。そして、今回の菅生戦でスーパーフォーミュラにも戻ってくる。菅生は野尻にとって初優勝した思い出のコースだが、彼がどんな走りを見せてくれるのか。フリー走行から注目して欲しい。

野尻智紀と田中洋克TEAM MUGEN監督

また野尻と同様、気になるのはチームメイトのリアム・ローソン(TEAM MUGEN)。開幕戦では本人も”ビックリした”という初優勝を遂げているが、前回のオートポリスでは2勝目を自力でもぎ取った。その結果、ここまでに57ポイントを獲得し、シリーズランキングでもトップに立っている。ランキングでこれに続いているのは、第3戦鈴鹿で涙の初優勝を果たした53ポイントの宮田莉朋(VANTELIN TEAM TOM’S)、さらに表彰台の常連となっている46ポイントの坪井翔(P.MU/CERUMO・INGING)。1戦欠場があった野尻が、42ポイントでランキング4位につけている。今回の菅生戦は、すでにシリーズの折り返し。タイトル争い候補も少しずつ絞られてくる時期だけに、誰にとっても落としたくない1戦となるはずだ。

ランキングTOPのリアム・ローソン(TEAM MUGEN)

ランキング2位 宮田莉朋(VANTELIN TEAM TOM’S)

ランキング3位 坪井翔(P.MU/CERUMO・INGING)

舞台となるスポーツランドSUGOは、緑に囲まれた美しいサーキット。ヨーロッパのコースを彷彿とさせる風景が楽しめる。全長は3.586kmと決して長くないが、その特徴は高低差。最大69.83mという標高差があり、中でも上り勾配10%という最終コーナーが名物だ。また、コースから観客席が近いのも、菅生ならでは。特にSPコーナースタンドでは、スーパーフォーミュラの迫力ある走りを堪能することができる。オーバーテイクポイントとしては、1コーナーから3コーナーにかけて、またハイポイントコーナーからレインボーコーナーにかけてと、決して多くはないが、各自が合計200秒間使用できるオーバーテイクシステムを使用して、誰がどのようにポジションアップを果たしていくのか。非常に見所のある1戦となるのは間違いない。ただし、やはりグリッドポジション上位のマシンが有利なのは、他のサーキットと同様だ。

そのグリッドを決する戦いが、Q1、Q2で争われる恒例のノックアウト予選(天候次第で計時方式に切り替えられる場合もある)。菅生はトラフィックが非常に起こりやすいサーキットということで、今回の予選はシリーズ全戦の中でも、最もタフなものになる可能性が高い。そもそも各車のタイム差が超僅差であるだけに、トラフィックの影響が少しでもあると、それだけで大きなダメージとなる。また、菅生はコース幅が狭いこともあり、攻めすぎるとコースアウトする可能性も。その際、エスケープがグラベルということもあり、赤旗の提示に対しても気をつけなければならない。アタック中に赤旗が提示され、好タイムを刻めないということも十分起こりうるだけに、コースインのタイミングも非常に重要となってくるはずだ。その中で速さを見せるのは、誰なのか。

決勝は51周で争われるが、今回もドライコンディションであれば、タイヤ交換が義務付けられる。交換のウィンドウは、先頭車両が10周目(9周終了後10周回目に入った周回を指す)の第1セーフティーカーラインを超えてから、最終周回に入る前まで。ここまでの4戦を見ると、早めにピットに入ってアンダーカットを狙うか、かなり引っ張ってからニュータイヤの強みを生かすためにピットに入るか、戦略は分かれている。また、今年は決勝レース中にセーフティーカーが導入されるという場面がたびたび起きているだけに、そこもキーポイント。菅生では、過去幾度もセーフティーカー導入というレースがあっただけに、その可能性も加味しながら、各チームは作戦を練らなければならない。

その前に、決勝で最初の見所となるのは、スタート。コース幅が狭くグリッドから1コーナーまでの距離が短い菅生では、ここでポジションを上げるのは非常に難しいが、出足の良し悪しで順位の入れ替わりは起こりうる。そこから、タイヤが温まり切るまでの序盤の攻防は見所だ。
梅雨に入る時期ということで、天候は雨になる場合も考えられる。その場合には、タイヤ交換はなく、スタートしてしまえばあとはドライバーの腕次第。その場合、ウォータースクリーンで視界が悪くなり、オーバーテイクはかなり難しくなるが、その中でも彼らがどんな戦いを見せてくれるのか、楽しみにしていただきたい。

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