第5戦 東北大会 in スポーツランドSUGO FP.1最速は宮田莉朋
2023.06.17
リアム・ローソン(TEAM MUGEN)の2勝目で幕を閉じた第4戦 九州大会 in オートポリスから約1ヶ月。全日本スーパーフォーミュラ選手権 第5戦 東北大会 in スポーツランドSUGOは6月17日(土)〜18日(日)、宮城県スポーツランドSUGOに舞台を移して行われる。今回のレースには、前回体調不良から欠場した野尻智紀(TEAM MUGEN)も復帰。レギュラーメンバーが再び勢揃いすることとなるが、誰が勝利の美酒を味わうのか。
その注目の予選を前に、17日(土)の午前9時10分からは90分間に渡ってフリー走行が行われた。1週間前に梅雨入りした東北地方だが、この週末は真夏のような天候。朝から爽やかな青空が広がる中、完全なドライコンディションでセッションは進行。最後には多くのドライバーたちが予選アタックシミュレーションを行っている。その中で、唯一1分05秒台のタイムを叩き出し、トップを奪ったのは宮田莉朋(VANTELIN TEAM TOM’S)。これに牧野任祐(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)、山下健太(KONDO RACING)、坪井翔(P.MU/CERUMO・INGING)、大湯都史樹(TGM Grand Prix)、小高一斗(KONDO RACING)と続いている。
FP.1 トップタイム 宮田莉朋(VANTELIN TEAM TOM’S)
まだ山頂にうっすらと雪が残る蔵王の峰々が、最終コーナーの先で涼やかに輝いていたこの日のスポーツランドSUGO。しかし、日本列島は真夏のような高気圧にすっぽりと包まれており、SUGOの最高気温も午後には30℃を超えるのではないかと予想されている。午前9時10分からのフリー走行が開始した時点で、すでに気温は25℃、路面温度は40℃まで上昇。そのコンディションのもと、コースがオープンされると、復帰戦の野尻を先頭に、ローソン、関口雄飛(ITOCHU ENEX TEAM IMPUL)、山下、小高、牧野、太田格之進(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)、山本尚貴(TCS NAKAJIMA RACING)、佐藤蓮(TCS NAKAJIMA RACING)、大湯、ジェム・ブリュックバシェ(TGM Grand Prix)、坪井、松下信治(B-Max Racing Team) といった順で半分以上のドライバーがピットを後にする。このうちの数台はアウトラップを終えると一旦ピットイン。山下、小高、国本雄資(Kids com Team KCMG)、福住仁嶺(ThreeBond Racing)、坪井、松下、ラウル・ハイマン(B-Max Racing Team)、大湯、山本らはそのまま周回に入った。一方、セッション序盤の時点で、大嶋和也(docomo business ROOKIE)、平川亮(ITOCHU ENEX TEAM IMPUL)、ジュリアーノ・アレジ(VANTELIN TEAM TOM’S)、宮田らはピットで待機。コースインのタイミングを待っていた。
本格的な走行に入ったドライバーたちの中では、セッション序盤からまず松下が1分09秒933、坪井が1分09秒427をマーク。開始から8分というところでは、山下も1分09秒410と、09秒台に入ってくる。山下はその翌周、さらにプッシュ。まず真っ先に1分08秒853と08秒台までタイムを伸ばした。この2分後には、野尻も1分08秒500をマーク。また、ほぼ同じタイミングで大嶋が1分08秒302と、この時点でのトップに立った。
その後、セッション開始から15分という時点では、他よりも遅めにコースに入った宮田がユーズドタイヤで1分07秒889といきなり07秒台に突入。その4分後には、こちらも他より遅めにコースインした平川がやはりユーズドで1分07秒866と宮田のタイムを上回ってくる。そして、その1分後、セッション開始から20分という時点では、山本がニュータイヤを投入して1分07秒191とこの時点でのトップタイムを大きく書き換えてきた。また、その6分後には山下もユーズドで1分07秒775と07秒に突入。宮田も自己ベストをコンマ1秒上回る1分07秒792、坪井も1分07秒490と、いずれもユーズドでタイムを縮めてきている。さらに、野尻もここで1分07秒574までタイムアップ。トップ集団に入ってきた。
FP.1 2番手 牧野任祐(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)
そんな中、開始から44分という時点で、セッションは赤旗によって中断される。これは関口が最終コーナーを立ち上がり、ピットロード入り口の直前でマシンをストップさせたため。関口のマシンは、電気系の問題からエンジンが突然ストップした。このマシンの回収が終わると、セッションは午前9時51分に再開している。
この再開直後、自己ベストを更新してきたのが、山下と宮田。特に、宮田はここで1分07秒143と、トップタイムを更新してきている。その後も各ドライバーはプッシュラップを走った後、ピットに戻ってマシンの微調整するという作業を続行。SUGOでは初走行となるSF23のセットアップの煮詰めと、ドライバーの走りの合わせ込みを行っていた。その中で、松下や平川はユーズドタイヤで自己ベストを更新。一方、セッションの残り時間が26分となった時点では、山本が1コーナー立ち上がりの縁石に左リヤタイヤを引っ掛けてスピンするシーンなども見られた。
その後、セッションの残り時間が15分を切ったあたりでは、大嶋がニュータイヤを投入して1分07秒288までタイムアップ。この時点での3番手に浮上してくる。山下もここでニュータイヤを投入。1分06秒900とこの時点でのトップタイムを書き換えてきた。また、このすぐ後には、関口が1コーナー立ち上がりで左リヤを縁石に引っ掛けてスピンする場面もあった。
FP.1 3番手 山下健太
そして、セッションの残り時間が5分となったあたりからは、いよいよ各ドライバーがニュータイヤを装着して予選アタックシミュレーションのためにコースイン。アウトラップ、ウォームアップラップを走ると、フルプッシュに入る。ここでまず1分06秒318とトップタイムを書き換えたのが、山下。間もなく牧野が1分06秒108と、山下を上回ってくる。しかし、セッションの残り時間が10秒となったところで、宮田が1分05秒997と05秒台に突入して、トップに浮上。その後、05秒台に入るドライバーはおらず、宮田がフリー走行を一番時計で締めくくった。これに続いたのは牧野、山下。さらに、僅差で坪井、大湯、小高、平川、SUGO初走行となるローソン、大嶋、阪口晴南(P.MU/CERUMO・INGING)と続いた。野尻は最後のニュータイヤでタイムアップすることができず、まさかの19番手に終わっている。また、このセッションでほとんど周回できなかったのは、小林可夢偉(Kids com Team KCMG)。最初のアウトラップを走っただけで、燃圧トラブルのためピットに入った可夢偉は、マシンの修復に1時間以上かかり、残り時間10分というところでようやく走行を開始したが、セッション最下位に留まっている。
午後2時から行われるノックアウト予選では、このまま宮田が好調を維持するのか? はたまた牧野や山下、坪井らがそれを上回ってくるのか? あるいは野尻が一気に甦ってPP争いに加わってくるのか? トラフィックマネージメントやタイヤのウォームアップなど、色々な要素が絡んでくるなか、誰が速さを見せるのか楽しみだ。