2012 Formula NIPPON
2011年第4戦
話題の多い2012年シーズンが開幕した全日本選手権フォーミュラ・ニッポン。第1戦鈴鹿は、昨年のチャンピオンチームの中嶋一貴が先勝。当然、チームとしては第2戦も制して、早くも流れをがっちりと掴みたいところだろう。逆にライバルチームは彼の連勝を止め、流れを自分たちへ向けたいはず。各チームが意を決して臨む第2戦ツインリンクもてぎは、5月12日(土)予選、13日(日)決勝だ。
No.2 中嶋一貴 今季の話題は、4人のチャンピオン経験ドライバーの参戦であったが、開幕戦の勝者は参戦2年目のNo.2 中嶋一貴(PETRONAS TEAM TOM'S)だった。そして、彼と最後までバトルをしたのが若手のNo.41 塚越広大(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)だった。F1参戦経験のある一貴を単純に新人と言うのは、失礼かもしれないが、やはりこれまでと違うフォーミュラ・ニッポンが動き出した印象があったのも事実だろう。この2人に加え、No.7 大嶋和也(Team LeMans)、No.16 山本尚貴(TEAM 無限)、No.38 平手晃平(Project μ/cerumo・INGING)、開幕戦ポールポジションのNo.41伊沢拓也(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)。
こういった新世代ドライバーが、2011年チャンピオンのNo.1 アンドレ・ロッテラー(PETRONAS TEAM TOM'S)をはじめとする4人のチャンピオン経験者を乗り越えていくのか? それともチャンピオンたちが真の力量を見せつけるのか? それを見極めるのが、第2戦もてぎとなるのだろう。
一方、変わらなかったのが、昨年の覇者PETRONAS TEAM TOM'Sの強さだ。開幕戦鈴鹿も一発の速さでは、DOCOMO TEAM DANDELION RACINGの2人が上回って見えた。だが、レースでの作戦面と作業を完璧に実行するメカニック、それをこなすドライバーの能力、スポーツでは大事な“運”を引き寄せる能力。それら総合力がPETRONAS TEAM TOM'Sの強さだった。しかし、一番大事な速さではDOCOMO TEAM DANDELION RACINGを中心とするHondaエンジン勢も、昨年圧倒的な速さを見せたトヨタ勢と互角に見えた。Hondaのお膝元であるツインリンクもてぎで、昨年掴めなかった勝利をと総力を挙げてくるだろう。このエンジン対決も、このラウンドの注目と言えよう。
No.7 大嶋和也
No.16 山本尚貴
第2戦の舞台、ツインリンクもてぎはコーナーが多彩なテクニカルなコースだ。また、“ストップ&ゴー”と言われる急加速、急減速が多いレイアウトでもある。ブレーキやクルマのバランスが重要であり、他のコースとは少々違ったセッティングを求められる。
そんなコースを得意とするのが、No.1 ロッテラー(もてぎ優勝最多の4回)とNo.32 小暮卓史(NAKAJIMA RACING。もてぎ3勝、ポール最多の6回)だ。またNo.10 金石年弘(HP REAL RACING)も、もてぎでポール・トゥ・ウィンを果たしており、彼らのパフォーマンスも楽しみだ。
No.1 アンドレ・ロッテラー
No.32 小暮卓史
今季はピットインとタイヤ交換の義務がなくなり、チームとしては作戦の幅が広がった。同時に決勝距離は昨年第2戦と同じ250kmながら、今年は燃料搭載量が減らされているだけに、給油のためのピットインは必要になる。このため、どのタイミングでピットインさせるか、そしてタイヤ交換をするのか、しないのか、そういった作戦面も非常に重要になる。事実、開幕戦では一貴&PETRONAS TEAM TOM'Sがピットインのタイミングで塚越を抜き、結果的に勝利している。もちろん、作戦面以外の要素もあったが、この点も重要だったのは間違いない。チーム首脳やドライバーには頭の痛い話だが、ファンにとってはまさに見どころとなるはずだ。
今季の流れを引き寄せるのに重要となる第2戦もてぎ。PETRONAS TEAM TOM'Sが黄金期を確立させるのか、打倒TOM'Sに燃えるライバルたちが名乗りをあげるのか。まさに見逃せない一戦となるだろう。