2014 SUPER FORMULA
Round7 Suzuka Circuit 13th JAF GRAND PRIX SUZUKA
- Suzuka Circuit
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公式予選 11月8日(土) /
決勝レース 11月9日(日)
鈴鹿サーキット : 5.807 km
Race
Race2決勝は中嶋一貴がポール・トゥ・ウイン!喚起の戴冠
ライバルを寄せ付けない完勝。2、3位はロッテラーとデュバルとなる。
No.37 中嶋一貴
午前のRace1に続き、午後3時に28周で争われるRace2のフォーメーションがスタート。本来はタイヤ交換の義務があるRace2だが、全車がレインタイヤを装着したことで、特別規則に基づきタイヤ交換をしなくてもいいことにあった。一時は本降りとなっていた雨が、この時間帯になると再び弱まる。そんな中、隊列走行を終え、今度は全車が正規スターティンググリッドに。シグナルオールレッドからブラックアウトし、キレイなスタートが切られた。
スタート宣言を務めたのは、地元・鈴鹿市の末松則子市長
新型シャシー SF14を開発したイタリア・ダラーラA・M社の
会長ジャンパオロ・ダラーラ氏
ここでRace1とは逆に、抜群のスタートを切ったのはNo.37 中嶋一貴(PETRONAS TOM'S SF14)。Race1のスタートでペナルティを取られたNo.8 ロイック・デュバル(Team KYGNUS SUNOCO SF14)は少し慎重になり、3番グリッドのNo.36 アンドレ・ロッテラー(PETRONAS TOM'S SF14)がデュバルの前に出る。さらに6番グリッドのNo.19 ジョアオ・パオロ・デ・オリベイラ(Lenovo TEAM IMPUL SF14)が、Race2でもロケットスタート。ロッテラーとデュバルの近くまで迫った。しかし、アウト側にラインを取ったデ・オリベイラは、1コーナー手前でスペース失い若干減速。4番手で1コーナーへと入って行った。
ここからはRace1のデ・オリベイラと同様、一貴が逃げる展開となる。そして一貴は次々にファステストラップを刻み、後続を引き離して行った。2番手争いも、序盤は若干離れる展開となる。その後方では、7番手争いが緊迫。4周目の2コーナーでNo.20 ナレイン・カーティケヤン(Lenovo TEAM IMPUL SF14)をNo.38 石浦宏明(P.MU/CERUMO・INGING SF14)がオーバーテイク。同じ周、カーティケヤンがスプーン2つ目で挙動を乱すと、No.1 山本尚貴(TEAM 無限 SF14)もそれに迫る。山本は、そこから攻略の機会を狙っていたが、12周目の1コーナーでオーバーテイクに成功。Honda勢トップの8番手まで浮上してきた。さらにその後方では、11番手争いも激化。7周目のシケインからNo.34 伊沢拓也(DRAGO CORSE SF14)の後方に迫ったNo.10 塚越広大(HP SF14)が、8周目の1コーナーでサイド・バイ・サイドまで持ち込む。だが、伊沢も一歩も引かず、2台は逆バンクまで軽く接触しながらも横一線に並んだままポジション争いを繰り広げた。だが、このバトルで2人のスピードが鈍ったところ、ダンロップコーナーで一気に抜き去ったのはNo.40 野尻智紀(DOCOMO DANDELION M40T SF14)。No.11 ヴィタントニオ・リウッツィ(HP SF14)もこれに続く。
また、10周目に入ると前方でも激しいバトルが勃発。No.7 平川亮(ACHIEVEMENT Team KYGNUS SUNOCO SF14)とNo.39 国本雄資(P.MU/CERUMO・INGING SF14)が1コーナーでサイド・バイ・サイドとなった。平川と国本はお互いにオーバーテイクボタンを使いながらの攻防を繰り広げていたが、13周目のシケインで国本がブレーキをギリギリまで遅らせ、平川のインに飛び込む。ここでの接触を避けて、平川はひとつポジションを落としたが、オーバーテイクボタンを使い切った国本に対し、平川は1回分を温存していた。そのため、シケインでかわされた後、平川はこれを使い、14周目の1コーナーでは逆にアウト側から国本に被せる。国本も2コーナーまでは必死で並んでいたが、ここでたまらずスピン。大きくポジションを落とす結果に。ここから挽回を試みた国本は、15周目のダンロップコーナーで再度スピン。今度はグラベルにマシンを止めてしまい、ここでレースを終えることになってしまった。
No.36 アンドレ・ロッテラー
No.8 ロイック・デュバル
レースが後半に入ると、一貴はすでに10秒近いマージンを築き、独走。これに対して激しくなり始めたのは2番手争いだった。オーバーステアに苦しんだロッテラーにジワジワとデュバル、デ・オリベイラが迫ってきたのだ。デュバルはロッテラー攻略のタイミングを狙っていたが、ロッテラーは130Rが速く、なかなかオーバーテイクのチャンスを見つけられない。デュバルは24周目のシケインでブレーキを遅らせて、さらにロッテラーに迫ろうとしたが、タイヤがロック。バランスを崩す。そこにデ・オリベイラが迫ったものの、2台は同時にオーバーテイクボタンを作動。デュバルがポジションを守り切った。ロッテラーは、これで少しマージンを持つことができ、ポジションを脅かされることは無くなった。
また一旦、オリベイラの追撃を阻んだデュバルは、ここからファステストラップを書き換える走り。ロッテラーには届かなかったが、デ・オリベイラを引き離すことには成功した。
28周のレースを終え、トップチェッカーを受けたのは一貴。今シーズン中盤は、なかなか思うようなスピードを発揮することができなかった一貴が、最後はライバルに接近さえ許さず、ポール・トゥ・ウインの完勝。一昨年に続く2度目のチャンピオンタイトルを獲得した。2位にはロッテラー、3位にはデュバル。そして4位にオリベイラ。この結果、ランキング2位はデ・オリベイラ、3位はロッテラー、4位はデュバルという結果で今シーズンの全日本選手権スーパーフォーミュラは幕を下ろした。チームタイトルは、前戦SUGOまでの結果でPETRONAS TEAM TOM'Sが獲得。ルーキー・オブ・ザ・イヤーは、前回初優勝を果たした野尻が獲得することとなった。
記者会見
舘 信秀 優勝チーム監督 / 2位 No.36 アンドレ・ロッテラー / 優勝 No.37 中嶋一貴 / 3位 No.8 ロイック・デュバル
- スタートを決めれば主導権を握れると思った
Race2 優勝
ポールからのスタートということでしっかりスタートを決めることができれば、レースの主導権を握ることができると思っていました。ウォームアップではペースがあまり上がらず、フィーリングが良くなかったので多少心配はしていたのですが、スタートをうまく決めることができました。クルマは100%完璧だったわけじゃないですが、その中でも徐々に後ろを引き離していくことができたので、レースは完璧なものでした。本当は、朝のレース(Race1)で勝って(タイトルを)決められれば午後は楽に過ごせるかなと思っていたのですが、そこまで楽はさせてもらえなかったですね。Race2の28周を含めてすべてのレースが終わるまで長かったですが、なんとかそれに耐えてこういう形でタイトルを決めることができて良かったです。
中嶋一貴(No.37 PETRONAS TOM’S SF14)
プッシュしようと思えばできたんですが、リスクを取っても仕方ないと思ったし、気持ちを抜くとコントロールするのが難しくなるので、気持ちを切らさず99%くらいのところで走っていました。だからコントロールし始めたのは、残り3周くらいからですかね。結果的には後ろを引離していけたので良かったし、少しはプレッシャーなく戦えたかなと思います。
雨のコンディションでクルマのコントロールもそう簡単ではない中、28周以上の長さを感じていました。唯一の救いは(後方との)ギャップが開いていったことだけでした。自分の気を抜くと途端にクルマのコントロールも難しくなるので、最後の最後まで気は抜けませんでした。最後の周くらいは安全運転で、というか、しっかり最後までクルマを持って行くことだけを考えていたので、とくに安全運転でした(笑)。今回、予選が良かったのにRace1が終わった段階でJP(デ・オリベイラ)とは差を詰められてしまい、Race2もスタートしてしばらくの間、特にスタートの瞬間は気の抜けない状態でした。非常に気も重たかったので、(勝ってタイトル獲得を果たし)とりあえずホッとしたというのが一番ですね。また、ウィニングラップで気持ちを開放して、やらかしては困ると思ったのでので(笑)、安全第一で最後まで持って行くことを心がけました。- レースそのものはさほど悪いものではなかったけれど、難しい戦いだった
Race2 2位
レースそのものはさほど悪いものではなかったけれど、難しい戦いだったね。3位から2位に上げて終えることができたのは良かったかな。ドライビング自体はレース中ずっとオーバーステアだったので、大変だったよ。とくに5周目くらいから厳しくなったし、後ろからロイック(デュバル)は近づいてくるし…。それをずっと抑えてがんばって走ったんだ。結果を残せてうれしく思うよ。
アンドレ・ロッテラー(No.36 PETRONAS TOM'S SF14)
今シーズンをランキング3位で終えることになったけれど、勝つためにレースをやっているので、残念な感じでもあるよね。今シーズン、クルマそのものは良かったし、速かったけれど、時には安定感に欠けるようなこともあったね。一方で、レース序盤は開幕戦でいい結果が残せなかったし、さらにはF1ベルギーGP参戦のためにこのレースを欠場することにもなった。最終的には(今シーズンの)結果に響いたのかな、とも思うね。でも過去のことを振り返ってあれこれ言っても仕方ないことだし、得た結果には満足しているよ。なによりもチームがチャンピオンタイトルを獲得することができて良かったと思うし、(中嶋)一貴は素晴らしい1年を送ったんだと思う。
特にこの週末、一貴はいい走りを見せてくれたよね。全体のシーズンを振り返ると、僕のほうが良かったかも…と思うけれど(笑)、チームタイトルも獲ることができたので、僕ら“舘ファミリー”にとってはうれしいことだよね。- 表彰台の上でシーズンを終えることができて良かった
Race2 3位
Race2はまずまずの内容だったと思う。スタートは良くなかったんだ。でも(Race1のような)ドライビングスルーペナルティを受けずに助かったよ。レース中、クルマをコントロールするのが少し難しい状態だったけれど、でもがんばってできる限りアンドレ(ロッテラー)をつかまえようと思ったんだ。プッシュしたけれど、彼はもともとミスしないタイプだから、残念ながらそのチャンスはなかったね。特に130Rが速かったよ。まぁ、表彰台の上でシーズンを終えることができて良かったと思う。
ロイック・デュバル(No.8 Team KYGNUS SUNOCO SF14)
今シーズンは僕にとって難しい1年でもあったね。とくにル・マン24時間でクラッシュしたから、その後のレース(第3戦富士)を欠場しなきゃいけなかったし、オートポリス(第5戦)では接触もあって、ポイント獲得ができなかったしね。そういう意味では最終戦で表彰台に上がれたのはうれしい。一方で、TOM'Sはシーズンを通して素晴らしいパフォーマンスを見せていたよね。以前よりも今年はより完璧だったんじゃないかな。彼らに改めて「おめでとう」と伝えたいね。もちろん僕らもがんばっていくよ! 来シーズンは休まずに全戦出たいね。- 創立40周年のアニバーサリーに花を添えてくれた
Race2 優勝チーム監督
Race2は、完璧な(中嶋)一貴のポール・トゥ・ウィンとなりましたね。もちろんアンドレ(ロッテラー)も予選3位からひとつ順位をあげて2位でフィニッシュしてくれたし。ほんと、パーフェクトなレースになりました。
舘 信秀 監督(PETRONAS TEAM TOM’S)
今日はずっと緊張していました。(チャンピオンシップを)追いかけているほうが楽ですね。トップにいると何となく緊張するので、それがドライバーに伝わるとイヤだなと思って、なるべく彼らとは顔を見ないようにはしていました。
今シーズンを振り返ると、やっぱりミスが多かった年じゃないかなと思います。例えば、(開幕戦は)決勝でアンドレのタイヤを右左逆に着けることもあったし、ピットに入れなきゃいけないタイミングでそれができなかったこともあるし。優勝を逃したことはアンドレに申し訳ない結果でしたよね。まぁ、もうそのようなことはないとは思いますが、反省点が多かったと思います。
おかげさまでそれでもチャンピオンを獲ることができたんですが、ちょうど弊社(TOM'S)が創立40周年のアニバーサリーにあたるので、その記念に花を添えてくれたと思います。ドライバーふたりには「ありがとう。よくやってくれた」と言いたいですね。もちろん、来年のドライバーラインナップはこのまま変えるつもりはありません。彼らがウチに居てくれれば、の話ですが(笑)。