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コラム【武士が斬る!】vol.30 今週末は富士3連戦!第3回瑶子女王杯をかけた熱い戦いが始まります!

2026.07.16

皆さんこんにちは!SUPER FORMULAオフィシャルアドバイザーの土屋武士です。

 

今週末は富士3連戦、そして第3回瑶子女王杯をかけた熱い戦いが始まります!第3戦オートポリス九州大会の決勝が悪天候によりキャンセルとなった代替レースが、第6-7戦富士ラウンドの日曜日に組み込まれたことで3レースとなったのですが、グリッドはオートポリスの予選順位が適用されます。そして決勝周回数が25周と、通常41周の決勝より約6割の周回数、そして今季から新たにレギュレーションに加わった150km未満のレース距離のポイント制度が適用されます。(1位12ポイント、以下、9P-7P-6P-5P-4P-3P-2P-1P、1位から9位まで)

そしてタイヤ交換義務はありませんので、スプリントの様相が色濃く、スタートとその後の攻防がレースの焦点となるでしょう。

ちなみに瑶子女王杯は第6戦と第7戦の2レースの合計ポイントで決まりますので、3連戦となりますが、第3戦代替レースのポイントは含まれないことになっています。

 

シリーズ中盤戦の幕開けとなる今回のレースですが、残り8レースの内5レースがここ富士スピードウェイで開催されるということで、この週末で流れを掴んだものがチャンピオンに近づくのは間違いありません。ランキングトップの太田格之進選手が一気に後続に差をつけて盤石な状態を作るのか? はたまた格之進選手に待ったをかける選手が複数現れるのか?? 今週末はシリーズを占ううえでも大きなウエイトがかかっている大会ですので見逃せませんね!

 

 

そんな天王山がひかえていますが、その前に第4-5戦鈴鹿ラウンドのことを振り返ってみましょう。どちらのレースも見応えのあるものとなりましたが、土曜日は天候の変化により順位そのものが大きく左右され、「運」という要素が絡むレースでした。翌日曜日のレースは、トップフォーミュラ史上に残る素晴らしいバトルが展開され、各選手が死力を尽くしたバチバチのレースが我々の目の前で繰り広げられました。

2レースともレースの面白さ、難しさ、そして素晴らしい魅力が詰まったレースだったと思います。その辺りを振り返ってみたいと思います。

 

土曜日のレース、まずは予選で岩佐歩夢選手がポールポジション、2位に野尻智紀選手でチーム無限が1-2を独占。なんと鈴鹿の予選では5大会連続で1-2という快挙でした。本当に鈴鹿では強い印象がチーム無限にはありますよね。でも決勝ではまた違う状況になるというのも難しいところです。

岩佐選手にとっては、ランキング1位の格之進選手が予選12位となり、ポイント差を少しでも縮めたいと思って挑んだレースだったと思います。客観的に見ても、この2人が今シーズンのチャンピオン争いを引っ張っていると感じるところですが、インタビューコメントではお互いに意識はしていないというものの、間違いなくお互いに意識していることでしょう。それだけこの2台の戦いぶりには、群を抜いた集中力を感じています。

 

 

レース序盤は無限が1-2で推移したものの、12番手からスタートした格之進選手はスタート後数周で7番手まで浮上し、ピットウインドウがオープンした9周目にいち早くタイヤ交換を済ませます。その後のペースが非常に速く、野中誠太選手が130Rでクラッシュした影響でセーフティーカー(SC)が入った19周目にはトップ岩佐選手から33秒差になっていて、実質岩佐選手の前にトラックに戻れるギャップでした。しかし、前を走っていた坪井翔選手がサッシャ・フェネストラズ選手とのダブルピットに備えることと、イエローフラッグが振られていた130Rを通過する際にペースダウンをしたことで、真後ろを走っていた格之進選手は、岩佐選手のピットアウトした際に2番手という位置になってしまい、オンボード映像からはかなり悔しそうな状況に見えましたが、その後のチームとの無線では非常に落ち着いていましたね。この辺りが格之進選手の進化と今年にかけて準備してきたことが少し見えた気がしました。

 

 

そしてこの時のチーム無限のタイヤ交換が5秒台と非常に速く、岩佐選手をトップで戻せた要因にもなりました。このSCにより、アウトラップの攻防もなくなり岩佐選手がトップをキープでき、更にタイヤマイレージのオフセットも大きくあったのでこの時点では岩佐選手が有利になったのかなと思いましたが、ところが、ここでお天道様のいたずらが始まります。このSC中に雨量が多くなってきて、ちょうどリスタートの時にはスリックタイヤで走るには非常に滑りやすいコンディションとなったのです。

この雨はタイヤのウォームアップに大きく影響しました。タイヤ交換をしたばかりのクルマたちは、SCのスローペースの中ではしっかりとタイヤに熱を入れることができなかったのです。リスタート後の加速では岩佐選手、そして野尻選手の無限勢はグリップを得ることができず、多くのクルマにパッシングを許してしまいます。それだけでなく野尻選手は接触の影響でコースアウト。2コーナーでイゴール大村フラガ選手がクラッシュしたこともあり、またもやSCが出ることになりました。

 

 

このSC中、格之進選手をはじめ、上位勢はレインタイヤに交換するためにピットに入ります。そしてスリックタイヤのままコース上にステイアウトしたクルマが6台。ロマン・スタニャク選手がリスタート周にピットに入ってレインタイヤに交換してレイン交換組のトップ7番手。格之進選手は8番手という状況になりました。

このSCがいつピットに戻るのかということがレースの勝敗を握ることになりましたが、実際、残り4周でリスタートする頃に路面が急激に乾いてきていて、瞬く間にスリックタイヤ勢有利の状況になりました。

果たして、ステイアウトという選択をした6台のスリックタイヤ勢が上位を独占。サッシャ選手がトップを守り切り昨年の富士戦以来の優勝! そして新規チームで早くも嬉しい2位表彰台を獲得したのが松下信治選手。3位には今年うまくかみ合っていなかった坪井選手が入るという、レース序盤からはまったく予想できない順位となった土曜日の決勝レースでした。

 

 

「勝負は時の運」という言葉がありますが、自然相手のことですから誰にもはっきりとした予想を立てることはできません。雨雲レーダーから読み取れる情報で予想を立てていくことはできますが、それも“絶対”ではないのです。

サッシャ選手は、2周前にリスタートしていたら全く違う結果になっただろう、とコメントしていました。しかし、勝負に出たことでこの日の栄冠を勝ち取ったのがチームトムスだったということでしょう。さすがの勝負師!あっぱれな優勝、そして1-3フィニッシュでした!!

 

 

そして格之進選手はレインタイヤ組でトップの7番手でしっかりと選手権のリードを広げました。予選12位から優勝も見えていたレースだったことを考えても、6号車陣営が今年のシリーズを高い集中力で獲りに来ていることがうかがい知れます。そして岩佐選手はあれだけ序盤レースのリードラップを走っていたのに13位でノーポイント… これもレースであり、地球には勝てないという所以です。受け入れて前に進むしかないということでしょう。

 

あとこのレースで取り上げておきたいのが野村勇斗選手です。結果はピットでのタイムロスがあり15位と見るものはありませんが、予選は3位を獲得。Q1突破はもう当たり前でルーキーという感じはもうしませんね。そして予選以上にインパクトがあったのが決勝です。スタートと位置取りで抜かれてしまったのですが、その後のペースが速く3番手まで自力で戻ってきた速さには勢いがありました。今回はかみ合わなかったのですが、末恐ろしいルーキーが現れたものだと、関係者の多くが感じたと思います。

 

 

翌、日曜日の第5戦は予選から見応えがありましたね。チーム無限の1-2を阻止し、更に2021年第2戦から続いていたホンダエンジンの14大会連続ポールポジション獲得記録にストップをかけたのが、ルーキーレーシングの福住仁嶺選手!ニック・キャシディ選手が2020年第6戦でポールを獲得して以来久々のトヨタエンジン勢での鈴鹿ポールポジションでした。

午後からの決勝は前日と比べ気温路温が高く、各陣営のタイヤ交換のタイミングが勝負の分かれ目になるような、そんな予感がしていました。それもタイヤのデグラデーションが各車で違うということと、早く入るクルマとのトラックポジションをどう考えるかという、非常に難しくそして神経を使う展開が考えられたからです。

 

 

スタートから上位は波乱なく、特に福住選手は序盤のペースは秀逸でした。2番手の岩佐選手や牧野任祐選手がオーバーテイクシステム(OTS)をオンにして迫ってきたときも、しっかりとタイミングを合わせてディフェンスし、それをいなした後は4秒ほどのギャップを作ってレースを引っ張っていきました。中盤で坪井選手がタイヤ交換組みのトップになり、いわゆる裏と表のトップ争いになった局面もありましたが、ここも福住選手とルーキー陣営は後方にいる岩佐選手と格之進選手の動向を見極めて惑わされませんでしたね。トップ3台が坪井選手にリアクションしなかったことで、終盤、優勝はこのトップ3台に絞られることになりました。

 

2位を走っていた岩佐選手が3台の中では1番早く動きピットに入ります。ここでもチーム無限のタイヤ交換が早く、しっかりと坪井選手の前に戻り、そのタイヤ交換の早さに応えるかの如く岩佐選手は劣勢の中のアウトラップで素晴らしいディフェンスでポジションを坪井選手から守りました。

その次の周にトップ福住選手、そして3位の格之進選手もリアクション。福住選手はセーフティーマージンがあったのでポジションをキープしましたが、岩佐選手の前に格之進選手が戻ります。そしてここでも岩佐選手はズバッと格之進選手をオーバーテイク!ここも見応えのある攻防でした。

タイヤ交換後のポジションはトップ3台は変わらずでしたが、ここで一気に差は詰まりました。間髪入れず岩佐選手が残り6周で急接近。OTSを使い福住選手をオーバーテイクしトップに浮上します。この一連の展開は、岩佐&1号車陣営の気迫と集中力が溢れていたように感じます。しかし勝負はまだついていませんでした。

 

 

トップ3台は僅差で、OTSの残量は3位の格之進選手が一番多かったので、この時点ではまだ誰が優勝するのか分からない状態。トップ岩佐選手のOTSが使えない次の周で福住選手がやり返します!残り少ないOTSを駆使して再奪取!!この瞬間、スタンドの歓声はすごかったです。

前方2台がOTSの残数が少なく、3位の格之進選手が残り3周のところで仕掛けに行きます。しかし2位岩佐選手もギリギリの走りでそれをディフェンス!2位を守ることに成功しました。

そしてラストラップ。OTSが残り4秒しかない福住選手の後ろで岩佐選手、格之進選手がOTSをオンにして襲いかかってきますが、最後の力を振り絞って走り抜いた福住選手がトップを守りきってこの素晴らしいバトルを制し、ルーキーレーシングにとってのSUPER FORMULA初優勝を見事に勝ち獲りました。

 

何十年もこのトップフォーミュラのレースを見てきましたが、このレースは間違いなくトップ5に入ると言える素晴らしいレースでした。各選手、各チームが死力を尽くして、力を出し切って戦い抜いた末のレース。このようなレースは滅多に見れるものではないと思います。スポーツマンシップに溢れ、誰もが清々しい気持ちになれるような、そんなレースでした。

 

 

 

ルーキーレーシングのクルマはレスダウンフォース仕様に振っていて、特にセクター3での伸びが良かったこと、そして燃料が重い状況の時に速かったこととOTSを有効に使ってペースを維持したことなど、色々と優勝の鍵になったポイントはあると思いますが、チームの一人一人が優勝に向けてしっかりとやるべきことをやったということが、この優勝をたぐり寄せたのかなと、そう思います。

土曜日の第4戦の終わった後、チームのまとめ役をしている関谷さんとお話ししたんですけど、私が「今日は運がなかったですね」と言ったら、返答が、「いや、勝ったチームはちゃんと準備していたと思うんです。我々が足りてなかった。運で片付けてはダメだと思ってます」とおっしゃってました。そして翌日の優勝。しっかり根拠を積み上げたからこそたどり着いた頂は格別だったと思います。本当におめでとうございました!

そして石浦監督、大嶋選手の2人が大きな役割を果たしていたことも知っていますが、話していいかの許可は得ていないのでここでは伏せておきましょう(笑)

シーズンの早い段階で優勝を遂げたことで、ルーキーレーシング&福住仁嶺もチャンピオン争いに名乗りを上げてくるのか——、ここからの戦いに注目していきたいと思います。

 

 

今回のコラムは第5戦のレースが素晴らしかったので、レース展開の詳細を改めて書かせていただきました。こんなレース見せられたらファンの皆さんもどんどん引き込まれていきますよね!これこそがSUPER FORMULAの魅力なのだと思います。

 

そして今週末は決勝が3レースもありますが、それ以外にも盛りだくさんです。恒例となった“SUPER FORMULA夏祭り”ということで、イベント広場では縁日屋台、土曜日の夜には打上花火がありますし、日曜日のレース後はAFTER RACE GRID PARTYが行われます。25歳以下の方にはチケットが半額になっていたり、色々な情報が富士スピードウェイのホームページに掲載されていますので、SUPER FORMULAのホームページ共々チェックしてみてくださいね!

 

私もこの週末はテレビ放送の解説としてサーキットの現場で熱い走りを見守りたいと思いますので、現地に来られない方は放送で、現地サーキットに来られる方は一緒に盛り上がりたいと思います!では今週末よろしくお願いいたします!!

 

 

 

written by 土屋 武士
日本のトップカテゴリーで活躍したレーシングドライバーとして活躍。プライベートチーム「つちやエンジニアリング」のチームオーナーでもある。現役を引退した現在は、ドライバー・エンジニア・メカニックの育成に務め、モータースポーツ界に大いに貢献し多方面で活躍している。

 

土屋武士オフィシャルアドバイザー

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