SuperFormula

INFORMATION

コラム【武士が斬る!】vol.31 今週末はRd.8 東北⼤会!SUGOで輝くのは誰だ!?

2026.08.07

皆さんこんにちは!SUPER FORMULAオフィシャルアドバイザーの土屋武士です。

 

夏休みに入ってレースイベントが連続で開催されていますね。その最初に行われたのがSUPER FORMULA富士ラウンド。第3戦オートポリス決勝中止の代替レースが入ったことで、この週末3連戦となりました。しかも残り8レース中5レースがここ富士で行われるということで、今年の選手権を争ううえでこの富士を攻略することが非常に大事だということを、誰もが感じていました。
更に第6・7戦には第3回瑶子女王杯が賜杯されるという、シリーズとは別の大きな栄誉がかかったことによって、俄然ドライバーたちの気合いも入ることでしょう。

 

そのような状況で金曜日のフリー走行が始まりましたが、雨が降ったりやんだりといった不安定な状況で、路面もWETで走るには水が少なく、ダンプに近いコンディションで始まりました。各チームも様子見という感じが漂う中、太田格之進選手は誰よりも早くコクピットに収まり、映像からですが、この週末に取り組むうえでの集中力、そしてこの週末でチャンピオンシップを決めてしまうくらいの気迫を感じました。
そして、この時感じたことが、そのまま実行されることになったのです。

 

 

格之進選手はこの富士のレースの前の前半戦だけでも2勝を獲得。そして今シーズン、その他のレースでも、その日のベストリザルトと言えるような、集中の切れない出し切ったレースを積み重ねてきていると感じます。ランキング2番手の岩佐選手にもジワジワと差を広げている状況でこの週末を迎えました。
そしてフリー走行でもやるべきことをすべてやり切って、翌日のWETになった第6戦の予選こそ13位と沈みましたが、そこから午後の決勝は素晴らしいオーバーテイク、そして持ち前の決勝ペースの良さで、苦しい状況の中で優勝を勝ち取りました。
日曜日午前に行われた第3戦の代替スプリントレースでは、チームのミスで10秒ペナルティがあり8位となったものの、午後の決勝でも随所に見どころのあるバトル、そしてその勝負所を見事に制してこの週末の2勝目を飾り、今シーズン4勝目、通算10勝目で、シリーズ争いで独走状態に。
そしてもちろん瑶子女王杯も賜杯し、望みうる最高の結果と言っていい内容のレースウィークを格之進選手、そして6号車陣営は描き切ってみせたといってよいでしょう。

 

格之進選手を見ていると、過去に日本からステップアップを果たしてF1にたどり着いたドライバーの、その当時の強さや速さを感じます。もちろん他にも世界を感じさせる選手は複数いるのですが、勢いや流れを格之進選手自ら作り出しているという意味では、今年のパフォーマンスや、コメントや落ち着きを見ていると、世界に出ていってほしいなと、多くの関係者も感じていることでしょう。

 

格之進選手の成長は、イレギュラーや不運などに見舞われた際の、セルフコントロールの部分に感銘を覚えます。
昨年の第2戦の鈴鹿で岩佐歩夢選手とのシケインでのバトルの際に5秒ペナルティをもらったことがありましたが、この時は格之進選手の“弱さ”を感じました。しかし今年の第4戦鈴鹿でセーフティーカーが出た際に、通常だったらトップで戻れたはずがダブルピットのロスを避けるための坪井翔選手の後ろで数秒ロスしてしまった際、その瞬間はオンボードで悔しそうな動きが見られたものの、その後の無線ではしっかり落ち着いた声色でチームとの交信をしていたのを見て、昨年までのウィークポイントを受け入れ、しっかりと対処する術を身につけたのだなと、私は感じました。

 

 

その他にも、“受け入れて”という部分があるのですが、格之進選手の話はここまでとしますね。残り5戦となったこの選手権で、ノリにノッテいる格之進選手がどこまでその速さを見せつけるのか。それとも、そうはさせじと、己のプライドをかけて挑んでくる選手が格之進選手の独走を止めるのか——、そんな部分にも期待していきたいなと思います。

 

その筆頭に挙げられるのはやはり昨年のチャンピオンの岩佐選手でしょう。今回の週末のような不安定なコンディションだと1号車は本来のパフォーマンスが発揮できないと、コメントにありました。確かに速い時には手が付けられないくらいの速さと強さがあります。今シーズンは特に不安定なコンディションが多く、予選では今季3回のポールポジションを獲得しているにもかかわらず、1号車には合わないコンディションが決勝では多い印象ですね。第3戦のオートポリスではすべてのセッションでトップタイムだったので、かなり調子が良かったレースが中止になったというのも不運だったと思います。

 

しかし地球には逆らえません。自然現象も屋外で行うスポーツの要素の一つですよね。それで得られることもあれば失うこともある。受け入れるしかないですよね。岩佐選手も、昨年のチャンピオンを順風満帆で獲得したわけではないので、奮起してくれることと思います。特に今週は昨年初優勝したスポーツランド菅生。ここからの逆襲に期待したいと思います!

 

 

そしてもう一人、イゴール大村フラガ選手。日曜日午前にSUPER FORMULA 2勝目をあげ、そして日曜日の午後の決勝では格之進選手のペースに肉薄した走りを見せてくれました。
公式テストでの好調さがこの週末にもしっかりと反映されていたので、今後のイゴール選手と65号車はライバルにとって怖い存在になるのではないかなと思っています。
一つ一つ積み上げていくタイプの選手ですし、ここぞという時のファイターぶりはレースにおいて強みになります。まだまだ成長中のイゴール選手からも目が離せませんね!

 

 

他にももっと名前を挙げるべき選手はいます。その一人は坪井選手です。2024年のチャンピオンですが、昨シーズン後半からホンダ勢が予選上位を占めることが多くなりました。
今回の富士でも、WETの予選ではトヨタ勢が上位を独占したのですが、DRYでの予選と決勝はホンダ勢が優勢だったというような結果に見えます。この週末の表彰台は全部で9席ありましたが、第6戦でザック・オサリバン選手が2位、第7戦で坪井選手が3位に入った2席のみがトヨタ勢の成績です。
特に決勝レースで、ストレートでのオーバーテイク時のスピード差は気になりました。富士と言えば坪井&トムスという印象が強かっただけに、この結果には危機感を覚えていることと思います。
レースを長くやっていると、こういう勢力図の変化はあります。2000年代のフォーミュラニッポンでは逆にトヨタ勢が圧勝という時期もありました。それだけにドライバーにとっては、すべてが揃っているときに勝つ、チャンピオンを獲るということが重要だとも言えますよね。

 

菅生はクロスレシオでストレートが短いサーキット。トヨタ勢としてはここで奮起を期待したいですね。坪井選手自身もスーパーGTでは3連覇を成し遂げ、4連覇に向けて順調に見えますが、SUPER FORMULAでは前半戦、特にかみ合わなかったことが多く見えました。この菅生ではリズムを崩さず、仕事人・坪井翔の真骨頂を見せて欲しいと思います。

 

 

さてこのレースウィークでは初ポイントを獲得した選手がいましたね!小林利徠斗選手がその実力を発揮し始めました。第6戦WETでの予選で4位を獲得。その決勝ではズルズルと後方に下がってしまいましたが、日曜日午前のスプリントフォーマットのレースではスタートでジャンプアップ! その後のバトルでもしっかりオーバーテイクをして7位でフィニッシュしました。
トヨタ期待のルーキーとして注目を集める中で、ホンダのルーキー野村勇斗選手が先に目立っている中でプレッシャーもあったでしょう。でも噛み合えば上位に食い込めるという実績が出たのは大きいです。

 

もともとクルマを前に転がすのが得意なタイプだと見ていて感じるので、そのセンスがこのトップフォーミュラの猛者たちの中で揉まれていけば、その実力が開花した時にはきっと上位に入ってくると思います。これからの利徠斗選手の成長にも期待ですね!

 

 

そしてトヨタ勢の中で光っていた選手といえば、阪口晴南選手を挙げないわけにはいきません。“勝ちたい!”という気迫が映像からも伝わってくるような走りでした。特に日曜日午前のレースでは、トップ格之進選手に仕掛けていき、共に1コーナーでコースアウトしてしまいましたが、あの場面は晴南選手の勝利への執念が垣間見えた瞬間だと思います。
その後トラブルでリタイヤしてしまいましたが、この数年、どんなレースでもしぶとく粘り強く戦う姿勢を見せてくれています。チームもそんな晴南選手を勝たせたいと、一丸となって戦っていることでしょう。

 

初優勝まであと一歩。その“一歩”を掴むための速さも強さも、もう十分に見せてくれています。あとはすべてが噛み合った時に、その壁を一気に突き破ってくれるのではないでしょうか。晴南選手が表彰台の真ん中で喜びを爆発させる姿を、楽しみに待ちたいと思います。

 

 

この週末は嬉しい復活劇がありましたね!久々にチームインパルが表彰台に帰ってきてくれました! WETで行われた第6戦の予選で見事にオサリバン選手がポールポジションを獲得。レースでは惜しくも2位となりましたが、昨年ノーポイントだったチームインパルの復活を印象付けることには充分な成績だと思います。
星野一義総監督もオサリバン選手のことはベタ惚れで、相思相愛という感じです。昨年日本にやってきて、開幕ラウンドの鈴鹿から“アクセルは緩めない”走りは印象深かったですよね。まさに“全開魂”の星野イズムにピッタリなドライビングだと思います。
僅差で僅かな差でも大きくポジションが変わってしまうSUPER FORMULAの中で、浮き沈みは少なくないものの、明らかに上昇気流を捕まえていると思いますので、是非19号車を表彰台の真ん中で見てみたいものです。その時の一樹監督の雄たけびとうれし涙にも期待したいですね!

 

 

そして野尻智紀選手が第7戦の予選で通算24回目のポールポジションを獲得しました!大記録更新中ですが、今年はここまで非常に苦しいシーズンを送っていただけに、これも復活と呼んでいいのではないかなと思います。特に決勝では、ここまで8位が1回のみという結果しかなかったので、日曜日午前のレースでスプリントとはいえ、戦って戦い抜いての2位表彰台は、見事な復活と言っていいのかなと思います。
これまで予選での速さが目立ち過ぎてて、決勝でのペースがないことがクローズアップされていましたが、日曜日午後の第7戦決勝は、いち早くピットに入りタイヤ交換義務を消化し、レースをアクティブに動かしにいきました。タイヤの消耗は後半厳しいにもかかわらずペースは悪くなく、タイヤマイレージの少ない後半にピットに入った組に抜かれてはしまいましたが、そこに手ごたえを感じたのではないかなと想像します。
ベテランの領域に入り、でも進化を止めない野尻選手にも注目していきたいと思います。

 

 

週末に3レースもあるとまだまだピックアップしたいことはあるのですが、今回はこの辺で。
そして今週末はスポーツランド菅生で第8戦東北大会が行われます。オートポリス同様、予選ではQ3までの特別フォーマットで、横浜タイヤプレゼンツの賞金100万円をかけて各選手が熱い走りを見せてくれることと思います。
このサーキットはエアロが必要な特徴があるので、チーム無限が強いかなとは思いますが、以前モトパークと提携してセッテカマラ選手がポールポジションを獲得したB-MAXレーシングも侮れないのではないかと思いますので、野村選手にも注目したいですね。
あとは地元山形に近い利徠斗選手にも期待したいですね。ルーキー対決を上位で見られたらかなり熱い!!

 

いろいろと見どころのある東北大会になることは間違いないと思いますので、また今週末もSUPER FORMULAをファンの皆さんと一緒に楽しみたいと思います!!

 

 

written by 土屋 武士
日本のトップカテゴリーで活躍したレーシングドライバーとして活躍。プライベートチーム「つちやエンジニアリング」のチームオーナーでもある。現役を引退した現在は、ドライバー・エンジニア・メカニックの育成に務め、モータースポーツ界に大いに貢献し多方面で活躍している。

 

土屋武士オフィシャルアドバイザー

pagetop