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2023年 公式合同テスト初日 レポート

2023.03.06

公式合同テスト 2023/3/6(月) DAY1

 

3月4日(土)〜5日(日)、毎年恒例となっているファン感謝デーが行われた三重県・鈴鹿サーキット。このイベントに続き、3月6日(月)〜7日(火)には2日間に渡って、全日本スーパーフォーミュラ選手権の第1回公式合同テストが行われた。これが新たなエアロパッケージをまとった「SF23」による初めての合同テストということで、平日にも関わらず、朝から多くの観客がサーキットへと足を運んでいる。


この「SF23」は、カーボンニュートラルの実現、またエンターテインメント性の向上を目的としたNEXT50プロジェクトの一環として、株式会社日本レースプロモーション(JRP)が、昨年1年間を通じて行った開発テストを経て決定されたもの。従来よりも立体的なフォルムとなり、現代のフォーミュラカーのトレンドに沿った造形となっているだけでなく、全体に迫力が増している。一部にスイス・Bcomp社の植物性カーボンを使用しているのも画期的な変更点だ。ファン感謝デーでは、今シーズン参戦する12チーム・22台がフルカラーリングされた「SF23」を観客にお披露目。同時に、開発テストを通じて仕様が決定したグリーンの帯が入った新たなタイヤを装着してシェイクダウンも敢行している。

タイヤに関しては、昨年リサイクル素材やカーボンニュートラル素材を使用した多数のモデルをテストしているが、その中からケーシングFと呼ばれたモデルを今年は正式採用。ファン感謝デーから合同テストにかけて、各車に6セットが供給されている。他カテゴリーのテストでのクラッシュの影響を受け、今回のテストでは、シーズンにレギュラー参戦する山下健太(KONDO RACING)と太田格之進(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)が欠場となったが、山下の代役として笹原右京、太田の代役として大津弘樹がそれぞれステアリングを握っている。

 さて、迎えたテスト初日の6日は、朝から春めいた好天。日本列島のほぼ全体が高気圧にすっぽりと包まれ、ポカポカ陽気となった。最初のセッションが始まった午前11時の段階で、気温は14℃、路面温度は22℃。メインストレートは軽い向かい風が吹くコンディションとなった。そのコンディションのもと、ピットロード出口がオープンされると、野尻智紀(TEAM MUGEN)、リアム・ローソン(TEAM MUGEN)、牧野任祐(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)、大津といった順で多くのドライバーたちが次々にコースイン。
TEAM MUGEN #1 野尻智紀 Tomoki Nojiri>
TEAM MUGEN #15 リアム・ローソン Liam Lawson>

一方、関口雄飛(ITOCHU ENEX TEAM IMPUL)や平川亮(ITOCHU ENEX TEAM IMPUL)らは、しばらく待ってからコースへと向かっている。ところが、このセッションの序盤、計時に若干の問題があったため、午前11時12分には一旦赤旗が提示され、全車がピットイン。計時の問題が解決されると、午前11時18分にセッションは再開された。同時に、チェッカー予定が変更され、午後1時18分となっている。
 セッションが再開されると、ここから各車は本格的な走行に入る。新たなエアロパッケージでは、これまでとダウンフォースの出方が違うこともあり、車高やエアロバランスを各チームが細かくデータ採り。また足回りなど、各チームが用意してきたセットアップメニューをドライバーたちは着々とこなしていった。その中で、まず早い段階で1分38秒701というタイムでトップに立ったのは、牧野。その後、セッション開始から50分ほどが経過したところで、山本尚貴(TCS NAKAJIMA RACING)がニュータイヤを投入して1分37秒030と、大幅にタイムアップしてトップに立った。
 その直後、午前11時52分には、このセッションで2回目となる赤旗が提示される。これは、笹原が逆バンクでコースオフ、クラッシュしたため。笹原のマシンはフロントウィング、左フロントサスペンションにダメージを負い、グラベルにストップした。このマシンの回収が終わり、セッションが再開されたのは、午後0時03分。ここからはニュータイヤを投入するドライバーも多く、各車がタイムアップ。大津が1分37秒217、野尻が1分37秒424、牧野が1分37秒485、国本雄資(Kids com Team KCMG)が1分37秒576、さらに平川が1分37秒507と、続々37秒台に入ってくる。セッションが終盤に入ると松下信治(B-Max Racing Team)が1分37秒379をマーク。さらにセッションの残り時間が5分となったところでは、宮田莉朋(VANTELIN TEAM TOM'S)が1分37秒116、そしてチェッカー目前には小林可夢偉(Kids com Team KCMG)が1分37秒462をマークした。
 しかし、中盤に山本がマークしたタイムを上回るドライバーはおらず、最初のセッションをトップで終えたのは山本。これに宮田、大津、松下、野尻、可夢偉、牧野、平川、坪井翔(P.MU/CERUMO・INGING)、国本と続いている。
TCS NAKAJIMA RACING #64 山本尚貴 Naoki Yamamoto>

 約2時間のインターバルを経て、2回目のセッションが始まったのは、午後3時15分。この時点で、気温は18℃、路面温度は32℃まで上昇し、この時期としてはかなり暖かなコンディションとなる。風向きは午前中とは逆になり、メインストレートには軽い追い風が吹いていた。
 このセッションの開始直後は、まだピット内でセットアップ変更を行なっているチームも多かったが、ピットロード出口がオープンされると、数台のマシンがすぐにコースイン。それに続いて、準備が整ったマシンが次々コースに入っていく。コースに入ったドライバーたちは、そこからピットイン、ピットアウトを繰り返しながら、着々とテストメニューをこなしていった。午前中のセッションに続いて、このセッションでも多くのチームが車高やエアロバランスを細かく調整してデータ採り。またダンパーやスプリングを交換して足回りのセットアップをテストするチームも多かった。

そんな中、セッション開始直後にユーズドタイヤで1分37秒555というタイムをマークしたのは、大嶋和也(docomo business ROOKIE)。坪井や関口も序盤から1分37秒台に入ってくる。
 
その後、セッションを折り返してまもなく、午後4時20分頃には、山本が程度のいいユーズドタイヤで1分37秒435をマークして、トップに浮上。さらに、可夢偉が同様に、程度のいいユーズドタイヤで1分37秒090までもタイムを縮め、トップに立つ。さらに、野尻も1分37秒412と、山本のタイムを上回ってきた。一方、この頃になると、午前中にクラッシュした笹原のマシンの修復が完了し、走行を再開している。
 そして、セッションの残り時間が約30分となった午後4時46分には、ローソンがニュータイヤを投入して、一気にタイムアップ。1分36秒770と、この日初めて36秒台に飛び込んでくる。このセッションでは各ドライバーともにOTS(オーバーテイクシステム)を計40秒使えることになっているため、その後もタイムアタックでは各ドライバーが大きくタイムを縮めてきた。その中で、午後4時56分に、ニュータイヤでトップタイムを書き換えてきたのは、可夢偉。可夢偉はここで1分36秒266を叩き出し、ローソンのタイムをコンマ5秒以上も上回ってくる。また、これに続いて、牧野が1分36秒909、坪井が1分36秒814と、こちらも36秒台に突入してきた。
 Kids com KCMG #7 小林可夢偉 Kamui Kobayashi>

 その後、セッションの残り時間が6分を切ったあたりからは、多くのドライバーが1日の総仕上げとして、ニュータイヤを投入してのアタックシミュレーションを行う。その中でまず1分36秒462と36秒台に入ってきたのは、平川。続いて、大湯都史樹(TGM Grand Prix)が1分36秒699をマークする。さらに、それまでトップだった可夢偉のタイムを書き換えてきたのが、山本。山本はここで1分36秒027をマークする。続いてアタックしていた佐藤蓮(TCS NAKAJIMA RACING)も1分36秒083をマークし、山本に続いた。しかし、その後にアタックしていた野尻がさらにタイムアップ。各セクターで全体ベストタイムを書き換えた野尻は、1分35秒955と、唯一35秒台のタイムを叩き出し、最終的にはこの日のセッションをトップで締めくくった。これに続いたのは、山本、佐藤。さらに、可夢偉、平川、牧野、坪井、大湯、ローソン、笹原、小高一斗(KONDO RACING)、関口と続き、ここまでが1分36秒台のタイムをマーク。以下、福住仁嶺(ThreeBond Racing)、宮田、国本、大嶋、ジェム・ブリュックバシェ(TGM Grand Prix)、ジュリアーノ・アレジ(VANTELIN TEAM TOM'S)、ラウル・ハイマン(B-Max Racing Team)、大津、松下信治(B-Max Racing Team)、阪口晴南(P.MU/CERUMO・INGING)という結果になっている。

TEAM MUGEN #1 野尻智紀 Tomoki Nojiri>

 合同テスト2日目となる7日は、1回目のセッションが午前9時45分から11時45分、2回目のセッションが午後3時から5時。この4時間のセッションが開幕前最後の走行チャンスとなる。天気予報では、初日と同様、好天になると見られているが、ここでいい仕上がりを見せて開幕に向かうのは誰なのか、気になるところだ。

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