フォーミュラチャレンジ・ジャパン(FCJ)第8戦の決勝(21周)は、前日までの好天とはうって変わった曇天の富士スピードウェイを舞台として、6月28日(日曜日)の午前8時18分すぎに全18台の車両が参加して始まった。
レッドシグナルが消灯し、第1コーナーへ真っ先に飛び込んだのはポールシッターのNo.5 銘苅翼。2番手以降をみるみる引き離して、1周目から独走態勢に持ち込んだ。しかし、前日の第7戦と同様に反則スタートを犯しているという判定により、銘苅にはドライビングスルーペナルティが科された。
これで実質上の首位に立つのは、前日の第7戦でFCJ初優勝を果たした予選2番手のNo.17 三浦和樹だった。2番手には予選3番手のNo.1 中山雄一がつけた。そして3番手には、予選9番手のNo.18 大谷涼がジャンプアップしていた。大谷涼はスタートしてからコカコーラコーナーまでの間、つまりまだ半周もしていないうちに5台を攻略していた。
4周終了時点で銘苅がペナルティ消化のためにピットロードに飛び込んで後退したため、6周終了時点では、三浦、中山、大谷涼、No.16 蒲生尚弥、No.2 石井一也、No.3 金井亮忠が上位6台を構成。ポイントランキングで首位を行くNo.4 佐々木大樹は、予選順位と変わらぬ7番手に就けていた。首位の三浦からこの佐々木までは約4秒差で、各車両の間隔も1秒以下の接近戦。しかし、誰もが仕掛けられるまでには持ち込めないという、微妙な膠着状態が数周にわたって続いた。
均衡が破れたのは9周目、5番手を走る石井が13コーナーでスピンを喫して大きく後退した。この結果、上位では金井と佐々木がひとつずつ順位を上げた。
レースが後半に突入すると、首位の三浦はじりじりと背後を走る中山との差を広げ始めた。一方で、中山、大谷涼、蒲生の2番手争いは、順位変動こそないものの非常に緊迫したものとなった。最終的には最後まで上位陣のレース展開に動きはなく、三浦が第7戦に続く優勝を飾り、ポイントランキングでは佐々木に次ぐ2位に浮上した。2位は中山、3位は大谷涼。大谷涼は蒲生の追撃を0.1秒差でしのぎきって、FCJで初の表彰台を獲得した。以下、4位は蒲生、5位は金井、6位は佐々木だった。
優勝:三浦和樹
「練習走行のあった金曜日の路面状態と、土曜日と日曜日の路面状態は異なり、それに伴ってクルマの操縦性も大きく変化しました。しかし、それに対応するドライビングを心掛けた結果、優勝を飾ることができました。ただし、運よく勝てたとはいえ、ペナルティで後退した銘苅選手の速さにはついていけなかったことを考えると、少し悔しい思いもあります。富士スピードウェイでの2連勝、その前のツインリンクもてぎでの入賞も数えると4連続表彰台となりましたが、2週間後に迫った鈴鹿サーキットでのレースでもこのよい流れを保ち、連勝記録を伸ばしたいと思います」
2位:中山雄一
「2位という結果には満足しています。第7戦ではスタートでも、レース途中のバトルでもミスを犯してしまいましたが、この第8戦ではスタートをうまく決めることができました。レース前半は、前を走る三浦選手との速さの違いを探した結果、ダンロップコーナーで抜こうと狙いを定めましたが、なかなか仕掛けられるまでに迫ることはできませんでした。レース後半に入ると、タイヤが徐々に消耗し始めてペースが上がりませんでした。富士スピードウェイ以外のサーキットでも表彰台に立てるよう、いいレースができるように今後も努めたいと思います」
3位:大谷涼(東京中日スポーツ賞受賞)
「金曜日の練習走行では調子が悪くて、レースではどうなることかと思いました。しかし、開き直ってこの第8戦ではスタートに懸けた結果、自分でもびっくりするくらいにうまく決まりました。ただ、それ以上は追い上げたくてもペースが上がらず、3位のままに終わってしまいました。FCJでの3位初表彰台は嬉しいのですが、次は表彰台の真ん中に立てるよう、今後も努力を続けたいと思います」