2016 SUPER FORMULA
Round5 Okayama International Circuit
- Okayama International Circuit
-
Race1予選, Race1決勝 9月10日(土) /
Race2予選, Race2決勝 9月11日(日)
岡山国際サーキット : 3.703 km
Race
全日本スーパーフォーミュラ選手権 第5戦 Race2
No.2 国本雄資(P.MU/CERUMO・INGING)がシリーズ戦初優勝!!
No.2 国本雄資
曇りという天気予報が裏切られ、完全な好天となった9月11日(日)の岡山国際サーキットは、前日よりも陽射しが強く、汗ばむコンディションとなった。そんな中、全日本スーパーフォーミュラ選手権 第5戦のレース2が行われた。このレースでは作戦の違いが、結果を大きく左右。No.2 国本雄資(P.MU/CERUMO・INGING)がシリーズ戦初優勝。誕生日前日のレースを制した。2位には、昨日PPから最後尾に後退するというハプニングがあったNo.37 中嶋一貴(VANTELIN TEAM TOM’S)。一貴は予選11番手からの大躍進を見せる。そして、3位にはフロントロウからスタートしたNo.1 石浦宏明(P.MU/CERUMO・INGING)と続いた。
気温33℃、路面温度41℃というコンディションの下、午後3時にフォーメーションラップがスタートする。前日のレース1より長い51周、タイヤ交換義務付けありのレース2が進行する。1周の隊列走行を終えると、今日は無事に全車正規グリッドに着き、シグナルオールレッドからブラックアウト。ここでホールショットを奪ったのは、PPのNo.40 野尻智紀(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)。2番グリッドの石浦、4番グリッドのNo.19 ジョアオ・パオロ・デ・オリベイラ(ITOCHU ENEX TEAM IMPUL)、5番グリッドの国本、6番グリッドのNo.41 ストフェル・バンドーン(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)と続いた。スタートに定評がある3番グリッドのNo.3 ジェームス・ロシター(KONDO RACING)は、クラッチをつないでも全く加速せず、6番手までポジションを落としている。また、9番グリッドのNo.65 ベルトラン・バゲット(NAKAJIMA RACING)も、エンジンストール。一旦ピットに押し戻されることとなり、最後尾までポジションを落とした。
さて、レースはオープニングラップを終えようかというところで、早くも大きく動く。国本、No.20 関口雄飛(ITOCHU ENEX TEAM IMPUL)、一貴、No.16 山本尚貴(TEAM 無限)、No.11 伊沢拓也(REAL RACING)、No.4 ウィリアム・ブラー(KONDO RACING)がピットイン。タイヤ交換を終えて、コースに戻る。この時、関口はピット作業に時間が掛かり、ポジションダウン。国本、一貴、山本、伊沢、関口、ブラーの順でコースへと戻った。また、その翌周には、予選13番手からスタートしたNo.36 アンドレ・ロッテラー(VANTELIN TEAM TOM’S)とNo.64 中嶋大祐(NAKAJIMA RACING)がピットイン。タイヤ交換を終えると、ロッテラーは一貴のすぐ前でコースに戻る。しかし、ロッテラーは、アウトラップのヘアピンで、一貴の先行を許した。
この時点で、トップ集団は野尻、石浦が接近戦を演じており、デ・オリベイラ、バンドーン、ロシター、No.7 ナレイン・カーティケヤン(SUNOCO TEAM LEMANS)が、それを追う展開。しかし、1周目でタイヤ交換をしたドライバーたちの方が、ラップペースが大幅に早く、国本や一貴は1分17秒台のタイムを連発。これに対して、トップ集団は18秒台真ん中から19秒台というラップタイム。それを見て、6番手を走っていたカーティケヤンは、6周を終えようかというところでピットに入ったが、戻った時には山本の前。アウトラップで山本にかわされたため、ピットインした中では5番手というポジションになってしまう。その後も、国本らのペースが速く、ピットのロスタイムを考えると10周過ぎにはすでにトップに出られる計算となっていた。
No.37 中嶋一貴
そのため、3番手を走行中、14周を終えようかというところでピットに入ったデ・オリベイラは、ロッテラーと山本の間、実質4番手でしかコースに戻れず、20周を終えようかというところでピットに入ったバンドーンは、実質7番手までドロップ。同じ周にピットに入ったロシターも、タイヤ交換作業に手間取り、大きくポジションを落とした。さらに、21周を終えようかというところでは、トップを走っていた野尻がピットに入ったが、コースに戻った時には、国本と一貴の先行を許してしまっていた。
これでトップに立ったのは石浦。石浦は前が空いたことでプッシュを開始。国本との差を広げ、ピットインのためのセーフティーマージンを築きたいところだった。しかし、国本とのタイム差は27秒台から動かない。2人のペースはほぼイーブン。その分、石浦がどのタイミングでピットに入るかに注目が集まる。そんな中、30周目の2コーナー立ち上がりで、カーティケヤンが縁石に乗ってスピン、コース上にストップしてしまった。
これを見て、石浦はピットイン。と同時に、コースにはセーフティーカーが導入される。石浦がピットロードを出た時には、国本と一貴が先行。さらに、コースに入ってすぐ、野尻も1コーナーで石浦の前に出た。しかし、すでにセーフティーカーは導入されており、コース全域がイエローフラッグ扱い。そのため、野尻が石浦を抜いたことに関しては検証が行われることになった。
No.1 石浦宏明
カーティケヤンのマシン回収が終わり、リスタートが切られたのは、34周終了時。残り17周のバトルが始まる。国本は上手い加速でトップをキープ、一貴、野尻、石浦、ロッテラー、デ・オリベイラがそれに続く。中でも、タイヤ交換をしたばかりの石浦は、野尻を攻略しようとヘアピンなどで激しく攻め立てるが、なかなかオーバーテイクまでには至らなかった。しかし、40周目に入ると、野尻にドライブスルーペナルティーの裁定が下される。野尻は41周を終えるところでピットインし、ペナルティーを消化したが、入賞圏外まで後退してしまった。一方、これで前が空いた石浦は、猛プッシュ。4秒余りに開いていた一貴との差をみるみる縮めて行く。45周を終えたところでは、コンマ4秒余りというところまで迫り、ヘアピンやレッドマンコーナーでオーバーテイクの機会をうかがった。しかし、一貴は絶妙なライン取りでこれをブロック。石浦に付け入る隙を与えない。ファイナルラップに入ると、一貴は残していた2発のオーバーテイクボタンを駆使して走り切った。
そして、1周を終えてのピットインから終始、安定したラップを刻んだ国本が嬉しいシリーズ戦初優勝。一貴が予選11番手からリカバリーして2位、石浦は残念ながら予選よりもひとつ落として3位でフィニッシュ。以下、ロッテラー、デ・オリベイラ、山本、バンドーン、伊沢までがポイントを獲得した。
シリーズランキングでは、国本がトップ。石浦が2位、ロッテラーが3位、関口が4位、バンドーンが5位、山本が6位、一貴が7位、デ・オリベイラが8位。相変わらず混沌としている。次戦・菅生では、これがまた変動するかも知れないだけに、決して見逃せない一戦となるだろう。
No.2 国本雄資
No.2 国本雄資
記者会見
立川祐路 優勝チーム監督 / 2位 No.37 中嶋 一貴 / 優勝 No.2 国本雄資 / 3位 No.1 石浦宏明
- 自信を持って戦えたことが一番の勝因
優勝
すごくうれしいです。去年も全然結果が出なかったし、今年も(チームメイトの)石浦(宏明)さんにリードされるのかなと不安なシーズンのスタートでした。シーズンはじめからうまく行ったし、つらいときもチームが支えてくれて、たくさんの方にも支えてもらい、チャンスをいただき、優勝できてホットしているし、うれしいです。
No. 2 国本雄資(P.MU/CERUMO・INGING)
今日のレースは5番手からスタートを切り、チームの作戦で1周目に入るということになりました。それが本当にうまくいったし、その後もいいペースで後ろを離すことができました。作戦も完璧だったし、レースペースもスゴク良くて、満足のいくレースになりました。また、自分が速く走るということよりも、昨日のレース1で5位からスタートした人を見て、何周目にどのくらいのギャップがあるかというデータを参考にして、前に出れる可能性がかなりあると思い、それに賭けることにしました。その後の自分もいいペースで走ることができたので、本当にすべてがうまくいったと思います。
他のドライバーがピットに戻り、自分が2位になった時点でチームから今のポジションを教えてもらったんですが、石浦さんがどこにいるのかはわかりませんでした。なのでかなりプッシュして走っていたのですが、石浦さんがピットから出てくるまで、自分がトップに立ったということはわかりませんでした。また、セーフティカーが入ったのですが、あれはイヤですよね(苦笑)。ただただそういう心境でした。でも後ろの一貴選手とは徐々にギャップが開いていってたし、自分のほうがペースが速いということがわかっていたので、(再スタートでは)とりあえず気合いで1周目だけ行くしかないなと思いました。加速のポイントだけは気にしていました。
いつも勝てるように努力してきましたが、今回は作戦がすごくうまくいったし、クルマも週末を通してすごく良かったし、自信を持って戦えたことが一番の勝因だと思います。これからもガンガン行きます。- 相手のペースも速かったし、今日はしょうがない
2位
今日は非常にいいレースができました。でも、つくつぐ昨日はもったいなかったなぁと思います(苦笑)。でも自分でやっちゃったことなので、仕方ないですよね。今日は予選がちょっと良くなかった時点で、1周目に(ピットに)入ることを決めていました。でもまさか自分の前にいる1台が入るかなぁ、という展開になりましたが、相手のペースも速かったし、今日はしょうがないです。負けました。また、(後ろにいた)石浦君が非常に速かったので、それをなんとか抑えることができて良かったと思いますし、後ろから突っつかれつつ、雄資は雄資でもうちょっと速く行けよと思いつつ、最後は(インギングの2台に)挟まれてちょっとイヤな感じだったんですが(苦笑)、なんとか最低限2位を獲れて良かったです。
No.37 中嶋 一貴(VANTELIN TEAM TOM'S)
(オーバーテイクシステムを2つ最後まで残していたが、)なにかあったときを考え、終盤まで残していました。昨日のレースでは早々に使っていたので、ちょっと残しておくべきだったかなと。序盤で無駄に使わないようにしていたし、使うシチュエーションもありませんでした。
今週末はクルマのパフォーマンスはあったと思うので、後半戦に向けて弾みがつくと思いますし、ちょっとポイント差はありますが、次のSUGOで詰めて、鈴鹿で自力でチャンピオン争いを狙えるようにがんばりたいと思います。- ペースを抑えられてしまったので、ちょっと運が悪かった
3位
今朝、クルマには速さがあり、今回は国本選手のセットアップなどを参考にさせてもらい、なんとか今日に間に合わせることができました。決勝ペースもすごく速かったのですが、残念ながら作戦がうまく機能しなかったこと。というか、セーフティカーが出たり、野尻(智紀)選手にペナルティライン(第2セーフティカーライン)を越えてから抜かれてしまって、彼にペナルティが出るまでの間、ペースを抑えられてしまったので、ちょっと運が悪かったかなという思いがあって、悔しいですね。
No. 1 石浦宏明(P.MU/CERUMO・INGING)
(ピットインはセーフティカーがコースインするときにしたが、)(トップの)国本には届かないかなと思ったのですが、僕のほうがいいペースで走れる周もあったので、もう少し(ピットインのタイミングを)引っ張って、2番手になれたらいいなという感じで走っていました。そんな中、周回遅れもいて、ギャップが開いたのですが、引っ張れば引っ張るだけ、タイムダウンもなかったし、プッシュすればチャンスがあると思っていました。ただ、ナレイン選手のスピンを見たときには、エンジンが止まっているだろうと予測できたので、全力で走ってピットに戻ろうとしたら、ちょうど無線が入りました。
でも、チームとしては去年ずっと国本が悩んでいるのを横で知っていたし、そのためにチームでミーティングして、どうやって2台で速く走るかっていうのをずっと課題としてやってきました。そういう中で、今回国本が優勝できて、また僕はセットアップを参考にさせてもらうなど、チームとしてすごく機能している状態でレースができることが、とてもうれしく思います。- 国本の強い意気込みが形として現れて、とてもうれしい
優勝チーム監督
とにかくチームとしてはすごくうれしい結果です。毎回、こういう感じで一歩一歩いい流れでやってきて、今回、優勝と3位になって、選手権シリーズでワンツーになれる状態まで来ているのは、チーム、ドライバーのがんばりが大きいと思います。国本は以前から速さはあったのですが、結果が残らないところがありました。ただ今年は周りから見ていても、彼が自分の人生をかけるくらいの意気込みでやっているのはわかっていたので、それが形として現れたのはとてもうれしいです。
立川祐路 監督(P.MU/CERUMO・INGING)
今日のレース戦略は、チームの作戦だと言ってましたが、もともと彼が1周目に入りたい、速く走れる自信があるから入りたい、と言ってきたんです。当初は予選が5番手スタートだし、悩んだのですが、彼を信じて決断しました。その通り、力を発揮してくれました。一方で石浦は、早めにピットインした他のドライバーの調子がよく、厳しい状況にありましたが、前がいなくなった後もタイヤが厳しい中で3位まで挽回してきたというがんばりは、大したものだなという思いで見ていました。