第3回瑶子女王杯 杯は太田格之進に下賜される
2026.07.19
瑶子女王杯の下賜を仰ぐ太田格之進(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)

日中はギラギラとした夏の太陽が顔を出し、非常に蒸し暑い時間帯もあった7月19日(日)の静岡県・富士スピードウェイ。その後、「第3回瑶子女王杯 2026年全日本スーパーフォーミュラ選手権 第3・6・7戦」の第7戦決勝レーススタートの時が近づくと、再び空は分厚い雲に覆われた。そんな中、午後3時35分には、予定通りフォーメーションラップがスタート。ところが、ここでハプニングが発生。佐藤蓮(PONOS NAKAJIMA RACING)のマシンにギヤボックストラブルが発生し、コースにはほぼ1周に渡ってミッションオイルが撒かれてしまう。このため、スタートは大きくディレイ。グリッドにも同様にオイルが出ていたため、残る全車は一旦ピットロードに移動する。そして、午後4時20分に、セーフティーカー先導でピットロードからレースがスタートした。その後は41周に渡る熱戦が繰り広げられ、レース前半、後半ともに見事なオーバーテイクを見せた太田格之進(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)が昨日の第6戦に続いて優勝。瑶子女王杯は太田に下賜された。これに続いて第7戦で2位表彰台を獲得したのは、午前中に行われた第3戦を制したイゴール・オオムラ・フラガ(PONOS NAKAJIMA RACING)。3位には牧野任祐(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)が入賞し、昨日に続いての3位表彰台を獲得している。

午前中に行われた第3戦の決勝終了から約3時間半。午後2時40分からは、今回の大会を締めくくる第7戦の決勝レースに向けて、スタート進行が始まる。15分間のレコノサンスラップが終わると、全ドライバーがダミーグリッドに着く。その後、昨日の第6戦に続いて、瑶子女王のご臨席を賜り、鈴木康友静岡県知事ら来賓も列席したスタートセレモニーを終えると、いよいよフォーメーションラップの時が近づいてきた。この頃、富士スピードウェイの上空は雲に覆われており、メインストレートには追い風が吹く。気温は29℃、路面温度は36℃。湿度が高く、汗ばむようなコンディションのもと、午後3時35分に予定通りフォーメーションラップがスタート。ところが、ここでハプニングが発生する。11番グリッドの佐藤がギヤを1速に入れてクラッチを繋いだ所で、ギヤボックスが割れ、佐藤のマシンのレインライトなどパーツが飛び散る。佐藤自身は、異変を感じたというものの、マシン後方で起こったトラブルのため、その具体的な症状は分からず。シフトアップ、シフトダウンもできたため、そのままコースを走っていく。そして、ゆっくり走ってピットロードに滑り込んだのだが、コース上にはミッションオイルの帯ができる形となった。その他23人のドライバーは一旦正規グリッドに着いたが、前方ではイエローシグナルが提示され、スタートはディレイすることに。ここからはオフィシャルがコース上のオイル処理に当たる。さらに、オイルはグリッド上にも出ていたため、一旦全車がダミーグリッドからピットロードに移動することになった。

コース上のオイル処理が終わると、レースコントロールからは午後4時20分にセーフティーカー先導でレーススタートすることがアナウンスされる。この時も、コース上のグリッドは使用されず、全車がピットロードからスタートすることとなった。そして、気温29℃、路面温度35℃と、少し路面温度が下がる中でレースはセーフティーカーランによってスタート。各ドライバーは、隊列走行に入ると、路面の状況などを確認しながら周回を重ねる。そのセーフティーカーがピットロードに戻ったのは、5周終了時。ここから実質のレースがスタートした。PPスタートの野尻智紀(TEAM MUGEN AUTOBACS)は、最終コーナー立ち上がりまでゆっくりと走っていたが、出口では縁石を使いながら一気に加速。逃げを打った。しかし、2番手スタートの牧野がストレートの加速で野尻に迫り、1コーナーでは野尻のアウト側に並びかける。その牧野の後ろに着いたのは太田。野尻の後ろにはフラガがイン側から1コーナーにアプローチした。ここで野尻はポジションをキープ。フラガがインから太田だけでなく、牧野もかわして一気に2番手に浮上する。

これでリスタート後1周目のオーダーは、野尻、フラガ、牧野、太田。さらに、坪井翔(VANTELIN TAM TOM’S)、岩佐歩夢(TEAM MUGEN AUTOBACS)、阪口晴南(SANKI VERTEX PARTNERS CERUMO・INGING)、山下 健太(KCMG)と続く。この中から、7周目の1コーナーでは坪井がアウト側から牧野と太田に並びかける。一番イン側にいたのは牧野。そのアウト側に太田、さらにアウト側に坪井がいたが、坪井はここではポジションを上げることができず。一方、牧野と太田はポジションが入れ替わり、太田が牧野の前に出ることに成功する。ここからの太田の勢いは止まらず、8周目の1コーナーでは、太田がイン側からフラガをオーバーテイク。続く9周目の1コーナーで、太田はトップの野尻にも迫った。ここは野尻がポジションを守ったが、太田はその後も追撃の手を緩めず、9周目のストレートから10周目の1コーナーにかけて、いよいよ野尻にアウトから並びかける。そして、あっという間に前に出ると、早い段階でトップに立った。その後方では、チームメイトの牧野も3番手のフラガに迫ったが、ここはフラガがポジションをキープした。

トップの太田が10周を終えると、タイヤ交換のウィンドウが開くが、11周を終えた所で真っ先にピットロードに滑り込んだのは、2番手を走行していた野尻。これと同時に、松下信治(DELiGHTWORKS RACING)、大湯都史樹(SANKI VERTEX PARTNERS CERUMO・INGING)、福住仁嶺(NTT docomo Business ROOKIE)、Juju(HAZAMA ANDO Triple Tree Racing)、ルーク・ブラウニング(REALIZE KONDO RACING)もピットロードに滑り込んだ。その翌周には、小林利徠斗(KDDI TGMGP TGR-DC)もタイヤ交換のため、ピットインを行っている。さらに、14周を終えた所では、この時点で5番手を走行していた岩佐もピットイン。野尻の後ろでコースに戻った。野尻は、タイヤ交換を終えてコースに戻ると、1分25秒334、1分25秒107、1分25秒317と、1分25秒台前半のタイムを連発。この頃、トップの太田のラップタイムは1分25秒982、1分25秒875、1分25秒933と、1分25秒台後半だったため、2台の差はジワジワと縮まっていった。15周を終えた所で、2台の差は40秒491。20周を終えた所では、39秒072まで縮まってくる。一方、まだタイヤ交換を行なっていないトップ集団も、少しずつ各車の差が開き、レース中盤には太田、フラガ、牧野、坪井らがそれぞれ単独走行状態となっていた。そんな中、ちょうどレースの折り返しとなる21周を終えた所では、4番手を走行していた坪井がピットイン。坪井は野尻、岩佐の後ろ、大湯の前でコースに戻る。しかし、すでにタイヤが温まっていた大湯が、アウトラップの坪井に襲い掛かり、100Rでオーバーテイク。だが、その後は、ニュータイヤのグリップを生かした坪井がペースアップ。24周目のストレートで大湯に迫ると、1コーナーではアウトから並びかける。そして、2コーナー立ち上がりでは坪井が逆転に成功している。
第7戦 決勝2位 イゴール・オオムラ・フラガ(PONOS NAKAJIMA RACING)

その2周後、25周を終えた所では、いよいよトップ集団にも動きが出る。まずは2番手を走っていたフラガがタイヤ交換のためにピットイン。フラガは野尻と岩佐の後ろ、坪井の前でコースに戻った。アウトラップのフラガに対して、すでにタイヤが温まっている坪井はダンロップコーナーで真後ろまで迫る。しかし、ここはフラガがガッチリとポジションをキープした。そして、その翌周、26周を終えた所ではトップを走っていた太田がピットイン。太田は野尻、岩佐の目前でコースに戻ったが、すでにタイヤが温まっている野尻がコカコーラコーナーで太田をオーバーテイク。続く100Rでは岩佐も太田の前に出た。さらに、太田がピットに入った翌周、27周を終えた所では牧野がピットイン。牧野は坪井の後ろ、大湯の前でコースに戻る。その牧野に、ダンロップコーナーでは大湯が迫ったが、牧野は上手いブロックで大湯の追撃を退けた。そして、28周を終えた所では、いよいよ全車がタイヤ交換。これでオーダーは、野尻、岩佐、太田、フラガ、坪井、牧野、大湯、松下となる。だが、このままレースは終わらない。まず29周目には、3番手を走っていた太田がニュータイヤのアドバンテージを生かして、レース序盤と同様の勢いあるオーバーテイクを展開。まずコカコーラコーナーで岩佐に並びかける。2台はそのままサイド・バイ・サイドの戦いとなったが、ヘアピンでは太田が岩佐の前にで目ことに成功。続く最終コーナーからメインストレートにかけて野尻に迫った太田は、コントロールライン手前で野尻を一気にオーバーテイクし、トップを奪った。また、同じストレートではフラガが岩佐に並びかけ、前に出ることに成功。3番手に浮上してくる。さらに、31周目の1コーナーでは坪井も岩佐に迫り、続くヘアピンやダンロップコーナーで激しい攻防を見せる。坪井はセクター3に入っても追撃の手を緩めず、GR-GTコーナーでは、岩佐の前に出ることに成功。その前方では、ダンロップコーナーでフラガがアウトから野尻に並びかけて前に出ることに成功している。これでフラガは2番手、坪井は4番手まで浮上した。それとほぼ同じ頃から、激しくなったのは、坪井、岩佐、牧野のポジション争い。後半、タイヤを交換してからのペースが非常に良かったという牧野は、31周目の最終コーナーからストレートにかけて岩佐に迫る。さらに、岩佐もオーバーテイクシステムを使いながら坪井を再逆転し、1コーナーに入った時には一時、岩佐、牧野、坪井というオーダーに。続く100Rでは牧野が岩佐を攻略してポジションを上げる。同じ周の最終コーナーからストレートにかけては、坪井がオーバーテイクシステムを稼働させながら、岩佐をまたしても逆転するなど、上位の攻防は熾烈を極めた。さらに、33周目のGR-GTコーナーでは牧野が野尻をかわして3位に浮上。これでオーダーは、太田、フラガ、牧野、野尻、坪井、岩佐、大湯となった。残りは8周となったが、そこからもバトルは続き、35周目の1コーナーでは坪井が野尻をオーバーテイク。39周目の1コーナーでは岩佐も野尻をかわしていく。真っ先にタイヤ交換を行なった野尻にとっては、非常に難しいレースとなった。
第7戦 決勝3位 牧野任祐(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)

これに対して、トップに立ってからの太田は磐石の走り。フラガが2番手に上がってきて時点で、太田はすでに3秒以上のマージンを築いていた。その後も太田はフラガとの差を広げていき、最後は一人旅でトップチェッカーを受けている。これに続いた2番手のフラガも3番手に浮上してきた牧野に対しては、33周を終えた時点で3秒954というマージンを持っていた。しかし、牧野はジワジワとその差を詰めて、ファイナルラップに入った所でその差は2秒470。牧野はここから残っていたオーバーテイクシステムを全て使ってフラガに迫る。だが、わずかに届かずフラガは2位のポジションを守ったままでチェッカー。牧野が3位で続いた。以下、坪井、岩佐、野尻、大湯、福住仁嶺(NTT docomo Business ROOKIE)、小林可夢偉(KDDI TGMGP TGR-DC)、最後の最後に阪口を捉えた山下までがポイントを獲得している。
次戦は、唯一東北地方で開催される第8戦・スポーツランドSUGO。この大会は1レース制ということで土曜日が予選、日曜日が決勝となるが、例年激しいレースとなる。ここで勝利の美酒を味わうのは誰なのか。今から気になる所だ。
