2016 SUPER FORMULA
Round1 Suzuka Circuit
- Suzuka Circuit
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公式予選 4月23日(土) /
決勝レース 4月24日(日) [43 Laps : 249.701 km]
鈴鹿サーキット : 5.807 km
Race
No.16 山本尚貴(TEAM 無限)が独走でポール・トゥ・ウィン!
国本が2位。3位はバンドーンがデビュー戦で表彰台を獲得
No.16 山本 尚貴
春らしい陽気となった3月24日(日)。32,000人という大観衆が見守る中、三重県・鈴鹿サーキットでは、今季の全日本スーパーフォーミュラ選手権開幕戦の決勝レースが行われた。ヨコハマタイヤ初の決勝は、タイヤ無交換作戦を選択する選手が大半を占めることとなったが、その中で終始安定したラップタイムを刻んでポール・トゥ・ウィンを決めたのは、No.16 山本尚貴(TEAM 無限)。フロントロウスタートの国本雄資(P.MU/CERUMO・INGING)が2014年第5戦・オートポリス以来となる2位表彰台を獲得した。これに続いたのは、好スタートを決めた予選4番手のNo.41 ストフェル・バンドーン(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)。デビュー戦で3位表彰台を獲得する快挙を成し遂げた。これは2003年のデビュー戦で2位表彰台を獲得したアンドレ・ロッテラー、2006年の第2戦、実質的なデビューレースとなった鈴鹿戦で優勝したロイック・デュバルの戦績に匹敵するものだ。
予選を終えた夜は雨模様となった鈴鹿サーキット。日曜日の朝には天候も回復し、午前中は陽射しも降り注いだ。だが、全日本スーパーフォーミュラ選手権の決勝スタート時刻が近づくと、空には雲が広がり、最終コーナー方向からは少し冷たさを含んだ風が吹きはじめる。それでも気温は24℃、路面温度は34℃と、この週末最も温かなコンディション。そんな中、午後3時15分に、予定通りフォーメーションラップがスタートした。しかし、ここで予選3番手だったNo.20 関口雄飛(ITOCHU ENEX TEAM IMPUL)がエンジンストール。この時、他の全車が通過する前に、メカニックがエンジンを再始動。元の位置に戻った。
そこから1周の隊列走行が終わると、全車正規グリッドにロックオン。シグナルオールレッドから、ブラックアウトすると、43周先のゴールに向けて、一斉に加速する。ここでホールショットを奪ったのは、PPの山本。これに予選2番手の国本、予選4番手のバンドーンが続いた。関口は、1つポジションを落として、4番手。さらにNo.34 小暮卓史(DRAGO CORSE)、No.11 塚越広大(REAL RACING)、少し加速が鈍ったNo.40 野尻智紀(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)、No.36 アンドレ・ロッテラー(VANTELIN TEAM TOM’S)、No.3 ジェームス・ロシター(KONDO RACING)が続いている。
トップを守った山本は、オープニングラップから猛プッシュ。国本とのギャップを広げて行く。その差は、5周を終えたところで3秒3余りまで広がった。一方、この頃、ピットストップ10秒のペナルティーを提示されたのは、4番手を走行中だった関口。エンジンストールした際の再始動手順が違反を取られたためだ。関口は7周を終えたところで、ペナルティー消化のためにピットイン。これで最後尾まで後退することとなった。
No.2 国本 雄資
スタートから10周を終えると、早くも中団や後方では、動きが。まず給油のために11周を終えたところでピットに入ったのは、15番手を走行していたNo.11 伊沢拓也(REAL RACING)。その翌周には、14番手を走行中だったNo.19 ジョアオ・パオロ・デ・オリベイラ(ITOCHU ENEX TEAM IMPUL)がピットに入った。オリベイラは、給油だけでなくタイヤ交換も行ってコースに戻る。そのため、作業時間は15秒3と、伊沢の7秒5よりは大幅に長かったが、伊沢がアウトラップを終えた次の2コーナーでスピン。この間に、オリベイラが先行した。
その2周後、14周目のスプーンコーナーでは、9番手争いを演じていたNo.8 小林可夢偉(SUNOCO TEAM LEMANS)が前を行くロシターをかわそうとプッシュしバランスを崩し、その間にNo.65 ベルトラン・バゲット(NAKAJIMA RACING)が先行。コースに戻った可夢偉は、オーバーテイクボタンを使用しながら、バゲット攻略を狙ったが、逆転はならなかった。そして、可夢偉は18周を終えたところでピットイン。給油とタイヤ交換を行う。ところが、右リヤのナットが締まっておらず、コースに戻るとすぐにスロー走行。そのまま1周して、再度ピットに戻ろうとしていたが、シケインで右リヤタイヤが脱落してしまった。また、チームメイトのNo.7 ナレイン・カーティケヤン(SUNOCO TEAM LEMANS)は、23周を終えたところでピットイン。だが、チームとのミスコミュニケーションがあり、まだクルーは何も準備していなかった。チームは、そこから急いでピット作業を行ったものの、今度は左フロントのナットが締まり切っておらず、カーティケヤンはアウトラップのデグナー1つ目でコースアウト。ここでレースを終えてしまった。
ちょうど、この頃からトップ集団でもピットに入るドライバーが。25周を終えたところで、5番手走行中の塚越がピットイン。給油とタイヤ交換を13秒という短い作業時間で終えて、コースに戻った。続いて、29周を終えたところでは野尻、30周を終えたところでは小暮、そして、31周を終えたところでトップの山本、3番手走行中のバンドーン、ロッテラーがピットイン。全員給油だけを終えて、コースへと戻った。さらに、32周を終えたところで、国本、ロシター、バゲットもピットイン。やはり全員給油のみでコースに戻った。
トップ5の順位は、ピット作業後も変わらず。山本、国本、バンドーン、小暮、塚越のまま。だが、野尻は前半からペースが上がらず。野尻がピットに入ってから数周の間に、他のドライバーたちが猛プッシュしたこともあって、ポジションを落としてしまった。逆に、ここで6番手に上がってきたのは、ロッテラー。7番手にロシター。だが、ロッテラーは右フロントのアップライトに問題を抱えてペースが上がらず。ロシターが38周目にオーバーテイクボタンを使用しながら、ロッテラーを攻略した。野尻は、この2台の後ろで、8番手のポジションを守ろうとしていたが、40周目のシケインで後方から迫っていたバゲットにアウトから並びかけられると、止まり切れずにショートカット。そのため、バゲットにポジションを譲らざるを得なかった。
この頃、トップの山本は2番手以下に10秒以上の大差をつけて独走状態。最後まで悠々と走り切って、今季初優勝を果たした。山本にとっては、2レース制以外では初の優勝ということもあり、喜びはひとしおだった。
2位の国本は、ピットイン後の終盤、一時バンドーンに詰め寄られる場面もあったが、オーバーテイクを狙われない程度のギャップを保ち続け久々の表彰台を獲得。さらに、バンドーンもミスなく走り切って3位。以下、復活の兆しを見せる小暮が4位、塚越が5位、ロシターが6位、ロッテラーが7位、バゲットが8位と、ここまでがポイントを獲得。終盤ポジションを落とした野尻は9位。10位には予選最後尾からスタートしたオリベイラ。オリベイラは、ポイント獲得こそならなかったものの、序盤のピットイン後、1分41秒台のタイムを連発して、アンダーカットに成功。大きくポジションを上げて、レースの見せ場を作った。
第2戦は、5月28日(土)〜29日(日)に、岡山国際サーキットを舞台に行われるが、今度は誰が勝利の美酒に酔うのか。今から期待される。
No.41 ストフェル・バンドーン
記者会見
- 未知数の多い中、戦略的なものも含め、すべてうまくいった
優勝
ようやく1レース制のレースで優勝することができてうれしいです。金曜日の走り始めから正直ポールポジションを獲ったり、優勝するという部分でのパフォーマンスはちょっとまだ劣っているかなと感じたんですが、無限やHondaのスタッフ、僕も含め、誰ひとり諦めることなく、週末を過ごした結果だと思います。ヨコハマタイヤでの初レースということもあり、未知数の多い中で結果的には戦略的なものも含め、すべてうまくいったかなと思います。
No.16 山本尚貴(TEAM 無限)
日曜日朝のフリー走行では何をやってもダメだったんです。でも(スタート前チェックの)8分間を前にしてセットアップの変更を含め、もう一度見直してくれたことで復活することができました。レースでは、スタートから10〜15周が経って、4秒くらい(後ろを)離せたときには、なにもなければいける(優勝できる)と思いました。ただ開幕戦だし、最後まで何が起るかわからないのがレースなので、正直怖かったです。それでも、最後の残り10周は自分の中でどうしたらもっとうまく走れるかな、とか、余裕ではないですが、そういうことが考えられるくらいクルマは安定していました。この時の走りは次の岡山にも生かせると思うので、収穫があったと思います。
九州が大変なときに、こうしてレースができることをとてもありがたく思っていますし、九州で大変な思いをされている皆さんの中には、僕に力を送ってくださったファンの方がたくさんいらっしゃることも知っています。そういう人たちのためにも頑張りたかったですし、こうしてポール・トゥ・ウィンを決めて、何かをプレゼントすることができたかなと思います。これからも大変だとは思いますが、僕も一生懸命頑張って、みなさんにパワーを贈りたいと思いますのでこれからも応援よろしくお願いします。- 2位に入れるクルマを用意してくれたチームに感謝している
2位
なんとか2位に入ることができて、すごくうれしいです。スタートは狙っていましたが、山本選手が速くて…。その後も速くてどんどん離されてしまいましたが、その中でミスなくペースをコントロールしながらプッシュしていきました。後ろからはストフェル選手が来ていたのはわかっていましたが、同じくらいのタイムで走っていたので、大きなミスさえなければ抜かれることはないなと思っていました。(バンドーン選手とのバトルでオーバーテイクシステムを使っていたが)ラスト5周の時点で、無線で「オーバーテイクが残ってるよ」と言われたので使いました。あそこで使ったのは、後ろに来られたときにどのくらい加速して、どのくらいのブレーキングポイントで行けるかを試したかったから。なので、後ろが来たから使った、というわけではないんです。でも、ちょっとミスったりすれば追いつかれる、というギリギリの戦いになり、すごくタフなレースでした。
No.2 国本雄資(P.MU/CERUMO・INGING)
ヨコハマタイヤも未知数でしたが無交換で行けたし、すごくいいタイヤを提供してくれたと思うし、チームも2位に入れるようなクルマを用意してくれたので、すごく感謝しています。- 開幕戦の鈴鹿でいい結果を残せたのは本当に良かった
3位
スーパーフォーミュラの初レースで、決勝では3位を手にし、いいレースウィークになりました。これまでとまったく異なるシリーズ戦、しかも経験豊富なドライバーがたくさんいる中でこのようないい結果を残すことができて、大変満足しています。
No.41 ストフェル・バンドーン(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)
オフシーズンのテストでは、調子が良かったり悪かったりという状況でしたが、チームがひとつになって高いレベルでの戦いを目指して、すばらしい仕事をしてくれたと思います。中でも予選ではQ1、Q2、Q3と都度ニュータイヤでアタックしたのですが、そのグリップの感覚がとても新鮮に思えました。それを最高に楽しんでアタックできました。結果、予選では4番手につけることができたし、レースではミスなく走れました。開幕戦の鈴鹿でいい結果を残せたのは本当に良かったです。
抜くのが難しいサーキットなので、まず予選でいい順位を取り、決勝もいいスタートを切ることができました。レース中はずっと国本サンを抜こうとプッシュしましたが、彼もミスしなかったですね。とにかく、いいシーズンのスタートが切れてうれしく思います。チームにも感謝していますし、結果的にHondaの2台が表彰台に上がれたのも良かったと思います。- 山本尚貴、そしてチームが記録と記憶に残る戦いをした
優勝チーム監督
こういう結果になり、本当にうれしいというひと言しかありません。昨年の最終戦ではブリヂストン最後のレースでポール・トゥ・ウィンをし、今年の開幕戦ではヨコハマタイヤに変わっての初レースでまたポール・トゥ・ウィンができました。山本尚貴、そしてチームが記録と記憶に残る戦いをしたと思うと、本当にうれしいです。ここまで来るのに決してラクではありませんでした。この努力したプロセスを大事にし、第2戦以降も一生懸命勝利を目指して頑張りたいと思います。
手塚 長孝 監督(TEAM 無限)