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コラム【武士が斬る!】vol.8 プライドを賭けて手に入れたい栄誉

2023.10.26

いよいよ来週は最終戦!鈴鹿ラウンドの2レース決戦です。伝統のJAFグランプリの冠もつくこの週末、2023年の日本一速い男が決まるとあって否が応でも緊張感がみなぎります。SUPER FORMULAはエンジン以外はワンメイクなので、この年の誰が一番速かったのか、強かったのかが明確にわかるので、ドライバーたちはプライドをかけてこの栄誉を獲りにいきます。その権利を残しているのは実質的に3人と言っていいでしょう。宮田莉朋選手、リアム・ローソン選手、そして3連覇をかけて挑む野尻智紀選手です。
今シーズン、3人共に印象的な走りをしてきていて、この3人が残っていることは必然だと思います。他にも平川亮選手坪井翔選手も実にいい走りをしてきていますが、先にあげた3人に比べると少し苦しむ場面が多く見受けられました。
違いはチームも含めた総合力と言っていいと思いますが、平川&坪井両選手も充分にこの覇権争いに残っていい走りをしていたと思います。逆に考えると、チャンピオンをハイレベルで争うクオリティーを持ったドライバーが、5人もいる選手権だったと言えるでしょう。それはレースが面白くなるはずです。

 

でも、チャンピオンは一人だけ。それがこの週末に決まります。今年を象徴した緊迫感のある厳し戦いになると予想します。しっかりと見届けたいと思います!

チャンピオン争いにフォーカスされてしまうことは否めませんが、他にも今シーズンを盛り上げてくれたドライバーはたくさんいます。涙の表彰台を獲得した山下健太選手や、後半戦上り調子の牧野任祐選手も非常に素晴らしい走りを見せてくれています。

そして新勢力も忘れてはいけません。ローソン選手がクローズアップされてしまっている新勢力ですが、小高一斗選手太田格之進選手も、この厳しい選手権の中でしっかりと存在感を残してくれています。
太田選手は予選で2位と3位が一回ずつとしっかり速さを示しています。決勝でも第6戦富士で6位入賞しポイントもゲット。この終盤にきてグイっと来年のシートも手繰り寄せた感があります。小高選手は予選こそ下位に沈むことが多いのですが、決勝では6位、7位、10位と3回の入賞。こちらも激しいバトルを繰り広げての戦った結果の入賞で、この役者がそろったSUPER FORMULAの舞台で、しっかりと存在感をアピールしていると思います。

 

この両選手、コーナーで観ていると“走り”で目を引くことができます。太田選手は切れ味鋭いアグレッシブなコーナリングが特徴。小高選手はスムーズながら、とんでもないハイスピードでコーナーに飛び込んでくる走りが印象的です。共に鈴鹿は得意としているサーキットだと思うので、S字あたりの走りを見てもらうのがお薦めです!最終戦は一年の集大成にしたいのが各陣営の思い。出し切って終わりたい、、、それはドライバーだけでなくチーム全員の思いでしょう。最終戦が例年、緊張感あふれる素晴らしいレースになる要因の一つだと、そう思います。

 

朝晩には空気の冷たさを感じる季節になり、オフシーズンがもうすぐと肌で感じます。一人一人の思いの強さが、最終決戦の舞台で大いに発揮されることを期待しています。ファンの皆さんにもこの戦いを見届けて頂きたいと思いますので、是非鈴鹿サーキットへ足を運んでいただき、また、テレビの前で応援いただければと思います。私もJSPORTSの放送の解説として現地でみんなの戦いを見届けます!

 

 

written by 土屋 武士
日本のトップカテゴリーで活躍したレーシイングドライバーとして活躍。プライベートチーム「つちやエンジニアリング」のチームオーナーでもある。現役を引退した現在は、ドライバー・エンジニア・メカニックの育成に務め、モータースポーツ界に大いに貢献し多方面で活躍している。

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