コラム【武士が斬る!】vol.28 Q3復活!今週末は第3戦オートポリスへ
2026.04.24
皆さんこんにちは!SUPER FORMULAオフィシャルアドバイザーの土屋武士です。
今シーズンのSUPER FORMULAが開幕しましたね!土曜日、日曜日の2連戦となりましたが、第1戦は雨の中、ほとんどの時間をセーフティカー(SC)先導での走行となりました。明けて日曜日のレースはドライでのレースとなりましたが、開幕ラウンドらしくたくさんのドラマあふれる展開がありました。選手だけでなく関わるチームスタッフ一人ひとりが、新しいシーズンにその熱い想いをぶつけてくるので、それはそうなるだろうと、SUPER FORMULAのファンの皆さんはご承知の通りだと思います。そんな中でも私の中で強く印象に残った事柄をお話しさせてもらいますね。

まずはSUPER FORMULA100戦を迎えた野尻智紀選手。是非SUPER FORMULAのオフィシャルYouTubeチャンネルでそのインタビューの模様をご覧ください。
▶︎ 100戦で一番記憶に残るレースは?国内トップフォーミュラで戦い続ける野尻智紀選手の記念記者会見に密着!
野尻選手がここまで辿り着いた道のりが平坦ではなかったということ、それを支えてくれた皆さんへの感謝の気持ちがこもった素晴らしい内容でした。コロナ禍の2021年に初のチャンピオンを獲得し、翌2022年も連覇。SF NEXT50を掲げ新しい扉を開けたシーズンに相応しいチャンピオンの誕生でした。立場が人を成長させるとよく聞きますが、野尻選手ほどその成長が周りに伝わる選手も珍しいと感じるくらい、その加速度は持ち前のスピードのように、シリーズを引っ張っていく選手になっていったと感じています。 36歳となり、フォーミュラでは大ベテランの域に入りましたが、まだまだ成長する意欲は健在ですので、これからもファンを魅了する走りを見せてくれることと思います!

そしてルーキーレーシングに初表彰台をプレゼントした福住仁嶺選手。第1戦の予選では4番手タイムをマークするも、最低重量違反でそのポジションを失ってしまい、出鼻を挫かれた形になりましたが、翌日の第2戦で予選7位から見事な追い上げで3位表彰台!嫌なムードを速攻で拭い去ることに成功しました。 オフのテストからトップタイムを刻むなど、今シーズンの中心になるだろうと予想はしていましたが、それを結果に残すことが非常に難しいのがSUPER FORMULA。初戦での悪いイメージを引きずることも多くある中で、しっかりと挽回したことはチーム力の向上を感じますし、ライバル陣営にも“今年のルーキーは手強いぞ”と印象づけたことと思います。 仁嶺選手のスピードは言わずもがな。そして強力な応援団としてモリゾウさん、石浦監督、大嶋選手がバックアップしているとんでもない体制です。何がとんでもないかって、みんなレース好き、走るの好き!クルマ好き!!調子に乗せたら一番怖いチームはここかもしれませんね。

そしてセルモインギングの阪口晴南選手と大湯都史樹選手も第2戦で魅せてくれました!大湯選手は2番手スタートからスタートでトップに立ち、その後も色々と見せ場を作ってくれました。終盤は何かトラブルを抱えていたのかスピードが落ち、それでも後続を巧みに抑えていた様はそのしぶとさを感じました。 そして晴南選手は5年ぶりの2位表彰台を獲得。終盤のスピードは本当に速かったですし、久しぶりに上位で走る姿を見て、噛み合えば初優勝は近いと感じた人は多いのではないでしょうか? セルモインギングは2015~2017年に3年連続でドライバーズチャンピオンを獲得している実績のあるチームです。そして2人のドライバーは“何かをやってくれそうな”実力派ドライバー。SUPER FORMULAはコンスタントに速さをキープするのが難しいカテゴリーですが、このパッケージであれば、その難解な壁を壊してくる期待感も持てます。シルバーの2台のマシンがレースを引っ掻き回すところを見たいですね!

そしてそしてスリーボンドレーシングを参戦以来の最高位となる5位に導いたのが、自身もキャリア最高位の小出峻選手。昨年ルーキーイヤーで時折速さを見せていましたが、不運に見舞われて目立った戦績は出せていませんでした。しかし、菅生のフリープラクティス(FP)でセッショントップタイムを記録したスピードは皆の記憶に残っていましたし、そのスピードが噛み合えばきっと上位を獲得するだろうと予想できる選手でした。 今シーズン、シートを獲得できるかが不透明な時期もあったと聞いていましたが、今年のラインナップに小出選手の名前を見た時に個人的にホッとしました。やはり2年目のチャンスがあるべき選手だと思ったし、それを早くも開幕ラウンドで証明できたことは小出選手の想いの強さでもあるんじゃないかなと思います。 スリーボンドレーシングも長い間苦しい時期が続いていただけに、ここでいいリズムを掴んだことで今後のレースに落ち着いて取り組めると思いますので、ますます躍進が期待できますよね!また役者が増える予感がします。
昨年ノーポイントだったチームインパルがザック・オサリバン選手と共に6位入賞したこともグッドニュースでした!しかも第2戦の決勝ペースは非常に速く、オサリバン選手のアグレッシブなドライビングにもマッチしているようにも見え、波に乗ってくると面白い存在になりそうという予感がします。やはりホシノインパル“19”のゼッケンがレースの中心にいないと盛り上がらないと、オールドファンはみんな思っていると思います。どんな時も全開!それがホシノイズムであり、オサリバン選手のスタイルにピッタリというのも頼もしいですね!まだまだこの順位では満足できないのはドライバーもチームもファンも一緒!オサリバン選手には表彰台のてっぺんで一樹監督を泣かせてもらいたいと思います。

そして開幕ラウンドの週末、やはりSUPER FORMULAは簡単ではないなと、いくつかのチームを見て改めて感じました。 その一つが、好調のシーズンオフテストからいい流れだったナカジマレーシング。この開幕戦でも3位と4位を獲得した佐藤蓮選手とイゴール大村フラガ選手は、第2戦では苦戦を強いられノーポイントとなりましたが、これがSUPER FORMULAの難しさであり、層の厚さだと言えると思います。 そして、常勝チームトムスでさえ、今回の開幕もてぎラウンドでは第1戦でサッシャ・フェネストラズ選手の6位が最高位で、坪井翔選手はハーフポイントとなった第1戦で9位の1ポイントのみ獲得という予想外の結果になりました。 開幕戦でポールポジションを獲得し、今年は一気にイニシアチブを握っていくのかと思った岩佐歩夢選手でしたが、第2戦の決勝では思うようにペースが上がらずに8位となり、第1戦では2位と、好調の波を掴めずに優勝に手が届かなかったことを見ても、本当にSUPER FORMULAは難しいんだなと見て取れると思います。

一つのミスや流れを掴み損ねると浮上できない厳しい環境の中、この週末でその最たる選手だったのが牧野任祐選手です。FPでは2回ともに3番手と調子は良さそうに見えましたが、予選では2回ともにトラブルがあったようで中盤以降に沈んでしまいました。そしてまさかの2戦ともにノーポイント。2025年シーズンは全選手の中で唯一の全戦ポイントを獲得。それだけでなく2024年シーズンも全戦入賞だったので、2シーズン連続で安定した成績を残してきただけに、まさに信じられないといった感じです。 ここ数シーズンは最終戦までチャンピオン争いを繰り広げ、惜しくも届かずという形が続いているだけに、“今年こそは”という気持ちがどんどん上がっていると想像できるので、この状況は受け入れがたいと思います。 しかし、ここまでもたくさんの障壁を乗り越えてきている様を見ているので、ここからまたチャンピオン争いに戻ってきてくれると思います。牧野ファンならずとも、レースファンはみんなそれを願っていることでしょう。まだ2戦が消化したばかり。牧野選手にいい風が吹いてくれるよう、そしてまたその速さを見せつけてくれることを願ってエールを送りたいと思います。
そんな中で開幕2連勝を遂げたのが太田格之進選手。雨の中、結果的に超スプリントとなった第1戦では、まさにワンチャンスを活かし岩佐選手から優勝を奪いました。岩佐選手のエンジンに一瞬バラつきがあったようですが、それすら格之進選手の気迫が引き起こしたんじゃないかと思うくらい、SC中の動きもアクティブで、「スタートしたら行くぞ」という気迫を感じていました。 そして翌日はポール・トゥ・ウイン。終盤のトラブルも致命傷とはならず、見事なまでの開幕ダッシュを決めてみせました。そのウイニングラン中に私が思い出したのが、昨年の最終戦の格之進選手の涙です。あの時の姿が印象に残っている人は多いと思いますが、レースの神様もその一人でしょう。まさに、この開幕2連戦は格之進選手のものとなりました。


他にも取り上げたい選手はたくさんいます。ルーキーらしからぬ堂々とした走りでその存在感を示した野村勇斗選手、21番手から4位まで追い上げたルーク・ブラウニング選手など、今シーズンも役者ぞろいのSUPER FORMULAだと断言できる、たくさんのドラマが詰まった開幕ラウンドだったと感じました。
これも、例年と違いモビリティリゾートもてぎでの開幕戦になったことも影響したんじゃないかと思います。通常は鈴鹿サーキットで公式テストを行い、開幕も鈴鹿で行われてきました。それが違うサーキットでの開幕となったこと、さらに、もてぎの路面が全面改修された直後だったことも、昨年、トップ3+ナカジマレーシングに上位を独占されてきた流れを変える要因になったことは間違いないでしょう。
そして今日から早くも第3戦オートポリスが始まります。このオートポリスも波乱が起きやすいサーキットです。そしてこの週末は、久しぶりに予選でQ3が復活します。ヨコハマタイヤの協賛でポールポジションを獲得した選手に賞金が授与されます。“最速”の称号は誰もが欲しがります。これはドライバーだけではなく、エンジニアにとっても“一番速い”というのは大好物です。土曜日の予選はSUPER FORMULAの緊張感を感じられる時間ですが、そこにさらにプラスアルファの空気感を感じることができそうですね!
さて、今週末はどんなドラマが繰り広げられるのか?皆さんと一緒に見守りたいと思います。言わずもがな、今年もSUPER FORMULAは面白い!!
written by 土屋 武士
日本のトップカテゴリーで活躍したレーシングドライバーとして活躍。プライベートチーム「つちやエンジニアリング」のチームオーナーでもある。現役を引退した現在は、ドライバー・エンジニア・メカニックの育成に務め、モータースポーツ界に大いに貢献し多方面で活躍している。
