フォーミュラチャレンジ・ジャパン(FCJ)第12戦の決勝(18周)は、ときおり晴れ間ものぞく曇り空のツインリンクもてぎを舞台として、8月9日(日曜日)の午前8時35分すぎに全18台の車両が参加して始まった。
前日の第11戦決勝に引き続きポールポジションから決勝に臨んだNo.17 三浦和樹はレッドシグナル消灯後の出足が鈍く、予選2番手のNo.5 銘苅翼に第1コーナーで内側の走行ラインを採られて首位を奪われた。ところがさらにその内側へ、予選3番手のNo.2 石井一也が車両を飛び込ませて銘苅から首位を奪った。ただし、石井が首位に立ったのは一瞬のこと。続く第2コーナー立ち上がりは石井の走行ラインが少し窮屈で、銘苅は第3コーナーまでの短い直線で首位を奪い返した。また、3番手まで後退した三浦は予選4番手のNo.18 大谷涼にまで抜かれそうになるが、なんとかこれは堪えた。1周目終了時点の上位6名は、銘苅、石井、三浦、大谷涼、No.4 佐々木大樹、No.3 金井亮忠。
3番手に落ちた三浦だったが、3周目、4周目にはファステストラップを重ねて前方を追った。その背後、4番手争いがレース中盤の見所になった。大谷涼のペースがなかなか上がらないこともあり、佐々木はコーナーの進入やコーナーの立ち上がりでテールトゥノーズに持ち込んだ。6周目になるとふたりの4番手争いに金井が加わり、さらにはNo.16 蒲生尚弥やNo.1 中山雄一までが加わった。
佐々木が4番手を大谷涼から奪ったのは11周目の第3コーナー。同じ周の90度コーナーでは金井も大谷涼の前に出ようとしたが、こちらは叶わず。それでも13周目には、第1コーナー/第2コーナーから第3コーナーまでの区間で、金井が大谷涼への攻略を成功させて5番手に浮上した。蒲生も大谷涼に何度か攻撃を仕掛けたが、背後から中山の強烈な追い上げを受けると、今度は防戦に回った。
レース終盤、上位ドライバーそれぞれの間隔は数秒に広がった。石井と三浦の間隔だけは約1秒と比較的小さかったが、追い越しを仕掛けるには少し難しいと思われた。また、4番手へ上がったときに前方の車両との間隔が約5秒あった佐々木は、それでもあきらめずに猛追し、最終順位はそのままながら15周目にレースのファステストラップつまり1点を獲得し、タイトル獲得への執念を示した。
結局、銘苅が第12戦に続いて嬉しい優勝を飾った。表彰台の残る2席には、2位に石井、3位に三浦が上がった。以下、佐々木、金井、大谷涼までが上位6名。3位に終わった三浦ではあったが、タイトル争いでは2位に就ける佐々木との差をさらに広げ、9月26-27日に宮城県のスポーツランド菅生で開催される最終大会での戴冠により近づいた。ただし、佐々木にも計算上はタイトル獲得の可能性が十分に残されており、初秋の東北決戦は熱くなりそうだ。
優勝:銘苅翼
「2連勝できてとても嬉しく思います。今季はテストの機会が減ってしまったので、前大会の鈴鹿から約1ヵ月の間は私生活の面でこのレースに臨む準備を十分に整えてきました。その結果が今回の成績につながったのだと思います。第1コーナーで三浦選手を抜いたと思ったあと、今度は自分が石井選手に抜かれたときは、正直なところ焦りました。しかし、自分のほうが有利な位置にいることをすぐに判断できたので、焦りも消えてあとは前に突き進むだけでした」
2位:石井一也(東京中日スポーツ賞受賞)
「スタートがうまく決まり、また前の2台が競り合っていたこともあって、状況をよく把握して冷静に判断、処理した結果、第1コーナーから第2コーナーにかけては首位に立てました。しかし、そこに居続けることはできず、銘苅選手に抜き返されました。もう少しうまく対処していれば、首位に立ち続けることができたのではないかと思います。今日は昨日とは違ってレース中のペースを安定させられましたが、そのレベルが銘苅選手に比べると低いことが課題として残りました。次の最終大会では、まだ表彰台の中央に立っていないので優勝を目指します」
3位:三浦和樹
「この大会では、2連勝を達成した鈴鹿の前大会に比べると、ほかの選手に対するアドバンテージは少なくなっていると思いました。というのは、フリー走行で一度もトップタイムを記録できなかったからです。でも、セクター別タイムを個々に見ると、決して劣ってはいませんでした。だから予選では2連続ポールポジションを取れましたが、レースのペースに関してはやはり不安がありました。グリッドがいちばん前だったので、この優位を保てればなんとか優勝はできると思いましたが、スタート直後の位置取りが悪く、1周目で2台に抜かれてしまいました。レースは徐々に前の2台に離される展開となりましたが、その中でも自分の限界まではプッシュし、自分の力を出し切りました」