激闘のチャンピオン争いからわずか1週間。その興奮冷めやらぬ11月12日(金)、静岡県・富士スピードウェイにフォーミュラ・ニッポンの咆哮が再び響き渡った。今週末は、スーパーGTと同時開催という史上初のイベント。JAFグランプリのタイトルが懸けられた「FUJI SPRINT CUP」のメインイベントの1つとして、フォーミュラ・ニッポンも超スプリントで行なわれる。金曜日の午後には久々にスーパーラップ方式で予選が行なわれるが、それに先立ち午前8時40分,35分間の練習走行が行なわれた。
今週の関東・東海地方は、毎日のように秋晴れに恵まれており、予選日となったこの日も秋から陽射しが降り注いだ。しかし、朝夕の冷え込みは厳しく、セッション開始時刻の気温は12℃、路面温度は15℃と肌寒いコンディション。そこから気温、路面温度ともに上昇し、最後は気温13℃、路面温度17℃となっている。
ピット出口がオープンされると間もなく、ほとんどのマシンが先週の鈴鹿のレースから持ち越したミディアムのユーズドタイヤでコースイン。3分の1ほどのドライバーは、マシンの状態を確認すると、一旦ピットに戻る。その他のドライバーは計測に入り、ある程度のタイムを出すと、ピットに戻ってマシンの微調整を行なった。このユーズドタイヤの段階で圧倒的な速さを見せたのは、No.1 ロイック・デュバル(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)。No.36 アンドレ・ロッテラー(PETRONAS TEAM TOM’S)がそれに続いた。
そして、シリーズランキング上位のドライバーたちも、セッションの残り時間が10分となったあたりからはニュータイヤを装着してタイムアタックへと向かう。ここで、まずトップタイムを書き換えたのが、ロッテラー。ロッテラーは1’24.644をマークし、それまでトップだった平手晃平(Mobil 1 TEAM IMPUL)のタイムをコンマ3秒ほど上回ってきた。これに続いて、今年度のチャンピオン、No.19 J.P・デ・オリベイラ(Mobil 1 TEAM IMPUL)も好ペースで走行していたが、セクター3で大きくタイムロス。アタックを仕切り直すことになる。その間に大きくトップタイムを書き換えてきたのは、やはりデュバル。デュバルは、まずアタック1周目に1’24.096をマーク。その翌周にはさらにタイムアップし1’23.944と、唯一23秒台のタイムを叩き出した。一旦ピットに戻っていたロッテラーは、ここでストレートエンドのトップスピードを見るためか、リヤのトップウィングを取り外して、もう一度コースイン。その状態でアタックするが、自己ベスト更新はならず、2番手に留まる。さらに、仕切り直しのアタックに入ったオリベイラが 1’24.644までタイムアップし3番手に浮上。以下、No.10 塚越 広大(HFDP RACING)、平手、No.31 山本尚貴(NAKAJIMA RACING)、No.37 大嶋 和也(PETRONAS TEAM TOM’S)、No.2 伊沢 拓也(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)と続き、No.32 小暮 卓史(NAKAJIMA RACING)は9番手に留まっている。
一方、第1レースのグリッドを決めることになるのは、ストレートエンドの最高速。朝の練習走行では、このトップスピードで、No.7 ケイ・コッツォリーノ選手(Team LeMans)、No.29 井口卓人(DELIZIEFOLLIE/CERUMO・INGING)、山本らが上位につけていた。この後、正午前後には、一時雨が降るのではないかと予想されている富士。それを裏付けるように、午前10時過ぎからは、突風とも言えるような強い風が、最終コーナー方向から、1コーナー方向に向けて吹き荒れている。午後1時からは、いよいよスーパーラップが行なわれるが、その結果はどうなるのか。まずは両レースのポールポジションを誰が獲得するのか、注目される。