第5戦 東北大会 in スポーツランドSUGO 大湯都史樹が今季2度目のポール・ポジション獲得
2023.06.17
朝から夏日が差し、爽やかな青空が広がった宮城県スポーツランドSUGO。午前中のフリー走行に続き、午後2時からは、全日本スーパーフォーミュラ第5戦 東北大会 in スポーツランドSUGOのノックアウト予選が行われた。AグループのQ1でクラッシュが発生するなど、波乱の幕開けとなったこの予選。しかし、Q2では各ドライバーが思い切りのいいアタックを見せた。その中で、第3戦鈴鹿に続き今季2度目のPPを獲得したのは、大湯都史樹(TGM Grand Prix)。朝のフリー走行ではトップタイムをマークしていた宮田莉朋(VANTELIN TEAM TOM’S)が僅差で2番手となった。3番手には、これが復帰戦となった野尻智紀(TEAM MUGEN)。以下、坪井翔(P.MU/CERUMO・INGING)、平川亮(ITOCHU ENEX TEAM IMPUL)、リアム・ローソン(TEAM MUGEN)、牧野任祐(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)、大嶋和也(docomo business ROOKIE)、太田格之進(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)、佐藤蓮(TCS NAKAJIMA RACING)と続いている。
フリー走行終了後、3時間あまりのインターバルを経て、10分間で争われるAグループのQ1が始まったのは、午後2時。この時点で、気温は29℃、路面温度が43℃まで上昇していた。今回、ランキング順でAグループに振り分けられたのは、野尻、小高一斗(KONDO RACING)、太田、小林可夢偉(Kids com Team KCMG)、福住仁嶺(ThreeBond Racing)、平川、宮田、阪口晴南(P.MU/CERUMO・INGING)、松下信治(B-Max Racing Team)、ジェム・ブリュックバシェ(TGM Grand Prix)、佐藤の11台。セッションが始まると、まずは野尻を先頭に、平川、小高、太田、佐藤、ブリュックバシェといった順で、ほとんどのマシンがユーズドタイヤでコースに入る。松下だけは、この集団から少し遅れてコースイン。アウトラップを終えると、半数ほどのマシンは一旦ピットに戻る。これに対して、最初からラップを刻んだのは、野尻、太田、可夢偉ら。中でも、野尻はスクラブしたタイヤで、一気に1分06秒068という好タイムをマークしてくる。フリー走行でまともに走行できなかった可夢偉も、ここでいきなり1分07秒716をマーク。マシンの感触を試すと、ピットに戻る。また、一旦ピットに戻った中では、宮田がフロントだけニュータイヤに交換してもう一度コースイン。スクラブを行うと、ピットに戻り、リヤにもニュータイヤを装着した。
その後、全車がピットに戻って、ニュータイヤに交換を行うと、残り時間が4分半となったところで、まず小高と松下がコースイン。そこから30秒ほど経過すると、野尻、福住、太田、ブリュックバシェ、佐藤、平川、宮田、阪口といった順でコースイン。残り時間が3分となったところで、最後に可夢偉がコースに入って行った。
この中で、アウトラップを終えて最初にアタックに入ったのは、野尻。野尻は、このアタックでは、序盤に出したタイムを上回ることができず、タイムは1分06秒209。これに続いてアタックした福住は、1分06秒575で、この時点での2番手に浮上する。この頃には、他のドライバーたちもアタックラップに入っていた。ところが、ブリュックバシェがレインボーコーナーでスピン、クラッシュ。パーツがバックストレートのライン上に散らばる形となった。その直後に、アクシデントの現場を通ることになったのが、宮田、平川。しかし、この時はまだイエローフラッグが提示されておらず、セッションが赤旗で中断されることもなかった。それでも、現場ではラインを外し、減速したという宮田は、チェッカーとともにコントロールラインを通過。ここで1分05秒926というタイムをマークして、トップに浮上する。また、平川も同様にチェッカーを受け、1分06秒599をマークして、4番手に浮上する。しかし、これに続いて現場を通過した小高、松下、阪口、可夢偉、野尻は黄旗区間を通過した車両と判定され、中でもこの周に自己ベストタイムを更新した小高の1分06秒964と、可夢偉の1分06秒945は抹消されることが決定。松下、阪口は、大きく減速しており、アタックを完遂できずにセッションを終えた。
その結果、AグループのQ1でトップとなったのは宮田。これに最初のアタックがベストとなった野尻、福住、平川、太田と続く。さらに、小高のベストタイム抹消によって、アクシデント直前に現場を通過した佐藤が6番手に繰り上がり、ここまでがQ1を突破した。一方、可夢偉、小高、松下、ブリュックバシェ、阪口はQ2に駒を進めることができなかった。
予選1位 大湯都史樹(TGM Grand Prix)
ブリュックバシェのアクシデントにより、ガードレールの補修などが必要になったため、BグループのQ1が始まったのは、当初の予定から20分遅れの午後2時35分。今回、Bグループには、ローソン、山下健太(KONDO RACING)、牧野、国本雄資(Kids com Team KCMG)、大嶋和也(docomo business ROOKIE)、関口雄飛(ITOCHU ENEX TEAM IMPUL)、ジュリアーノ・アレジ(VANTELIN TEAM TOM’S)、坪井、ラウル・ハイマン(B-Max Racing Team)、大湯都史樹(TGM Grand Prix)、山本尚貴(TCS NAKAJIMA RACING)が振り分けられた。
セッションが始まると、まずはローソンを先頭に、関口、山下、牧野、山本、アレジ、大湯、ハイマンといった順で、ほぼ全車がコースイン。坪井だけはしばらく待機してから。コースへと向かった。この中で、ローソンとハイマンは、アウトラップを終えると一旦ピットイン。その他のドライバーたちも、多くはもう1周してからピットに戻る。その中で、最初からタイムを刻んだのは、国本と大嶋。ここで国本は、1分07秒059、大嶋は1分06秒778をマークしてくる。
そして、全車が一旦ピットイン。アタックのためにタイヤを履き替えると、セッションの残り時間が5分となったところで、まずは関口と山本がコースに入る。そこから1分ほどが経過し、残り時間が4分となったところで、ローソン、牧野、山下、アレジ、大湯、大嶋、ハイマン、国本の順でコースイン。坪井だけは、さらに待機して、残り時間が2分50秒となったところでコースに入って行った。
アウトラップだけ走って、すぐにアタックに入る作戦だった坪井は、残り時間が1分20秒ほどとなったところから、真っ先に猛プッシュを開始。チェッカーまで10秒というところで1分05秒820を叩き出す。これに続いてアタックに入った牧野も、ここで1分06秒265をマークした。
そして、チェッカーが提示。ここからドライバーたちは次々にコントロールを通り、ローソンが1分06秒038、大湯が1分06秒060、大嶋が1分06秒223をマークして、牧野を上回ってくる。さらに、山下が1分06秒592をマークして、一旦6番手に滑り込んだ。ところが、その直後にアタックしていた国本が、1分06秒589と、山下のタイムをわずかに1000分の3秒上回ってくる。その結果、山下は7番手に後退してしまうこととなった。
結局このセッションでは、最後まで坪井のタイムに届くドライバーはおらず、坪井はトップでQ1を通過。これに続いたローソン、大湯、大嶋、牧野、国本までがQ1突破を決めた。これに対して、山下、山本、アレジ、関口、ハイマンは、Q2に駒を進めることができなかった。
予選2位 宮田莉朋(VANTELIN TEAM TOM’S)
10分間のインターバルを経て、いよいよPPを決定づけるQ2が始まったのは、午後2時55分。ここではセッションが始まると、野尻、平川、太田、宮田、坪井、国本がフロントにニュータイヤを装着してすぐにコースイン。スクラブを行うと、ピットに戻り、リヤにニュータイヤを装着する。
その後、セッション開始から3分、残り時間が4分となったところで、野尻、ローソン、大湯、牧野、太田、宮田、佐藤、大嶋といった順でコースイン。さらに、残り時間が3分となったところで、国本、坪井、平川、福住がコースに向かう。
この中で、アウトラップからいきなりアタックに入ったのは、国本、坪井、平川だった。セッション残り時間5秒というところでコントロールラインを切った国本は、ここで1分06秒299をマーク。しかし、05秒台に入ることはできない。一方、これに続いてアタックしていた坪井は1分05秒795、平川は1分05秒807と05秒台に突入。さらに、アウトラップに加えてウォームアップラップを挟んでアタックした、野尻が1分05秒681とこの時点でのトップに立つ。ローソンは野尻、坪井、平川に及ばず、1分06秒842。しかし、続いてアタックしていた宮田が1分05秒499と野尻のタイムを上回り、トップタイムを書き換えた。これで宮田は初のPP獲得かと思われたが、最後の最後にトップを奪ったのは、宮田に続いてアタックしていた大湯。大湯はここで1分05秒468というタイムを叩き出し、宮田をわずか100分の3秒余り上回った。
その結果、大湯は第3戦・鈴鹿に続き、今季2回目のPPを獲得。僅差の宮田は2番手、復帰戦となる野尻は3番手に滑り込んできた。以下、これまでSUGOを苦手としてきた坪井、久々の上位グリッド獲得となる平川、SUGO初走行のローソン、牧野、今季初めてQ1突破を果たした大嶋、ルーキーの太田、佐藤、国本、福住と続いている。
予選3位 野尻智紀(TEAM MUGEN)
明日の決勝レースでは、この中から誰が勝利の栄冠を掴むのか。上り坂の先にある1コーナーでの先陣争いだけでなく、戦略なども含めて、目まぐるしい展開のレースとなるのは間違いない。セーフティーカー導入の可能性なども含めて、最後の最後まで何が起こるか分からない1戦となりそうだ。