フォーミュラチャレンジ・ジャパン(FCJ)第11戦の決勝(12周)は、上空を曇で覆われたツインリンクもてぎで、8月8日(土曜日)の午後1時35分すぎに全18台の車両が参加して始まった。
レッドシグナル消灯とともに、首位を守るには十分な出足を見せたNo.17 三浦和樹は、そのまま真っ先に第1コーナーへ進入した。予選2番手のNo5 銘苅翼も、三浦と同等の出足を見せてこれに続いた。グリッド2列目からのスタートとなったNo.2 石井一也やNo.9 野尻智紀は、順位を保ったままとはいえ上位2台には少々離され気味になった。5番手以降はオープニングラップ独特の接近戦が展開され、各所で順位変動が見られた。予選6番手のNo.16蒲生尚弥は5番手へ、予選12番手のNo.14 鈴木彰悟は8番手へ、予選13番手のNo.18 大谷涼は9番手へ、それぞれ順位を上げた。
1周目の終わりから2周目の初めにかけて、上位2台には早くも動きが見られた。首位を行く三浦がビクトリーコーナー(最終コーナー)で車両を少し滑らせてしまい、立ち上がり加速がやや鈍った。千載一遇のチャンスを2番手の銘苅は見逃さず、三浦の背後に迫ってスキをうかがった。2台は縦列状態でメインストレートを駆け抜け第1コーナーへ。
銘苅はこの左コーナーで、三浦の車両の内側に一台分の空間が生まれた瞬間を見逃さず、自身の車両をそこへ滑り込ませた。続く2コーナー立ち上がりでは2台が横並びになり、短いストレート直後の第3コーナーと第4コーナーも2台が並列になりながら走り抜けた。続く短いストレートでも横並びになり迎えた第5コーナーへ。この左コーナーで銘苅が内側の有利な位置に飛び込み、立ち上がりで三浦の前に出た。上位が接近戦を演じたことで3番手の石井も前の2台に接近したが、混乱に乗じて順位を上げることは叶わなかった。
ファステストラップを記録しながら逃げる銘苅と、どうにかこれに食らい付こうとする三浦。結局、銘苅は最後まで首位の座を堅守し、今季初の優勝を飾った。2位は三浦で、連勝記録は4で途絶えたものの、ポイントスタンディングでは点差を広げて首位を維持した。3位には今季2度目の表彰台となる石井が入った。以下、野尻、蒲生、No.4 佐々木大樹が続いた。
優勝:銘苅翼(東京中日スポーツ賞受賞)
「今日は自分の気持ちを落ち着かせたままでレースができました。スタート前は難しいことを考えず、シンプルな考え方で、最後は楽しんでレースができました。レース序盤はタイヤが冷えていることもあり運転も難しくなるので、三浦選手のブレーキミスなどを誘おうと意識して走りました。結果的に、第1コーナーでは三浦選手の内側が空いたので、そこへ自分のクルマのノーズを入れて、小回りでコーナーを立ち上がりました。2台が並んだまま長く走りましたが、フェアな戦いができたと思います」
2位:三浦和樹
「序盤の展開ですべてが決まってしまいました。タイヤが冷えているときに自分が限界を超えてしまったり、限界まで攻めきれなかったり、さらには焦りも加わったことで、ミスが多かったように思います。1周目のビクトリーコーナーの立ち上がりでクルマを滑らせてしまい、銘苅選手に接近されはしましたが、第1コーナーではまだ抜かれることはないだろうと油断してしまいました。タイトル争いではさらに有利になりましたが嬉しくはなく、優勝できず2位になってしまったことが悔しいです」
3位:石井一也
「前日の練習走行の段階から速さはありましたし、いいタイムも出せていました。これまでは予選で力を発揮できず、決勝もその流れでダメにしてしまうことが多かったので、今回は予選からきちんと走ろうと考えていました。決勝ではペースを安定させて走ろうという目標を持っていましたが、いまひとつ安定しなかったのは課題として、次からは繰り返さないようにしたいと思います」