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第7戦予選 野尻智紀が今季3回目のポール・ポジション獲得

2023.08.19

予選P.P 野尻智紀(TEAM MUGEN)
 
午後からは曇りがちになり、かなり風が吹いたため、体感的には過ごしやすくなった栃木県・モビリティリゾートもてぎ。それでも少し動くと汗ばむようなコンディションのもと、全日本スーパーフォーミュラ選手権第7戦のノックアウト予選が行われた。Q1、Q2で争われたこの予選で、今季3回目のPPを獲得したのは、野尻智紀(TEAM MUGEN)。これに太田格之進(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)、リアム・ローソン(TEAM MUGEN)と続いた。野尻にとっては、復活の狼煙をあげる会心の一発。また、ローソンが1ポイントを追加したため、宮田莉朋(VANTELIN TEAM TOM’S)とポイントで並ぶことに。ただし、高得点を得た回数が多いローソンがランキングではトップ浮上ということになった。
 
午前中に行われたフリー走行から約4時間のインターバルを経て、10分間で争われるAグループのQ1が始まったのは、午後2時50分。この時点では、雲の切れ間からまだ太陽がギラギラと照りつけており、気温は33℃、路面温度は46℃というコンディションとなる。今回、ランキング順によって、このAグループに振り分けられたのは、ローソン、山下健太(KONDO RACING)、牧野任祐(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)、小林可夢偉(Kids com Team KCMG)、大嶋和也(docomo business ROOKIE)、関口雄飛(ITOCHU ENEX TEAM IMPUL)、笹原右京(VANTELIN TEAM TOM’S)、阪口晴南(P.MU/CERUMO・INGING)、ラウル・ハイマン(B-Max Racing Team)、ジェム・ブリュックバシェ(TGM Grand Prix)、山本尚貴(TCS NAKAJIMA RACING)の11人。コースがオープンされると、ローソン、関口、山下、槙野、笹原といった順で全車がピットを後にする。この中で大嶋だけは最初からニュータイヤを装着していた。
その他のドライバーたちは、半分ほどがアウトラップでマシンの状態を確認するとピットイン。その中で、笹原と可夢偉の2人はフロントにニュータイヤを装着してもう一度コースに入り、スクラブを行なった後に再度ピットインしている。その他のドライバーは、大嶋を除きアウトラップとウォームアップラップを走るとピットに戻った。これに対して、最初からニュータイヤでのアタックに入った大嶋は、セッション開始から4分というところでいきなり1分33秒664というタイムをマークしてくる。
その後、セッションを折り返したところからは、ハイマン、ローソン、ブリュックバシェ、山本、牧野、阪口、関口といった順で4輪すべてにニュータイヤを装着したドライバーたちがコースイン。残り時間が4分15秒ほどとなったところで、フロントにスクラブ、リヤにニューを装着した可夢偉もピット前から動き始める。しかし、可夢偉はピットロードエンド、フリー走行などでスタート練習をする場所に一旦ストップ。なかなか動き出さなかったが、残り時間が3分半となったところでコースに入っていった。その20秒後には、2セット目のニュータイヤを履いた大嶋、そして最後に笹原がコースに入っていった。
 
この中でセッションの残り時間が1分15秒というところから、真っ先にアタックに入ったのは、可夢偉。可夢偉はチェッカー目前にコントロールラインを切ると、1分33秒469というタイムをマークしてくる。これに続いてアタックした大嶋は自己ベストをわずかに更新したものの、1分33秒534と可夢偉には及ばず。さらに笹原も、1分33秒643とタイムを伸ばせなかった。一方、これに続いてコントロールラインを通過したのは、アウトラップとウォームアップラップを走ってからアタックに入ったローソン。ローソンは、ここで1分33秒339と可夢偉のタイムを上回ってくる。これに続いた山本は1分33秒412とローソンにはわずかに届かず。ここで一気にトップタイムを書き換えたのは、昨年のもてぎで優勝している関口。関口は、このアタックで1分33秒072とローソンをコンマ3秒上回ってきた。阪口は、ローソンに次ぐ1分33秒373をマークするも、関口には届かなかった。しかし、最後の最後に関口のタイムを書き換えてきたのは、前回の富士でもPPを奪っている牧野。牧野はここで1分32秒983と、唯一1分32秒台に飛び込み、Q1をトップタイムで締めくくる。2番手には関口。以下、ローソン、阪口、山本、可夢偉までがQ1を突破。僅差ながら、大嶋、山下、笹原、ブリュックバシェ、さらにハイマンはQ2に駒を進めることができなかった。
 
予選3位 リアム・ローソン(TEAM MUGEN)
 
5分間のインターバルを経て、やはり10分間で争われるBグループのQ1が始まったのは、午後3時05分。この頃になると、空は雲で覆われ、若干涼しくなってきた。今回、このBグループには、野尻、小高一斗(KONDO RACING)、太田、国本雄資(Kids com Team KCMG)、福住仁嶺(ThreeBond Racing)、平川亮(ITOCHU ENEX TEAM IMPUL)、宮田、坪井翔(P.MU/CERUMO・INGING)、松下信治(B-Max Racing Team)、大湯都史樹(TGM Grand Prix)、佐藤蓮(TCS NAKAJIMA RACING)の11人が振り分けられた。コースがオープンすると、野尻、平川、小高、太田、佐藤、宮田、大湯といった順でコースに入っていく。ただ坪井だけは、しばらくピットで待機していた。また、宮田と国本はアウトラップを終えると一旦ピットイン。フロントにニュータイヤを装着すると、再びコースに戻り、スクラブを行なっている。坪井も同じタイミングでフロントをスクラブしている。また、アウトラップ、インラップを走り終えると、その他のドライバーたちはピットに戻った。この中で、インラップのセクタータイムで驚速ぶりを見せていたのは野尻。フリー走行でも トップタイムだった野尻は、予選でも上位に来る気配を漂わせていた。
 その野尻は、セッションの残り時間が5分となったところで、4輪ともにニュータイヤを装着してコースイン。これに佐藤、小高、太田、松下が続く。さらに、残り時間が4分となったところで、フロントをスクラブした後、リヤにニュータイヤを装着した国本がピットを後にする。しかし、国本も、可夢偉と同様、ピットロードエンドで20秒ほどストップ。そこからコースへと入っていった。さらに、国本に続いて、坪井、宮田がコースイン。こちらもスクラブしたフロントに、リヤはニューだった。
 
予選1位 野尻智紀(TEAM MUGEN)
 
この中で、真っ先にアタックに入ったのは、国本。しかし、チェッカーまで残り20秒ほどというところでコントロールラインを通過した国本のタイムは、1分33秒439と思ったほどは伸びない。一方、これに続いてアタックした坪井は1分32秒849、宮田は1分32秒619と32秒台に突入してくる。さらに、野尻が1分32秒666をマークしてくるが、宮田にはわずかに及ばず。佐藤が1分33秒127、小高が1分33秒379と、いずれも32秒台に入れることはできなかった。その後、アタックしていた太田は1分32秒714、松下は1分33秒096、平川は1分32秒747と、いずれも宮田のタイムには及ばない。しかし、最後の最後にアタックし、これが復帰戦となった大湯が1分32秒387というタイムを叩き出し、宮田を上回ってきた。結果、大湯がQ1をトップ通過。宮田、野尻、太田、平川、坪井がこれに続き、Q1通過を決めた。一方、僅差でQ2進出を逃したのは、松下、佐藤、小高、国本、福住だった。
 
予選2位 太田格之進(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)
 
10分間のインターバルを経て、いよいよPPを決定づける7分間のQ2が始まったのは、午後3時25分。セッションが始まると、宮田、坪井、可夢偉は、フロントタイヤをスクラブするために、すぐにコースイン。平川もマシンの状態を確認するため一旦コースに出た。この4台はアウトラップを走って、一旦ピットに戻ると平川以外がリヤをニュータイヤに履き替える。平川はここで4輪を交換。その他のドライバーは最初から4輪ともにニュータイヤを装着し、コースインのタイミングを待った。そして、セッション開始から2分というところで、野尻、ローソン、山本、牧野、太田、阪口、さらに30秒ほど経ったところで関口、大湯といった順で続々コースイン。このグループは、アウトラップとウォームアップラップを走ってからタイムアタックに入る予定だ。一方、開始直後に1回コースに入ったグループでは、残り時間が4分となったところで、まず平川がコースに向かう。平川も2周してからアタックに入る予定だった。続いて可夢偉が平川との間を開けるように、ゆっくりとピットロードを進み、コースに入っていく。さらに、残り時間が3分20秒となったあたりで坪井、その10秒後に宮田がコースインしていった。
 この中で、残り時間が1分40秒というところで、アウトラップを終えて真っ先にアタックに入ったのは、可夢偉。これに坪井、宮田と続き、2周タイヤを温めた野尻やローソンたちが続く。
 チェッカー目前にコントロールラインを切った可夢偉は、ここで1分32秒370と、自身がQ1で出したタイムを1秒以上更新。一方、これに坪井は1分32秒761、宮田は1分32秒391と、可夢偉を上回ることができない。しかし、これに続いた野尻が驚速タイムをマーク。野尻は1分31秒955と、今日初めての31秒台を叩き出し、トップに立つ。続いてアタックしていたドライバーたちは、31秒台に入れることができず、誰も野尻のタイムを上回れなかった。
その結果、野尻は開幕戦、第2戦に続き、今季3度目のPPを獲得。第3戦・鈴鹿でのリタイヤ、第4戦・オートポリスでの欠場、さらに前戦・富士では全くペースが上がらなかったが、今回は完全復活を印象付けた。この野尻に続いたのは、太田。前戦に続き、太田は予選トップ3に入ってくる。さらに、野尻のチームメイトであるローソンが3番手に滑り込み、1ポイントを獲得。Q1トップだった大湯は4番手。ここまではホンダエンジン勢が上位を独占している。トヨタエンジン勢最上位の関口は5番手。以下、可夢偉、平川、宮田と続いている。
 
トヨタエンジン勢最上位 関口雄飛(ITOCHU ENEX TEAM IMPUL)
 
明日の決勝も暑くなりそうだが、どのドライバーがスタートと作戦、さらにはコース上でのバトルを制して勝利の美酒を味わうのか。またしても、目が離せない展開となるはずだ。
 

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