SUPER FORMULA Logo

SUPER FORMULA Official Website

JapaneseEnglish

2015 SUPER FORMULA

Round1 Suzuka Circuit

  • Suzuka Circuit
  • 公式予選 4月18日(土) / 決勝レース 4月19日(日)  [43 Laps : 249.701 km]
    鈴鹿サーキット : 5.807 km

Race

Result Review

アンドレ・ロッテラーが開幕戦を完勝!!
2位は一貴でTOM'Sがワン・ツー。3位にカーティケヤン。山本は最終ラップに悲劇

image

No.2 アンドレ・ロッテラー

4月19日(日)、鈴鹿サーキット(三重県)で2015年全日本選手権スーパーフォーミュラ開幕戦の決勝レースが行われた。予選3位のNo.2 アンドレ・ロッテラー(PETRONAS TOM'S SF14)がスタートでトップに立つと、そのまま他を寄せ付けずに完勝した。2位もチームメイトのNo.1 中嶋一貴(PETRONAS TOM'S SF14)で、PETRONAS TEAM TOM'Sのワン・ツー・フィニッシュとなった。3位にはNo.41 ナレイン・カーティケヤン(DOCOMO DANDELION M41Y SF14)が入り、自身初のスーパーフォーミュラ初表彰台に上った。ポールポジションのNo.16 山本尚貴(TEAM 無限 SF14)は、最終ラップ途中まで一貴と2位を争うも、マシントラブルでゴールすることができなかった。

photo

2014-04-19 15:00-16:18 天候:曇り コース:ドライ 気温:18度 路面温度:25度


 この日の午前に行われたフリー走行ではスタート時に小雨でウェット。終了近くには雨も上がり、コースが乾き出していた。お昼前から鈴鹿サーキットの天候は、急激に回復方向へと向かう。曇りがちながら、気温が上がったため、サポートレースの全日本F3選手権が終わる頃には、路面は完全なドライコンディションとなった。
 そして、午後3時、全日本選手権スーパーフォーミュラ開幕戦の決勝レース、フォーメーションラップがスタートした。No.10 塚越広大(REAL SF14)が、決勝前のウォームアップ走行でターボに問題を抱えて、ダミーグリッドに付けず。このため、18台のマシンが1周の隊列走行。正規グリッドに着くと、シグナルオールレッドからブラックアウトし、いよいよ正規スタートが切られた。

photo

抜群のスタートを決めたTOM'Sコンビ

 ここで抜群の動き出しを見せたのは、3番グリッドのNo.2 アンドレ・ロッテラー(PETRONAS TOM'S SF14)。ポールポジションのNo.16 山本尚貴(TEAM 無限 SF14)、No.41 ナレイン・カーティケヤン(DOCOMO DANDELION M41Y SF14)の加速が鈍るなか、2台の中央を突破して、ロッテラーは一気にトップに立つ。これに続いたのは、No.1 中嶋一貴(PETRONAS TOM'S SF14)。一貴は一番アウト側のラインを取り、ロッテラー攻略を狙ったが、ロッテラーもクルマをアウトに振って、一貴の先行を阻止した。
 この2台に続いたのは、一番イン側のラインを取ったNo.38 石浦宏明(P.MU/CERUMO・INGING)。さらに、山本、カーティケヤン、No.19 ジョアオ・パオロ・デ・オリベイラ(LENOVO TEAM IMPUL SF14)、No.40 野尻智紀(DOCOMO DANDELION M40S SF14)、No.3 ジェームス・ロシター(FUJI×D'station KONDO SF14)と続く。
 この中で、オープニングラップから激しいバトルを見せたのは、石浦と山本。山本が130Rでオーバーテイクボタンを点灯させながら、石浦の背後に迫る。しかし、石浦もこれに対し、メインストレートでオーバーテイクボタンを作動させながら防御してみせた。だが、山本は諦めず、さらにもう1回、連続でオーバーテイクボタンを使用。2周目の第1〜2コーナーで石浦のインにクルマをねじ込むと、3位浮上を果たしている。

photo
No.1 中嶋一貴

 序盤は、その後方でも激しい攻防。3周目の1コーナーでは、No.34 小暮卓史(DRAGO CORSE SF14)がNo.64 中嶋大祐(NAKAJIMA RACING SF14)、No.11 伊沢拓也(REAL SF14)がNo.8 小林可夢偉(Team KYGNUS SUNOCO SF14)をオーバーテイク。さらに4周目の1コーナーではロシターが野尻をとらえ、伊沢も大祐をかわしてポジションを上げてきた。
 トップ集団では、最初の数周でロッテラーが抜け出し、次第に独走状態を築いていく。一方、2番手争いは、白熱。石浦をかわした後、山本が一貴に迫り、2台は一進一退の神経戦を演じた。
 そんな中、後方では早くもピットに入るドライバーも。まず真っ先にピットインを行ったのは、可夢偉。9周を終えたところで、給油とタイヤ交換を行った可夢偉は、空いたところでプッシュする作戦を取った。これを見て、翌周にはNo.20 アンドレア・カルダレッリ(LENOVO TEAM IMPUL SF14)もピットイン。こちらは給油だけでコースに戻り、可夢偉の前に出ることに成功した。しかし、可夢偉は19周目のシケインでポジションを取り戻している。

photo
No.41 ナレイン・カーティケヤン

ロシター、デ・オリベイラ、石浦が三つどもえバトル

 43周のレースが折り返した頃からは、他のドライバーもピットインを開始。このレギュラー作戦を取ったチームの中では、まず27周を終えたところでNo.39 国本雄資(P.MU/CERUMO・INGING)がピットに入る。しかし、国本のピットクルーが給油のリグを抜いた際に、ガソリンの飛沫が車体にかかって発火。国本はここで大きく遅れと仕舞うことになった。この翌周、28周を終えたところでは2番手の一貴がピットイン。これを見て、29周を終えたところでは、山本がピットへ。山本はここでもオーバーテイクボタンを使用して、インラップのタイムを稼ぎ、一貴攻略を狙った。しかし、ピット作業自体はPETRONAS TEAM TOM'Sの方が2秒ほど速く、山本がコースに戻った時には、再び一貴が目の前にいるという状況になった。これに対して、30周を終えたところでピットに入ったのは、ロッテラー。ロッテラーとカーティケヤン。すでに2番手以降に対して大きなマージンを築いていたロッテラーは、トップを脅かされることなくコースに戻ると猛プッシュを再開した。
 さらに31周を終えると石浦、32周を終えるとデ・オリベイラがピットイン。石浦はアウトラップのスプーンで、1周前にピットに入ったカーティケヤンに先行を許す。前半は、カーティケヤンを抑え込んでいたが、ここでひとつポジションを落とすことになってしまった。ピット作業が早かったデ・オリベイラも、コースに戻った時は石浦の前に出る。さらに、34周を終えて、給油だけでコースに戻ったロシターが、デ・オリベイラの前に出ることに。ロシター、デ・オリベイラ、石浦は、ここから激しい5番手争いを繰り広げることになった。特に、ロシターとデ・オリベイラの争いは白熱。タイヤが厳しいロシターは、バックストレートの入り口やシケイン立ち上がりを重視し、デ・オリベイラの猛攻を防ぐ。これに対して、デ・オリベイラはいらだち、メインストレートで左手を突き上げてアピールする場面も。だが、再三コーナーで迫るものの、なかなか前に出ることはできなかった。そして、残りが1周あまりとなった42周目のシケイン。両者ともにオーバーテイクボタンを使いながら入って行ったシケインで、デ・オリベイラがロシターに追突。2台はともにコースアウトを喫する。しかし、ポジションに入れ替わりはなく、このままチェッカーまで行くかと思われた。

photo
No.19 J.P.デ・オリベイラ
photo
No.38 石浦宏明

最終ラップに立て続けに悲劇が発生

 ちょうどその頃、悲劇に見舞われたのは、山本。終始3番手で、一貴を追っていた山本のエンジンが突然ブロー。後方から白煙が噴出した。山本は、デグナー手前のイン側にクルマを止めるとここでリタイヤ。悔しい開幕戦となった。また、これによって4番手争いとなったロシターとデ・オリベイラだったが、やはりデグナーでロシターがガス欠のために急激にスローダウン。ロシターは、そこからゆっくりと戻ろうとしたが、130R先あたりで力なく芝生にクルマを止めた。
 その結果、ブッちぎりで優勝したのはロッテラー。完全な一人旅となったロッテラーは、時折西コースでオーバーテイクボタンを使用し、そのパワー感を楽しみながら43周を走り切った。今回の大会はロッテラーにとって100回目。レース数では102戦目になるが、これが21回目の優勝となった。2位には一貴。
 さらに、山本のリタイヤによって、カーティケヤンが3位に浮上。日本の最高峰レースで、初めて表彰台を獲得した。以下、デ・オリベイラ、石浦、大祐、伊沢、野尻までがポイントを獲得。早目のピットインで巻き返す作戦を取った可夢偉は、残念ながら9位。ノーポイントに終わっている。

 次戦は7年ぶりに国内トップフォーミュラレースが開催される岡山国際サーキットが舞台。今日、ワン・ツー・フィニッシュを飾った2人は、岡山での公式テスト(3月)に参加していないが、一体どんな結果を出すのか? 今日、悔しい思いをしたドライバーたちはどんな巻き返しを見せるのか? 開幕戦以上に激しい戦いが期待される。

photo
No.64 中嶋大祐
photo
No.16 山本尚貴


photo

photo


photophoto


photo

記者会見

photo
2位 No.1 中嶋一貴 / 舘 信秀 優勝チーム監督 / 優勝 No.2 アンドレ・ロッテラー / 3位 No.41 ナレイン・カーティケヤン

いいスタートが切れて良かった

優勝
No.2 アンドレ・ロッテラー(PETRONAS TOM'S SF14)

 今日はいい一日になったね。チームでワン・ツー・フィニッシュを果たせたし、本当に最高です! クルマはトップの速さではなくとも、PETRONAS TEAM TOM'Sというチームがもつ強固なパワーを見せることができたと思います。
 僕にとって決勝レースのキーポイントはスタートだったので、いいスタートが切れて良かったです。昨シーズンから問題だと思っていたポイントを改善して、うまくコントロールするポイントを探っていました。より安定感あるスタートが切れるようになったと思います。なので、今は安心してスタートすることができていますね。
 そのあとはとにかく毎周プッシュすることに努めました。レースそのものはシンプルなストーリーでしたが、やらなきゃいけないことがあってそれを完遂した、という感じです。今回、ピットストップまでに後方とは4〜5秒のマージンを作りたかったんです。決して楽な展開ではない中、良いクルマがあったからこそ結果が出せたと思います。
 終盤、(独走態勢になってから)オーバーテイクボタンを押したのは、自分自身の判断でした。押さない手はないですよね!? ドライバーたるもの、できるだけ速く走りたいし、パワーもあるほうがいいですから(笑)。スピード感もあって、ずっとこんな感じがいいなぁと思ったくらい。常にこのくらいのパワーがあって欲しいですね。
ずっと後ろを見ながら走っている状況だった

2位
No.1 中嶋一貴(PETRONAS TOM'S SF14)

 8分間(の決勝前ウォームアップラン)でいろいろ確認し、どんなものなのか、今ひとつ手応えもよくわかないままレースになりました。でも、スタートが一番のキーになるということは重々承知していましたし、結果的にはそれがうまくいったと思います。頭の中ではスタートでアンドレ(ロッテラー)を抜くつもりだったので(苦笑)。でも(チームメイト)2台で前に出ることができましたからね。
 後方にいた山本(尚貴)がずっと速かったし、特にタイヤ交換後は速くて、ちょっとキツいなぁと感じていました。基本的には向こうがセクター1と2が速くて、こっちはセクター3以降が速かったんです。スプーンは明らかにこちらのほうが速かったので、そこさえちゃんと行ければ抜かれないかなぁと思いました。ただ、結構向こうのペースが速くなったり遅くなったりしていたので、なんとなく(逆転を)狙いにきてるとは感じていました。なので、そこだけ気をつけていましたね。
 ただ、残り5周くらいでギャップも落ち着いたので、このままいけるかな、と思いました。その後、向こうがトラブってくれたので最後の1周だけは気が楽になりました。でも基本的にはずーっと後ろを見ながら走っているような状況だったので、キツかったです。できればもうちょっと前を追いかけていきたかったんですが、まぁそれは今後に取っておこうかな。あ、いや、前を追いかけるんじゃなくて、前に出ていけるようにしたいですね(笑)。
チャレンジしながら走れたのが良かった

3位
No.41 ナレイン・カーティケヤン(DOCOMO DANDELION M41Y SF14)

 朝のフリー走行ではコンディションのせいか、ウェットでのクルマのパフォーマンスがあまり良くなくて、心配になりました。スタートも今いちだったのですが、予選でのポジションが良かったぶん助かりました。その後、複数のクルマに引っ掛かりながら走ることになり、中でも石浦(宏明)に引っ掛かってしまいました。なかなか前に出ることができなかったのですが、ピットストップを利用してポジションを上げることができました。
 その後はよりチャレンジしながら走れたのが良かったと思います。最終的には前のクルマの調子が悪くなり、3位に上がることができました。運が良かったですね。表彰台に初めて上がることができてうれしいし、新たに加わったチームで結果を残すことができて良かったと思います。

ちょっと出来すぎなレースです

優勝チーム監督
舘 信秀 監督(PETRONAS TEAM TOM'S)

 長年レースをやってますが、こんなにうまくいくことなんてないですよね。出来すぎです。大変ハッピーです。ありがとうございました! 昨日の予選は3、5番手だったので、決勝でもHonda勢に苦戦するのかと思っていたのですが、スタートで決まりましたね。ちょっと出来すぎなレースです。


photo