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完璧なレース運びでリアム・ローソンが完勝!! 今季3勝目を飾る

2023.07.16

優勝したリアム・ローソン(TEAM MUGEN)
 
予選日に続き、終日曇りとなった7月16日(日)の静岡県富士スピードウェイ。しかし、3連休というだけでなく、今回は『夏祭り in FUJI MOTORSPORTS FOREST』と題して場内で多くのイベントが開催されたことから、予選日から多くの観客がスタンドへと足を運んだ。その観客たちが見守る中、午後2時30分からは全日本スーパーフォーミュラ選手権 第6戦の決勝レースが行われている。このレースで今季3勝目を挙げたのはリアム・ローソン(TEAM MUGEN)。2位にはPPからスタートした牧野任祐(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)、3位には予選5番手からスタートした宮田莉朋(VANTELIN TEAM TOM’S)が入賞。この結果、ポイントランキングでは、宮田が86ポイントで首位をキープ。ローソンが1ポイント差の85ポイントと迫った。今回のレースを8位で終えた野尻智紀(TEAM MUGEN)は61ポイント。宮田とローソンには水を開けられる形となっている。
 

 
午後になっても湿気が多い曇りの天候が続いた富士。最終コーナーから1コーナーに向けて、しっとりとした風が吹く中、午後2時30分にフォーメーションラップがスタートする。この時点で気温は25℃、路面温度は31℃と、真夏のコンディションにはならなかった。22台のマシンは1周の隊列走行を終えると、正規グリッドに着く。全車が位置につくと、後方ではグリーンフラッグが振られ、シグナルオールレッドからブラックアウト。その瞬間、41周先のゴールに向けて、各車一斉にスタートを切った。このスタートでホールショットを奪ったのは、PPスタートの牧野。これにローソンが続く。3番手に浮上したのは、予選6番手からのスタートとなった山本尚貴(TCS NAKAJIMA RACING)。これに予選3番手の太田格之進(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)、予選4番手の佐藤蓮(TCS NAKAJIMA RACING)、予選9番手の大津弘樹(TGM Grand Prix)、さらに宮田と続く。予選8番手の山下健太(KONDO RACING)は加速が鈍り、ポジションダウン。その後、1コーナーでは数台が横並びで入っていく形となったが、ここで山下は坪井翔(P.MU/CERUMO・INGING)と軽く接触し、大きくポジションを落とすこととなった。また、このレースが復帰戦となった笹原右京(VANTELIN TEAM TOM’S)もアンチストールが入ってしまい、大きくポジションダウンしている。
スタートからの数周は、随所で激しいバトルが勃発。オープニングラップのコカ・コーラコーナーでは佐藤が太田をオーバーテイク。太田は、その後、大津と宮田の先行も許してしまう。また、ダンロップコーナーでは、宮田がアウト側から大津をオーバーテイクし、ポジションを戻すシーンが見られた。その結果、オープニングラップを終えてのオーダーは、牧野、ローソン、山本、佐藤、宮田、大津、太田、野尻、阪口晴南(P.MU/CERUMO・INGING)、福住仁嶺(ThreeBond Racing)となっている。
2周目には、4番手争いが激化。1コーナーからコカ・コーラコーナーにかけて、一旦はオーバーテイクシステムを使った宮田が佐藤の前に出ることに成功する。しかし、その翌周の1コーナーでは、佐藤がオーバーテイクシステムを使用して、逆に宮田をオーバーテイク。ポジションを取り返した。また、2周目のダンロップコーナーでは、関口雄飛(ITOCHU ENEX TEAM IMPUL)と国本雄資(Kids com Team KCMG)が接触。関口は右リヤタイヤがバーストし、ピットインを余儀なくされている。さらに、4周目の1コーナーでは大津のインに太田が飛び込み、太田がひとつポジションを取り返した。さらに、8周目に入ると、山本と佐藤のチームメイトバトルが激化。ジワジワと山本に迫った佐藤が1コーナーで山本の前に出ることに成功し3番手に浮上した。その後方では、20番手からスタートした平川亮(ITOCHU ENEX TEAM IMPUL)が少しずつポジションアップ。6周目のダンロップコーナーでは平川が前を行く小林可夢偉(Kids com Team KCMG)を攻略。さらに、9周目の1コーナーでは、平川が坪井の前に出ることにも成功している。
この頃、トップ争いは膠着。牧野とローソンの差は、スタートしてからずっと、コンマ9秒から1秒2という間で揺れ動く。ラップによって、牧野が速い周、ローソンが速い周があり、なかなか決定的な差は生まれなかった。
 

 
そうこうするうち、牧野が10周を消化し、タイヤ交換のウィンドウが開く。ここで真っ先にピットロードに滑り込んだのは、3番手を走行していた佐藤。5番手を走行中だった宮田、6番手を走行中だった太田、さらに可夢偉、大嶋和也(docomo business ROOKIE)、山下がタイヤ交換のためにピットイン。上位を走っていた佐藤、宮田、太田にポジションの入れ替わりはなく、そのままコースに戻って行く。
これを見て、翌周動いたのは、ローソン。大津、坪井もピットに入る。この中で、ローソンのクルーは、5秒8という素早い作業を見せ、タイヤ交換をした中で一番トップにいた佐藤の前でローソンをコースに戻すことに成功する。さらに、ここからローソンは圧巻の走り。アウトラップでコースオフしないように気をつけつつも、猛プッシュを見せる。タイヤ交換作業も含めての時間とはなるものの、他の多くのドライバーが2分03〜04秒だったのに対し、ローソンのアウトラップは2分01秒388。驚異的なタイムをマークしてきた。
そして、ローソンがピットに入ると、その翌周ピットに滑り込んだのは、トップを走っていた牧野。さらに、野尻もピットに入った。牧野のクルーも素早い作業を見せ、牧野がコースに戻った時には、ローソンのわずかに前。しかし、すでにタイヤが温まっていたローソンは、コカ・コーラコーナーでまだタイヤが冷えている牧野を難なくオーバーテイク。実質的なトップに立つことに成功している。
 

 
これに対して、ピットインのタイミングを引っ張ったのは、山本、平川、阪口、小高一斗(KONDO RACING)ら。しかし、見た目上のトップに立った山本が1分25秒台中盤から後半のタイムだったのに対して、すでにタイヤ交換を終わらせているローソンや牧野は1分24秒台後半のタイムを連発し、山本との差を削り取っていった。また、コース上でじわじわとポジションを上げていただけでなく、タイヤ交換を遅らせたことで山本の後ろにつけた平川も、少しずつ山本との差を縮めて行く。そんな中、見た目上のトップにいた山本がピットロードに滑り込んだのは、24周を終えた時点。山本はタイヤ交換を終えた中で6番手にいた野尻の目の前でコースに戻る。しかし、冷えたタイヤということで、1コーナーでは野尻の先行を許した。一方、山本がピットインしたことで前が開けた平川は、プッシュを開始。1分25秒台中盤でラップを重ねて行く。他のドライバーが全員タイヤ交換を終えた後も、平川はコース上にステイ。ローソン、牧野にはペース的に少し遅れを取っていたが、実質3番手争いをしていた佐藤、宮田を上回るペースで走り続けた。そして、30周を終えたところで、平川はいよいよピットイン。8番手でコースに戻っている。
 
決勝2位 牧野任祐(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)
 
この頃、コース上でも再びバトルが勃発。トップ争いはローソンが牧野を少しずつ引き離し、安全マージンを築いていた。牧野も3番手を走行中の佐藤には大差をつけていた。しかし、タイヤ交換後、佐藤の後ろを走っていた宮田が一気に佐藤に追いつき、31周目の1コーナーで並びかける。ここは佐藤がポジションを守ったが、ヘアピンから再び佐藤に迫った宮田が、ダンロップコーナーでアウト側から鮮やかに佐藤をオーバーテイク。3位に浮上し表彰台圏内に入ってくる。また、その後方では6番手争いも激化。タイヤ交換後、1回は野尻に先行された山本が、やはり31周目の1コーナーで野尻に詰め寄る。ここは野尻が何とかポジションを死守。しかし、翌32周目の1コーナーでは山本が再び野尻に接近。立ち上がりで野尻の前に出ることに成功した。
そして、終盤、この上位バトルの中に加わってきたのが、平川。もっともタイヤが新しい平川は、34周目の1コーナーで野尻をイン側からオーバーテイク。7番手に浮上すると、そこからさらに前を追う。そして、37周目の最終コーナー立ち上がりからストレートにかけて、山本の前に出ると6番手に浮上してきた。さらに、平川は追撃の手を緩めず、40周目の1コーナーではイン側から太田をパスして5番手、同じ周の最終コーナーからストレートにかけては4番手を走る佐藤のインを差して一旦は前に出た。ここで佐藤はオーバーテイクシステムを稼働させ、ファイナルラップの1コーナーで再び前に出る。しかし、平川の勢いは最後まで衰えず。平川はファイナルラップの最終コーナーで佐藤のインに飛び込むと、そのままコントロールラインまで突っ走り、4位でレースを終えている。
 
決勝3位 宮田莉朋(VANTELIN TEAM TOM’S)
 
ローソンは終始安定した走りを見せて、今季3勝目をマーク。PPスタートの牧野は、ローソンにアンダーカットを許してしまい、悔しい2位。宮田は踏ん張りを見せて3位。さらに、予選20番手からジャンプアップを果たした平川が4位。以下、佐藤、太田、山本、野尻。最後の最後に大津が左フロントタイヤに問題を抱えてストップしたことで、可夢偉が9位、阪口が10位と、ここまでがポイントを獲得している。
その結果、ランキング争いも接近。宮田が86ポイントと首位を守っているが、ローソンが宮田まで1ポイントに迫った。次戦・もてぎではこの2人の差がどうなるか、非常に気になる展開。また、今回両者に差をつけられる形となったランキング3位の野尻も、復活が期待される。
 

 

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