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久しぶりのイン・シーズンテストとなる「公式テスト 富士スピードウェイ」が始まる

2023.06.23


 
シリーズ折り返しとなる第5戦からわずか5日。全日本スーパーフォーミュラ選手権 公式テスト富士スピードウェイが、6月23日(金)〜24(土)、静岡県富士スピードウェイで始まった。今シーズン、開幕前には鈴鹿でのテストが行われているが、今年はこの時期に第2回目の公式テスト実施となっている。シーズン中にテストが行われるのはコロナ禍の2020年開幕戦時に1日前倒しで行われた以来となる。このテストではエントリーの変更もあり、ジュリアーノ・アレジ(VANTELIN TEAM TOM’S)に代わって、笹原右京(VANTELIN TEAM TOM’S)が参加。笹原は今季残りのレースにも参戦することがチームから正式発表されている。また、B-Max Racing Teamは、50号車、51号車両方に、Bドライバーとして大津弘樹を登録。週末に行われるということもあり、このテストは観客に対しても公開。朝から熱心なファンの方々がサーキットへと足を運んだ。
 
笹原右京(VANTELIN TEAM TOM’S)
 
大津弘樹(B-Max Racing Team)
 
テストに先立つ6月22日(木)の搬入日は、午後から雨。夜になるとこの雨が上がり、テスト初日は曇り空の朝を迎えた。前日に比べると温かなコンディションとなり、午前10時から12時までの第1セッションが始まった段階で、気温は19℃、路面温度は23℃まで上昇。風はほとんどなく、路面には所々ウェットパッチが残っている状況だったが、ライン上はドライアップしており、コースがオープンされると、多くのドライバーはスリックタイヤで走行を開始した。今回のテストに対しては、各車に新品のスリックタイヤが6セット供給されるが、それに加えて、前戦・SUGOから各車3セットを持ち越すことが可能。そのため、各車最初は持ち越したユーズドタイヤでの走行となっている。また、今回供給される6セットのうち、3セットを次戦・富士に持ち越すことができるため、2日間のテストで何セットのニュータイヤを使うのか、そのあたりはドライバーによっても変わってきそうだ。また、今回のテストには、再生可能材料を使用し、内側のサイドウォールにグリーンの帯が入ったウェットタイヤが登場。1台あたり最大3セット供給されることになった。
 
さて、セッションか始まると、各ドライバーは次々とコースイン。まずはマシンの感触を試して行く。中には、野尻智紀(TEAM MUGEN)や山下健太(KONDO RACING)、牧野任祐(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)など、従来のウェットタイヤで最初にコースインしたドライバーも。この中で、野尻だけは唯一新たなウェットタイヤに履き替え、スクラブを行なっている。その他のドライバーは、最初からユーズドのスリックタイヤでコースイン。そこからは、各車ピットイン、ピットアウトを繰り返しながら、今回のテストのために用意したメニューをこなしていった。そのセッション序盤から1分23秒台に入って来たのは、山本尚貴(TCS NAKAJIMA RACING)やSUGOからの好調を維持している大嶋和也(docomo business ROOKIE)ら。また、佐藤蓮(TCS NAKAJIMA RACING)もセッション開始から30分を前に1分23秒に入ってくる。
しかし、セッションは開始からちょうど30分というところで、赤旗によって中断される。これは、関口雄飛(ITOCHU ENEX TEAM IMPUL)がGRスープラコーナー立ち上がりでスピン、コースオフしてエスケープゾーンにマシンをストップさせてしまったため。このマシンの回収が終わると、セッションは10時41分に再開された。
再開後には、多くのドライバーたちが自己ベストを更新。まだ全車ユーズドでの走行だったが、開幕戦を制しているリアム・ローソン(TEAM MUGEN)が1分23秒224と、この時点でのトップタイムを書き換えてくる。また、佐藤も赤旗前のタイムをコンマ6秒ほど更新。1分23秒342までタイムを縮めてきた。大嶋も1分23秒576と、自己ベストをコンマ4秒ほど更新している。さらに、ちょうどセッション折り返しに差し掛かった午前10時59分には、前回のSUGOでPPを獲得している大湯都史樹(TGM Grand Prix)が1分23秒142までタイムアップ。この時点でのトップに立った。これに続いたのは、ローソン。ローソンも、さらに自己ベストを更新し、1分23秒174をマークしてくる。
その後、セッションの残り時間が35分ほどとなったところで、真っ先に1分22秒台に入ってきたのは坪井。坪井はここで1分22秒946をマーク。その5分後には、ローソンが1分22秒919と坪井のタイムを約100分の3秒上回って、トップに立った。この両ドライバーも、この時点では、まだユーズドタイヤでの走行だった。
そして、セッションの残り時間が10分を切ったあたりからは、多くのドライバーがニュータイヤを投入すると期待されたが、11時53分にセッションは2度目の赤旗によって中断される。これは、松下信治(B-Max Racing Team)がピットアウト直後にスピンし、1コーナー手前アウト側の芝の上にマシンを止めたため。この赤旗によってセッションは終了している。この赤旗提示前、ニュータイヤでコースに出ていたのは、山下、大嶋、関口、平川亮(ITOCHU ENEX TEAM IMPUL)、笹原、坪井。しかし、どのドライバーもアタックはできないままセッションを終えることとなった。
結果、このセッションでトップタイムを奪ったのは、1分22秒919をマークしたローソン。以下、1分22秒946の坪井、1分23秒094の佐藤、1分23秒142の大湯、1分23秒181の野尻、1分23秒233の牧野、1分23秒270の大嶋、1分23秒329の平川、1分23秒378の小林可夢偉(Kids com Team KCMG)、1分23秒490の山下と続いている。
 
セッション1 トップタイム リアム・ローソン(TEAM MUGEN)
 
セッション1 2番手タイム 坪井翔(P.MU/CERUMO・INGING)
 
セッション1/2 3番手タイム 佐藤蓮(TCS NAKAJIMA RACING)
 
2時間のインターバルを経て、2回目のセッションが始まったのは、予定通り午後2時。ランチブレイクには、富士スピードウェイに霧が広がり一時視界が遮られたが、セッション開始を前にその霧も晴れ、コースはクリアに。午前中と同様、風はほとんどなく、気温18℃、路面温度22℃というコンディションのもと、コースがオープンされると間もなく多くのクルマがピットを後にした。このセッションでは、リザーブとして登録されていた大津弘樹が、ラウル・ハイマン(B-Max Racing Team)に代わって、51号車をドライブ。マシンセットアップの確認と煮つめを行なった。
このセッションでも、各ドライバーは持ってきたメニューをこなしていく。その中で、セッション序盤から1分23秒358という好タイムをマークしたのは、可夢偉。開始から10分という時点では、その可夢偉のタイムを野尻が上回ってくる。野尻は計測4周目に1分23秒296、計測5周目に1分23秒016と、午前中のトップ3に匹敵するタイムを早くもマークしてくる。さらに、セッション開始からわずか13分という時点で、ローソンがユーズドタイヤで1分22秒479をマークし、午前中のトップタイムを上回ってきた。
その後、セッション序盤に1分23秒298、1分23秒200と続けて好タイムをマークし、この時点での3番手に入ってきたのは、松下。ほぼ同じタイミングで、ニュータイヤを投入したジェム・ブリュックバシェ(TGM Grand Prix)も1分23秒364をマークしてくる。牧野も1分23秒256までタイムアップしてきた。さらに今回、約3ヶ月ぶりのスーパーフォーミュラドライブとなった笹原も、ここで早めにニュータイヤを投入して1分23秒300をマーク。この時点での6番手に滑り込んでくる。
続いて、セッション開始から約35分という時点で、1分22秒934と、ローソンに続いて22秒台に入ってきたのは牧野。セッション開始から約40分というところでは、可夢偉も1分22秒886と22秒台に入り、牧野を上回ってくる。セッション開始から51分というところでは、野尻も1分22秒894と22秒台に突入した。さらに、セッション開始から55分というところでは、坪井が1分22秒954をマーク。坪井はセクター2までローソンをコンマ5秒上回っていたが、セクター3でタイムを落としている。さらに、セッションがほぼ折り返しとなった午後2時58分には、牧野が自己ベストを更新。1分22秒851までタイムを縮めて、この時点での2番手に浮上した。これに続いて、午後3時ちょうどには、阪口晴南(P.MU/CERUMO・INGING)がニュータイヤを投入して1分22秒777をマーク。大湯もここでニュータイヤを投入し、1分22秒568までタイムアップを果たした。大湯は、その翌周もセクター2までは全体ベストタイムを書き換える走り。そのままピットに入ったものの、トップタイムを狙えるだけの力を見せていた。さらにセッション後半に入ったところでは、大津や松下がニュータイヤを投入。大津は、ここで1分23秒117をマークする。また、松下もここで1分22秒595と22秒台に突入。ローソン、大湯に続いて、この時点での3番手に浮上する。
また、セッション開始から1時間20分を過ぎたあたりでは、ローソンがフロントだけニュータイヤに交換。1分22秒473と、わずかに1000分の6秒、自己ベストを更新してくる。この頃には、空からかすかに雨が落ち始め、路面は滑りやすくなったが、完全なウェットコンディションとなる程ではなかった。その後、再び雨は止み、路面は完全に回復している。
その後、セッションの残り時間が20分を切ったところでは、平川が1分23秒032、大嶋が1分23秒255と自己ベストを更新。いずれも、1回目のセッションの最後に装着していたものの、アタックに使用できなかったスクラブ済みのニュータイヤを使用している。
いよいよセッションの残り時間が10分を切ると、1日の締めくくりとして、多くのドライバーがニュータイヤを投入。アタックシミュレーションに入る。その中で、可夢偉、関口、笹原、宮田莉朋(VANTELIN TEAM TOM’S)、松下、大湯、ブリュックバシェ、佐藤は、フロントだけスクラブを行なった後、リヤにニュータイヤを装着してアタックに向かった。
この最後のアタックでは、オーバーテイクシステムを使用することが可能だったが、それを使用したために1コーナーやダンロップコーナーのブレーキングで止まり切れなかったドライバーもちらほら。その中で、唯一1分21秒台をマークし、総合トップタイムで締めくくったのは、山本尚貴(TCS NAKAJIMA RACING)。山本はここで1分21秒897を叩き出した。これに続いたのは、1分22秒009をマークした牧野。以下、1分22秒193の佐藤、1分22秒229の大湯、1分22秒244の笹原、1分22秒294の宮田、1分22秒306の大嶋、1分22秒362の坪井、1分22秒417の山下、1分22秒442の太田格之進(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)と続いている。これに対して、セッション最後にニュータイヤを使用しなかったのは、野尻、ローソン、阪口だった。
 
明日、2日目の第1セッションが始まるのは、午前8時30分。このセッション開始直後からは、弱い雨が降るという予報も出されているが、どのようなセッションになるのか? 引き続き注目のテストとなるのは間違いない。
 
セッション2 トップタイム 山本尚貴(TCS NAKAJIMA RACING)
 
セッション2 2番手タイム 牧野任祐(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)

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