2011 Formula NIPPON
No.36 アンドレ・ロッテラー
5月15日(日)、鈴鹿サーキット(三重県)でいよいよ開幕した2011年全日本選手権フォーミュラ・ニッポン。7人ものルーキーが参戦し、2年目の若手がポールを獲る新しい流れを感じさせた開幕戦。だが、底力を見せて優勝を果たしたのは、すでにベテランとなったNo.36 アンドレ・ロッテラー(PETRONAS TEAM TOM'S)。3位には予選14番手ながら早目のピットイン作戦を敢行したNo.37 中嶋一貴(PETRONAS TEAM TOM'S)が入賞。F1経験者の貫禄を見せた。
カラッとした五月晴れとなった鈴鹿。気温23度、路面温度35度というコンディションの中、午後1時45分にフォーメーションラップがスタート。1周の隊列走行を終えて、全車が正規グリッドに着くと、正式スタートが切られた。ここでホイールスピンしてしまい、出遅れたのは、ポールポジションのNo.16 山本尚貴(TEAM 無限)。代わって、2番手スタートの小暮がトップに立つ。抜群の動き出しを見せて、1コーナーまでに、小暮の後ろにつけたのは、ロッテラー。この2台の後ろでは、山本にNo.41 塚越広大(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)が並びかける。アウトにいた山本、インにいた塚越。2台は1〜2コーナーまで並んだままたったが、いずれも引くに引けず接触。山本はスピンアウトしてしまった。ここに突っ込んできたのは、No.1 ジョアオ・パオロ・デ・オリベイラ(TEAM IMPUL)だったが、山本のマシンを避け切れず、オリベイラもコース上でスピンを喫して大きく遅れた。このオリベイラのマシンを避けるべく、その後方でも大きく順位が変動した。
オープニングラップを終えてのオーダーは、小暮、ロッテラー、塚越、No.40 伊沢拓也(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)、No.7 大嶋和也(Team LeMans)、No.33 国本雄資(Project μ/cerumo・INGING)、No.10 小林崇志(HP REAL RACING)。周回を重ねるに連れ、この中からトップの2台が抜け出した。
No.32 小暮卓史
その後、レースは序盤から動く。中嶋が4周を終えたところでピットイン。タイヤ交換と給油を行なう。その2周後には、最初のスピンで15番手までドロップしたオリベイラがピットイン。やはりルーティンの作業を行なって、コースへと戻った。2台は、前が開けたことで、ここからプッシュ。見えないタイム差を削っていく。
一方、後方ではルーキーたちも火花散る争いを見せた。8周目の1コーナーでは、今週初めて鈴鹿を走ったNo.3 アンドレア・カルダレッリ(KONDO RACING)がアウトからNo.18 アレキサンドレ・インペラトーリ(SGC by KCMG)をオーバーテイク。さらに、No.2 平手晃平(TEAM IMPUL)に抜かれた小林に迫る。しかし、9周目のスプーンコーナー入り口のブレーキングで、カルダレッリは小林の右リヤに接触。2台はもつれ合うようにコースアウトし、いずれもリタイヤを余儀なくされた。
No.37 中嶋一貴
上位のグループでは、スタートから12周を終えたところで4番手を走っていた伊沢がピットイン。だが、伊沢は、一貴の後ろでコースに戻ることになる。その翌周には3番手を走っていた塚越がピットイン。この作業に若干のミスがあり、塚越は一貴ばかりか伊沢、オリベイラにも先行を許すこととなった。さらに、15周を終えたところでは、大嶋がピットへ。しかし、大嶋も一貴と伊沢、オリベイラの後ろでコースに戻る結果に。結局、序盤にピット作業を終えたマシンが、あれよあれよという間に、上位へと進出を果たした。
No.40 伊沢拓也
その頃、トップ争いの小暮とロッテラーは、完全に抜け出していたが、2台のペースは拮抗。小暮がタイムを上げれば、ロッテラーが詰め返すという緊迫の展開となった。そして、この2台の勝敗を分けたのも、やはりピット作業。まず21周を終えてピットロードに滑り込んだロッテラーは15秒1という素早い作業でコースに戻ったが、その翌周にピットに滑り込んだ小暮は右リヤタイヤのナットが入らずに手間取り、作業に18秒7掛かってしまった。
その結果、小暮がコースに戻った時には、ロッテラーが先行。何とか追いつこうとピットアウト後にプッシュした小暮は、攻め過ぎたのか、ヘアピンでタイヤをロックさせ、フラットスポットを作ってしまった。その影響で、終盤はペースを上げることができず、ロッテラーを逃がす結果となっている。一方のロッテラーは、ピットアウト後も安定したタイムを刻み、チェッカーまで走り切ると、自身初の開幕戦優勝。小暮は2位に甘んじる。
そして、この2台には大きく水を開けられたものの、早目のピットイン作戦を成功させた一貴が、フォーミュラ・ニッポンではデビュー戦となる開幕戦で、見事表彰台を獲得した。
次回のレースは3週間後。舞台はオートポリス(大分県)。タイヤへの攻撃性が高いことで知られるこのレースでは、どんな戦いが繰り広げられるのか。注目していただきたい。
2位 No.32 小暮卓史 ・ 優勝 No.36 アンドレ・ロッテラー/舘 信秀監督 ・ 3位 No.37 中嶋一貴
第1戦 決勝レースダイジェスト [VIDEO LIBRARY]