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第5戦 東北大会 in スポーツランドSUGO 宮田莉朋が今季2勝目!ランキングもトップに

2023.06.18

優勝した宮田莉朋(VANTELIN TEAM TOM’S)

 
お昼過ぎから雲が広がり、過ごしやすい陽気となった6月18日(日)の宮城県スポーツランドSUGO。朝から多くの観客がサーキットに足を運び、1コーナーやSPスタンドを埋める中、午後2時半からは全日本スーパーフォーミュラ選手権 第5戦 東北大会 in スポーツランドSUGOの決勝レースが行われた。このレースでブッちぎりの速さを見せて、今季2勝目を挙げたのは、宮田莉朋(VANTELIN TEAM TOM’S)。これが復帰戦となる野尻智紀(TEAM MUGEN)が早目のタイヤ交換を実らせ、2位表彰台を獲得した。また、3位にはやはり早目のタイヤ交換が功を奏した牧野任祐(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)が入賞。牧野は今季初表彰台を獲得している。
 
朝は厳しい夏日が輝いていたものの、昼頃から急に雲が広がり、メインストレートには涼しい追い風が吹き始めた宮城県・スポーツランドSUGO。決勝前に行われる8分間のウォームアップ走行に続き、各ドライバーがダミーグリッドに着く。ここで各チームは、最後の微調整。フロントやリヤの車高、リヤのアンチロールバー、フロントウィングをアジャストするなど、細かな作業が行われた。その中で、慌ただしく作業が進められていたのは、牧野のマシン。8分間のウォームアップでエンジンにバラつきが出たため、メカニックがプラグ作業の交換などを進めていた。
そして、気温28℃、路面温度が36℃というコンディションのもと、午後2時30分にフォーメーションラップがスタート。22台のマシンが1周の隊列走行に入る。そして、ストレートに戻ってくると、正規グリッドに整列する。整列が完了すると、後方でグリーンフラッグが振られ、シグナルオールレッドからブラックアウト。51周先のゴールに向けて、一斉にスタートが切られた。
 

 
ここでホールショットを奪ったのは、PPの大湯都史樹(TGM Grand Prix)。予選2番手の宮田がこれに続く。しかし、予選3番手の野尻はアンチストールが入ってしまい、出足が鈍った。予選5番手の平川亮(ITOCHU ENEX TEAM IMPUL)も同様にアンチストールが入って失速。大きくポジションを落とす。その間隙を突いて、3番手に浮上したのは坪井翔(P.MU/CERUMO・INGING)。牧野、リアム・ローソン(TEAM MUGEN)がそれに続く。野尻は6番手まで後退。予選9番手だった太田格之進(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)、予選8番手だった大嶋和也(docomo business ROOKIE)、予選11番手だった国本雄資(Kids com Team KCMG)、予選13番手だった山下健太(KONDO RACING)がそれに続いた。その後方では、アクシデントが発生。S字の入り口で、山本尚貴(TCS NAKAJIMA RACING)のアウト側に出ようとしたジュリアーノ・アレジ(VANTELIN TEAM TOM’S)が、芝生に右側のタイヤを落として、イン側に巻き込むようにスピン。真横になったアレジを避け切れず、関口雄飛(ITOCHU ENEX TEAM IMPUL)が突っ込むこととなる。アレジのマシンはサイドポンツーンにダメージを負う。また、関口はフロントウィングを破損。フラップ部分がマシンの下に潜り込む形となった。
このアクシデントによりコース上にはすぐさまセーフティーカーが導入される。その間に、関口はゆっくりとマシン下部に潜り込んだフラップを引きずりながら1周。ピットに戻り、タイヤとノーズを交換してコースに戻るが、再びピットイン。しかし、ウィングを引きずった影響でブレーキのラインが切れており、関口は再びピットに入ると、リタイヤを余儀なくされた。
一方、関口とアレジがピットに入ったのを見届けると、4周を終えた所でセーフティーカーは離れて、レースはリスタート。ここから再び各車が接近戦を演じることとなる。しかし、なかなか上位陣にポジションの入れ替わりはなかった。
 

 
その後、10周を終えて、タイヤ交換のウィンドウが開くと、まず大嶋、国本、福住仁嶺(ThreeBond Racing)、山本、小高一斗(KONDO RACING)がピットイン。タイヤ交換を行ってコースに戻る。その翌周、11周を終えた所では、5番手を走行していた牧野、ジェム・ブリュックバシェ(TGM Grand Prix)もピットインタイヤ交換を行った。さらに、12周を終えた所では、牧野の動きを見た野尻、太田、ラウル・ハイマン(B-Max Racing Team)もピットに滑り込んでいる。
その同じ周、トップ争いが動く。大湯がオーバーテイクシステムを使えないタイミングを見極めていた宮田が、ここでオーバーテイクシステムを使用し、最終コーナーからストレートにかけて大湯を攻略。コース上での鮮やかな追い越しを見せ、12周を終えた時点でトップに立つ。その翌周には、坪井も大湯のテールにぴったりと付き、ストレートでアウトからオーバーテイクを仕掛けた。ここで大湯はポジションを守ろうと必死のレイトブレーキを見せる。しかし、大湯は止まり切れず、1コーナーでオーバーラン。8番手までポジションを落とすこととなった。
 
これでトップは宮田、2番手には坪井、3番手にはローソン。以下、山下、平川、小林可夢偉(Kids com Team KCMG)、佐藤蓮(TCS NAKAJIMA RACING)、大湯、阪口晴南(P.MU/CERUMO・INGING)、松下信治(B-Max Racing Team)というオーダーに。その後方には、タイヤ交換を終了した中でトップに立っていた野尻と続く。14周を終えた時点で、トップの宮田と、野尻のタイム差は39秒415。しかし、野尻は1分08秒台のタイムを連発。これを見て、VANTELIN TEAM TOM’Sは、17周を終えた所で宮田をピットに呼び戻した。ここでチームが6秒という素早い作業を見せてタイヤ交換を済ませると、宮田は野尻の前でコースに戻ることに成功。アウトラップでは次第に詰められ、その翌周にはオーバーテイクシステムを使った野尻にメインストレートで真後ろに迫られる。しかし、宮田もオーバーテイクシステムを稼働させると同時に、ストレートのインベタのラインを死守。2コーナーで鼻先をインに入れようとした野尻を退け、ポジションを守り切った。
 

 
宮田がピットに入ったことで、見た目上のトップに立ったのは、坪井。しかし、坪井のペースはなかなか上がらない。18周目からのタイムは1分09秒734、1分09秒931、1分09秒806、1分09秒845、1分09秒788、1分09秒988、そして24周目にはとうとう1分10秒028まで落ち込んだ。これに対して、タイヤ交換した宮田は、20周目に1分08秒648の自己ベストをマーク。その後も、1分08秒664、1分08秒950、1分08秒853、1分08秒670、1分08秒930と08秒台のタイムを連発。坪井とのギャップを縮めていった。
そんな中、27周を終えた所では、見た目上の5番手を走行していた可夢偉がピットイン。タイヤ交換を行ってコースに戻る。そのさらに5周後となる32周終了時には佐藤と阪口、34周を終えた所では見た目上の3番手を走行していた山下もピットに入ってタイヤ交換を行った。そして、いよいよ35周を終えた所で見た目上のトップを走っていた坪井がピットイン。そこまでのペースが伸びなかった坪井は、可夢偉の前でコースに戻るが、アウトラップの3コーナーで可夢偉の先行を許すこととなった。
この時点でも、まだピットに入っていなかったのは、ローソンと平川。ローソンは、坪井がピットに入ると急激にペースアップし、1分09秒台のタイムを連発してくる。平川も同様にペースを上げた。そして、39周を終えた所で平川はピットイン。タイヤ交換を終えると、平川は坪井の前でコースに戻る。しかし、アウトラップのS時立ち上がりで坪井が平川をオーバーテイク。翌周のストレートでは山下がオーバーテイクシステムを使いながら、やはり平川の前に出た。そして最後にピットに滑り込んだのが、ローソン。ローソンは41周を終えた所でタイヤ交換を行うと、可夢偉の後ろでコースに戻った。
 

 
これで全車がピット作業を終えると、トップに立ったのは宮田。この時点で2番手の野尻に対して、宮田は12秒余りのギャップを築いていた。3番手には牧野。以下、大嶋、国本、可夢偉、ローソン、坪井、山下、平川、佐藤、阪口というオーダーになる。その中で、43周目には、国本と可夢偉によるチームメイトバトルが勃発。1コーナーで可夢偉が国本の前に出ることに成功する。さらに、その後激しいオーバーテイクショーを見せたのが最後にタイヤ交換したローソン。47周目のSPインコーナーの入り口で、アウト側から国本をかわしたローソンはさらに前を追い、最終ラップの1コーナーでは大嶋、と可夢偉、2台の真後ろまで迫る。そして、2コーナーのブレーキングで強引に可夢偉のインに飛び込むとオーバーテイク。さらに、大嶋に迫った。しかし、大嶋は最後まで厳しいブロックでポジションをキープした。
結果、51周を独走して優勝を果たしたのは、宮田。最終的に、宮田は野尻に対して22秒もの大差をつけて今季2勝目をマークしている。またランキングでもトップに浮上した。2位には野尻、3位には牧野。さらに4位は大嶋と、早目にタイヤ交換したグループが上位を占めることとなった。5位には、最後までタイヤ交換を遅らせたローソン。以下、可夢偉、坪井、山下、国本、最終ラップの最終コーナー立ち上がりからコントロールラインにかけて平川の攻略に成功した阪口が、最後尾グリッドから10位にポジションアップしてレースを締めくくった。

次戦、第6戦は、7月15日(土)〜16日(日)。舞台は開幕大会と同じ静岡県富士スピードウェイだ。それを前に、6月23日(金)〜24日(土)には、同じ富士スピードウェイで今季2回目の公式合同テストが行われることになっているが、そこでマシンをさらに煮詰めて、後半戦で強さを見せるのは誰なのか。残るレースも見所は盛りだくさんだ。
 

 
決勝2位 野尻智紀(TEAM MUGEN)
 
決勝3位 牧野任祐(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)

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