2011 Formula NIPPON
No.36 アンドレ・ロッテラー
11月6日(日)、ツインリンクもてぎ(栃木県)で2011年全日本選手権フォーミュラ・ニッポン第7戦(最終戦)の決勝レースが行われた。No.36 アンドレ・ロッテラー(PETRONAS TEAM TOM'S)が今季4勝目を挙げ、今シーズンのドライバーズ・チャンピオンを決定した。2位にはNo.37 中嶋一貴(PETRONAS TEAM TOM'S)、3位はNo.41 塚越広大(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)となった。
昨夜からしとしと降り続いた雨がほぼ上がり、霧の朝を迎えたこの日のツインリンクもてぎ。早朝からは曇りのコンディションとなったが、時折空からは雨粒がポツポツと落ちてくる。レース1に先立つFCJ第13戦は、ウェットコンディションでのレース。しかし、このレースを終え、フォーミュラ・ニッポンの決勝前ウォームアップ走行が開始された午前9時30分の段階では、雨は止んだ。ウェット宣言は出されているものの、路面の水もそれほど多くはなく、微妙なコンディション。ここから各チーム、その後の状況変化を読まなければならない神経戦の様相を呈してくる。
No.36 アンドレ・ロッテラー & No.37 中嶋一貴
レース直前に行われた8分間のウォームアップの開始から3分で、No.32 小暮卓史(NAKAJIMA RACING)が最終コーナーでコースアウト。他にもコースアウトしたマシンがあったため、赤旗が提示されて一時中断。その後、残り6分間の走行が行なわれている。この再開直後から、レースに向けてのタイヤのウォームアップを狙って、スリックタイヤでコースに出たのは、No.40 伊沢拓也(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)、No.41 塚越広大(DOCOMO DANDELION RACING)、No.16山本尚貴(TEAM MUGEN)、No.10小林崇志(HP REAL RACING)、No.11 武藤尚貴(HP REAL RACING)、No.8 石浦宏明(Team KYGNUS SUNOCO)ら半分ほどのドライバー。決勝レースは、いずれのタイヤでスタートすることになるのか。なかなか温まらないスリックでレース後半に掛けるのか。水の量が少なくなれば、レース中盤にひょっとするとブロー気味になりかねないレインを選ぶのか。決勝前から緊張が高まってきた。
その後、一旦ピットに戻ったマシンがグリッドにつくため、再びピットアウト。この時、レインタイヤを装着していたのは、No.3 アンドレア・カルダレッリ(KONDO RACING)とNo.18 アレクサンドレ・インペラトーリ(SGC by KCMG)の2台のみ。その他のマシンは、全車スリックタイヤでコースへと入っていく。その後、グリッド上では、インペラトーリがウォームアップで温めておいたスリックタイヤに交換。カルダレッリはそのまま。また山本がギリギリになって、逆目を張ってレインタイヤに交換している。路面はしっとり濡れたまま。まさにドライバーズレースとなるのは間違いなかった。
そして、午前10時15分。気温が19℃、路面温度20℃というコンディションの中、17台のマシンが滑り出して行く。そのフォーメーションでもNo.31 中嶋大祐(NAKAJIMA RACING)やNo.1 ジョアオ・パオロ・デ・オリベイラ(TEAM IMPUL)がスピンアウトするなど、波乱が発生。だが、デ・オリベイラはそのまま正規のグリッドに付き、スタートを切る。
No.41 塚越広大
レース1のスタートでホールショット(1コーナーのトップ通過)を奪ったのは、ポールシッターのNo.36 アンドレ・ロッテラー(PETRONAS TEAM TOM'S)。予選2番手の塚越は、出足が遅れ、予選3番手のNo.37 中嶋一貴(PETRONAS TEAM TOM'S)と同5番手のデ・オリベイラが先行。その後方では、1コーナーで混乱が発生し、石浦がスピン。これを避けようとカルダレッリがコースアウトしたが、マシンにダメージを抱え、そのままピットに戻るとリタイヤを余儀なくされた。
オープニングラップでは、さらにポジションの入れ代わりが起こる。上位集団で唯一レインタイヤを選んだ山本が、5コーナーで塚越を捉え、4番手に浮上。山本は、さらにその翌周の5コーナーでは、前を行くオリベイラのインに飛び込む。しかし、ここはオリベイラが譲らずS字の入り口まで並走すると、山本の鼻先を押さえ込み、ポジションを明け渡さなかった。しかも、この頃から、スリックタイヤのペースの方が上回り始める。そのため、一旦ポジションを落とした塚越が3周目の90度コーナーで山本を抜き返す。山本は防戦一方となり、そこからはズルズルとポジションを落としていった。一方、山本の追撃を凌ぎ、3番手を走っていたオリベイラには、3周を終えたところで、ドライブスルーのペナルティーが科せられる。これは、フォーメーションでのスピン後、最後尾グリッドにつかなかったため。これでオリベイラが、トップを狙うチャンスは消え、逆転タイトルの可能性もほぼ消滅してしまった。
No.33 国本雄資
その後、緊迫の展開となったのは、ロッテラーと中嶋一貴のトップ争い。スタートから5周目あたりまでは、ロッテラーのペースが速かったが、ここから中嶋一貴が猛チャージ。ロッテラーを上回るペースでギャップを削り取る。13周を終えたところでは、一時2秒以上あった差が、1秒を切ってきた。そこからさらに中嶋一貴が差を詰め、コンマ6秒と迫る。逆転タイトルを獲得するためには、チームメイトのロッテラーをかわすしかなかったからだ。
だが、ここからロッテラーが踏ん張りを見せ、残り4周という時点で中嶋一貴を突き放す。これに対して、中嶋一貴もプッシュして最後まで手を緩めなかったが、オーバーテイクには至らず、ロッテラーが優勝(今季4勝目)。これによりレース2を待たず、2011年のドライバーズ・チャンピオンを決定した。
2位には中嶋一貴が入賞。3位には塚越。塚越は20周目の1〜2コーナーで、一旦後方から迫ってきていた大嶋にオーバーテイクされるが、同じ周の90度コーナーで大嶋がコースアウトしリタイヤ。3位の座を取り戻した。さらにその後方で5番手争いをしていた伊沢も、同じ周にストップ。2台が姿を消した結果、ルーキーのNo.33 国本雄資(Project μ/cerumo・INGING)が自己最高位の4位入賞。以下、No.32 小暮卓史(NAKAJIMA RACING)、石浦、No.2 平手晃平(TEAM IMPUL)、インペラトーリまでが入賞している。
タイトル決定済みとなるレース2は、今年を締めくくる1戦。ここで好結果を残したいと考えるドライバーは多く、まだまだ波乱が予想される。この第2ヒートのフォーメーションスタートは、この後、午後2時30分だ。
2位 No.37 中嶋一貴/舘信秀優勝チーム監督/優勝 No.36 アンドレ・ロッテラー/3位 No.41 塚越広大
第7戦 決勝レースダイジェスト [VIDEO LIBRARY]