2012 Formula NIPPON
No.19 ジョアオ・パオロ・デ・オリベイラ
8月5日(日)、ツインリンクもてぎ(栃木県)で2012年全日本選手権フォーミュラ・ニッポン第5戦の決勝レースが行われた。猛暑の中で行われたハードなレースをNo.19 ジョアオ・パオロ・デ・オリベイラ(TEAM IMPUL)が今季初勝利を挙げた。2位はNo.1 アンドレ・ロッテラー(PETRONAS TEAM TOM'S)。3位にはツインリンクもてぎの地元、栃木県出身のNo.41 塚越広大(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)が入った。
No.1 アンドレ・ロッテラー
午後2時、気温34度、路面温度50度という過酷なコンディションの中、18台のマシンがフォーメーションラップスタート。正規グリッドに付くと、いよいよ52周先のゴールに向けて、レースのスタートが切られた。このスタートで抜群の動き出しを見せたのは、2番手グリッドのNo.20 松田次生(TEAM IMPUL)。ポールポジションのNo.19 ジョアオ・パオロ・デ・オリベイラ(TEAM IMPUL)、若干加速が鈍り、1コーナー入り口では松田の後ろにつけたが、立ち上がりでポジションを取り返し、再びトップに立った。
これに続いたのは、5番手グリッドのNo.41 塚越広大(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)。さらにNo.2 中嶋一貴とNo.1 アンドレ・ロッテラーのPETRONAS TEAM TOM'Sコンビ。1コーナーに入ったが、ロッテラーは3コーナーで一貴をかわし、4番手に戻している。また塚越は、3コーナーの入り口で、前を行く松田の左リヤと軽く接触し、フロントウィングの右側のアッパーフラップに少しダメージを負うが、そのまま走行を続けた。
さらに、後方では、2コーナー立ち上がりでNo.62 嵯峨宏紀(TOCHIGI Le Beausset Motorsport)がNo.18 折目遼(SGC by KCMG)に追突。折目はスピンアウトし、レースを終える。一方の嵯峨もここでレースを終えた。また6周目には、No.16 山本尚貴(TEAM 無限)がパドルシフトの不具合を抱え、ピットイン。ガレージでの修復を余儀なくされ、大きく後れを取ることになってしまった。
トップ集団はその後、コース上でのポジションの入れ代わりは起こらず、レースは進んで行く。その中から抜け出したのは、トップのデ・オリベイラ。デ・オリベイラは13周を終えたところで2番手の松田に4秒以上の差をつけ、そのまま走行を続ける。また松田も塚越に対しては、序盤から差をつけ、15周を終えたところですでに7秒のマージンを稼いでいた。これに対して、満タンでペースが上がらなかったのは、塚越。その塚越をロッテラーが終始テール・トゥ・ノーズで追っていたが、なかなかオーバーテイクのチャンスを掴むことができなかった。
一進一退の争いを続けたNo.41 塚越広大とNo.2 中嶋一貴
そんな中、上位陣がストラテジー(戦術)によるポジションアップを狙って、ピットに入り始めたのは、20周を過ぎたあたりから。まず7位を走っていたNo.40 伊沢拓也(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)が22周終了目前にピットイン。この翌周には塚越にスタックしていたロッテラーがピットロードに滑り込む。これを見て、その翌周には塚越もピットに入り、ロッテラーよりも1秒早い16秒1という作業時間でコースに戻った。だが、アウトラップで猛プッシュしてきたロッテラーが、ピットアウトしてきた塚越の鼻先をかすめ、前に出ることに成功した。さらに、前半6番手で走行していたNo.8 ロイック・デュバル(Team KYGNUS SUNOCO)が25周終了目前にピットイン。だが、コースに戻ったデュバルは、ここで前半後ろに付けていた伊沢にかわされ、ひとつポジションを落とすことになってしまった。
その後、ワン・ツー体制を築いていたTEAM IMPULが動く。まず27周終了直前にピットに滑り込んできたのは、松田。その翌周には、デ・オリベイラがピットイン。松田16秒4、デ・オリベイラ15秒6と、チームはいずれも素早い作業を見せ、2人をコースに送り出す。これで、ワン・ツー体制は保ったままだ。ここから、この2台と3番手のロッテラーだけがコンスタントに1分38秒台後半から39秒台前半のタイムを刻んで、それぞれ独走状態に入った。その後方では、塚越の後ろに一貴がピタリ。2台の差はずっと1秒を切ったまま。それでもオーバーテイクに至ることはなく、レースは最終盤へと入って行く。
2位を快走するもトラブルで後退することとなったNo.20 松田次生
このままTEAM IMPULがワン・ツー・フィニッシュを達成かと思われた時、突然の悲劇が訪れた。チェッカーまで残り3周を切った50周目の2コーナー立ち上がり。2番手を走っていた松田のギヤが突然4速でスタック(変速が不能になる)。松田は何とかコクピットのボタン類を触って、修復しようと試みるが、まったく症状は改善されない。そこから松田は4速のみでの走行となり、大きくタイムロス。この周の90度コーナー手前で、ロッテラーの先行を許すことになる。それでもピットに戻らず、松田は復活後初表彰台を目指して力走。ファイナルラップの2コーナーでは、後方から迫ってくる塚越と一貴に対し、オーバーテイクボタンを使用しながらのブロックを見せる。しかし、4コーナー手前で、この2台の先行を許すことに。さらに、チェッカー目前には、伊沢とデュバルにもかわされてしまうことになってしまった。
一方、トップのデ・オリベイラは、そのまま走り切って今季初優勝。前回の優勝は丸1年前、昨年の第4戦もてぎだった。そして、松田のトラブルによって、それ以降のドライバーはそれぞれポジションアップ。その結果、ロッテラーが2位、塚越が3位表彰台を獲得し、一貴が4位に入賞した。以下、伊沢、デュバル、悔しい松田が7位。さらにNo.38 平手晃平(Projectμ/cerumo・INGING)までがポイントを獲得した。
ランキングでは、4位となった中嶋一貴が34ポイントでトップを守る。だが、ロッテラーが2位8ポイントを得たことで、一貴と1ポイント差で2位。塚越が29ポイントで3位、オリベイラが28ポイントで4位と、上位陣のポイント差はわずか。残り2戦の結果次第で、誰がチャンピオンになってもおかしくない激しい状況となってきた。
次戦は9月22、23日、スポーツランドSUGO(宮城県)での第6戦。チャンピオン獲得へ向け、さらにヒートアップしたレースが展開されそうだ。
No.40 伊沢拓也
No.8 ロイック・デュバル
優勝チーム 星野 一義監督 / 2位 No.1 アンドレ・ロッテラー / 優勝 No.19 ジョアオ・パオロ・デ・オリベイラ / 3位 No.41 塚越広大